【連載】春季早慶戦直前特集 『ONE』 第8回 山縣秀

特集中面

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 昨秋は個人としてはスタメン落ちを経験し、チームとしてもあと1勝のところで優勝を逃すなど苦杯をなめた山縣秀(商4=東京・早大学院)。ラストイヤーを迎えた今春は打率4割2分4厘と長らく課題にしてきた打撃がついに覚醒した。自慢の守備でもチームに貢献し、充実したシーズンを過ごしている。完全Vの懸かる伝統の一戦を控えた、内に秘める思いに迫る。

※この取材は5月23日にオンラインで行われたものです。

(好調の打撃は)小さく強く、足を使って、体幹を使って

――今春の東京六大学リーグ戦(リーグ戦)を大きく振り返っていかがですか

 全ての大学から勝ち点を取れているので、いい感じに戦えていると思います。

――ここまでで山縣選手が一番印象に残っている試合を教えてください

 明治との3回戦で延長戦で勝った試合です。

――その理由について詳しく教えていただきたいです

 自分が入学して明治から勝ち点を取ったのが1年生の秋だけで、自分がベンチに入ってから明治に勝ち点をあげたのが初めてでした。そういううれしさと、粘って粘って延長で勝てた、最後爆発して勝ったのが印象的です。

――打率.424と好調ですが、その要因を教えてください

 冬にしっかりと振り込んだことと、調子がいい時にリーグ戦を迎えられたというだけな気がします。

――昨秋のはシーズンへの入りが良くなかったとおっしゃっていましたが、今季はいかがですか

 しっかり準備してリーグ戦に入れました。コンディションの面や体の部分も含めて準備できました。

――昨秋と今季を比べて打撃で何か変えた部分はありますか

 昨年の秋の途中から金森さん(栄治助監督、昭54教卒=大阪・PL学園)に熱心に指導していただいたことを意識しながらバッティングをしています。金森さんの指導と自分のバッティングをうまく合わせていきながらという感じです。

――金森助監督から教わったことというのは具体的にどのようなことですか

 小さく強く、足を使って、体幹を使ってといろいろあるのですが、大まかに言うとスイングを小さくするという感じです。

――シーズンに入ってからコーチや小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)などからアドバイスはありましたか

 明治の2回戦が終わってあんまり調子が良くなかった時に、齋藤慎太郎コーチ(平3社卒=千葉・秀明)に「ヒットに期待してるのは自分お前だけだ、結果を残そうと丁寧に野球をやっている」と言われました。「自分がレギュラーをとった時のことを思い出せ」と言われて。自分が2年の秋に出始めた時は、もっと挑戦してた、チャレンジしにいっていた部分があったので、その時を思い出してみようということで。そういうイメージでプレーして、そのこともあって調子が上がりました。

――前を打つ尾瀬雄大選手(スポ3=東京・帝京)が好調ですが、後を打つ山縣選手は打席の中でどのようなことを考えていますか

 尾瀬が出たら自分が吉納(翼副将、スポ4=愛知・東邦)、印出(太一主将、スポ4=愛知・中京大中京)の前でしっかりスコアリングポジションで回すのが自分の仕事だと思います。尾瀬が出た時はしっかり進塁させ、尾瀬が出なかった時には自分が出塁できるようにというのを意識しながら打席に立っています。

最上級生としてみんなを引っ張る

――昨年に比べてガッツポーズなど、感情を出すシーンが多い印象です。試合中に意識していることを教えてください

 特に何も変えてないんですけど、今年は4年生で最上級生なので、みんなを引っ張っていくという気持ちが強くなった結果かなと思います。

――遊撃手にコンバートしましたが、今季の守備を振り返っていかがですか

 守備は問題ないのかなという感じですね。

――法大2回戦では三遊間の打球を飛びついて、 体勢が悪い中でニ塁に送球してアウトに取った場面がありました。あの時のプレーを振り返っていかがですか

 プレーしている時は、追いついたらとりあえずセカンド(に投げる)という、それだけ考えていました。何が起こったかあんまりわかってなかったのですが、自分のプレーを後から動画で見返した時に、こんなプレーをしていたんだなと。ただ自分が思ってた形とは違いました。

――現在チーム防衛率はリーグトップです。投手陣はどのように見ていますか

 野球陣が前半なかなか点取れない中で粘ってくれてるので、投手陣には感謝しています。

とにかく優勝したい

――優勝の懸かる早慶戦を控える中で、現在のチームの雰囲気はいかがですか

 雰囲気はいい感じですね。

――優勝が懸かる中でのプレッシャーなどはありますか

 今は自分たちの技術を上げようと。ただそれだけです。

――優勝への思いを教えてください

 入学してから1回も優勝できてないので、もうとにかく優勝したいという気持ちです。これまでは個人のことを考えがちだったのですが、今季はチームのことを結構考えてる感じがしています。自分的にはそれがいい方向に出ています。

――2季連続で優勝の懸かる早慶戦です。昨秋の優勝を逃したことを踏まえて、とのような気持ちで早慶戦に臨みたいですか

 早慶戦で悔しい思いをした分、(その気持ちは)早慶戦でしか返せないので。優勝するという強い気持ちを持って早慶戦を迎えたいと思います。

――ご自身での早慶戦の役割を教えてください

 今までとそんなに変わらないと思うんですけど、とにかく尾瀬を進めて、守備をしっかりという感じです。

――最後に早慶戦への意気込みの方をお願いします

 とにかく優勝したいので、一戦必勝で戦えればいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 近藤翔太)

◆山縣秀(やまがた・しゅう)

2002(平14)年5月1日生まれ。176センチ。東京都・早大学院高出身。商学部4年。今季ここまで打率4割を超える山縣選手。前を打つ1番の尾瀬選手も打率を4割を超えています。尾瀬選手も山縣選手も巨人ファンだそうで、よく試合結果の話をしているとのこと。絶好調の1、2番コンビが打線に火をつけます!