【連載】軟式庭球部 インカレ(全日本学生選手権大会)直前特集『Evans Knot』 第3回 山口皓太郎×山岸龍平

特集中面

<<特集表紙へ戻る

 第3回に登場するのは山口皓太郎主務(政経4=東京・早大学院)と山岸龍平(法4=東京・早大学院)の早大学院出身コンビ。高校時代はペアを組み、ともに早大に進学した。しかし、待っていたのはレベルの高い、大学ソフトテニスの壁。それでも、信じられる一生懸命な仲間がいたから、走り続けてこられた。そして、その努力が実を結び、個人戦での出場枠獲得へ。チーム思いの彼らの、インカレに懸ける思いに迫った。

※この取材は8月7日に行われたものです。

ーーまず、他己紹介をお願いします

山口 早稲田大学法学部4年の山岸龍平です。僕と同じ早大学院という附属校の出身で、高校時代からペアを組んでいました。 性格としては少し気が強めです。自分が正しいと思ったところをしっかり突き詰めるような、そんな熱い男です。

山岸 ぐちくんは政経の4年生です。早大学院出身で、僕とペアでずっとやってきました。 性格は少しシャイなのですが、やるときはやる男、山口皓太郎です。

ーー趣味やハマっていることを教えてください

山岸 今はオリンピックをテレビで見ることです。この前のスケボーが面白すぎて全部見ました。普段はやっていないようなスポーツ、クライミングなどは結構おもしろいなと思って見ています。

山口 僕もオリンピックをめっちゃ見ています。卓球とかバレーとかバスケとか、団体競技 でメダルを取る瞬間が見たいなと思って、結構夜遅くまで見ています。

ーーお互いの第一印象を教えてください

山岸 初めて会ったのは中学生の…

山口 練習試合みたいな、研修大会で会って。

山岸 その時、サーブがめっちゃ気持ち悪いなと覚えていて(笑)。

山口 (笑)。

山岸 なんだこいつと思いました。変な回転のサーブを打ってくる人がいるなと思っていました。

山口 中学2年の冬の東京の有明テニスの森でやった関東の中学生の研修大会みたいなので当たりました。その頃はもっと黒縁の太い眼鏡をかけていて、すごく頭の良さそうな、真面目くん、動ける眼鏡みたいな感じのイメージでした。今よりももう少しぽっちゃりしていたのに、とても動いていて、強いなと思いました。

山岸 勝敗覚えてないんだよな。

山口 人生初の対戦は僕が勝ちました(笑)。

山岸 それは覚えてないです。

山口 それは覚えてます。ファイナルで勝ちました。

山岸 覚えてないです(笑)。

ーー競技はいつ、どのようなきっかけで始めましたか

山岸 僕は中学生からテニスを始めました。小学校の時はサッカーをやっていたのですが、進学する予定だった中学校にサッカー部がなくて、サッカー部がないから何の部活に入ろうかなと思っていて。仲が良い子がテニス部に入ったので、グループみんなで仲良く一緒にテニス部に入ったというのがきっかけです。そこから中1、中2と、ずっと大学4年までやっています。

山口 僕も中学1年生の時に中学校の部活動で始めました。小学生の頃に遊び程度で、少し硬式テニスをやったことがあって、それがきっかけで中学にテニス部があったので入ってみたのがきっかけですね。

ーー今のポジションになった経緯を教えてください

山口 僕は後衛なのですが、硬式をやっていてストロークが打てたので、とりあえずラリーができるなら後衛だというふうに中学の顧問の先生に言われて、後衛をやったような覚えがあります。

山岸 なんで前衛をやったかは覚えていないのですが、ずっと最初から前衛をやっていて、変わらずやってきたという感じですね。

ーー自分の武器や得意なプレーはありますか

山岸 僕はスマッシュです。ボレーよりもスマッシュが思いっきりいけるので、スマッシュの方が得意です。スマッシュが一番得意なプレーですね。

山口 僕は身長を生かしたサーブと、あと球があまり速くない分、 ロブをたくさん打ってラリーを続けるというところが強みかなと思います。

ーー後輩とペアを組む時に心がけていることはありますか

山岸 僕は今も後輩と組んでいるのですが、僕は元々結構後輩キャラ、先輩の懐に入っていくのが得意というか、意識しないでやってしまっているという感じなので、自分が後輩に対して何か気にかけるとかはあまり意識していないです。逆に、もう同級生みたいな感じで、テニスに限らずなのですが、 年下の人と関わる時は、自分が引っ張っていくというよりは友達みたいな感じで接しています。先輩なんですけど仲いい友達の1人みたいな感じで関わってるというのがあるかなと思っています。

山口 僕も今1年生と組んでいるのですが、主務でやはりデフォルトで少し怖がられている部分があるので、そこはペアを組んだ時に気にしないでほしいと思っています。どういうプレーがしたいのかとか、「自分にこういうことをしてほしいというところがあったら言ってね」みたいな感じで、 僕がどんどんこれをやろうというよりは、向こうがやりたいことをどんどん聞くというのを意識してペアを組んでいます。

ーー4年間で一番嬉しかったことや印象に残っていることは何ですか

山口 一番印象に残っているのは、大学2年生の時の水木(瑠、令5スポ卒)さんの代のインカレです。それの団体戦の日体大との決勝です。当時初めてのインカレで、団体戦のインカレこういう雰囲気なんだというのを感じました。インカレならではの緊張感があったというのもそうだし、僕の同期の矢野颯人主将(社4=奈良・高田商)・端山羅行(社4=石川・能登)組が、日体大の4年生と試合をしていて、相手の4年生の気迫がすごかったです。結果は負けてしまいましたが、すごいものを見ました。自分たちが4年生になった時に、 そういうふうに、大会にそういう思いをぶつけられるぐらい、現役で頑張っていきたいなと思うような、そんな試合でした。

山岸 特にこれが印象に残っているとかはないのですが、普通の学生の人は部活をあまりやらないというのもあって、自分が部活をやっているんだというのを思いながら生活していたなというのを、今思い返すと強く思います。どこへ行っても、この日焼けした肌を見せて、テニスをやってますというのを自己紹介で言う機会が毎年毎年あったので、この4年間でこれだけをずっとやっていたなというのはあります。それが今思い返すと思うことです。

ーー逆に一番苦しかったことは何ですか

山口 大学のレベルの高さというのを、やはり入部してから結構感じることが多かったです。高校は全国に出るようなチームでもなかったし、それでも東京都の中で二人でペアを組んで、結構勝ち進んでいたので、 ある程度ソフトテニスに対して自信を持って大学の部活に飛び込みました。でも、入った瞬間、自分たち以外の同期は全国で上位を経験していたり、先輩方も強い人しかいないというなかで、練習についていけないというのは辛かったです。団体戦をやっていても、自分の存在価値が分からないというか、テニスはしていないし、ただ仕事をしているだけで、チームが優勝して、それって喜んでいいのかなみたいな。1、2年の頃は意外とそういうことを考えていて、結構辛かった時期でした。

山岸 僕は逆にあまり真剣に考えたりするのが苦手というわけではないんですけど、そういう真剣に考えるのから逃げる性格なので、ずっと能天気にやってきたなと、今思い返してみて、今の話を聞いたら思います。苦しかったことは彼女ができなかったことです。それくらいかなというくらい楽しかったです。

ーー同期はどのような存在ですか

山口 照れくさいですが、 同期がこのメンバーだから部活を続けられたなというのはありますね。他の大学がどうという話ではないですけど、テニスがうまいからと威張るような人もいなかったし、それこそ入りたてでなかなか強い人たちの練習の輪に入っていけない時に 誘ってくれたりしました。本当にいい人たちばかりだったというのと、 シンプルに一緒にいて楽しいです。お酒を飲んだり、ご飯を食べに行ったり、夜にゲームしたり、トランプしたり。友達としてすごく楽しいメンバーが10人本当に集まって、どことどこが気まずいとかもなく、 誰とでも二人きりでご飯行けるみたいな、そういう関係です。

山岸 それを聞いてまた思うことなのですが、テニスの同期以外に友達いないなと。 大学の学部にも友達があまりいないし、テニス部のコミュニティー以外でこの人仲いいんだって言える人がいないくらい、今の同期とずっと一緒にいます。 同期以外の人もそうですが。1年生で入ってからもう今引退間近ですけど、ずっと長い時間、他に友達ができないくらい一緒にいるなというくらい仲がいいです。

ーー特に期待している、頑張ってほしい後輩を教えてください

山口 いっぱいいますね。

山岸 ガチはマジで松本じゃない?

山口 松本翔太(スポ3=香川・尽誠学園)です。

山岸 もう次のキャプテンになるし、チームを引っ張れる力もあります。テニスもそうですし、 人間的にもキャプテンの器だなと思うことも多いです。 来年のチームは松本のチームともうずっと言われるので、技術的にもそうですし、チーム作りというのも頑張ってほしいなと思います。もう一番は松本、本気の本気のやつは松本です。

山口 各学年で1人ぐらいあげるとすると、僕は3年だと渡健博(スポ3=山口・徳山)です。次期主務ということで、仕事を教えながら一緒に仕事をしています。主務としても頑張ってほしいし、2年、3年と長い間ペアを組んでいたので、テニスももう少し頑張ってほしいです。ムードメーカーなのですが、 部をもっといい方向に持っていけるような主務になってくれたら嬉しいなと思います。2年は、髙田淳貴(政経2=東京・早実)という早実の後衛です。彼は本当に後輩なのか分からないぐらいしっかりしているし、テニスに対してもストイックです。松本と多分ペアを組んでやることもあると思うのですが、メンタルの強さで、ガッツの強さで、 翔太とか3年生を引っ張っていくような存在になるのではないかなという意味で期待してるし、頑張ってほしいですね。1年生は平田(泰一、教1=埼玉・川越東)と大竹(公陽、社1=千葉・昭和学院)。

山岸 真面目にお仕事系。チームを引っ張る系だね。

山口 その2人がやはり今1年生の中で仕事を細かいとこまで気づいて、誰よりも早く走り出してというふうにやっています。そういうのはやはり先輩もしっかり見ているし、4年間テニスをしている中で報われてほしいなと思います。

山岸 俺ももう1人くらい言いたいな。

山口 奥山(航平、スポ3=東京・早大学院)?

山岸 おっくんもそうだね。奥山です。高校の僕らの後輩なので、頑張ってほしいというか、頑張りすぎなくてもいいよというのも言いたいです。 

山口 みんな頑張ってほしいね。

山岸 楽しくやってほしいなという思いも強いです、みんなには。

ーー今シーズンの振り返りに移ります。矢野選手が主将に就きましたが、矢野選手の主将の姿はお二人にはどのように映っていますか

山口 矢野の主将っぷりは素晴らしいです。すごくいい主将だと思います。真面目すぎず、でも、やる時はやるみたいな。最近インカレが近づいてきた中で、練習の中でここを意識しようとか、4年生しっかりやろうぜとか。頼もしい言葉をたくさん発しているので、すごい 主将らしいな、しっかりみんなを引っ張ってくれているなと思います。

山岸 そうだね。主将っぷりはある。主将っぽさはあると思うので、 あとはもうインカレ団体で優勝決めてくれれば完璧かなって。

山口 改善点は(笑)?

山岸 改善点か。なんかせこいんですよ、あいつ(笑)。せこいところが多いので、せこくてもいいから優勝決めてということを言いたいです。なんだこいつって思う時があります(笑)。主将じゃない時かな。ただのノーマル矢野の時はせこいです。主将の時はしっかり真面目な顔を作ってます。

山口 作ってる(笑)。

山岸 あとはもうマジで団体で優勝決めてくれれば誰も文句言わないし、今も文句は言わないですが、矢野よかったねと多分どんな人も言うかなと思います。もう残り1カ月ちょっとなんですけど、 主将としても選手としても、一緒に頑張っていきたいなというふうに思います。

ーー山口選手は主務に就きましたが、主務として心がけていることはありますか

山口 自分が1年生の時の主務の先輩は少し怖いイメージだった分、そういう存在にはならないように、年離れた後輩ともコミュニケーションをとっているつもりです。 主務にばれてはいけないから、悪いことをしてはいけないとなりたくなくて。 部に悪影響を与えるからという考え方がみんなができるように。僕だけが怖がられるとか、そういう雰囲気にならないように。だから、矢野が全体に言った方がいいなと僕が思ったことは、僕が言わないで矢野にこういうのみんなに言った方がいいんじゃないと言ってみたり、そういうことは心がけました。

ーー六大学や関東リーグ、東日本インカレを振り返って、今シーズンに点数をつけるなら何点ですか

山岸 チームとして100点と言いたいけれど、やはりインカレで優勝するまでは100点と言いたくないというのがあります。取り組みに悪いところや直したいなと思うところがあったというわけではないのですが、 インカレで優勝するまでは100点とは言えないなというのがあります。個人の取り組みとして100点と言ってる人はいると思うんですけど、チームとしてはやはりインカレで優勝しない限りは100点は絶対ないかなというふうに僕は思うので、99点でいいのではないかなと思います。

山口 僕は70点ぐらいかな。やはり各大会優勝を目指して臨んでいる中で、春リーグ(関東学生春季リーグ戦)は優勝できなかったし、東カレ(東日本学生対抗)も優勝できてないし。その結果だけで見たら70点です。でも、 インカレで優勝すれば100点になるんじゃないかな。

山岸 そう言いたいよね。

山口 そうそう。それぐらい、インカレに向けての通過点としても、1つ1つの大会を考えてきたので。70点です。

山岸 言いたいことは一緒です。数字は違うけど。

山口 雰囲気よく、進んできた感じがする。負けた後にやる気をなくさず、こういうとこやろうというのをチーム全体で割と練習の中でやってたイメージなので70点です。

ーー4年生としては最後のインカレとなりますが、インカレはどのような舞台ですか

山岸 団体はやはり優勝しないと。 特に4年で、自分たちのチームで優勝したいというのは、同期全員が思っていることです。もちろん優勝を目指して一番強い気持ちで、一番モチベーションを上げて臨む大会です。シーズンの終わりというのもあって、みんなが夏休みで授業もないし、テニスに打ち込んだ状態で出られる試合で、 一番仕上がった状態でできる大会かなと思います。 昨年も一昨年もインカレだけダメだったというのはあまり聞かないので、インカレに向けてやってきたことを出すくらいの感じで、インカレがやっぱ一番いい大会というか、目指すべき大会かなというふうに思います。

山口 僕は自分が出場していない団体戦でこんなに自分事として考えられる大会はないなと思っています。 高校までは団体戦メンバーに入って試合に出てたので、自分が出ない大会にやはりモチベーションが低くなったりはしていたのですが、みんなで優勝を目指してるからこそ、試合に出ていなくても恥ずかしがらずに優勝したいと言えるような大会です。

ーー他校に絶対に倒したいライバルはいますか

山岸 僕はもう中村悠峰・岡田侑也組(明大)ですね。昨年のインカレ(ダブルス)で負けたのもあって、その後シングルスでも当たって負けて。 もう結構本当のライバルみたいな感じです。明治の岡田(侑也)くんという子はもう本当にバチバチのライバルみたいな感じで、試合会場でももう一言も喋らないで目線だけ送るみたいなことをやっています。それも結構知れ渡ってる感じなので、関東では。インカレはもう絶対彼のシード下に入ってシード返しして、僕が勝ち上がるでもいいですし、勝ち上がっていった先で当たって、余裕で勝って握手するというのが僕の目標です。 絶対に勝つ!

山口 日体とか法政とか強いところを倒すのは僕の役目ではないので、慶応の山根(蒼太)くんです。 中学1年生の頃から練馬区の大会でよく試合をしていました。中3の時に通ってた塾も一緒で。早大学院と慶応義塾の付属校どっちに行くかとなった時に、山根くんは早大学院に受かってたのに義塾に行ったんですよ。だからってわけではないけれど、大学でまだ当たったことないので、試合をしてみたいし、倒したいです!

ーー支えてくださるご家族にメッセージをお願いします

山岸 中学校は結構遠征も行っていたので、ずっとお母さんが部活の送り迎えをしてくれていました。今もずっと一緒に住んでいるのですが、感謝しています。親のために頑張りたいという気持ちはあまりないのですが、頑張ったよというのを見せられたらいいのかなと思います。お母さんのために頑張るとかあまり思わないな(笑)、本心は。ただ「頑張っているところを見ていてね」という一言を言いたいです。実際沖縄に応援も来てくれるので、頑張っているところを見て、楽しんでもらえたらなという気持ちです。

山口 中学の頃から結構テニスを見に来て、すごいビデオを撮ったり楽しそうにしてくれていました。テニスを見せるのはインカレで最後になるので、目に焼きつけてほしいなと思います。あとはやはり試合の送り迎えもだし、お弁当もだし、いろいろ支えてもらった分、結果で恩返しできたら最高なんですけど、結果を出せなくても、最後まで頑張る、部活をやりきったというところで恩返しできたらと思います。ぎっしー(山岸)のお母さんも高校からずっと応援してくれているので、ぎっしーのお母さんにもありがとうと言いたいです。

山岸 1回でも多く勝ちます。お母さんのために。頑張ります!

ーー最後に、インカレに向けて目標、意気込みをお願いします

山岸 目標は団体戦の優勝です。個人というよりは、もうインカレでは団体戦の優勝というのをずっとみんなで強く思ってやってきたので。僕個人の目標ではなくて、部としての団体優勝に少しでも力が貸せたらな、力になれたらなというのがあります。インカレでの団体優勝。それだけです!

山口 僕もインカレの団体戦で優勝することです。あとはホテルの予約やバスの手配がまだ終わってないので、それを頑張ります!

ーーありがとうございました!

(取材・編集 佐藤結)

 

◆山口 皓太郎(やまぐち・こうたろう)(※写真左)

2003(平15)年3月13日生まれ。179センチ。東京・早大学院高出身。政治経済学部4年。後衛。沖縄で楽しみにしているのは団体戦だと、主務らしい回答をしてくれた山口選手。色紙には部で受け継がれている名言を書いてくださいました。最近嬉しかったことは個人戦の出場枠を得たこと。チームのことを一番に考えてきた山口選手自身にも、明るい未来が訪れますように!

◆山岸 龍平(やまぎし・りゅうへい)(※写真右)

2002(平14)年6月18日生まれ。170センチ。東京・早大学院高出身。法学部4年。前衛。オリンピックではスケートボードを全部見たという山岸選手。ナイジャ・ヒューストン選手が好きだと教えてくださいました。山岸選手にとって強さとは、自分が今までやってきたことやずっと一緒に頑張ってきた仲間など、心から信じられるものがあること。インカレでは、それを疑うことなく、最後まで強さを見せてくれることでしょう!