「鼓動」を追い続けた一年間
連なる山々を歩いていく縦走と呼ばれる山岳活動を中心に、沢登り、ラフティング、自転車、山スキーなど、様々なアウトドアスポーツにチームで取り組むワンダーフォーゲル。他の部活とは異なり、大会等で他校と争うことがないことが特徴だ。部員たちは、自らが定めた目標に向かって日々活動に取り組んでいる。「運動経験の有無に関わらず、全員が同じチームとなって部活に取り組むことができるのがワンダーフォーゲルの面白いところ」。 そう話すのは第76代主将を務めた小田直(スポM1=神奈川・逗子開成)だ。

ワンダーフォーゲル部では様々なアウトドアスポーツにチームで取り組んでいる
小田は2年からワンダーフォーゲル部に入部。1年はコロナ渦で思うような大学生活が送れなかった。2年の春、「1度きりの大学生活。やり残したことがないようにしたい」と思い入部を決意。自身の好きな自然に対して、スポーツとして取り組めることに魅力を感じたそう。
ワンダーフォーゲル部で最も印象に残っている活動として、小田が最初に挙げたのは、新人時代の8月に経験した夏合宿。北アルプスの蝶ヶ岳山頂から望む景色に魅了され、山を好きになるきっかけとなった。
小田は、2024年10月に主将に就任。小田らは「鼓動」を年間目標に掲げた。ワンダーフォーゲルでは、何週間にも及ぶ過酷な山行など、危険な場面も多い。早大ワンダーフォーゲル部では、上級生が計画作成に携わる。チーム状況を客観的に判断することが、安全に活動する上で重要だ。その一方で、「安全を優先する中で、自然に挑戦して楽しむ姿勢を忘れてしまうことがあった」と小田。自身が下級生の時に感じた期待感や自然に対する好奇心、冒険心といった「鼓動」を1年間忘れずに高めていくことを目標として掲げた。
そんな「鼓動」を体現する象徴的な山行となったのは、主将就任後初の山行であった秋合宿。秋田県と岩手県にまたがる八幡平にて、縦走と温泉巡りを組み合わせるという過去にない試みに挑戦。3泊4日の日程で5つの温泉を巡った。後輩からもこの山行は好評で、登山の新たな楽しみ方を見つけられたという。

秋合宿で笑顔を見せる小田(写真左)
「活動を楽しめる上級生でありたい」と小田。安全面を守るという点で上級生としての責任を果たしつつも、しっかりと活動を楽しむ姿勢を下級生に示し続けた。
また、後輩とのコミュニケーションにも気を配った。上級生と下級生では安全に対する意識の差もあり、所属する部員も多種多様である。活動中の重大事故を未然に防ぐため、日々のコミュニケーションから話しやすい雰囲気作りに務めた。その積み重ねにより、活動での報連相を徹底することが出来たという。小田の同期である山崎梓(商=埼玉栄)も、「(小田は)本当に人格者。ただ後輩と仲良くなろうでとするのではなく、厳しいことを言いつつも、すぐにフォローができる。 筋肉もすごい(笑)」と信頼を寄せる。小田は引退後も山岳活動を中心にアウトドアスポーツを続けていくそうだ。
後輩たちには「ワンゲルだから、このメンバーだからできることがあると思う。何が楽しいのかを突き詰めて、安全第一で頑張ってほしい。」とエールを送った。
(記事 石黒周次郎 写真 ワンダーフォーゲル部提供)