【連載】春季早慶戦直前特集 『ONE』 第10回 尾瀬雄大

特集中面

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 ここまでの東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)で、4割超えの打率を誇る尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)。昨春ブレークを果たし、思うような結果が出せなかった昨秋を経て迎えた今季。圧倒的な初回出塁率の高さで、早大攻撃開始の快音を響かせる。オフシーズンに積み重ねてきた努力、打席で心掛けていることなど打撃好調の裏側に迫った。

※この取材は5月22 日にオンラインで行われたものです。

「自分の中では誰よりも練習してきたと思っている」

――ここまで全ての対戦で勝ち点を獲得できていますが、尾瀬選手から見て今季のチームの戦いぶりはいかがですか

 勝ち点が全部取れているので、雰囲気もすごく良いです。 試合の中で劣勢になっても絶対後半勝負で勝てるというムードが流れているので、 チームの状態としてすごく良いと思います。

――ここまで全ての試合にフル出場されていますが、ご自身の体調、調子はいかがですか

 フル出場していますが、多分昨年に比べてちょっと体力がついたのかなと思えるような体の状態でずっとできているかなと思います。

――昨春にブレイクし、ちょうど1年が経ちます。1年前と比べてどのような意識でリーグ戦を戦えていますか

 昨年よりも、自分の実力でというか、自分の持っている力で相手から打てているのかなっていうのはずっと思っています。今季はコンスタントに結果を出せていますが、昨年の春と同じように打っている中でも、やっぱり昨年に比べて今年の方がちゃんと自分の実力で打てているような感じがしています。

――今季は昨秋とは対照的に打撃が好調だと思います。打撃好調の要因は何ですか

 昨年の秋からこの冬の期間にずっとバットを振り続けてきました。 自分の中では誰よりも練習してきたと思っています。バットを振り続けたことで打席でも迷いなく振れていると思うので、それが結果につながってるんじゃないかなと思います。

――好調を維持するのルーティーンなどはありますか

 試合の前日は、石郷岡(大成、社3=東京・早実)と相手投手のビデオを見て、その後に2人でバッティングをしに行って、その後お風呂に入って、コンビニに行くというルーティーンがあります。打席の前は、どんな時でもちゃんと自分のスイングができるようにということで、1回思いっきり振ってから打席に立つようにしています。

――以前のインタビューで、1打席目で出塁することが課題だとお話されていました。今季初回出塁率は7割を超え、有言実行のご活躍をされていると思います。意識されていることはありますか

 ずっと課題だと言ってきていて、とにかく第1打席の1球目から投手のボールにちゃんとタイミングが合うようにということを意識してきました。ビデオを見たり、打席に立つ前もちゃんと準備をしたりして、 しっかり自分のフルスイングができるようにした状態で打席に入るということができているのかなと思います。

――コーチや監督からのアドバイスはありましたか

 バッティングのことはよく金森さん(金森栄治助監督、昭54教卒=大阪・PL学園)とお話しすることが多いです。とにかく自分のバッティングをということで、 自分の中でもそれはずっと思っていたことなんですけど、変な打ち取られ方をしても自分の形というのは絶対変えずに、 自分の形で最後までしっかりやりきるということを金森さんともずっとお話しています。それがここまでちゃんとできているのかなと思います。

「(これまでのリーグ戦の)良かった部分を自分の中に吸収できている」

――昨春、昨秋、今春それぞれについて、ご自身で打撃分析をするならどのように考えますか

 大雑把に言うと、昨年の春は良くて、昨年の秋はちょっとダメだったじゃないですか。2つのリーグ戦のバッティングを振り返って、良かった部分を今の自分に取り入れているというか。感覚的な話なんですけど、良かった部分をちゃんと自分の中に吸収できていて、それがうまくかみ合っているのかなと思います。

――何としてでも勝利が欲しかった明大3回戦では、尾瀬選手の安打から先制点が生まれました。どのような気持ちで打席に立ちましたか

 その打席というよりかは、今季はどんな打席でも自分のスタイルは変えないというか、来た球をしっかり自分のスイングをして打ち返すということだけをずっと思っています。特にこの場面だから何を考えているというのはなくて、その1打席、1球に集中できているのかなと思います。

――法大1回戦では、篠木健太郎投手(4年)に対して、7回まで安打は尾瀬選手の2本のみでした。振り返っていかがですか

 篠木投手がもちろんすごい投手というのはずっと分かっていたことで、 そのような投手から打つためにずっと自分は練習してきました。篠木投手のようなすごい投手相手でもしっかりと自分のバッティングができたことはすごく良かったなと思います。

――今季を振り返ると何本も安打を放ち勝利に貢献してきていると思いますが、今季の一番印象に残っている安打を挙げるならどの打席ですか

 一番印象に残っているのは、やっぱり明治の3回戦で打ったタイムリーですかね。自分の中での一番良い当たりとかではないんですけど、 そんなに良くない当たりでもそれが決勝点になって勝てたということで、すごく印象に残っています。

――ここまでの試合を振り返ると1番の尾瀬選手、2番の山縣選手(商4=東京・早大学院)のつながりが早大打線に良い流れを持ってきているように感じます。山縣選手とのコンビネーションについてはどのように感じていますか

 山縣さんはもともとバントがすごく上手で自分が出たら絶対送ってくれるので、そこをすごく信頼しています。今季は自分が出塁できなかった時に、 山縣さんが何とかヒットや四球で出塁してくれるので、1、2番が連続で凡退することがほとんどないです。自分が打てれば山縣さんが送ってくれますし、自分が出塁できなかったとしても山縣さんが塁に出てチャンスを作ってクリーンアップに回してくれているとうところで、お互いの信頼関係が良い感じでできているのかなと思います。

――守備でもご活躍されており、法大2回戦ではダイビングキャッチでピンチを救いましたが、振り返ってみていかがですか

 あのようなダイビンキャッチでギリギリの球を捕るというのは自分の1つの武器というか長所でもあるので、それが良い場面でできたというのは良かったなと思います。守備はリーグ戦を通して、相手バッターであったり、自分たちのピッチャーの調子や配球であったりというのをずっと考えながらセンターで守っています。 自分のポジショニングだったり、レフトやライトも守備位置を動かしたり、 すごく試合に入り込めていて、ポジショニングが結構当たって守備もうまくいっているのかなと思います。

「打率とかは気にせずに、チームの勝利のために」

――続いて早慶戦についてお伺いします。昨秋はあと1勝というところでリーグ優勝に届きませんでした。今振り返ってみていかがですか

 振り返ってみるとすごく悔しい思いがずっと残っているので、今回は絶対勝って優勝したいですね。

――これまで1度もリーグ優勝を経験できていませんが、優勝に対しての思いをお願いします

 まだ優勝できていないというのもありますが、(昨春や昨秋に)自分たちの前で優勝を決められたことがすごく頭の中に残っています。昨年の慶大もそうですし、春も明大に自分たちの前で優勝されてすごく悔しい思いがずっと残っているので、絶対今回は優勝したいなと思います。

――今季の慶大のイメージを教えてください

 今季の慶大のイメージは話題性がすごいなと思っています。皆さんもご存知の通りだと思いますが、4番に清原選手(正吾、4年)がいたり、1年生もすごく活躍したりしていて。なので、相手に流れを持って行かれると慶応ムードになりそうな気がするので、そういった意味ではちょっと不気味な相手ではあります。

――慶大を攻略するには何が必要だと思いますか

 今言った話題性というのもそうですが、慶大の一番の柱はやっぱりエースの外丸選手(東眞、3年)だと思います。外丸選手に対して、うちの打線がどう攻略していくかということじゃないでしょうか。

――早慶戦当日に向けてどのようなことを意識して調整していますか

 ずっと冬からやってきたことは変えずに、とにかくバットを振って、 自分の形でまた早慶戦を迎えられるように意識してやっているところです。

――現在のチームの雰囲気を教えてください

 みんなが優勝しようという気で練習できているので、すごく良い雰囲気ですね。

――目指すタイトルは首位打者ですか。そこへの思いをお願いします

 もちろん首位打者は取りたいですけど、これもずっとリーグ戦前とかから言っていると思いますが、打率とかは気にせずに、チームの勝利のために1打席にしっかり集中したいと思います。 自分が塁に出ることで打線はつながっていくと思いますし、そのために自分が1打席ずつしっかりとやっていきたいなと思っています。

――最後に早慶戦への意気込みをお願いします

 昨年の秋、早慶戦で負けて優勝を逃しているので絶対勝ちます!

――ありがとうございました!

(取材・編集 本田里音)

◆尾瀬 雄大(おせ・ゆうだい)

2003(平15)8月14日生まれ。172センチ。東京・帝京高出身。スポーツ科学部3年。いつも試合開始前に両手拳を顔の前に持ってくる仕草をしている尾瀬選手。相手投手のボールを良く見るために、視線を交互に動かしているそう。この動作も、好調を維持するルーティーンの1つだそうです!