応援部吹奏楽団のために
令和6年度応援部吹奏楽団責任者としてこの一年間活動を全うしてきた小野玲々菜(国教=東京・かえつ有明)。吹奏楽団の発展のために、総勢80人の吹奏楽団員の前に立って行動してきた小野の4年間に迫る。
クラリネットを演奏できる団体を探している中で、応援部がクラリネット奏者を募集していることを見つけ、即座に入部を決断。入部後は忙しい生活が待っていたが、何よりも充実感を感じていた。応援活動に少しずつ慣れてきた中で迎えた東京六大学野球秋季リーグ戦早慶戦。その年最後の野球応援となった試合で負けてしまい、上級生が泣いている姿を見た時に、「人のために全力で活動する応援部に入って良かった」と感じた。

タクトを振る小野
このような経験を経て、部員昇格を果たした小野は、2年夏に国際教養学部で必修の海外留学に旅立った。吹奏楽サークルに所属し、留学先でもクラリネットを続けた。補佐として応援部の運営に携わるようになる3年の前期には、現地からオンラインで仕事を務めた。帰国後(3年後期)は総務補佐、副指揮、広報補佐といった多様な役職を経験した。部員の前で話す機会が急に増え、自分の考えを言葉にしたり、人を動かしたりすることに難しさを感じたという。一年間部に不在だったことでわからないこともあったが、同期の助けをもらいつつ役職を完遂した。

雨の中、指揮をする小野
最終学年、小野は「楽団を発展させたい」という想いで吹奏楽団責任者に就いた。楽団の発展につながるものであれば、同期からのアイデアは、なるべく実現できるようにした。結果的に、パレードの出演が増えるなど、活動の幅が広がった。また、吹奏楽団は「応援、座奏、ドリルなどの全ての活動に対し、真摯に取り組むことが大事」と考え、責任者としてそれを体現するために、姿で示すことを意識していたと言う。応援するにふさわしい団体で常にあるために、自分たちがやるべきことをどこまで磨き上げることができるか、どこまで気持ちを届けることができるかを重要視した。

定期演奏会にて観客の前で1年間を振り返った小野
吹奏楽団の先頭に立って活動してきた一年間で定期演奏会が最も印象的だったと小野は振り返る。応援だけでなく、音楽面での技術向上を掲げてきた吹奏楽団にとって、令和6年度の締めくくりとなる定期演奏会では「お客さんに喜んでもらうこと」、「応援部の演奏もいいなと思ってもらうこと」を目指した。夏まではコンクール組とマーチングコンテスト組に別れて活動していたことや大曲への挑戦など、例年とは異なる事情により、練習期間では上手くいかなかった部分が多く、練習中には何度も全体に向けて話したと言う。本番では上手く決まり、80人が心を一つにした演奏を披露した。4年間の締めくくりとなった、定期演奏会はあっという間だったと振り返った。

集大成として臨んだ定期演奏会の様子
楽団をさらに良くしたいという想いから、吹奏楽団責任者になった小野。80人もの大所帯をまとめあげ、空きコマなどで個人練習に励み続けた姿を下級生はしっかりと見てきたことだろう。下級生に対して、小野は「心から楽しんで音楽をしてくれたら嬉しい」と語った。今年度応援部吹奏楽団に築かれたものが、令和7年度応援部吹奏楽団によってさらに輝いていくことだろう。
(記事 土橋俊介、写真 井口瞳、土橋俊介)