【連載】ラクロス部 関東学生リーグ戦前特集『捲土重来』 第5回 AT星川陽恵×AT横幕円香

特集中面

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 第5回は、AT星川陽恵(スポ4=埼玉・浦和一女)、AT横幕円香(文構4=神奈川・公文国際学園)のATコンビ。早稲田の得点源を担う2選手に、最後のリーグ戦に向けた想いを伺った。

※この取材は6月11日に行われたものです。

笑顔で質問に答える選手たち

――まず、お互いに他己紹介をしてください

星川 横幕円香さんです。ラクロスにおいては、エースという感じで、決めるべきところで決めてくれるような選手だなと思います。プライベートではおっとりしているので、プレイ中のキレキレさとのギャップがあるなと感じます。

横幕 陽恵は、広い視野が持ち味で、“鷹の視野”と言われています。プレーではもちろんなのですが、コート外でも視野が広くて、色々な人とコミュニケーションをとったりしていて、すごいなと思っています。

――ラクロスを始めたきっかけは何ですか

星川 私は、高校の時ボートをやっていて、ボートをやりきれたと感じたので、大学からは新しい競技をしたいと考えていました。新しい競技を探している中で、上を目指せるラクロスに魅力を感じました。また、ボート時代の先輩が早稲田のラクロス部にいらっしゃったので、お話を聞いて、楽しそうだと思い決めました。

横幕 コロナ禍ということもあり、あまりたくさん新歓に行けなかったというのもあるのですが、最初に行った新歓がラクロス部で、楽しすぎて入部を決めました。

――高校までは何をされていたのですか

横幕 ハンドボールをしていました。

――続けようとは思わなかったのですか

横幕 一瞬は思ったのですが、新しいスポーツにチャレンジするのもいいなと思い、始めました。

――ATになった理由、経緯を教えてください

星川 ディフェンスができないというのもあるのですが、ATの先輩達がショットを決めている姿をみて、試合の目玉だなと感じ、自分もそんな選手になりたいと思い、ATになりました。

横幕 元々怪我をしていて、怪我から復帰するタイミングで、トップチームでどこのポジションなら食い込めるかと考えた時に、ATなら枠があるし、活躍できる場所がある、と思い、泣く泣くMFからATになりました(笑)。

――ATの魅力は何ですか

星川 点を決める最後の要でもあるというところも魅力ですし、相手のディフェンスを崩した時の相手の反応を見られるところも魅力です。

横幕 得点を決められるというところで、自分が勝利に導けるという感覚はATのみんなが持っていると思います。流れが悪い時に自分の手で流れを変えられるというところがATの魅力だなと思います。

――お互いのプレイで羨ましいと思うところはありますか

星川 ダッチがキレキレで、どんどん人を抜いていくところが、私にはできないのですごいなと思っています。

横幕 ショットが本当に上手で、フェイクだったり、ゴーリーが思わず膝をついてしまうようなショットを打てるし、視野が広いからこそ、そこ見えているんだ、と思うような場所にパスが出せたり、自分で決めにいかなそうな時に、ふっと中に切り込んでショットに行ったりというような、緩急を使ったプレーが自分にはできないので、羨ましいなと思います。

――自身で思う攻撃の特徴は

星川 視野の広さが自分の強さだと思っています。周りをどう活かすかを考えたり、相手が嫌がるディフェンスを考えたりなど、頭を使うプレーが多いと思っています。

横幕 私の場合は陽恵と反対で、ゴリゴリ行ってやれっていうプレイスタイルなので、ダッチで1on1の起点になるようなプレーヤーであり、またみんながずらしてくれたところを最後フィニッシュまで持っていけるプレーヤーでありたいなと思っています。まだまだ磨かないとなと思います。

早慶戦で1on1を仕掛ける星川

――ここからはラクロス部に入ってからの4年間についてお伺いします。まず部に入って一番の思い出はなんですか

横幕 楽しかった思い出は、去年のリーグ戦で立教大学を倒したことです。一点差で勝ち切ったというところで、私達にとって、早稲田が大きく変わった瞬間だったと感じたので、印象に残っています。

星川 1年生のウインターで、最後決勝で負けてしまったのですが、その時にラクロスの楽しさを見出せたと思います。トップや他の学年が混ざっても楽しいと感じるようになったきっかけになった試合だなと思います。

――逆に、一番辛かったことはなんですか

星川 一番辛かったのはこの前の早慶戦で、前半リードしていたにも関わらず負けてしまったのが悔しかったです。

横幕 2年生のケガで長期の離脱になってしまったので、それが苦しかった思い出ではあります。

――4年生はどんな学年ですか

星川 どこの学年よりも仲がいい自信があります。個性は強いですが、うまく合致していると思います。

横幕 普通の人がいなくて、みんなどこかしらのネジが外れている感じです(笑)。一緒にいると楽しいし、いろんな体験をさせてもらっています。

――2、3年生はどんな学年ですか

星川 3年生も個性が強いです。あと、ちゃんと思ったことを言ってくれるのがすごくいいな、と思っていて、自分が下の学年の時はなかなか先輩に自分の意見とか言えなかったのですが、ちゃんと言ってくれて、それがいい方向に進んでいる感覚があるので、助かっているなと思っています。2年生は、2つも歳下なので可愛いという感覚が大きいです。部活もとても頑張っていて、ラクロスは学年が上がると辛いことも増えてくるのですけど、自分が辛くなってきた頃に入部してきて、楽しそうにラクロスをしている姿を見て、私も楽しまなきゃ、と気づかせてくれた学年です。

横幕 3年生は熱い人たちが多くて自主練への参加率が高いし、練習中に「まるさんこうして欲しい!」とかを熱を込めて言ってくれるところが、情熱あふれる学年だと思う。逆に2年生は、私のイメージではギャルが多いなと(笑)。私たちの学年とか一個下と比べて、すごく根っからの明るい人が多くて、陽恵が言っていたように、本当に楽しそうにラクロスをするし、プライベートはめちゃくちゃ明るいのに、ラクロスになると本当にひたむきに集中している姿とか見ていて本当に一緒に頑張りたいなって思えるような学年です。

――ATの選手についてはいかがですか

星川 ATの選手はやっぱり強気な人が多いのかなと思います。ただ仲の良さに関しては、他のポジションよりかは団結力あるなと思っていて。攻撃とかで一緒につくっていかないといけないと思うので、そういったところで、普段の仲の良さがプレイにも現れているかなと思っています。

横幕 ATは他のポジションより人数が多いので、コミュニケーションをとる量を増やさないといけないと思っていて、それに応じて仲良くなっていったと思っています。たくさんコミュニケーションとっていく中で、どんどん先輩と後輩の壁が薄くなってきていると思うので、他のポジションより仲良いかな(笑)。

六大学交流戦立大戦でボールを運ぶ横幕

――ここからはシーズンこれまでを振り返っていただきます。まずは六大戦を振り返っていかがでしたか。

星川 六大戦は、シーズン始まってすぐの大会だったので、そこのチーム作りが一番難しかったです。技術的には、昨年からリーグとかに出ている人も多かったので、負けてはいなかったと思いますが、出ている人と出てない人の差や、どうやってゲームを作っていくのかなどが一番の課題として露呈して、結果としても良くなかった原因だと思いました。

横幕 練習試合では勝てていたのに、公式戦では勝てなくなってしまったりして、公式の試合だからこその試合作りの難しさをすごく感じた大会だったなと思います。

――早慶戦を振り返っていかがですか

星川 早慶戦は本当に勝ちに行くという気持ちで練習にも取り組んでいたし、周りの部員達もみんな、早慶戦に向けて気持ち高められていたな、と思うので、結果が残せなかったことが本当に悔しかったです。前半はやるべきことも結構出来ていて、戦えていたので、後半に失速してしまったなと。そこが私達のチームの特徴なので、そこを改善しなきゃいけないなと思った大会でした。

横幕 やはり全体としてリードしていた展開もあり、いいプレーも見えた試合だったので、自分達の後半への持っていき方とか、個人個人の技術が足りない部分とか、もっと伸ばしていかなきゃいけないね、と。色々な課題がシーズン前に見られるいい機会だったと思います。

――慶應との差は何だったと感じますか

星川 やはり慶應はずっと4強としてトップに君臨していた大学なので、そういう相手に対して、最初はやってやろうという気持ちで入るのですが、だんだんやられていくうちに、やっぱり強いからな、という考えになってしまうところが良くないところだと思います。その気持ちの面での差があの結果になったのだと思っています。

横幕 慶應の方が余裕を持っていたなと思います。1Qは4点差をつけて勝っていたにも関わらず、こちらの方が余裕ない展開だったので、そこで慶應側には「自分達は絶対ひっくり返せる」という思いがあっただろうし、私達は、これを守り切れるかヒヤヒヤで戦うみたいな緊張感があった。そこがプレーの余裕の差に繋がったのかなと思います。

――早慶戦が終わってからの練習で何か意識していることはありますか

星川 やはりゲームメイクというところが課題なので、練習試合の時、ビハインドだったらどうやって戦っていくかなどのゲームメイクを選手達主体でどんどんやっていこうという話をしています。あとは、ショットや1on1などの基礎を固めています。

横幕 やはり基礎を、それこそ1対1のところから振り返ってやっているので、自分の個人技術のバリエーションを増やしたり、個々の対峙力を強くしたりするなどの、早稲田の底上げを図るような期間になっていると思います。

――星川選手は戦術幹部をされていますが、具体的にはどのようなことをしているのですか

星川 具体的には、私は攻撃面での戦術を組み立てていく役割で、どうやって相手を崩していこうかを考えたり、今の早稲田の課題を考え、その課題をクリアするためのメニューを作ったりしています。

――実際やってみてどうですか

星川 難しいですね。私が考える課題とみんなが考える課題が一致していないと、そのメニューをやっても意味がないと思うので、そこはなるべくコミュニケーションを取って、全体での課題をあぶり出せるように心がけています。

得点を決め、喜び合う星川(写真右)と横幕

――目標である学生日本一に向けて、今一番必要なことはなんだと思いますか

星川 技術面はもちろんなのですが、気持ちの面でもっと強くならなきゃいけないなと思います。“相手が強そう”という先入観のせいでいつも通りのプレーができなくなったらもったいないので、どう気持ちを持っていくかは大きな課題で、克服していかなければならないと思います。

横幕 一人一人ポテンシャルはあると思うので、それがもっとうまく噛み合っていけば強いチームになれると思います。個人個人のレベルアップも大切ですが、その個々の力を上手く組み合わせて大きな一つの力にしていきたいです。

――リーグ戦で一番倒したい相手は誰ですか

星川 個人的には、昨年東京農業大学にとても悔しい負け方をして、あれがFINAL4に進めなかった原因だと考えているので、一番倒したい相手です。リードもしていたし、勝てる試合だったなと思うので、その雪辱を果たしたいです。

横幕 明治に勝ちたいと思っています。明治と早稲田はプレースタイルが似ていると言われているのですが、自分達が挑戦者としてそこのレベルを上回らなきゃいけないので、目標の存在ですし倒したい相手です。

――リーグ戦のキーマンになる選手を一人ずつ挙げてください

星川 やはりまる(横幕)さんかなと思います。4年生というのもありますが、チーム全体を引っ張ってくれているし、ここぞというときに決めてくれるので、リーグでの得点王を目指してほしいです。ケガだけは気をつけてほしいですね。

横幕 増田明香(法3=東京・国学院久我山)という3年生の選手です。昨年はケガもあってずっと本調子ではなかったので、今年にかける思いとか熱さが人一倍だと思います。早慶戦は足が痛くて消化不良だったと思うので、リーグ戦では是非爆発して欲しいな、と思っています。

――最後に、リーグ戦に向けて意気込みをお願いします。

星川 やはり最後のシーズンですし、4年間の集大成になるので、全部出し切れるような準備と練習をして、最高の結果となるようにしたいです

横幕 4年生というとこもあり、安定感を求められるような学年だと思うのですが、自分的には爆発したいと思っています。早慶戦、六大戦とも不甲斐ない結果しか残せていないので、リーグ戦こそは爆発して良い結果を残せるように頑張りたいと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 長屋咲希 写真 飯田諒、廣野一眞)

◆星川陽恵(ほしかわ・あきえ)(※写真左)

埼玉・浦和一女高出身。スポーツ科学部4年。オフの日にはネットフリックスでアニメを見るという星川選手。「ハイキュー!」は2周目に突入しているそうです!

◆横幕円香(よこまく・まどか)

神奈川・公文国際学園高出身。スポーツ科学部4年。「まる」というコートネームの由来は円香の「円」からきているそうです!