チームの戦略部隊であるアナリスト。早大バレー部のアナリストは毎年選ばれたもののみが就くことの出来る役職で、常に責任感と忙しさの中で戦っている。今回は4年生の横山颯大副将、3年生の小川唯、2年生の池本菜緒の3名にお話を伺った。
※この取材は8月12日に行われたものです。
――他己紹介をお願いします
小川→横山 颯大さんは今アナリストチームのトップをしていて、仕事が要領よく生きているなと見てて思います。選手とコミュニケーションが取れているところはすごく素晴らしいと思います。
池本→横山 私も颯大さんは仕事が正確で、資料とかもあげる時間が早くなってきているのですごい尊敬しているのと、同期だけでなく、後輩とも距離が近いので、信頼されてるアナリストだなと思ってます。
横山→小川 唯は人のために何かをするのを惜しまないので、それはすごいなって思いますね。結構自分は「自分が」ってなっちゃうことが多いのですが、選手のためにボール出しとか練習付き合ったりというのは率先してやってるので、そこは見習いたいなと思います。
池本→小川 唯さんはとにかくいろんなことに気づいて先回りしてやってくれることが多いので、とても助かっています。仕事も速く、色々な大量の仕事を抱えてやってくれているので、日々感謝しています。
横山→池本 菜緒ちゃんは先輩から見ると結構後輩。菜緒ちゃんからこれやっときましょうか、みたいな。頼もうとしてたことを率先してやってくれるので、助かってるなっていう部分と、結構変なんですけど、同期とも仲良くて関係性は面白いなという風に思います。
小川→池本 菜緒はある程度のいじられキャラで定着してる感じで、でもそれは多分美味しいことだと思う。それはいいなと思います。あと仕事の面では、やっぱ自分は結構ガサツにやっちゃうタイプなのですが、菜緒ちゃんはきちんと段階を踏んでやろうという姿勢が見受けられるので、そこはいいと思います。
対談中の池本
ーー今年の夏オフは何をしていましたか
池本 私は今年の夏オフには、お父さんの実家が広島の大崎上島という島なので、そこに2泊3日で行って、里帰りしていました。普段は街歩きとか本読んだりしています。
小川 自分は夏オフが大体1週間ぐらいあったのですが、そんなに友達もいないので、もうオフ入って早々に帰って、夏オフの大半を岐阜で過ごしました。何もしてないです。
横山 僕は、夏オフが7月20日からで、卒業研究で群馬の山奥を地質調査しなければいけなくて、それが7月21日から8月9日まであったので、ずっと川に入っていましたね。
ーー高校までの部活と、その部活はどのくらいの期間やっていましたか
横山 高校まではずっと野球部にいて、幼稚園の年中ぐらいからやっていたので、15年間ぐらい野球をやっていました。
小川 自分は小学校から一応バレーをやっていたので、10年ぐらいやっていました。
池本 私はバレーボールとかスポーツは大学に入るまでは全くの未経験で、中高はディベートをやっていました。
ーー男子バレーボール部に入った経緯は
横山 元々は野球をやっていて、スポーツを続けたいなという風に思っていたのですが、怪我をしてしまったというのが1個あって、競技を続けるのは難しいなと。ちょっと野球は外で熱いんで、屋内でやってみたいなっていうことと、バレー部がずっと結果を残し続けていたので、挑戦したいと思ってやってみました。
小川 自分はバレーをやっていて、バレーが好きだったので、バレー男女どっちかに入りたいなと思っていたのですが、男子の方は最近で結果を残し続けていて、そういう環境に入れるチャンスというのは多くあるものではないと思い、男子の方に入りました。
池本 私は配信で早稲田の男子バレーボール部の試合を見て、この大学に入りたいと思って。ディベートをやっていた時からデータを見るのが好きだったので、早スポの記事でアナリストという仕事があるのを知って、この部活に入りたいと思って入りました。
ーーアナリストの仕事内容と、春になると新入生が各大学入ってきますが、高校の試合も見ることはありますか
横山 高校の試合は見ないですね。基本的に大学のカテゴリーの中でのデータを、秋リーグだったら秋リーグのデータ、全日本インカレだったら全日本インカレのデータを取るって形で。大会前のミーティングだったら、その1個前の大会とか、1個前のリーグとかを参考にするというのはしますね。
小川 リアルタイムで試合を見て、誰がアタックを打ったとか、そのアタックのコースとか、ベースとなる情報を入力するというところから基本的に始まって、そのデータをソフトとして、資料として、最初入力したものだとコードがずらっと並んでいるだけで選手や監督は見づらかったり、傾向というのはあまり見えづらいので、それを資料としてエクスポートして、わかりやすいように伝えるということが仕事内容だと思います。
ーー見逃すことはないのですか
横山 見逃すこともないようにやっていますけど、あったらそれはもう試合終わった後にもう1回見て、という感じで。まず、僕たちが使ってるソフトは試合中に映像を戻せるので。そこで見て見逃したプレーを後から入れてというのはできます。
ーー最初は何回も見返すのですか
横山 最初はコードも出ないし何が起きてるのかもわからないし、みたいな感じなので大変ですね。
ーー普通の練習の時はどんなお仕事をされているのですか
横山 練習の映像を撮って、選手に終わった後共有して、データを出せるような複合的な練習とか、映像を個人で抽出できるような練習は抽出して提供してみたいな。あと、リーグ戦中とかだったら、それ以外の時間は作業スペースがあるので、そこでちょっと作業して、ミーティングとかの準備したりっていう感じですかね。
ーーやりがいはなんですか
横山 僕が思っているやりがいは、やっぱり自分が出したデータとか映像が、選手に役立ってそれが勝利に繋がった時は面白いなという風に思いますね。
小川 やりがいは、今のアナリストチームだったら、颯大さんがアナリストで分析したことを提示する係みたいな感じで、自分は提示するとかはないのですが、それでもやっぱり話して、こういう風にミーティングしていこうとか、話したことがはまったりした時は嬉しくはありますね。
池本 私は選手の方から、「こういうデータとかこういう映像出せない?」みたいに言われて、それを出して、ならこれこうして行こうかみたいに話が進んでいく時にやっていてよかったと感じます。
対談中の横山
ーー逆に大変なことはありますか
横山 大変なことは多いですね。リーグとか大会期間中はやる作業が多いので、シンプルに睡眠時間とか時間が割かれるというのは大変ですし、平日もミーティングに向けたりとかで色々やることもあるので。もちろんみんな学生で授業もあるので、それと両立するっていうのは、スポーツ科学ではないので。スポ科だったらある程度部活に入る人も多いので他の学部よりはやりやすいみたいな感じではあるのですが、そうではない人もいるので、そことの両立はちょっと難しいなって時もありますね。
小川 スポ科でも時間は足りないです。時間が足りないというのがやっぱり1番だと思います。リーグ戦とかだとあまり寝られない時期が2ヶ月弱くらい続くので、そこまで続くと体力的にしんどいなと思うのはちょっとあります。
池本 私もリーグ戦がきつかったのですが、黒鷲旗が1番きつかったです。連日どの相手が、その次の相手になるかとかもわからない状態になってしまうので、その分資料とかも増えてしまってだいぶ大変でした。
横山 黒鷲旗と東日本(東日本インカレ)も大変だよね。去年は早く負けちゃったんで、そんなに。一昨年、1年生、2年生の時の東日本は優勝まで行った時はもう大変でした。
――どうやって乗り越えるのですか
横山 記憶ないよね。乗り越えるというか、もう時が過ぎるのを待つ。時間が解決するのを待つ。
一同 (笑)。
小川 抗えないから。
――人数が少ない分仕事も増えますか
横山 今実働してるのは3人で、あと1年生の加藤(志音、スポ1=長野・松本県ヶ丘)がたまに手伝ってくれています。人数が多いとコミュニケーションを取る回数が増えるので、それはそれでちょっとやりづらいし、少ないともちろん自分のやる仕事が増えるし、という。でも多い方が、他に出せる資料とかデータも増えはするので、追加できるのは人数多い強みですが、少ないともう最低限とか、それよりちょっとくらいしかできないっていうので、やっぱり質が大事になるんじゃないか。
小川 結構ベースの仕事でカツカツになっちゃう。
ーー他の大学のアナリストとの交流はありますか
横山 一応僕たちの学年は、全員どの大学も関東は男子なので、皆仲良くやっていて。特に中大とか日体、順天、慶応は仲が良いので、ご飯行こうぜとか飲み行こうぜと言っているのですが、皆遠いので。中大は近いのですが、でも皆僕の学年は仲良いなという風に思います。
小川 リーグ期間嫌でも毎週末会うので、ある程度やっぱ仲良くはなるかなと思います。一応自分たちもアナリストの同期でご飯行こうみたいな話があったのですが、遠いし、タイミングもオフがバラバラだったりして、結局タイミング合わなくて、2、3回ぐらいもう流れて、結局行けてません。でも仲はそれなりには良いと思います。
池本 私の代も同じ学年の人が多くいるので、試合会場でトラブルがあった時とかはお互い話して助け合えるところは助け合って、みたいにさせていただいています。
ーー別に違う学年の他大学の人と話しますか
横山 全然話します。上の人とかも話しますね。2個上とかも全然。
ーーその中で早稲田のアナリストの強みや、他大学との違いは
横山 他大学がどんな感じかがわからないというところはあるんですけど。でも僕が思うのは、他大学は男の人ばっかりなので、多分9割ぐらい男の人なので、男の人と女の人の目線はだいぶ違うと思うので、それこそ綺麗にするとか細かいところは、女性の方が優れてるなという風に僕は感じてるので、そういう部分はいいんじゃないかなと思うのですが、他大学は選手からなった人が半分以上だと思うので、そういう面では他大学の方がボール出しもできるので良いなと思うけど、でもやってないからこその目線もあるので。松井(泰二、平3人卒=千葉・八千代)先生も言っているのですが、「血を混ぜる」みたいな、色々な人を取り入れてるのが早稲田なので、これはアナリストに限った話じゃないのですが、選手もスタッフもどんな人も色々なバリエーションがあるので、そういうところが強みなのかなと思います。
小川 被る部分はあるんですけど、選手が見やすいデータとかより頭に入ってきやすいとか、そういった質の部分をやっぱどこよりも大事にしてるんじゃないかなというのは思っていて。出して終わりだとあまり意味がないというのは最近つくづく感じているので、そこまでこだわってできているというか、こだわってやらざるを得ないんですけど。そういうことは早稲田の強みとしてあげられるかなと思います。
池本 カメラで最初に映像を撮る際の作業で、画角を綺麗にするとか、映像自体の質とか、そういうことは割と早稲田が1番丁寧にやっているなとは感じていて、細かい質とか、見せる際の見せ方っていうのは1番やっているのではないかなと思います。
ーー大変な中でどうやってモチベーション維持をしていますか
横山 僕は4年生とこれまででだいぶ違っていて、3年生までは自分がこの環境でどこまでやれるかだったり、チームに結果に繋がるところに貢献したいという思いがあったりしたのですが、4年生になるともうやるしかないという感じでやっています。
小川 自分が今の4年生全体にお世話になったので、全日本インカレで勝っていい思いをしてほしいというのが今年のモチベーションです。
池本 私は、去年きつかった時を同期に支えてもらっていたので、それを少しでも返さなければいけないという思いがあります。あと、2年生になってからは他の学年とも会話する機会ができたので、先輩方や後輩のためにも頑張らなければいけないという思いで頑張っています。
ーー今年のチームの状況をアナリストの立場から見ていかがですか
横山 今年は去年試合に出ていた人が出ていないとか、下級生が結構出ているとか、「争う」ということが多いのかな、と思います。これから夏合宿が始まっていくのですが、世代別の代表に呼ばれてそっちで成長している子もいれば、やっぱり早稲田はチームでやっていくのでこっちで成長していく人もいます。前半戦とは全然違う人が出ることが後半戦にたくさんあると思うので、そういう部分で選手がお互いを高めあっていけたらいいと思います。
小川 松井監督からよく「誰が出ても強い早稲田」と言われています。それこそアンダーカテゴリで呼ばれる選手がいたり、早稲田のチームの中で頑張っている選手がいたりして、本当に個人よりもチームとして強いかどうかというのが求められています。個人的に、これまでよりも「誰が出ても強い早稲田」を体現しようとしている感じがしています。
池本 どの選手も強みになるプレーがあると思うのですが、それ以外のプレーもどれもうまくなっていると感じます。今年の4年生は練習前に練習の目的を説明してくれるのですが、それを実際に選手たちが練習を見ながらアドバイスし合っているので、かなりスキルの面も上がっているのかなと思います
ーー他大で早稲田の時にだけ急に出てくる隠し玉みたいな選手はいたりしますか
横山 逆はいましたね。僕の1学年上に明治大学の坂本雄大さん(ヴィアティン三重)という選手がいたのですが、その人は他の試合はスタメンで出ているのに僕が2年生の時は早稲田戦はベンチ外でした。聞いたら「俺が出ても意味ないからな」と言っていました(笑)早稲田の戦い方に対して戦ってくる大学は結構あります。どの大学も色があるので、他の大学に対してはやっていないけど早稲田にはやってくるな、というのはよくあります。
小川 事前に予想していた傾向が、早稲田に対してだけ違っているというのはあります。試合中にインカムを繋げているのですが、それで臨機応変に対応していかないといけない場面があります。
池本 早稲田と戦う前のスタメンは全部チェックしているのですが、そこに出ていなかった人が早稲田戦でいきなり出てくるとデータがあったかどうか焦ります。
ーー選手に伝えたいことがあれば教えてください
横山 ある?(笑)僕は同期がラストなので、最後まで一緒に頑張ろう、という感じですね。
小川 ずっとパソコンに向かって仕事していると気が狂いそうになるので(笑)、その時に「ボール拾い手伝って」とか言ってもらえると、自分的には気分転換になるのでもっと呼んでください(笑)
一同 (笑)
池本 選手からしたら、アナリストの仕事は出てきたデータを見るだけでいいのに、「それはどういう仕事なの?」と同期が聞いてきてくれることが多いので、すごくありがたいなと思っています。
対談中の小川
ーーアナリストとしてどのように全カレまで貢献していきたいかを教えてください
横山 僕は夏合宿終わったら秋リーグ戦で11試合、で全カレその間に天皇杯予選とか、あと早関戦とか早慶明とか色々ありますけど、あと20試合もないぐらいなので、自分が持ってる力を全部出してチームに貢献していきたいなと思います。
小川 夏合宿が終わってから全カレまで、これまでの体感的に本当にあっという間に終わっちゃう感じがするので、体力的にもハードにはなってくるんですけど、そうなった時に例えば手を抜くじゃないですけど、そういう部分が自分の弱みでもあると思うので、そういうところなくして、全体的に自分の仕事のクオリティを上げた状態でキープできるように全カレまで頑張りたいと思います。
池本 私は資料を作ったり、映像を取ったり、準備をしたりの細かい作業が割と多くはなるんですけど、そういう仕事をする際に先輩たちが重要なデータとか打ってる時にできる限り助けになれるように、事前の準備とかをしっかり怠らずにやっていきたいなと思ってます。
ーー今後の目標は
横山 人の役に立てるような、社会の役に立てるようなことを目標として日々を頑張っていきたいなと思います。
小川 この部に入ったからこそ経験できたことがあって、人間性を高めるっていうのが、この部として活動していく上で1番大きい目標というかがそこにあるので。
でも実際自分も成長できたなって思う部分はあるので、そういったところを社会に出て、で辞めてしまうんじゃなくて、それを継続することが、人の役に立ったり、感謝されたりするような行動ができると思うので、そういう人間を目指していきたいと思います。
池本 私はアナリストとしてデータを扱っていて、大学の方でも社会学で統計を専攻しているので、データを見るということを人のために生かせればなとは思ってます。
ーーありがとうございました!
(取材、編集 井口瞳、森若葉、山口愛結)
◆横山颯大(よこやま・そうだい)※写真右
2003年6月18日生まれ。169センチ。東京・早実高出身。教育学部4年。ラスト4ヶ月、自分の持っている力を全部出して最後までチームを『支え』ます!
◆小川唯(おがわ・ゆい)※写真左
2004年12月27日生まれ。156センチ。岐阜高出身。スポーツ科学部3年。目の前の結果にとらわれず、過程を大事に、『質』を高めて全日本インカレまで頑張ります!
◆池本菜緒(いけもと・なお)※写真中央
2005年7月26日生まれ。152センチ。東京・広尾学園高出身。 文学部2年。『為』せば成るという言葉を大事に、下級生として先輩方の手助けが出来るように頑張ります!