【連載】『令和7年度卒業記念特集』第4回 大森恵花/柔道 

卒業記念特集記事2026

女子部主将として駆け抜けた「青春」

 2025年度女子部主将として早大柔道部を率いた大森恵花(スポ4=渋谷教育学園渋谷)。仲間を支え、仲間に支えられながら歩んできた4年間。その集大成となったのが、主将としての1年だった。「昨年よりも良いチームにしたい」。その強い思いを胸に、仲間と向き合い続けた。畳の上で培った覚悟と成長、その軌跡に迫る。

 大森と柔道との出会いは、両親の知り合いが営む町道場に足を運んだことがきっかけだ。始めたのは小学5年生と、決して早いとは言えない時期。それでもここまで続けてこられたのは、「やりたいことを優先させてくれた家族の存在があったから」と振り返る。大学でも柔道を続けた理由は明確だった。「もっと高みを目指したかった」から。そんな思いを胸に入部した早大柔道部だったが、そこで感じたのは意外な違いだった。「高校と比べると練習時間が短い」と語るように、限られた時間の中でどう成長するかが問われる環境だった。

 1年時の全日本ジュニア柔道体重別選手権大会は、今も鮮明に記憶に残る一戦だ。都大会で敗れた相手と3位決定戦で再戦することになった。試合前は不安もあったが、結果は見事一本勝ち。「投げて勝ち切ることができた」その瞬間は、自身の成長を実感できた忘れられない試合となった。一方で、勝敗以上に大きな意味をもったのは、3年時の東京学生柔道優勝大会だった。まさかの一回戦敗退。夢も希望も失い、やり場のない悔しさと周囲への申し訳なさに押しつぶされそうになった。しかし、そのとき支えとなったのはチームの存在だった。「コーチや後輩がそっと寄り添ってくれたことが本当に心の支えになった」。あの敗戦があったからこそ、仲間の存在の大きさを知り、再び前を向くことができたという。

 そして今年度、女子部主将に就任したときに抱いていたのは「昨年よりも良いチームにしたい」という思いだった。そのために大切にしたのは、何よりもコミュニケーション。しかし、初めから理想通りにいったわけではない。「みんなが別の方向を向いていて、まとめるのが難しかった」と振り返る。そこで大森は、自らが率先してトレーニングに取り組み、柔道について積極的に会話を重ねた。少しずつコミュニケーションが増え、チームはまとまりを見せ始めた。主将としての経験は、大森自身にも変化をもたらした。「自分のことだけではなく、周りのことも考えて練習メニューを組むようになった」。試合前に緊張している後輩に声をかけられるようになったことも、自身の成長を実感する瞬間だった。

コーチ・女子部員とともに笑顔を見せる大森(前列左端)

 4年間一緒に歩んできたチームメイトは「苦楽を共にした一生の仲間」だ。後輩へは「結果が出なくても、一生懸命やったことで得られるものがある。諦めずに今を走り続けてほしい」とエールを送った。卒業後も柔道は続ける予定で、技術をさらに磨くと同時に、社会人として礼節やコミュニケーションを大切にしていきたいと語る。

 卒業を迎える今、早大柔道部での生活を一言で表すならーー「青春」。これまでの日々は、確かに大森の人生を形づくる大切な時間だった。

 

(記事 吉田陽南子 写真 上田浩誠、吉田陽南子)