【連載】2020年度インカレ代替大会直前特集『結実』第3回 石井智尋×中畑友博×杉本亮太

特集中面

 今回登場するのは、ポイントゲッターの役割を担う、石井智尋(スポ4=千葉敬愛)、中畑友博(スポ4=愛知・清林館)、杉本亮太(教4=神奈川・柏陽)の3人だ。得意の打撃を武器に、全国大学選抜男子ソフトボール選手権大会(インカレ代替大会)でも活躍が期待される。最後の大会を目前に控え、打撃のことから、プライベートのことまで幅広く話を伺った。

※この取材は10月20日に行われたものです。

「長所は打球を遠くに飛ばせること」(石井)

落ち着いた様子で取材に応じる石井

――東京都大学ソフトボール連盟秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)を振り返ると、どのような試合になりましたか

中畑 一言で表すことは難しいのですが、個人的には、あまりうまくいかなかったと思っています。捉えた打球が野手の正面を突いてしまったり、もう一歩(打球が)伸びなかったりとか、みんなが打っている中で一人だけ足を引っ張っていしまったというイメージがあります。ですが、日体大の小山投手(小山玲央)と対戦出来て、自分とのレベルの差を実際に体感して、どうすればいいのか、どうすれば僕たちが(インカレ代替大会で)優勝できるのか、という道筋が少し見えた気がするので、決して悪いだけではないリーグ戦だったのではないかなと思っています。収穫も多く、反省点も多く、学ぶことが多いリーグ戦でした。

石井 僕も良くはなかったです。打撃もチームから求められていること以上のこともできなかったですし、本当の最低限ぐらいしかできていなかったのかなと思っています。守備はまだまだ課題たくさんあるので、(インカレ代替大会まで)あと少しだけですが、レベルアップできるように頑張りたいと思います。

杉本 僕も全体的にはうまくいかなかったという印象が強いです。特に、打撃では澤(優輝、人3=東京・国学院久我山)の次を打たせてもらった時に、(澤が)取り残したチャンスで打てなかったですし、安打も出たには出たのですが、中途半端な当たりのものが多かったので、個人的には気持ちが悪いというか、納得いかないところもありました。僕はバントなどの小技もやるのですが、(小技も)秋季リーグ戦では全然決まっていなかったので、今はしっかりと練習して、地道に感覚を取り戻していきたいと思っています。

――本日は『ポイントゲッター対談』と銘打っているので、打撃について伺っていきます。ご自身の打撃の長所と短所を教えていただけますか

中畑 自分の強みは、追い込まれても三振しないというか、空振りが少ないと思うので、どのような球でもミートできるところが強みです。自分の好きなコースは、うまくいけばですが本塁打にもできるかなと思っています。悪いところは、逆に当てに行き過ぎて、力のない打球になってしまうところです。追い込まれていない時でもたまにやってしまうこともありますし、逆に力んでしまう時もあります。3番(石井)、4番(澤)、8番(中畑)と言われることが多いのですが、石井、澤に近付きたいというか、僕もそれくらい本塁打を打たないと、と思って力んだり開いたりしまうことがあります。僕なりの良さは、鋭い打球で安打を打つことです。悪いところは、力んでしまうことかなと思います。

石井 長所は打球を遠くに飛ばせることです。変な打ち方でも、こんなに飛ぶんだ、ということがあります。理由はわかりません(笑)。短所は、打てないときはとことん打てないことです。(良い時も悪い時も)かためてしまうんですよね。

杉本 強みは、普通の打撃だけでなく、小技も使いながら揺さぶれるところかなと思っています。最近はあまり長打を打てていないのですが、その分バントもできますし、運もあるのかもしれませんが、変な打球が安打になったり、相手の失策を誘ったりもしているので、そこは強みかなと思っています。逆に弱みは、長打や強い打球があまり打てていないことです。インカレ代替大会までの間にもう少し強い打球を打てるようにならないと、小技も生きてこないと思うので、そこを重点的にやっていきたいと思っています。

――それでは個別に伺っていくのですが、まずは中畑選手にお聞きします。先ほども少しお話がありましたが、現チームにおいて8番打者の役割はどのようなものですか

中畑 二人目の4番打者という感じです。1番から5番が一つのまとまりで、6番以降のまとまりの中の軸というか、ポイントゲッターというかたちです。8番の役割としては、どこからでも点が取れるように、走者を返して、チームの勝利に結びつけることです。

――続いて杉本選手に伺っていきます。今季は、バントだけでなく、強打もするという難しい役割をされていると思います。実際にやってみて、難しさは感じていますか

杉本 どちらも(バントも強打も)調子が良い時もあれば、片方が全く使い物にならない時もあるのですが、その時はやれることが限られてしまうので、難しさを感じています。あとは、両方とも調子が良くても、逆に打席の中で何をしようと考えすぎてしまう時もあるので、状況に応じた選択も難しいのかなと感じています。

――次は石井選手に伺います。先日お話を伺った際に、守備面は「全然ダメ」とおっしゃっていましたが、現状の守備をどのように評価されていますか

石井 周りがどう思っているかはわからないのですが、自分の感覚では変わっていないと思っています。(ボールが)グローブに入ってくれている感があるので、これから残りの2週間で日ごろの行いを良くして、(ボールがグローブに)入ってくれることを祈ります。

――お二人の選手から見て、石井選手の守備はどのように見えていますか

中畑 なんか、ハンドボールやっているみたいです(笑)。ショートで尚希(高橋主将、スポ4=宮城・泉館山)と一緒にノックをやっていると、尚希は基本に忠実なのですが、智尋は他の競技やっているのかなという感じです。どんなところからも投げられますし、肩も強いし、体も大きいので、どんな体勢からも強い送球ができるので、個人的にはすごい上手だなと思います。身体能力だけでやっている感じはしますが。

――杉本選手はどのような印象ですか

杉本 見ていて面白いなと思います。中畑が言ってくれたように、尚希は堅実なのですが、智尋は派手さもあって、ザ・ソフトボールという感じの守備なので、見ていて楽しいですし、すごいなと思うプレーが多いなと思います。

尊敬する人物は・・・

真剣な表情で質問に答える杉本

――続いてプライベートについて、伺っていきます。まずは、お互いの選手の紹介をお願いします。まずは、中畑選手の紹介を、石井選手、杉本選手からお願いします。

杉本 ふざける時はどことんふざけています。それを見ているのが僕たちは好きなのですが、本当に吉原(陸副将、スポ4=福島・安積)と中畑と松下(直矢、スポ4=京都・南陽)の3人組でいつもベンチをにぎやかにしてくれています。逆にプレー中は真面目だったりするので、そういうところは良いところだなと感じています。

石井 オンとオフの切り替えはしっかりしていると思います。あとは、杉本くんと中畑くんは仲悪いです(笑)。

杉本 そういういじりがいつからか始まったんですよね(笑)。

――いじられるようになったきっかけはありますか

中畑 同期が10人いて、僕も満遍なく人をいじるのですが、浅田(剛志、スポ4=大阪・清風南海)などいじられる選手は決まっているじゃないですか。でも、亮太はいじるところがないというか、しっかりしているので、ふざける感じではないんですよね。副務のことに関してしか話していないと、「中畑と亮太、仲悪いやん」となって、それでいじられるようになったという感じです。全然仲悪くないですよ。

杉本 そのせいでまた話にくくなる部分はありますね(笑)。

――それでは石井選手の紹介をお願いします

中畑 独特なワールドが全開ですね。ほわんとしているように見えて、意外と毒を吐くときもあります。ほわんとしているところも良さですし、とても優しいですし、でもどんな人だっけ(笑)。

石井 うーん、わからない(笑)。

中畑 でも最近は、自分からふざけるようになりましたね。楽しんでソフトボールやっているなと練習中は思います。スポーツをやる理由はそこ(楽しさ)かなと思うのですが、すごく楽しそうにソフトボールやるので、自分も楽しんでやろうかなと思わせてくれます。

――杉本選手はいかがですか

杉本 本当に独特の一言なのですが、ある意味で人と違うリズムで生きていると思います。自分の間で生きていて、それが結果にもつながっているのかなと感じますし、人に合わせて何かするよりも、自分の間でやった方が良いことが、智尋の良さなのかなと感じています。まだどういう人かわかりませんし、最後まで理解できないと思いますが(笑)、ミステリアスな部分があります。独特な間があって、それが面白いですし、優しいですし、何も考えていないと思ったら急にミーティングで良いこと言ったりするので、欠かせない存在だなと思います。

中畑 何も考えていないように見えて、何か考えているように思うじゃないですか。でも、何も考えていない時もあります(笑)。

――杉本選手はいかがですか

中畑 これまた独特だと思います。少し前に試合に臨むうえでのルーティンを部内で発表するということがあったのですが、みんな詳細に(ルーティンが)決まっているのですが、亮太の場合は、試合前にグミを食べるだけで(笑)。こだわりとかもなくて、バッティンググローブも何でもいい、グローブも何でもいいみたいで。適当そうに見えてしっかりと考えているのでしょうが、一番ふざけていてもばれないですし、いい位置にいるな、うまく生きるなと思っています。

石井 いろいろとうまいなと思います。生き方もソフトもうまいですし、ソフトよりも生き方の方がうまいんじゃないかなと僕は思いますね(笑)。みんなと誰にでも同じように接しているので、素晴らしい人間です。

――マイブームや趣味はありますか

杉本 僕は自粛期間中に、部の練習とは別にたまに走ったりしてたのですが、その中であえて知らない道を通って、あえて迷子になるということをひたすらやっていました。本当にわからなくなったら、Googleマップを見るのですが、そのようなかたちで暇つぶしをしていました。

中畑 最近、YouTubeの動画を見て、マーボー豆腐を一から作ったりしていました。大学入ってから自炊をする時もあったのですが、自炊はまずくなることがあるじゃないですか。この自粛期間中に上手くなろうと思って、一から作っていました、意外とそれが楽しくて、はまっていました。

――マーボー豆腐は具体的にどこから作るのですか

中畑 豆板醤(とうばんじゃん)や豆鼓醤(とうちじゃん)や甜麺醤(てんめんじゃん)を使って、一から作っていました。豆腐を沸騰させた水の中で湯がいて、ご飯にかけて食べる、ということをやっていました。

――石井選手はいかがですか

石井 携帯ゲームで、部内の人と楽しみながら対戦することを日ごろからやっています。あとは、時間が空いているときに漫画を読んで、少年の心を忘れないようにしています。

――続いて、ホームページに掲載されている情報の中から何点か質問をしていきます。まず、石井選手に伺います。好きな言葉として、冷静沈着を挙げられていましたが、どのような点が好きですか

石井 意味もあるかもしれませんが、文字の収まり方がいいなと思って(笑)。この見栄え好きかも、という感じです。

――続いて杉本選手に伺います。尊敬する人物として、マンションの管理人さんを挙げられていましたが、どのような点を尊敬されていますか

杉本 結構親しくさせていただいて、たまに自家製のチャーシューをもらいますし、何回か飲みに行ったことがあるくらい仲が良いです。僕だけでなく、マンション全体の人を知っているのではないかというくらいに人と接していますし、野球をやっていた方なので野球の話もしますし、就職活動の時も話を聞いてくださいました。誰にでもしっかりと接する姿勢を尊敬しています。

――特技として、お好み焼きを作ることを挙げられていましたが、部のみなさんに振る舞うことはありますか

中畑 振る舞うとかはないですね。バイト先がお好み焼きなので、得意かなと思っています。

――お好み焼きは広島風や関西風がありますが

中畑 どちらも作れるのですが、家では関東風というか、広島焼きではない普通のお好み焼きに麺を加えて焼いて裏返して焼いて、食べています。炭水化物を取れるので、家では作ったりします。

「インカレの借りをインカレで返す」(中畑)

明るい表情からも、インカレ代替大会への決意を感じさせてくれた中畑

――続いてインカレ代替大会のことを伺っていきます。現在の状態はいかがですか

中畑 2日前の練習試合でも打てましたし、状態は良いなと思っています。先週くらいに練習のノック中に、僕自身が満足いくプレーができなくて、態度に表してしまうことがありました。それで、迷惑かけたなと反省して、自分のそういうプレーで周りに悪いなとか、自分がそういうことしては駄目だなとか真剣にその日の夜に考えました。監督さん(高杉聡監督、人10=群馬・前橋育英)もよく、感謝と徹底という言葉を言うのですが、感謝の気持ちや徹する気持ちが足りないから、そのようなこと(態度に表してしまうこと)をするのかなと思いました。僕はDP(※)で打つだけなので、守備を軽視していた部分もあったのですが、尚希やストイックな梶谷(陽介、法4=神奈川・柏陽)を見て、真剣にやらないといけないなと思っていたので、そこから全部真剣にやろうと決めてから結果も出ています。先週のイニング練習でも結果が出ましたし、足りていないところは技術的なところではなくて、精神的なところだったのではないかと思いました。このような気持ちを忘れずにやれば、自ずと結果はついてくるかなと信じてやるしかないですね。駄目なところを直すきっかけにもなりましたし、この気持ちを忘れなければ上手くいくかなと思うので、感謝の気持ちを持ってやっていこうかなと思います。

石井 あと2週間後の大会に向けてコンディションを合わせられるように、というだけですかね。間違えて大会前に打ちすぎてしまうと、本当に大会では打てなくなってしまうので、程よく良い感じに調整していけたらなと思っています。守備は頑張ります。

杉本 状態はまだまだかなと個人的に感じています。先ほども言ったのですが、まだまだ強い打球が打てていないですし、中畑が言っていた3、4、8番の間に入ると思うのですが、つなぐ役割が全然できていないと感じています。小技も打撃の方も詰めていかないと、チーム全体に迷惑をかけてしまうので、しっかりやりたいなと思います。逆に、少し前まで足を痛めていて、体はボロボロだったのですが、それも少しずつ治ってきているので、そのことはプラスに捉えています。

――インカレ代替大会までの少ない時間で、これだけは克服しておきたい、という点はありますか

石井 ありすぎてどれをつぶそうかな、という感じなのですが、本当に直さなければいけないのは、打撃で打球が高く上がりすぎてしまうことです。それを何とかして、もう少し低くすることが一番(やらなければいけないこと)だと思います。

中畑 僕も打撃なのですが、足の踏み込み方ですね。足を上げたときの踏み込み足の位置を変えました。それを習得できれば、すごいプラスになることなので、挑戦しています。(踏み込み方を)変えている分、打撃のポイントがずれてしまっているので、そこさえ直ればレフトにもいい打球が飛ぶと思うので。練習試合でもいい打球が多かったのですが、あと1、2週間でそこをものにできればいいかなと思っています。

杉本 僕も打撃で強い打球が打てないというところです。他のチームと対戦しているときに、タイミングが合わなくて、体から遠いところで打ってしまうことがあったので、もっとコンパクトに体の近くで打てるようにしなきゃいけないなと思って、この1か月くらいやっています。そこを一番直したいかなと思っています。

――インカレ代替大会では、速球派の投手との対戦が増えると考えられますが、速球派の投手の対策は十分にできていますか

石井 気持ちです。気持ちで付いていきます! 

中畑 速いボールは、そこにボールが見えたら、振るという感じです。やることがシンプルになるかなと思うので、打てるように頑張ります。

杉本 僕も速い球は得意ではないのですが、秋季リーグ戦でも小山投手と対戦もさせていただいて、その時に当たるかなという印象は受けました。そこからはバントしたり、打撃フォームを小さくして工夫したりして何とか(バットの)芯に当てて、長打ではなくても(内野手の)間を抜ける当たりを打てればなと思っています。

――最後に、インカレ代替大会に向けての意気込みをお願いします

中畑 チームとしては2年連続準優勝なので、優勝したいと思っています。経験を積んでいるメンバーも多いので、この代で優勝したいなと思っています。僕個人としては、去年のインカレは5番打者で試合に出たのですが、1本しか安打を打てませんでした。インカレの借りをインカレで返すことを目標にやってきたので、それができたらいいなと思っています。去年のインカレは映像を見れないくらいトラウマなのですが、最後は楽しんでやりたいですし、試合を決める一打を何本も打ちたいなと思っています。

石井 去年、おととしと決勝で負けているので、優勝に向かっていけたらいいなと思っています。個人的には楽しんで終われればいいなと思います。

杉本 僕は去年、直前に上級生にレギュラーを取られてしまい、インカレでも全試合に出られなかったので、全試合に出て優勝したいなと思います。特に今年は下級生の残りの時間を圧迫していることも感じていますが、下級生たちはそのような部分を表に出さずにやってくれています。そのような意味でも、優勝しないといけないなと思っていますし、これで初戦負けだと何のために4年生に時間を使ってきたのかと思ってしまうかもしれないので、今年は特に結果が全てなのかなと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 杉﨑智哉 カメラ 新井万里奈)

※守備に就かずに、打撃に専念する選手のことを指す。野球でいうDHのことを指す。

4年生3選手の仲の良さが伝わる対談となりました。インカレ代替大会でも武器の打撃でチームに貢献します!

◆石井智尋(いしい・ちひろ)(※写真中央)

1998(平10)年6月16日生まれ。179センチ70キロ。千葉敬愛高出身。スポーツ科学部4年。内野手兼外野手。右投右打。対談からも独特な人柄がうかがえた石井選手。捉えたときの飛距離はチームでも屈指のものがあります。打撃の調子を合わせて、インカレ代替大会では固め打ち見せてくれることに、期待です!

◆中畑友博(なかはた・ともひろ)(※写真左)

1997(平9)年12月31日生まれ。175センチ71キロ。愛知・清林館高出身。スポーツ科学部4年。内野手。右投左打。明るく終始対談を引っ張ってくださった中畑選手。インカレ代替大会に向けて、打撃の調子も上向いてきました。不振に泣いた昨年の悔しさを晴らす活躍を見せてくれることでしょう!

◆杉本亮太(すぎもと・りょうた)(※写真右)

1998(平10)年5月20日生まれ。169センチ70キロ。神奈川・柏陽高出身。教育学部4年。外野手。右投右打。実直な人柄がうかがえた杉本選手。小技と強打をこなすし、上位打線と下位打線をつなぐ、チームにとって欠かせない選手です。打撃の調子を整え、集大成の舞台へと挑みます!