【連載】競走部 日本学生対校選手権(全カレ)前特集『NOW OR NEVER』第2回 清水奈々子×千葉史織

特集中面

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 第2回は女子4×400メートルリレー(マイル)の中心メンバーである、清水奈々子(文構3=北海道・札幌南)と千葉史織(スポ1=宮城・仙台一)の2人が登場。上級生になり名実ともに女子マイルのエースとなった清水と、ルーキー離れした活躍を見せる千葉に、日本学生対校選手権(全カレ)の意気込みを伺った。

※この取材は8月25日に行われたものです。

「前半シーズンは70点くらい」(千葉)

対談中の千葉

――まずは他己紹介をお願いします

清水 普段は抜けているところもあるのですが、競技のことになると目の色を変えてやっています。基本的には抜けているところが多いです(笑)。

千葉 奈々子さんは、400メートルで活動するときにご一緒させてもらうことが多いです。すごく姉御肌で、姐(ねえ)さんみたいな感じで着いていってしまいます。競技の面では、みんなすごく練習している中でも人一倍、質でも量でも見習うことが多い先輩です。

――初めて会ったときの印象は覚えていますか

清水 初めて会ったのが一年前のこの頃でした。ウエート室で体験に来ていた時に会ったのですけど、そのときは早稲田に決めていなかったんだっけ?

千葉 見学に来たときは早稲田の方に傾いていて。ただまだ決めきれていない状況でした。

清水 そんな時に会ったのですけど初めて会ったときは物静かな子かなと思っていました。ただ競技の成績もそうですし、学業の方もすごく優秀だったので自分にストイックな子と思っていました。目つきが人と少し違うなと感じていました。

――ギラギラしていたのでしょうか

清水 そうですね。奥に宿っているものがあると感じていました(笑)。

千葉 最初お会いした時は、トレーニングルームでした。スポーツ科学部に進学することも決めていなかったので、奈々子さんからは、本キャンの方に通われている中で、どういう生活をしているかをお聞きしました。最初にお会いした時から落ち着きがあってどっしり構えているなという印象でした。

――その印象は今は変わったのでしょうか

千葉 最初の印象通り、物事に動じない自分の軸を持っていたので着いていきたくります(笑)。

清水 そう感じていただけるなら嬉しいです。

――清水さんは千葉さんに対して、物静かという印象を抱いていたそうですが、変わりましたか

清水 けっこう靴下の色が違って。

千葉 一回だけですよ(笑)。

清水 サングラスを3個なくした?

千葉 2個です。1個出てきました。

清水 最初のストイックな面は変わっていないですし、むしろ強くなったのですけど、一方でそういうお茶目な一面も出てきました。

千葉 オブラートに包んでくださりありがとうございます(笑)。

――お互いの好きなところはありますか

清水 引きすぎないところです。懐に入り込むのがうまいですね。あと目が好きです。まっすぐな目が好きです(笑)。初めて言いました。

千葉 姐さんという感じがすごく強いので、困った時は相談したくなりますし何でもいいことでも話したくなります。包容力があります。

清水 初めて言われました。

――続いて競技のことについて伺います。シーズン開始前に立てた目標はありましたか

清水 前半は関東インカレ(関東学生対校選手権)で表彰台と、日本選手権で決勝に進むのが目標でした。

千葉 大学に入学したばかりで見通しが立てきれていない中でしたが、関東インカレで表彰台に立って優勝と、日本選手権で自己ベストを出してリマのU20世界選手権に出ることが目標でした。

――清水選手は3年生になって自覚などは芽生えましたか

清水 すごく芽生えました。今までは自分の競技にだけ集中させてくれる環境を周りが作ってくれました。今年からは自分の競技に加えて、何でそういう結果を出さなくてはいけないのか、何でこの部活でこういう立ち振る舞いをしなくてはいけないのかを、一個一個考えて行動できるようになりました。

――前半シーズンを100点満点で評価すると何点ですか

清水 私は80点で合格点ですね。関東インカレで表彰台に乗って、初めて自分の力で得点をもたらせたのが成長したなと思います。ただ日本選手権で調子を合わせられなかったのが課題です。

千葉 70点くらいだと思います。前半シーズンの方では関東インカレで400メートル障害と本種目ではない400メートルに出させていただきました。400メートルに関してはあまり戦えたことがなかったので、チャレンジの気持ちで臨んだのですけど、決勝に残ることができて手応えをつかめた部分がありました。日本選手権では調子を上げられてはいたのですけど、コンディションがあまりよくなくて世界に手が届かなかったです。悔しいですが、来年、再来年と計画をしっかり立てて目指していきたいと思います。

――千葉選手は1年生から活躍されている要因をどのようにとらえていますか

千葉 食事をしっかり提供していただいたり、先輩方からも親切に教えていただいたりしたので、不安を感じないで自分のことに集中して取り組めたのが大きいと感じています。

――同期の活躍も大きいですか

千葉 林(美希、スポ1=愛知・中京大中京)が活躍しているのを身近で感じていて自分の中の刺激になっていると感じています。また先輩になりますが、大川(寿美香、スポ3=東京・三田国際学園)さんも前半シーズンケガされていた中での復活を間近で見ているので、刺激になっています。

――清水選手は千葉選手の活躍をどのように見ていましたか

清水 練習への姿勢が自分が1年生の頃に比べて違うなと思います。私は最初は半信半疑で、出されたからこれをやればいいんだという感覚でやっていました。結果的にそれも悪くはないと思うのですけど。千葉はすでに自分の中で将来見据えているものがあって、計画的に取り組んでいる印象を受けます。自分を客観的に見れるところが1年生からしっかり活躍できている秘訣だと私は思います。

――関東インカレの女子マイルについて改めて振り返っていかがですか

清水 直前まで誰が何走を走るかが分からない状況の中で、決勝は個人個人が任された役割を全うできたと思います。結果としては狙ってきたものとは遠かったのですけど、日本インカレと日本選手権リレーに結びつくであろういい経験になったと思います。

千葉 私は決勝でアンカーを務めさせていただきました。3走の正木(紗、スポ1=岡山朝日)は急きょ走るかたちになりました。それでもやり切るという覚悟を持って本当に攻めた走りをしてくれたので、それが力になりました。私も結構本数を重ねた中でしたが、出し切れた1本だったと思います。チームとしてはそのときの状況におけるベストの走りはできたと感じています。

――今年清水選手は名実ともにマイルのエースになりました。そのプレッシャーはありましたか

清水 ものすごくありました。アップの時に自分がスパイクを履いて見上げたら、大川と新田(望、スポ3=神奈川・法政二)、山越(理子、人3=東京・富士)がいたのですが、今この3人は一緒に走るわけではないのかと感じた瞬間にものすごく不安になりました。ただ3人が私の目を見て、自分が任されているなと感じたときに使命感がメラメラ湧いてきて、いいモチベーションになりました。

――前半シーズンは今挙げられた3人が苦しんでいるような印象を受けましたが、清水選手はどのように見ていましたか

清水 高校生の時から活躍してきた3人が本来の力を出せないという状況の中で、自分は絶対に3人の分まで引っ張っていかなくてはいけないという気持ちがありました。

「女子マイルは早稲田記録を更新して優勝したい」(清水)

対談中の清水

――夏合宿で重点的に取り組んだテーマがあれば教えて下さい

清水 私は夏合宿を若干調子が悪い状態の中で臨んだので、走りの面では基礎的なところから作り直すことを意識しました。また、3年生としてどういう立ち回りで合宿を乗り越えるかを考えていました。例えば足がちょっときつくて、走りの技術的なところだけで言ったら今これをやることは自分にとってプラスにならないかもしれないけれど、チーム全体にプラスになるかもしれない、ということを一つ一つの練習で考えていました。

千葉 私は夏合宿が始まってからすぐに捻挫をしてしまって、そこから走れなくなってしまいました。菅平にいても治療もできないし、補強道具もないから一旦所沢に帰ることになりました。気合を入れて行ったのにもかかわらず、その次の日に帰ることになった状況に自分の中で腹が立って本当に悔しかったですし、火が付きました。ただ、次の日に所沢で練習に行ったら、大前監督(大前祐介監督、平17人卒=東京・本郷)がいらっしゃって、「治療も補強道具も所沢ほど充実していないけど、今日の夜、菅平に行くから一緒に行くか」と言ってくださって、所沢に戻った次の日に菅平に戻ることになりました(笑)。そこからは前半シーズンは試合が続いて、上半身のフィジカルがおろそかになっていたので徹底的にそこを強化しました。自分なりに今できることをやろうという気持ちで練習に取り組みました。

――今の調子を伺ってもよろしいでしょうか

清水 自分は体調が良くなくて、それこそ練習もきちんと消化できていない状況ではあります。ただ良くなってはきています。池田海主将(スポ4=愛媛・松山北)が集合で毎回のように言ってくださる「目標が明確だったらやることは常に一つだ」という言葉を心にとどめながら、焦らずに自分がやるべきことを明確化して今取り組んでいます。

千葉 私も捻挫をしてしまった状況からだんだん回復してきて、今やっと走りに移行できています。次の合宿で動きを上げて、ハードルにも取り組むためにまずは足を作っている最中です。

――少し話がそれますが、お二人から見て鷺麻耶子女子主将(スポ4=東京・八王子東)はどのような方ですか

清水 私の心から尊敬する人の一人です。鷺さんの一番尊敬するところはいい意味で人に厳しくできるところです。理不尽に厳しいのではなくて、部やその人の今後のことをしっかり考えてくれて、濁さずにきちんと言ってくださるところが、鷺さんの良さです。

千葉 女子主将としてどういう振る舞いが必要なのかを常に考えていらっしゃるんだろうなというのが伝わってきます。女子チーム全体を考えながら、すごく周りを見ているのが感じられて、そのうえで個人や全体に対しても声かけをされているので尊敬しています。でも個人として関わってみると可愛らしいところが、ギャップがあってすごく好きです。

清水 分かる。めっちゃ分かる。

――今の女子全体の雰囲気を清水さんは上級生の視点から、千葉さんは下級生の視点から語っていただけますか

千葉 すごくまとまりの強いチームだなと思います。私たちが分からないことがあってもすごく親身に対応してくださったり、相談に乗っていただいたりしてくださるので心強いです。やるべきことはしっかりやりますが、競技に関しても人間関係に関しても本当にのびのびとさせていただいているので、いいチームだなと思います。

清水 下級生の勢いがすごいなと思います。下級生の競技力が私たちを押し上げてくれるなと感じています。今、千葉から色々サポートしてもらっているという話がありましたが、反対に下の勢いが私たちにやる気や練習への意欲を与えてくれるのでギブアンドテイクのようないい関係が築けていると思います。

――続いてご自身の強みや注目してほしいところを教えてください

清水 人から伸び伸びした走りとよく言われます。私は100メートルから400メートルに転向したのですが、バックストレートでは調子がいい時に気持ちが良く走れます。それが伸び伸びした走りにつながっていると思います。全カレではお見せしたいです。

千葉 ラストの勝負強さです。後半スピードが上がっているわけではないのですが、その落ち幅が少ないのが私の強みだと思います。勝ち切れる強さを自分の中でも大切にしているので、そこに注目してほしいです。

――女子マイルの目標を教えてください

清水 順位で言うと優勝、具体的なタイムで言うと早稲田記録の更新です。昨年園田女子大が3分36秒台で大会新記録を出したので、それを超えての優勝を狙っています。

――最後に個人の目標と意気込みを教えてください

清水 具体的な目標としては、決勝で走って54秒台を出すことです。

千葉 今シーズン果たせていない自己ベスト更新がタイムの目標です。また他大学にも山本亜美(立命館大)さんといった強い選手もいますが、その中で勝負できるようにしたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 飯田諒)

 

 

 

 

◆清水奈々子(しみず・ななこ)(※写真右)

2003(平15)年7月2日生まれ。170センチ。北海道・札幌南高校出身。文化構想学部3年。夏合宿の思い出は、恋バナだという清水選手。普段話すことがない先輩、後輩とも競技以外の話ができて新鮮だったそう。夏合宿を通してチームの結束も高まったようですね!

◆千葉史織(ちば・しおり)

2005(平17)年10月31日生まれ。168センチ。宮城県・仙台第一高出身。スポーツ科学部1年。解散期に、寮の同期と富士山を登ったという千葉選手。競走部の選手と言えども、頭が痛くなってしまったとか。ただ景色が綺麗で、いい思い出になったそうです!