最強で最高な同期たちと
春秋連覇を達成した野球部をはじめとする体育各部の躍進を常に後押し続けてきた令和6年度早稲田大学応援部。声を枯らし、選手へ熱いエールを送るリーダー。美しい音色で会場の雰囲気を作り出す吹奏楽団。笑顔を絶やさず華やかなパフォーマンスで誰をも笑顔にするチアリーダーズ(BIGBEARS)。これら3パートが揃って、伝統あるワセダの応援が完成する。応援に「華」を添えるBIGBEARSをこの一年間まとめてきた柴田心桜(先理=愛知・南山女子部)の4年間の応援部人生を振り返る。
「厳しい環境に身を置きたい」――。柴田が応援部の門をたたいた原動力はこの言葉に詰まっていた。高校時代はテニス部で仲間と切磋琢磨して過ごしてきた。その経験から、大学生活でお互いに高めあえる仲間を見つけるには厳しい環境に身を置くことが重要だと確信する。数ある体育各部の中で未経験者でも活躍ができる応援部の入部を決めた。厳しいという印象がありながらも、全員が早稲田らしく早稲田を誰よりも愛しているその姿に惹かれた柴田は入部に迷いはなかった。

ステージで笑顔いっぱいに踊る柴田
理系学部に所属し、多忙な授業と練習の両立に適応する新人時代を過ごす。チアリーダーズの練習はスタンツなど全員が揃っていないと練習にならないことも多いため、授業を言い訳にすることなく限られた練習時間の中で自らの優先順位を明確にしながらも練習に励む日々を過ごした。
新人から部員に昇格し、2年生となった柴田。この年、4年間のBIGBEARS人生の核となる出来事が柴田にはあった。「チアリーディングステージ2022」(チアステ)である。チアステ本番の器材当番と新人監督補佐をさらに支える新人監督補佐補佐をチアステの際に兼任することとなった。機材当番を通して、チアステが形になることの大変さについて、同期を動かした経験や新人の指導に対する責任感から学ぶ。この経験は2年の時を経てステージ責任者として活躍した「チアリーディングステージ2024」にも大きく活かされた。BIGBEARSの晴れ舞台であるチアステに対し、4年生が目立つだけでなく、部員新人1人1人が楽しみながら目標を持ち達成できるステージを作るために責任者として全うした。

チア曲を踊るチアリーダーズ令和6年度4年生部員
補佐として活動した3年生。前期では新人監督補佐を務め、新歓期間に応援部の魅力を新入生に伝えるために活動を通して、自身が最高のステージを作り上げる素晴らしさを改めて実感した。補佐として、応援部をより良い組織とするために自分がどのように動き部を変えていくかということを考えるようになった。
そして、ともに活動してきた先輩から指名を受け、BIGBEARSをまとめるチアリーダーズ責任者に就任した。自身の新人時代の経験から「努力を見守ることができる責任者でありたい」という思いが柴田には強く表れた。積極的に部員と面談を重ねるなど話を直接聞きながら、部員一人一人がどのような思いで応援活動に取り組んでいるのかを踏まえBIGBEARSを統括する。1人のチアリーダーとして、BIGBEARSの責任者として応援に華を添え続けてきた。4年間苦楽を共にした同期への思いも常に忘れない。「最強で最高な17人」――。柴田は同期をこう表現する。チアリーディングに対する愛も人一倍強く、誰一人欠けてはならない存在で、何よりも大切に考えていた。そんな中、同期17人で作り上げようとしたものは『信頼』であった。BIGBEARSの年間目標にもなった『信頼』の2文字。4年生の行動が下級生にも伝わり、部の雰囲気につながると考えていたからこそ信頼を構築し自分たちの背中で後輩たちを育てようと考えた。4年生として、責任者として信頼されるチアリーダーを目指し、先導してきた。

大盛況に終わったチアリーダーズステージの様子
自分に厳しくありながら、後輩の努力を見守る責任者であり続けた柴田。自身が下級生時代に努力を続け、先輩の背中を追いかけ続けながら成長してきたからこそ描くことができた責任者像であった。時には大変なこともありながら懸命に走り続けていたその背中を後輩もまた追い続け、成長していくだろう。
(記事 橋本聖、写真 土橋俊介)