新入生インタビュー第8回は、穂積乃愛(人通1=東京・駒場学園高等学校)。昨シーズンの怪我から復活しさらなる進化を目指す穂積に、競技歴やスケートへの想いだけでなく、大学での生活や今後についても話を聞かせてもらった。
※この取材は5月23日に行われたものです。
笑顔の穂積
競技について
――スケートを始めた時期ときっかけを教えてください
2歳のときにスケートをテレビで見てやりたいと思ったのが一番最初のきっかけなんですけど、母の仕事が忙しかったりお教室が開いていなかったりでなかなか入ることができなくて。祖母とスケートリンクに遊びに行ったときにたまたまお教室が開いていて入れました。(なので、)スケートに初めて触れたのは小学校1年生の時、6歳ですかね。最初はあそびで、ちゃんと取り組むようになったのは小学校2年生からです。
――スケートが遊びではなくなった、スケートに対する意識が変わったきっかけなどはあったのでしょうか
先生が変わったのがきっかけの一つです。最初に習っていた先生からインストラクターの太田由希奈先生に代わって、中学3年生の終わりくらいまでずっと(太田氏に)習っていました。
――長く師事していた太田氏から、コーチを現在の岡島功治氏に変更したきっかけは何ですか
太田先生から岡島先生を提案されたのが大きかったです。ジャンプ強化のために薦めていただいたのかなと思います。
――それぞれからどのようなことを教わってきましたか
太田先生からは、とにかく美しく滑ること(を教わりました)。太田先生自身も動きのきれいなスケーターですし、スケーティングの基礎を身に着けて、スピンステップでも気を抜かずに、動きのきれいな選手になるように指導していただきました。岡島先生はジャンプがメインの先生なので、太田先生に教えていただいた美しいスケートを忘れないようにしながら、ジャンプを中心に指導していただいています。
――7級になったのはいつですか。7級になると大きな試合に出る機会が増えると思いますが、それまでと何か変化はありましたか
中学校の頃です。大きい試合になるほど緊張するという方も多いと思うんですけど、私は大きい試合でもローカル大会も同じくらい緊張するので、特にそんなに変わらないかもしれないです(笑)。一つ変わったのは、ジュニアになったことでショートとフリー両方滑らないといけなくなって、両方自分のベストに合わせるのが難しいなと今でも感じています。SP一個よくてもFSが悪かったら順位が下がってしまいますし、SPで出遅れるとFSがとても大変になるので、どちらも自分の100パーセントの演技をするというのはこれからの課題の一つだと思います。
――競技の魅力は何だと思いますか
スケートに正解はないと思っていて。十人十色というか、その人にしか出せない味があると思うので、そこがスケートの良さかなと思います。
――ご自身の強みと逆に強化したいところを教えてください
最近自分のスケートを変えたい意欲が湧くことが増えてきました。強みはスケーティングかなと思います。周りから、乃愛ちゃんスケートきれいだよね、と褒めていただくことが多いので。最近は、無駄な力なく滑ったり回ったりできるようなシームレスな滑りができるようになりたいと思っています。ジャンプが今は力で跳んでいて癖があると言われているので、無駄な力が入らない滑りに変えることでジャンプもスムーズになるかなと。イメージとしてはキム・ヨナ選手のようなジャンプに持っていきたいです。
――どんな選手になりたいか、選手としての理想像はありますか
太田由希奈先生と本田真凜選手が憧れなんですけど、どちらの選手も本当に無駄な力が入ってないなとみていて思うので、そこは吸収しつつ、自分の良さも忘れないスケーターになりたいです。
――早稲田大学のスケート部に入部した理由、経緯を教えてください
仲の良い先輩である川畑和愛(社4=沖縄・N)選手がWASEDA ON ICEに出ていて、そこで初めて観たんですけど、皆さんがすごく楽しそうにアイスショーを作り上げているのが印象的で、自分もそこに参加したいと思ったのがきっかけです。
――WASEDA ON ICにはグループナンバーもありますが、今までグループナンバーなどを滑った経験はありますか
アイスショーに出たことがないので、グループナンバーに出たことはないです。(明治)神宮(外苑FSC)のエキシビションに出たことはあるのですが、そこでは自分のプログラムを滑って終わりなので。一応、ノービス時代に呼んでいただいたシンクロの発表会で、最後皆で手をつないで回る、くらいの事はしましたが、それくらいです。なので、今から楽しみでワクワクしています!
――(OBOG含め)早稲田に憧れの選手や仲の良い選手はいますか
川畑選手や西山(真瑚)選手(オリエンタルバイオ/人通4=東京・目黒日大)です。樋口豊先生の大きいグループの中に太田先生がいらっしゃるんですけど、樋口先生にも何回もお世話になりましたし、(川畑と西山は)そのときに一緒に練習をしていた先輩方で、お二人とも滑りがとてもきれいなので憧れています。
――早稲田の先輩や同期と交流しましたか
やっぱり通信なのでまだそんなに交流がないのですが、同じ学部で一つ学年が上の山田琉伸選手(人通2=埼玉栄)には本当にお世話になっています。課題のやり方や、授業校受けるとよいよ、というのを優しく教えてくださいます。頼りになる先輩です。あと同期だと、千葉百音選手(木下アカデミー/人通1=宮城・東北高校)ともともと知り合いで話すことが多かったので、どんな授業取っているかとか(話しています)。まだなかなか交流を深められてないので、部練とかをきっかけに仲良くしていただけたらと思っています。
――早大フィギュア部門への印象は
2、3回部練に参加しているのですが、第一印象としては、皆さん仲が良さそう、というのがあります。それが入部やや早稲田大学を選んだきっかけでもあります。
私生活、大学生活について
――趣味は何ですか
ワンちゃんを飼っているんですけど、一緒に遊んだり寝たりするのが趣味ですかね。あとは韓国がすごい好きで、K-POPを聞いたり韓ドラを観たりするのも趣味です。
――大学生活には慣れましたか
本当に大変です(笑)。最近になってようやく少し慣れてきたかな、という感じで(笑)。今まで順序立てて文章を書く、ということをあまりしたことがなかったので、山田選手にレポートの書き方とか色々教えていただいています。
――通信を選ばれた理由は
通信のメリットとして、拠点の変更ができるところも大きいと思っています。通学だと拠点の変更がしづらいので、今後の可能性を残しておくために通信を選択しました。
――高校生活と比べていかがですか
自分のスケジュールに合わせて勉強するところが一番大きく変わったところだと思います。通信は、スケートと自分の時間と勉強と、自分でカスタマイズしてスケジュールを組めるところが大きく変わったな、と思います。
――人間科学部ですが、何を勉強していますか
今は、子どもの健康福祉などの授業を取っています。将来スケートのコーチになりたいと思っているので、それに役立ちそうなものや、自分の選手生活に活かせるものが良いと思っていて、健康医療心理学など心理の方にアプローチする学問や行動分析などの授業を取っています。
――将来はコーチを目指しているのですね
そうですね。アイスショーとかも良いなと思いますし、やってみたいことはいくつかあるのですが、最終的にはスケートのコーチとして世界で活躍できる選手を育てるのが夢です。太田先生のように振付や表現力も教えられるコーチになりたいですし、自分自身はメンタル面で苦戦することが多いので、大学で学んだ心理学などを子供たちに伝えて、少しでも強い気持ちで試合に臨め(るようにでき)たらよいな、と思います。
――面白かった授業などはありますか
行動分析学です。行動を一個一個分析して、先行事象と結果事象を結び付けてなぜ行動が起こるか考える授業なのですが、毎回新しい発見が多いです。大学の魅力として、自分が興味のある分野の授業を取れるところがあると思うのですが、今が一番学びが身につく感触が強くて楽しいな、と思います。
――学業とスケートの両立はいかがですか
今のところはできているんじゃないかな、と思います。小中高も文武両道を目標に取り組んでこられたと思うので、大学でも変わらず目標をもって両方頑張りたいです。普段は朝練、夜練とあって、昼間を勉強に使っているので、スケートの練習時間もほとんど減らすことなくこれています。
――スケート以外で、大学4年間でやってみたいことはありますか
海外に興味があって、可能なら海外留学してみたい気持ちがあるのですが、スケートとの兼ね合いが難しい気がしています。
今後について
――今シーズンの目標を教えてください
Instagramでも書いたんですけど、超超進化を目標に(しています)。シームレスな滑りをするのが一番の目標ですが、今シーズンはSPもFSも自分が今まであまりやったことがない曲調になっているので、「乃愛ちゃんってこんなのもできるんだ」と驚いてもらえるように滑りや踊りも磨いていけたらと思います。
――今シーズンのプログラムを教えてください。どんなところに注目してほしいですか
SPは『You’re a Mean One, Mr. Grinch』で、妖艶な雰囲気のアップテンポな曲なので、元気さも出しつつ妖艶さも出したいです。FSは『The Sky and the Dawn and the Sun』で、前半から中盤にかけては私の得意なキレイ系なのですが、中盤以降は『Riverdance』のような少し民族系の曲なので、一個一個の動きを強く、きれいになりすぎないように、メリハリある動きにできたらと思います。
――昨シーズンの怪我は大丈夫ですか
足の方はもう完治しているのですが、骨盤の方はなかなか完全に治らなくて。フリップやルッツなど右足でトゥをつくジャンプをすると少し痛いです。フル回復まではいかないのですが、今シーズンは大きな試合に出たいので、ケアを怠らず、怪我と付き合いながらやっていけたらと考えています。今フリップとルッツの跳び方を、力むことのない入り方に矯正中なので、跳ぶ回数が増えているのは不安要素なのですが、うまくやっていきたいです。
――大学4年間の目標、ビジョンを教えてください
私のスケート人生の目標の一つとして、全日本選手権に出ることがあります。そして出るからには、SPとFS両方納得のいく演技をしたいです。あとは、挑戦を忘れない4年間にしたいと思っていて、新しい技に挑戦し続けたいです。3回転+3回転も習得したいですし、スケートも雑な部分がひとつもない、目が離せない演技をする選手になりたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 荘司紗奈)
◆穂積乃愛(ほづみ・のあ)
東京・駒場学園高等学校出身。人間科学部通信課程1年。所持級はシングル7級。