第5回に登場するのは吉田樹(法4=東京・早実)と松本翔太(スポ3=香川・尽誠学園)。下級生時からチームを支え、昨年冬以降はペアとして、さらなる高みを目指してきた。しかし、吉田にとってラストイヤーとなった今年。プレッシャーに押しつぶされた日々が続いた。それでも、お互いを思い、話し合いを重ねたからこそ、一歩ずつ前に進むことができた。インカレが迫った今、もう彼らに怖いものはない。最後はのびのびと、笑顔で自分たちのプレーを。インカレに向けて今抱く思いを伺った。
※この取材は8月7日に行われたものです。
大学で再会、互いに頼もしい存在に
対談中の二人
ーーまず、他己紹介をお願いします
松本 吉田さんは、テニスは元々していたのですが、(大学には)スポーツ推薦で入ったわけではなくて、 早稲田実業からテニスをしていて入ってきました。そこから大学でも頑張って、リーグとかいろいろな大会で結果を残すようになった選手です。
吉田 松本は1年生の時からずっと試合に出てもらって、非常に部の力になってもらっています。 肝が座っているというか、メンタルの強さを結構感じるところがあって、そういうたくましさがあります。後輩ではあるんですけど、頼りがいのある部員です。
ーー趣味やハマっていることを教えてください
松本 僕は最近はメダルゲームにハマっています。今月は4、5回行きました。
吉田 いくらくらい溶かすの?
松本 1回当たって増やしていって減っていないので、最初の初期投資1000円ぐらいでできます。全然うまくはないです。
松本 なんやそれ(笑)。
吉田 僕はもう引退したら、秋学期はもう授業もなにもないので、旅行だったり、免許合宿だったり、そういう計画をいろいろ立てています。
ーーオフの日はどのように過ごしていますか
松本 基本家にいることが多いのですが、ご飯を作るのはオフの日ぐらいしかできないので、外食ではなくてYoutubeを見てご飯を作ったりします。唐揚げが得意です。
吉田 オフの日の前日に飲みに行って、次の日は昼までずっと寝ています。起きると、親が仕事でいなくて大体1人なので、犬とずっと遊んでグダグダしています。
ーー初めて会った時と今の相手の印象はいかがですか
吉田 最初いつ会った?
松本 最初は中1じゃない?
吉田 俺が中2か。
松本 最初は同じ東京出身で、東京の中学校なので、東京の選抜みたいな、東京の都大会で顔合わせしてという感じが初めてでした。選抜みたいなので、一緒にテニスをする機会が多くて、最初の印象は結構ラフに面倒を見てくれたなという感じです。その時から集中力というか、テニスをしている時の姿勢というのは、すごいなと感じる部分がありました。大学に入ってまた再会しても、そういうのは今でもすごいなと思うところです。変わった点は、 中学の時はあまり敬語を使っていなかったんですけど(笑)。
吉田 (笑)。
松本 大学に入ってからは敬語を使うようになったので、もっと頼もしい先輩になったという印象です。
吉田 最初会った時は(身長が)結構小さかったので、僕もですが。でも、頑張って走って、声を出して頑張るみたいなプレースタイルで、どのような時でも一生懸命にやっていたので、すごい自分の中でもいい刺激でした。すごいかわいらしいですけど、試合中はすごい頑張っている姿勢というのがすごく印象的です。 今も本当にそこはずっと変わっていないなと思います。ペアを組んでいても頼もしいことが多いです。結構苦しい思いを中高とずっとしてきて、最後の最後に有終の美というか、いい結果を残して、何度も壁を乗り越えてきたというイメージがあります。そういった意味では、自分が中2で彼(松本)が中1の時よりもすごい自立していて、大人になったというか、そういうたくましさが増えたのかなと思います。
ーー選手としてはお互いどのような印象ですか
松本 大学の選手で、結構ボールをガツガツ打ってくる選手が多いなかでも、吉田さんのプレースタイルはロブで回したり、 展開をつくってそこから前衛が仕かけるというプレースタイルです。大学ではあまり多くないようなプレースタイルでやっていて、すごい器用で、ネットプレーも、もうなんでもできてしまいます。そのスタイルは僕が前についていても頼もしいなと思います。
吉田 あまり得意不得意がそんなにないイメージです。ストロークもできるし、ボレーもスマッシュも結構そつなくやっています。やるときは気持ちを出してやってくれています。やはり向かってくる相手が多いので、そういう時でもしっかりメンタル強く、ブレずに自分のプレーをやってくれることが多いので、すごい助かるなと思います。
空回りしてしまった当初
六大学リーグでの二人
ーーペアを本格的に組み始めたのはいつですか
松本 僕が3年になってから?
吉田 昨年の秋?
松本 今年じゃないですか?
吉田 年末年始ぐらいですかね。
ーー学年が違うペアですが、苦労したことなど、ペアを組み始めた当初を振り返っていかがですか
松本 逆に組み始めの時は今までそんなにペアでやってこなかったところもあったので、 新鮮さで滑り出しは意外と噛み合って、いいスタートを切れました。でも、途中から僕が勝たなければいけないみたいなのを意識しすぎてしまって、空回りしてしまいました。今その中でも話し合いながら頑張ってきています。僕個人の気持ちの面で、迷惑をかけないようにとか、(吉田さんが)ラストの年だからというのを少し意識しすぎて空回りをしてしまったことに苦労しました。そこで気持ちが弱気になって迷惑をかけたところもありました。
吉田 (ペアを組む前も)ちょくちょく組んでいて、中学の時も何回か組んだり、選抜で組んだりしました。大学でも国体の予選では毎回組ませてもらっていたので、やりづらさというのはあまりなかったです。でも、やはり試合がどんどん続いていくなかで、もう少しのびのびやらせてあげたかったなというのが反省にはあります。やはり自分も最後の年で結構固くなったり、視野が狭くなったり、練習を根詰めてやってしまったりしていたので、 今はそういうことがないように、もちろんちゃんとやるなかでできるだけ気楽に、楽しんでやろうというのを心がけてやっています。
ーーコミュニケーションなど何か心がけていることはありますか
松本 普段のテニス以外のところでは割と喋ったりするので、そこはあまり変わらずでした。試合中に、何かを試してみるとか、こうするからこうしたい、こうしてほしいというのを意外とコミュニケーションはとってきて、少しずつですけど改善ができています。
吉田 試合中は、今はやりたいことをやってもらうというか、自分をできるだけ生かせるようにしています。自分1人で1本を打っているところも最初の方はあったんですけど、今はできるだけ二人で1本を取れるようにしています。あとは自分と組むことで、 4年生だし、結構プレッシャーが多少あると思います。周りの目もあると思うので、そういうところでも、1つのミスで不安にならないようになど、そういうところは意識しています。
ペアで、そしてチームで戦う、それがソフトテニスの魅力
一点に全員で喜ぶ選手たち
ーー競技はいつ、どのようなきっかけで始めましたか
松本 僕は小2にテニスを始めました。兄弟の影響でした。兄がソフトテニスをやっていて、それを見て、始めました。
吉田 僕も姉がやっていて、小1から始めました。
ーー今のポジションになった経緯を教えてください
松本 僕は前衛なんですけど、小3ぐらいまでは元々後衛をやっていました。前衛はスマッシュとかダイナミックなプレーが多かったので、単純にそれに憧れていました。あまり後ろで粘れるタイプでもなかったし、かっこいいのは前衛だろうと思って、前衛を始めたいと言って、小4ぐらいから始めました。
吉田 僕はジュニアのクラブチームのやり方で、まずは後衛を完璧にしてから、 そこから前衛をやるみたいな感じでした。僕の場合は後衛を突き詰めていくなかで、 ミスをしないというプレースタイルが結構確立できていました。今もそうなんですけど、元々パワーがあまりないので、頭を使ったり、ロブでかわしたり、そういうプレーが結構得意であったので、ネットプレーをそこから始めるよりも、後衛の方が持ち味を出せるかなと思ってそのまま続けています。
ーー松本選手はダイナミックなプレーが前衛の魅力とおっしゃっていましたが、後衛はいかがですか
吉田 やはり華やかなのは前衛なんですけど、 後衛は縁の下の力持ちだと思います。前衛が球を触る回数が少ない分、決めてくれます。逆に、後衛は球を打つ回数が多い部分、ミスも出るんですけど、そういったところはすごい暑い中とか緊張する場面でも強い気持ちを持って、割り切れたりしたらいいのではないかなと思います。
ーーご自身にとってのソフトテニスの魅力は何ですか
松本 ダブルスが主体というのがすごい魅力だと僕は感じています。シングルスだけだと 個人というか、すごい個の力でやっていくみたいなイメージが強いです。でも、ソフトテニスの場合、シングルスもあるんですけど、基本ダブルス中心でやります。僕だったら小学校から大学までやってきて、ペアもどんどん変わったりするし、いろいろなコミュニケーションを取らないと勝てないスポーツです。コミュニケーションを取っていって、 連携してポイントを決めるというのはすごい魅力的だと思います。
吉田 やはり硬式と違ってゴムボールなので、回転や風の影響をすごい受けやすいので難しい分、コントロールできた時の達成感は大きいかなと思います。あとは、個人戦よりも団体戦の優勝に重きを置く傾向があって、個人戦というよりも、チームとして、やる人は二人なんですけど、チームスポーツの意味合いが強い競技なのかなと思います。そういった意味では、自分1人がうまくなるだけではなくて、周りのことも考えて行動しないといけないし、どのスポーツも同じだと思うのですが、チームで勝つために考えることが多いのが、やはり社会に出る上でも糧になるかなと思っています。
ーー自分の武器や得意なプレーはありますか
松本 武器かぁー(笑)。
吉田(笑)。
松本 武器あるかな。得意なプレーは連続プレーです。自分がいいレシーブを打った後にそのまま攻めにいったり、ボレーをして相手が拾ったのをボレーしにいったりみたいなのが得意です。武器は、基本そんなにメンタルは強くないですが、すごく集中している時に割とアウェイでもプレーができます。人よりかはわからないんですけど、集中はできるかなと思います。
吉田 僕の武器は、人よりもバックハンドが得意という気持ちがあるくらいです。バックは結構苦手な人が多いスポーツなんですけど、逆になんならフォアよりバックの方がいいことが多いので、バックハンドは苦手じゃないです。逆に切り返しで責めることもできます。あとは、ネットプレーも多少できるので、全部そつなくこなせるというところが武器かなと思います。
未来設計図に描いた早稲田
試合中の松本
ーーここからは松本選手にお伺いします。まず、数ある関東の強豪校の中で早稲田を選んだ理由を教えてください
松本 早稲田を選んだ理由は、高校の時に大会で結果を残すことができて、スポーツ推薦みたいな自己推薦に志願できる条件が整ったというのが1つの理由です。もう1つは、僕が未来設計図みたいなのを小4・5ぐらいで書いていたのですが、その時に早稲田大学に入学というのを一応書いていました。そうやって書いていたので、元々違う大学も考えていたんですけど、条件ができた時に受けようと、昔書いたのが一応決め手になって、受験したという感じです。
ーー強豪校出身ですが、高校と大学の違いはどのように感じますか
松本 高校は結構練習量が多くて、オフもなかなかなくて、自分でやるというよりかは、 全体で監督がいて、言われたことをやるなかで自分で考えていくみたいな練習でした。大学ではどちらかと言ったら短期集中で、高校では練習量が多かった分そう感じます。監督も普段顔を出すわけではないし、基本的には自分たちで練習を考えてやっているというかたちなので、大学入って自主性、主体性みたいな感じで練習できたのはすごい変化でした。僕自身も大学ではそうやってテニスをしたいと考えていたので、すごくよかったです。
ーー3年生はどのような学年ですか
松本 個性が強い学年ではあると思います。高校時代であまり結果を残してなかった人や一般で入ってきた人もいる学年で、僕だけがスポーツで入ってきたので、すごいいろいろな視点を持った学年ではあるかなと思っています。僕は同期には恵まれているなとは思うので、今後僕が主将になっていっても、 不安はもちろんありますが、 あまり僕が嫌なことはないかな、個人的にはいい学年かなと思います。
「もう無理」、でも仲間がいたから4年間日本一を目指せた
六大学で優勝して喜ぶ4年生たち
ーー続いて吉田選手にお伺いします。大学でもソフトテニスを続けようと思った理由は何ですか
吉田 正直なところ、続ける気はあまりなかったです。 高校の時に全然結果が残せなくて、自信がなくなってしまって、もう無理だなと思っていました。でも、 やはり将来のことを考えた時に、ここでサークルに行ってしまったら、どこか大事なところで結局怠けてしまうのではないかなというそんな思いがありました。どうせやるんだったら全力で最後までやるべきなのではないかなというのが一番ありました。体育会でやることで得ることもあるだろうし、上達することもあるだろうし。やはり早稲田の大学でやりたくて、強豪校に行かずに早実を選んだというのもあったので、やはりそこはもう1回踏ん張って頑張ろうと思いました。
ーー4年間で一番嬉しかったことや印象に残っていることは何ですか
吉田 何のトラブルもなく、4年間ずっと日本一を目指して頑張れたことかなと思います。もちろんレギュラーになったり、レギュラーを落とされたりというのもいっぱいありました。 1つ1つのことというよりかは、あまり心が折れることなく、同期のみんなとも仲良くできて、自分が全力で、途中でだらけることもなく、4年間を過ごせました。勉強もそうだし、学業も部活動も2つとも、4年間まだ終わってないですけど、やりきった、全力でやってきたと思えるような4年間を過ごせたので、そこが一番良かったなと思うところです。
ーー逆に一番苦しかったことは何ですか
吉田 大学2年の時にスランプに入ってしまいました。2年の時のインカレの時に、自分も勝たなければいけないみたいなところで押しつぶされてしまいました。そこから3カ月ぐらいレギュラーを落とされたことがあったんですけど、そこが、一番壁にぶつかったところかなと思います。
ーー4年生はどのような学年ですか
吉田 4年生は今までにないぐらい、全員が全員仲がいいです。本当にぶつかることもほぼないです。気を遣ってぶつからないのではなくて、本当に素で過ごしていて、仲が悪いとかそういうのもほぼないです。みんながみんな、立場関係なく日本一を目指して頑張っていて、一生懸命な人が多くて、こんなにも価値観が合う人たちがこんなに集まるのは結構珍しいなと思うぐらい、いい同期だなと思います。
ーー同期はどんな存在ですか
吉田 自分がいい結果を残した時はすごい喜んでくれるし、もちろんレギュラー争いで多少なりとも自分が落とされたら・・・とかはあるんですけど、そういう時でも、自分がレギュラーとして試合出る時でもすごい一生懸命に応援してくれます。逆に、自分が苦しい時は結構アドバイスくれたりだとか、ライバルでもあるんですけど、仲間という意識が強い存在かなと思います。
メンタルに苦しんだ今シーズン
春リーグでの二人
ーー今シーズンの話に移ります。新チームが発足して矢野選手が主将に就きましたが、矢野選手の主将の姿はお二人にはどのように映っていますか
松本 矢野さんはナショナルチームに入ってやっている人なので、プレーもすごくて、技術面で言っても何も心配することはないなかでキャプテンをやっています。チームもなるべく前向きになるように、チーム作りなど、いろいろ考えて接してやってもらっています。 言いたいことも言いやすい環境だし、どんどんみんなが前向きになってくなかで、きついこともできるみたいなことをしてくれる主将です。チーム作りの面で言ったら参考になるし、素晴らしいなと思っています。もちろん試合に出た時も結果で見せてくれるので、そこの心強さというのはとてもあるキャプテンだと思います。
吉田 どの部員とも結構仲よくやっているイメージがあります。そういう意味では発言しにくいという雰囲気もないです。それプラス自分自身、ナショナルチームにも入って、 日本代表の自覚もあるんでしょうけど、トレーニングだったりプレーに対する姿勢というので、行動や背中で見せてくれるキャプテンです。そこにはついていかなきゃいけないと思わせてくれるし、逆に1人にならないように、4年が結構人数多いので、他の仕事の面だったり、チームの雰囲気作りというところで、できるだけ手助けをできるようにと思っています。すごい背中で見せてくれています。頼りがいもあるけれど、自分たちが支えてあげようというのも思わせてくれるようなキャプテンかなと思います。
ーー六大学や関東リーグ、東日本インカレを振り返って、今シーズンに点数をつけるなら何点ですか
松本 個人的には30、40点くらいです。
吉田 (笑)。
松本 一番の理由は、あまり結果を出すことができなかったからです。結果を出せなかったのも、技術もあるんですけど、結構メンタル面で足を引っ張っていたイメージが個人的にはあります。辛口なのかもしれないし、インカレ前で30点と言っていいかわからないんですけど、でも、30点を機に悔しさで頑張れているところもあるので、それをインカレで晴らして、優勝して、点数が100点にいけるようになりたいと思います。
吉田 50、60点ぐらいですかね。昨年、自分のなかではこれまでのテニス人生で一番と言っていいぐらい成績が残せて、その分、今年はやはり特に向かってこられるというところがありました。そこを跳ね返すことができなかったし、ペアにもすごいプレッシャーだけがかかってしまって、 自分も小さくなってしまってみたいなことが多くありました。そういうところで、勝ちきれない試合、勝てる試合も勝てなかったところも結構多くあるので、そういう意味では結構悔しい結果にはなっています。 そういう全てはインカレをとるためにやっているので、インカレで団体戦を取れればもうなんでもいいと思っています。最後に日本一を取れるように頑張ります!
ーー現チームでの学生の大会というのは残すところインカレとなりましたが、一昨年、昨年とこれまでのインカレを振り返っていかがですか
松本 昨年は一応試合に出させてもらったのですが、 他からしたら勝ってほしいところで勝てなかったです。普段リーグとかで何回かやって、勝敗五分五分ぐらいのところと(試合を)やって負けてしまいました。結局その相手の大学が優勝してしまったので、それは悔しさが残りました。大事な場面で結果を残せていないなという時期が続いたのもあったので、そこは悔しさが残るというイメージで、今年は同じ失敗にならないようにと思ってやっているという感じです。1年生の時は試合には出れなかったんですけど、早稲田大学に入学して、みんなで一生懸命やってきて、 チームとしても結構盛り上がっていました。みんなが日本一を目指すような純粋なチームでやってきて、 早稲田はこういうチームなんだというのを見れた大会でした。試合に出れない悔しさはもちろんあったんですけど、 入学してよかったなと思うようなインカレでした。
吉田 一昨年は、本当にちょうどスランプの時期だったので、 初戦だけ出て、そこから外されてしまいました。でも、やはりチームとして日本一を取るというのが目標だったので、そこはサポートに徹しました。ただ、あれだけ練習しても日本一を取れないんだというのが結構正直な感想でした。これでは足りないんだというのはあったというイメージです。その悔しさもあるし、やはりスランプで思うようにプレーできなかったという悔しさもあったので、そこを乗り越えるという気持ちで昨年はいきました。 他大学はやはりインカレとなるともう1段階集中してくるというか、自分たちはどんな試合でも全力で行くんですけど、周りは、先につながらない試合だったりそういう時は意外とちゃらんぽらんだったりします。だけど、インカレだけはやはりみんな取りたくてくるので、普段は見られない強さだったり、崩しきれないというのを昨年はすごい感じました。昨年のそういう経験というのをしっかり生かして、今年は自分らが優勝できるように頑張りたいと思っています。
ーー毎回全力で行くというのは早稲田の方針ですか
吉田 そうですね。どんな相手にもやる気なくやって勝つんじゃ相手にも失礼ですし。監督さんとかにもよく言われるんですけど、 自分たちが勝つことができるのは相手がいるからだぞというところで、「しっかりリスペクトの気持ちを持って全力でつぶしにいけ」ということをよく言われるので、そこは早稲田の方針かなと思っています。
「吉田さんを胴上げしたい」、最後のインカレは笑顔で
試合後に笑顔を見せる二人
ーー吉田選手は最後のインカレとなりますが、吉田選手にとってインカレはどのような舞台ですか
吉田 中高とこれまでやってきて、憧れの舞台というか、雲の上みたいな感じでした。いざ入ってみると、自分が試合に出て、先輩たちの伝統を受け継いで勝たなきゃいけないという、どの試合もそうですが、本当に責任が強くあります。 そのプレッシャーにも打ち勝つ、自分との戦いみたいな側面も結構あります。 自分の弱さを消すというか、頑張って割り切って、強気でやるのが大事かなとは思っています。
ーーお二人から見て現状のチームの仕上がり具合はいかがですか
吉田 やはりインカレに近づくにつれてみんな頑張るという流れももちろんあります。でも、やはり矢野がキャプテンになってからずっと、インカレはもう始まってるぞというところを意識してやってきました。ただ、それでも結構勝ちきれないというところが、これまでの大会で結構ありました。 やはり東カレが終わってから、もっと本番を意識してやんなきゃいけないという雰囲気も出てきて、今は暑い中ですけど、インカレに出る人も出ない人でもすごい一生懸命やってくれてるので、チームとしては本当にいい方向に進んでいると思っています。
松本 チームとして見たらすごい例年よりも仕上がってきているし、4年生が結構中心に回してくれているので、すごい頼りがいがある存在です。優勝する取り組みをしてきていると思うので、 そこの面では全然心強いチームだなと思います。でも、今年の優勝は結構僕が鍵というか、いかに1番手の矢野さんとかを温存してではないですけど、変なところで負けて体力を使わせるのは…と思います。 僕が(実力が)同じぐらいの相手やそれ以下の相手に負けないでやっていくことが今回すごい鍵になると思います。大事なところで絶対自分に回ってくると思っているので、 今まではそれですごい緊張して消極的になってしまったんですけど、優勝するのは今年しかないと思っているので、そこはあまり入り込みすぎないように、楽しくプレーして、 結局最終的に自分のプレーが出せれば負けないと思います。吉田さんも楽しくやろうと声をかけてくれるので、今年のインカレは勝ちたいとも思いつつ、楽しくプレーをしようかなと思います。
ーーまだまだ練習したいところはどういったところですか
吉田 今の課題として、リードしてからの(ゲームの)締め方というか、 きっちりと締めなきゃいけないところで変に勝ちを意識して力んでしまったりして、ズルズルいって、焦って焦って、結局勝つみたいなことが多いです。練習では難しいのですが、ゲーム練習でまずはしっかり先行して、その後リードしてから緩めるのではなくて、もう1段階ギアを上げていくというところをもっと練習したいなと思っています。
松本 僕はサーブレシーブを今年は課題としてやってきたので、それを継続して練習していきたいなと思います。吉田さんも言ったように、締め切れないというのが、全般的にプレーができても、要所要所の大事なところで決めきれないと、インカレとか大舞台では勝てないです。しっかり練習でその要所をしっかりと感じながら、そこで好きなプレーができるように、ゲームを意識してやっていきたいと思います。
ーー他校に絶対に倒したい相手、ライバルはいますか
吉田 いっぱいいます。個人としては、高校はみんなバラバラになってしまったんですけど、 小中でずっと東京の代表の選抜チームでやってきた仲間たちです。高校からはライバルになって、今でも何回か戦って、本当に五分五分みたいな感じなので、最後の年でもあるし、全力で戦えるのも最後なので、小中の仲間だったり、メンバーとは、楽しみつつも負けたくないなという思いは強いです。
松本 負けたくない大学は、別にみんなに負けたくないので特にないです。個人でもそんなにめっちゃ意識している人は…いないかな。いや、でも同年代で普段勝ったり、実力が拮抗(きっこう)しているような相手には負けたくないという気持ちはあります。
ーー強いて挙げるなら
吉田 明治の大辻(伸彬)で。中学でペアで、ずっと組んでいて、大学入っても、東京のそのメンバーの中で一番戦っていて嫌なんですけど(笑)。でも、嬉しいなという思いが強いです。普段も仲いいですし、負けたくないなという思いが強いです。
松本 東海大学の松本くんです。中学校から知っていて、ちょこちょこ勝ったりしていたのですが、大事なとこで負けがちだったので松本くんです。
ーー支えてくださるご家族にメッセージをお願いします
吉田 僕の両親は一時期、もうこなくていいよというぐらい、どんな試合でも来てくれました。今もそうなんですけど、どんな大会でも来てくれて、ビデオを撮ってくれています。勝っても負けても自分が頑張っている姿を見るのが楽しいと言ってくれているので、やはりもちろん勝つのが一番ですけど、自分が諦めずに頑張っている姿を本当に最後なので見せられたらなと思います。
松本 僕は中学校からテニスで行きたい、強いところに行きたいと言って、その時は結構反対されました。でも、行かせてもらって、それがあってここまで来れたと思っています。結局好きなことを最初から最後までやらせてもらって、 めちゃくちゃ僕わがままだったのですが、そのわがままを通した上でここまでやらせてもらいました。大学で一区切りというふうに自分では思っているのですが、結果を残すのも大事なんですけど、最後まで自分がやりきっている姿を見せれたらなと思います。両親は毎回(大会に)来てくれて、プレーをしている姿を見て、元気をもらっているみたいなのを聞いたので、今後も、テニス自体は親孝行ではないんですけど、やっていけたらなと思っています。
ーー最後にインカレへの目標、意気込みをお願いします
松本 目標は団体戦で優勝をして、吉田さんを胴上げすることです。意気込みは、最後まで全力を尽くして、楽しく頑張ります。応援よろしくお願いします!
吉田 目標は団体戦優勝です。個人では天皇杯の権利を獲得するというところが最低限の目標です。 意気込みとしては、泣いても笑っても最後なので、自分のこの15年間、16年間ぐらいの集大成だと思って、本当に悔いのないように、勝っても負けても笑って終われるように。松本を次のキャプテンでのびのびというか、いいかたちで引き継げるように頑張りたいと思います!
ーーありがとうございました!
(取材 長屋咲希、編集 佐藤結)
対談後の二人
大切にしている言葉や意気込みを書いていただきました!
◆吉田 樹(よしだ・いつき)(※写真左)
2003(平15)年1月6日生まれ。165センチ。東京・早実高出身。法学部4年。後衛。好きなタレントは大泉洋だと教えてくれた吉田選手。いつもにこにこしていてかわいらしい印象ですが、他部員の秘密を調査したところ、4年生の声が吉田選手に集中。赤い肉は絶対に食べない、歩くのが遅すぎる等の意外な一面が! 色紙には自分の中で大切にしているという言葉を書いてくれました。自信をなくしたり、スランプに陥ったり、順風満帆ではなかったソフトテニス人生。そんな吉田選手が報われる瞬間の訪れはもう間近かもしれません!
◆松本 翔太(まつもと・しょうた)(※写真右)
2004(平16)年2月6日生まれ。167センチ。香川・尽誠学園高出身。スポーツ科学部3年。前衛。試合前のルーティンは音楽を聴くことだという松本選手。星野源が好きだと教えてくれました。最近嬉しかったことは、ハマっているメダルゲームでジャックポットに入ったことだそう。そんな松本選手は1年生の頃から1人先輩たちに混じって、チームの力に。他の組の対談では、先輩たちから頑張ってほしいと名前が挙げられ、先輩に愛されているのが伝わりました! 4年生と過ごせるのもあと少し。今年のインカレは大好きな4年生に恩返しをするため、全力で臨みます!