【特集】 女子バレーボール部 学生スタッフ特別インタビュー

バレーボール特集

9月13日に開幕した秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)。女子バレーボール部は現在2部リーグで1部昇格を目指して戦っている。試合に出るのは選手だが、勝利を目指して戦っているのはもちろん選手だけではない。そこで、今回はアナリストとして日々チームのために活動している学生スタッフの西室美紅(教4=東京・帝京大)に、日々の活動のことや秋リーグの展望など、たくさんのお話を伺った。

 

※この対談は、9月18日に行われたものです。

西室さんご自身のこと

ーーずっとバレーをやられていたのですか

西室 中学の 3年間だけやっていました。高校では吹奏楽をやっていたんです 。家族みんなバレーボールがすごく好きなので、大学でやっぱりまたバレーをやりたいと思って、それで復活した感じです。家族でよく日本代表の試合も見るし、高校バレーも見るし。もちろん大学バレーも(見ていました)。私が1年生の時の4年生に中澤恵さん(令5スポ卒)、私の1個上に秋重さん(秋重若菜・令7スポ卒=現トヨタ)がいて、有名な人がたくさんいたから、なんとなく、すごいなと思って見ていて。一番行きたかった大学に落ちてしまって、(受かっていた)早稲田に行くか浪人するか悩みました。そのときに母が「バレー部強いんだから、早稲田でいいんじゃない」と言ってくれて。それで早稲田に決めました。

ーーアナリストを選んだ理由は

西室 とりあえず見学に行ってみようと思って見学に来て、自分がプレーするという考えは全くなかったから、チームスタッフがマネージャー、アナリスト、トレーナーとあって、まずなんとなくマネージャーは向いていないなと思ったんですけど(笑)。トレーナーはトレーナーで、自分が入った時にまだ誰もいなくて、誰もいない中で入っていくのが不安でした。アナリストは、自分が 1年生の時に4年生に先輩がいるのを見学に行く前に調べていたので、(知った上で)見学に行ってみました。その後は気づいたらアナリストとして入っていました(笑)。

ーー当時のバレー部の雰囲気は、今とは違いましたか

西室 今よりもちょっと厳しい感じがしました。正直、1年生の時は、結構苦しかったです。でもやっぱりバレーはやりたかったので(続けました)。大学に入って、1個本気になれるものが欲しいなと部活に入る前から思っていて。週6で練習があって、リーグ戦も期間中は毎週あるから、やっぱり頑張らざるを得ないじゃないですか。それを頑張ってる時間があるから、たぶんオフの時間が楽しくなるのかなとかを考えたら、ここで4年間やろうと思えました。たぶん入部したときはそこまで思ってなかったかもしれないけれど(笑)。

ーーオフの時はどんなことをするんですか

西室 今はお金を貯めたいと思っているので、アルバイトをたくさんしています。あとは、お酒を飲むのとご飯を食べるのもすごく好きで、趣味なんです。よく友達とご飯を食べに行きます。あとは、ヘッドスパも好きです。今月からホットヨガにも通い始めました!家でじっとしていることが苦手なんです。よく散歩にも行きます。健康ブームが来てます(笑)。

ーーチームメイトと出かけることはありますか

西室 同期とすごく仲が良いです!7月に早めに引退して韓国に帰っていた朴秀彬(文構4=韓国・釜山国際)が昨日から(卒業式のために)日本に帰ってきたんですよ。すぐに同期5人で会って横浜を観光してきました。中華街に行って、横浜を散歩して、遊園地にも行って帰ってきました。だから、同期と会うことが多いですね。後輩ともご飯に行くこともありますが、人数も増えたので。でも、チーム全体も仲が良い方だと思います。

 

 

インタビュー中の西室

アナリストとして

ーー今回初めて記事を読まれる方に向けて、女子バレー部のアナリストの仕事内容を教えてください

西室 基本的には男子部とやっていることは変わらなくて、簡単なものだと練習動画の撮影とアップロード、大会は自分たちの試合だけでなくて、相手の対策もしなければいけないので、全試合撮影して、 それもアップロードしてという感じです。入部してからずっとやらなければいけないのは、データ入力です。データ分析をするソフトを使って、 プレーごとに決まっているコードを(試合を見ながら)入力していき、試合後に、選手ごとに決めたスパイクの数や、ミスしたものの数などをデータで出します。そしてフィードバックできることがあったら、例えば「今日はサーブミスが多いから、サーブミスを減らせるような練習を考えよう」などと話したりします。あとは、特定の選手のスパイクの動画だけを抽出して、振り返り用の動画を作ったり、リーグが終わった後にパワーポイントを使って振り返りのプレゼンを作ったりします。

ーー試合前の練習ではボール出しもやられていますが、普段の練習でもやられているのですか

西室 女子部は基本的にスタッフもずっと一緒に練習に参加して、ボール拾いなどをします。今は人数も増えたので、スタッフがいらない時はその時間をデータ分析に使う感じです。アナリストが常にデータ入力して、練習は選手だけで回すチームもある中で、私は、常にボール拾いなどで、選手の成長を実際に毎日見られるから、すごくそれがいいなと思っています。

ーー西室さんの部の中での立ち位置は

西室 今年ですごく変わったなと思っています。去年までは、チームメイトからは熱いと言ってもらえてはいましたが、(自分の中では)サポート型だと思っていました。うちのチームは、今4年生が2人スタッフ、2人選手で、ちょうど半々なんです。だから、4年生が引っ張っていく中で、練習中のプレーのことは、選手2人にできるだけ引っ張ってもらっていて。プレー以外のこと、準備のこととか、片付けのこととか、普段のあいさつとか、日常生活の方を厳しく果子(中河果子・法4=東京・大妻)2人で言っていこうと決めて、そこで分けています。だから、2人で下の子たちに指導することが多くなったので、今年からは結構中心にいる感じがするかもしれないです。

ーーチームを率いることは難しい役割だと思いますが、大変だったことはどんなことですか

西室 4年生になるまでは、自分が2年生の時にリーグ最下位を初めて経験して、その時にモチベーションがすごく下がってしまって。これより辛いことはないだろうと思っていました。でも4年生になって、春リーグがあまりうまくいかなくて。4年生の責任を感じて、「自分が言うタイプじゃなくても、それでも言わなきゃいけない」という意見もありしんどかったです。自分は中学3年間しかプレーしていなくて、バレーは素人だけれど、今やっている選手はずっと名門のところでやってきて、私よりも全然バレーを(長期間)しているじゃないですか。そういう子たちに、アナリストとしても言わないといけないし、4年生としても言わないといけないということが、やっぱり最初の方は一歩引け目を感じていました。それが一番しんどかったかもしれないです。今は引退まであと少しだから割り切って、自分が後悔しないためにも言おうと思って頑張っています!

ーー逆にやりがいを感じる時はどういう時ですか

西室 アナリストとしてと言っていいのか分からないんですけど、素直に周りからかけてもらえる言葉ひとつひとつがすごくうれしくて。たぶん、今までやっていて、辛かったことの方が絶対に多いと思うんですけど、誰かの何気ないひとことがすごくモチベーションに繋がっているなと思っています。ぱっと思いつくだけでも、例えば去年は秋重さんに頼ってもらえたことがすごく大きくて。午後から練習がある日に、朝の8時ぐらいに電話がかかってきて、「今日のミーティングでこの選手のスパイク動画だけ使いたいんだけど、ちょっと練習までに動画編集してくれない」などと言われたんです。動画を作ってミーティングで見た後に、「作ってくれてありがとう」と言ってもらえて、頼ってもらえることがうれしかったです。他にもたくさんあります。指導委員長を今OBの方がやってらっしゃって、毎回試合会場にもいらっしゃっていて、試合後のあいさつの時に、選手のことを言うのではなくて、「何年か経った後も、選手がやっている姿ももちろん思い出すけれど、サポートの子が頑張って床を拭いたりとか、ボール拾いをしている姿を思い出すんだよね。俺は今上級生になった西室を見て、1年生の時に西室が必死に床を拭いていたのを、今でも思い出すよ」と言ってもらえたこともありました。選手だけを見ている人がどうしても多いと思うけれど、目立たないチームスタッフを見てくれている人もいることが励みになっています。同期の存在もとても大きいです。大きい出来事があるんじゃなくて、周りからの声がすごく力になって、今まで頑張れました。

ーー4年間で印象的な試合はありますか

西室 ひとつは1年の時の入れ替え戦です。各学年で代表1人ずつがその日の振り返りを毎日話すんですけど、入れ替え戦の前日に、私の番が来たんです。緊張していて、でも、すごく自信があって。「こんなに練習を頑張ってきて、うまい人もたくさんいて、それぞれが絶対に勝ちたいという気持ちがあるから、明日は絶対に1部に行けると思います」と言ったのをすごく覚えています。でも、ストレートで負けてしまったんですよね。そこで1部と2部の壁を思い知って、そこから自分がいる間に絶対に1部に行きたいと強く思いました。もう1個思いつくのが去年の秋リーグの最終試合です。去年の秋の最終戦は、勝ったら1位、負けたら3位で。フルセットで最終セットも17対15で負けました。

ーーすごく緊迫した試合でした!

西室 そうなんです。去年の夏、本当にしんどかったんですよ。みんな体ボロボロにしながら、1日10セットの練習試合を何日も続けた時期もあって!これだけ頑張ったのに、1位になれなくて、ずっと目標にしていた入れ替え戦もいけなくて。最後の1点を取る重みを感じました。今でも試合中にデータを打っていた時のことを思い出します。

 

試合前に分析の準備をする西室

 

ーーご自身がプレーしない中で、何が原動力になっていますか

西室 私、すごく負けず嫌いなのと、結構「自分が自分が」派なんです(笑)。だから、早稲田に入った時も、ずっと部活に入るとは決めていたけれど、スタッフでもバレーでもなくて、他の部活に選手で入ることも考えていました。やっぱり自分が頑張って、自分の成果が出るのが一番分かりやすいと思っていたので。バレー部に入って、ここまでやってきて、今年の春までの大きな目標は、「自分が1部のアナリストになること」でした。みんなと1部に行くことももちろんそうだけれど、やっぱり自分が1部でチームスタッフとしてやりたいというのが大きかったです。でも春に1部に行けなかったから、もう自分が1部でやることはできないということが決まって、悔しくて落ち込んだときもありました。でもやっぱり、後輩たちにいろいろと厳しいことも言ってきて、たぶん不満もあると思うけれど、信じているし、絶対に頑張っていきたいから、最後、あの子たちを1部に上げて良い思いをさせて、私たちが引退したいなと(思っています)。なので、今の子たちが、私たちと一緒にできてよかったなと思ってもらえるように頑張りたいというのが春が終わってからのモチベーションとしてあります。

 

全員で円陣を組むチーム

秋リーグの展望

ーー秋リーグの状況は

西室 3部から2チームが上がってきたんですけど、その2チームがすごく弱いというわけでもなくて、ちゃんとラリーもしているし、春に強かったチームが最下位だったチームに負けていたりとかもあるので、混戦になると思います。1部から嘉悦大が降格してきたんですけど、嘉悦大とは関係が深く、毎週のように練習試合をしていて、勝てないチームではないと思っています。すごく強いところがないからこそ、どことも良い試合ができそうです。1週目は2試合負けてしまったけれど、ここから全部勝てるよねとチームでも話しています。

ーー夏期間を経てチームとして変わったところはありますか

西室 まずスタメンがが変わりました。春は人が足りなかったから、ブロック2枚でやっていたり、葵(山﨑葵主将・社4=岡山・就実)がリベロではなくて前衛もやっていたりしていて、正直無謀でした。今は1年生の栞里(加藤栞里・文構1=千葉・小金)が高身長を生かして、ブロックを頑張ってくれています。今自分たちはセッターとリベロ以外が全員 170センチを超えている、2部の中では珍しい背の高いチームだから、サーブで攻めてブロックで仕留めようということは監督さんからもよく言われています。

ーー今調子が上がっている選手や、西室さんのイチ推し選手を教えてください!

西室 ぐんと伸びている選手でいうとやっぱり栞里です。春まで出ていなくて、東日本にも出ていなくて。夏に新しいことを試してみようという時に栞里を入れてみたらブロックもよくて、まだまだ正直頑張ってもらわないといけないけれど、頑張ってくれているから(挙げました)。あとはセッターの美和(井上美和・スポ2=神奈川・厚木)ですね。この2人は経歴がみんなと少し違って、他はバレーボールで入ってきているけれど、栞里と美和は一般で入ってきて、スタメンで頑張っているので、この2人がどれだけ頑張るかが重要かなと思っています。あとは同期の山崎葵がどれだけチームで存在感を出して引っ張っていってくれるかにも注目してほしいです。 

ーー最後の秋リーグに対する思いを聞かせてください

西室 まずチームへの思いとしては、4年生として私と果子が生活面などで厳しくいろいろ言ってきて、辛い思いもさせたこともあると思うからこそ、試合では良い思いをさせてあげたいなというのが、すごく大きくあって。今週2試合負けてしまって、苦しい思いもあると思うけれど、やっぱり残りの試合は、全員で練習も頑張って、練習で厳しいことを言うからこそ、試合では誰よりも盛り上げて楽しくリーグを終わらせてあげたいなという気持ちがあります。楽しんだら、絶対勝てるから。結果でいろいろな人に恩返しができるようにチームとして頑張っていきたい、感謝の気持ちをもって挑みたいなと思います。個人としては、データ面でもっと貢献して、このデータがあったから、この1本を上げられたんですよ、とか、小さなことで良いから貢献したいなと思っています。あとは、やっぱり練習を盛り上げる声は、自分がプレーしない分、チームの雰囲気は自分が作っていかないといけないと思っています。まとめるのが難しいんですけど、秋リーグが終わった時に、誰か1人でも美紅さんがいたから頑張れたとか、美紅さんのために頑張りますと言ってくれる人が出たらいいなと思いながら、頑張っていこうと思います。チームとしてはもちろん優勝です。とりあえず残りの試合を全部勝ち切りたいです。

ーー最後にひとことお願いします!

西室 まずは最後絶対に結果を残して、このリーグやり切ったな、4年生とやってきてよかったなと思ってもらえるように後輩たちと一緒に頑張りたいです。スタッフさんやOBOGさん、コーチの方、監督さんなど、今まで支えてくれた方々にも、春に結果で恩返しができなかったからこそ、秋は結果で感謝の気持ちを示せるように、このチームで良かったと思ってもらえるような試合を見せたいと思っています。4年生中心に残りの日々を全力で駆け抜けていくので、もし読んでいる方がいらっしゃったら、応援よろしくお願いします!

ーーありがとうございました!

(取材、編集 佐藤玲)

西室美紅(にしむろ・みく

2003年11月6日生まれ。151センチ。東京・帝京大高出身。教育学部4年。オフの日もエネルギッシュに活動する西室さん。誰よりも熱い声かけと的確な分析でチームに貢献する姿に注目です!