大学で「何かに本気で打ち込みたい」と思っていた岸本恵果(人4=鹿児島中央)。同学年の川副楓馬(スポ4=熊本・文徳)の友人の紹介で相撲部を見学したことをきっかけに、1年生の12月にマネージャーとして入部した。「部員の雰囲気が温かく、自然体でいられる空気に惹かれた」と語る。当時は先輩マネージャーが休部中で、試合も少なかったため、監督や部員、同学年の鈴木大介(法4=埼玉・早大本庄)にちゃんこ鍋の作り方から丁寧に教わりながら、少しずつ仕事を覚えていった。

鈴木(左)岸本(右)
高校でもサッカー部のマネージャーを務めていたが、その頃は「仕事をこなすこと」で頭がいっぱいで楽しむ余裕がなかった。大学ではその反省を踏まえ、決まりに縛られすぎず、コミュニケーションを大切にしながら柔軟に動くことを意識した。自由な風土の相撲部だからこそ、部員と話し合いながら、自分らしいサポートの形を模索できたという。大会や練習では、ちゃんこ作りや食事の準備、競技スポーツセンターとの連絡、試合申請、プログラム作成、サポーターズクラブへのチケット配布など、多岐にわたる業務を担当した。特にメールは「スピードと正確さ」を徹底した。
鈴木、川副とは「なんでも言い合える」関係で、相撲場に来れば自然といじり合える独特の空気があった。3年時に川副が主将、岸本が主務となり、同級生として部を支える責任を強く感じた。4年になると上級生が抜け、「三人で部の中心を担う自覚がより強まった」と振り返る。

取材に応じる岸本
しんどさを感じた時期もあったが、4年間を通して最も大きかった学びは「見えないところで支えてくれる人の努力に気づき、感謝すること」だった。サポーターズクラブの総会など大きなイベントでは、監督、競技スポーツセンター、OBの方々が膨大な時間をかけて準備していることを知り、その存在の大きさを実感した。また、会計を務めながら選手としても活動していた鈴木の苦労に、当初気づけなかったことを反省し、「人の努力を見逃さない人間になりたい」と強く思うようになった。
最後のインカレは、部員、監督、OB、サポーターズクラブへの感謝を胸に臨んだ。相撲部での4年間は、ちゃんこ作りから大人とのメール対応まで、初めての経験ばかりだった。しかし、相撲部は失敗を切り捨てず、学びの場を与えてくれる温かい環境だったという。
今後は「いろんな立場の人のことを考え、感謝を忘れない人間でありたい」と語る岸本。仲間と笑い合いながら支え合った日々は、確かな自信と成長をもたらした。
記事、インタビュー 鳥越隼人/写真 池田健晟