【連載】フィギュア部門新体制特集 新入生インタビュー 第9回 趙政

特集中面

 新入生インタビュー第9回は、趙政(文D1=中国・上海中学)。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科に所属し、昨年秋に入部した趙に、競技歴やスケートへの想いだけでなく、大学院での生活や今後についても話を聞かせてもらった。

※この取材は5月25日に行われたものです。

笑顔の趙

競技について

――スケートを始めた時期ときっかけを教えてください

 修士の卒業後、北京オリンピックを機に、政府から無料のスケートのチケットをもらったのがきっかけです。私が行ったリンクは初めて北京にできた屋内のリンクで、1999年頃にできたものでした。昔アマチュア選手だった人も含めて色々な有名人が来てくれました。その後、早稲田大学の博士課程に進むことになり、早稲田のスケート部に連絡を取り、当時主将だった岡島右京さん(令5商卒)とオンライン面接をして入りました。

――競技の魅力は何だと思いますか

 スポーツと芸術の両方が結び付いているところが一番の魅力です。日本人は音楽に対する感覚が高いと思います。日本では音楽に合わせて滑るようによく言われますが、中国でこれができる選手はまだ少ないです。これからは、中国もそうなるかなと思っていますが。WASEDA ON ICEも学生が大半を自分で作っていて、憧れます。

――ご自身の強みは何ですか

 皆さんと比べると低いレベルですが、演技です。私は中国人なので、日本人と違う文化をもっていると思います。そして小学生のころにジャズドラムを習ったので、リズム感が良いです。

――大会に出場された経験はどれくらいありますか

 私の世代、20代後半くらいだとあまりレベルの高い試合はないですが、市民の試合が中国にはたくさんあります。来月も試合に出ます。2021年、2023年の2回、北京でISI Asia招待試合に出場したことがあります。

――趙選手は羽生結弦氏(令2人卒)に憧れていると伺いました

 もちろんです!羽生選手のフィギュアなども持っています。

――早稲田の先輩や同期と交流しましたか

 部練意外だと、服(部活のジャージ)を作りに行ったりしました。名前入りのものは今発注中です。交流は色々ありますが、主将の千葉紫織さん(文構4=東京・筑波大付)との交流が一番多いです。あとは吉本玲さん(国教2=兵庫・芦屋国際中教校)と嶋田輝さん(教4=千葉・昭和学院秀英)はとても英語が上手なので、よく話します。

――早稲田大学フィギュア部門への印象は

 すごいですね。初めて100年の歴史(があると)聞いたときは驚きました。早稲田出身の強い選手がたくさんいます。福原美和先生(昭42文卒)は毎回部練にも来てくれて、そういう優秀な先輩との交流があるのも良いと思います。歴史があるから先輩との交流があるのも魅力です。

 

大学院での生活、練習について

――日本にはどれくらいいらっしゃるのですか

 博士がいつ終わるかは今はまだ分かっていなくて。論文が書き終わった後もまだ大学にいる必要があるので、あと数年いると思います。

――今は中国にいらっしゃるとお聞きしました。普段は日本と中国どちらで練習していますか

 去年は日本に住んでいたのですが、もう授業が大体終わったので、今年は研究調査のために中国に住んでいます。日本にいるときは明治(神宮アイスアリーナ)で行われている部練に参加していましたが、今は母校の復旦大学の練習に参加しています。

――今年は日本に来て部練に参加できる機会はありそうですか

 そうですね。夏くらいに。WASEDA ON ICEも参加したいです。

――中国でのスケート人気はどれくらいですか

 元々北部、特に北京で人気でしたが、今は上海などでも人気があります。2024年四大陸選手権も上海で行われ、この大会では同じ早稲田のチームメイトの千葉百音選手(木下アカデミー/人通1=宮城・東北高校)が優勝していますが、私の母も観に行きました。ただ、男性のスケーターは少ないです。

――日本と中国のスケートで違うところはありますか

 日本よりも監督代やリンク代が高いです。あと、皆で滑る時交流が多いです。日本では一人一人練習していて、自分のコーチとしかしゃべりませんが、中国では近くにいる人が話しかけてきます。(チームメイトではなく、その場で初めて会っただけの)知らない人でもコーチをしてきます(笑)。また、演技に対する重視がまだ足りないと思います。

――大学院では何を勉強していますか

 カーボンニュートラルを勉強しています。ちなみに、去年の大会で『春よ来い』を滑ったとき、(曲をイメージして)緑の靴と緑の紐を使ったのですが、大学院で専門にしているカーボンニュートラルもイメージでしました。もう靴は傷んでしまいましたが。

 

今後について

――日本の試合に出る予定はありますか

 日本の試合は今まで出たことはないです。全日本フィギュアのメンバーにならないと出られないのですが、来年には日数の条件が満たせるようになると思うので、(来年以降、日本で選手登録をして試合に)出ます。

――今シーズンの目標を教えてください

 できるだけ多くの1回転を跳ぶことです。

――今シーズンのプログラムを教えてください。どんなところに注目してほしいですか

 6月に出る中国の試合では『上海滩』をやります。(注目してほしいのは)服です。帽子とマフラーもかけて滑ります。テレビドラマの曲なので、100年前の登場人物をイメージしています。

――選手として何か思い描く理想はありますか

 私自身には有名な選手になるのは難しいので理想はありませんが、私の子どもは有名な選手になる可能性があると思うので、フィギュアスケートが強い日本と、中国の交流が進んだらよいなと思います。多くの人がスケートに参加して魅力を知ってほしいです。

――大学4年間の目標、ビジョンを教えてください

 WASEDA ON ICEと中国の大会になるべく多く参加することです。また、早稲田を卒業するまでに1回転アクセルを成功させたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 荘司紗奈)

◆趙政(ちょう・せい)

中国・上海中学出身。大学院アジア太平洋研究科1年。所持級はIce Skating Institute Asia Freestyle 1。