勝利を目指して
「クロカンに出会えて良かった」。そう語るのはスキー部の主将、大堰徳(スポ4=岩手・盛岡南)だ。クロスカントリーは筋力も持久力も必要な競技。年間の試合数が多く体力やパフォーマンスを維持するのは容易ではない。その中で結果を残さなければならない精神的なつらさもある。圧倒的に大変なことの方が多いという。しかし自身の勝利をかみしめたり、仲間と勝利を分かち合ったり、苦しさの分達成感を感じられる競技なのではないか。クロスカントリーの魅力をそう話す大堰の競技人生を振り返る。
もともとは野球少年であった大堰。スキーのコーチもしていた少年団の監督のすすめで、体力作りのためにクロスカントリーを始めた。中学では部活を掛け持ちし、冬はスキー、夏は野球に加え陸上の3種目に取り組んだ。陸上の県大会では入賞、クロスカントリーでは全国大会準優勝など、1年を通して活躍を収めた。高校からはスキーに絞ったが、チームスポーツである野球から精神面、陸上からは体力面など、他のスポーツを通して培われたものがあるという。
大学は、以前から早大を志望していた。世界大会で活躍する選手も多く、スキーを続けるなら早大と決めていたのだ。そんな憧れの早大では、3年生として出場した昨年の全日本学生選手権(インカレ)で男女総合優勝を果たした。自身も個人種目での入賞やリレーでの区間1位などで貢献したが、「全員で優勝を勝ち取ったことが一番嬉しかった」とチームとしての勝利をかみしめた。最終学年である今年、同級生の全員がスキー部のことを考え、部を支えているという。その中で自身に任せてもらった主将という役割について、この1年考え続けてきた。いまだ明確な答えは出ていないが、部の信念や築き上げてきたものを守りたい。そのために何事も率先して動き、背中を見せることで他の部員を引っ張っていける主将を目指した。「ひとくくりにスキーと言っても様々な競技種目があり、それぞれに異なる魅力がある。早大スキー部にはすごい選手がたくさんいるので、部に興味をもってもらえたら嬉しい」。その言葉に、部を背負う主将としての誇りを感じた。
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卒業しても大堰の競技人生は続く。続けるからには世界選手権やオリンピックなどの大会に日本代表として出場し、結果を残すことを目標に道を歩む。
だがシーズン真っ只中の今、見据えるのは直前に控えた数々の大会だ。後輩を含め部内にもライバルは多い。しかし目指すところはもちろん1番上。厳しい競争に勝つための実力を、この4年間でつけてきた。まっすぐに勝利を目指し、大学最後のシーズンに臨む。
(記事 中澤なつき、写真 堀内まさみ)