全4回でお送りする、相撲部インカレ直前対談(注:インカレとは、全国学生選手権のこと。ことしは東京・両国国技館で開催)。第2回に登場するのは、内田京汰(社2=静岡・飛龍)と剣持京吾(スポ2=神奈川・県立光陵)の2人。新監督や立ち合いのルール改定など、環境の変化が多い中でどのように相撲に向き合っているのか。2人の中には、変わったことと変わらないことが入り混じっているらしい。

インタビューに応じる剣持(左)、内田
――まずは、お互いのことを紹介してください
内田 彼の名前は剣持京吾です。スポーツ科学部2年生で、小学生の頃に相撲を少しやっていました。そこからやらなくなって、高校はハンドボールをやっていたんですけど、大学になってまた相撲をやりたいって言って相撲部に入部して。寮では部員みんなで彼の部屋に入り浸っているんですけど、みんなからすごく頼られる存在というか。みんなに好かれています。
剣持 内田京汰は社会科学部の2年生で、小1からずっと相撲をやっていて。出身は静岡県の焼津市で、飛龍高校で相撲をしていました。わんぱく相撲全国大会とかですごい実績がある。学部は違うんですけど寮が一緒で、休みの日はよく一緒に遊んだりご飯を食べに行きます。
ーーお二人ともことしで相撲部2年目となり、初めて後輩ができた年になりました。ことしの相撲部の雰囲気はいかがですか
内田 とても良い環境で相撲をできているなって思います。去年よりも声を出して、みんなで高め合っている感じがするので、かなり質の良い稽古ができているんじゃないかなと思います。
剣持 1年生はみんな結構強くて、いい刺激をもらっています。普段1年生と2年生で仲良くしていることが多いんですけど、後輩っていうよりかは友達に近い感覚で一緒に生活できているなと思います。
「早稲田の良いところが受け継がれている」
ーー初の女性部員(篠原茜、社1=東京・大妻)や新監督(橋本侑京監督、平31スポ卒=東京・足立新田。監督は現役選手としても活躍中 )といった、新たな風の影響はありますか
内田 変わったのかな(笑)。僕も2年目なのでそこまで変わったっていう印象はないんですけど、監督が代わったことで、また新しい体制というか。今までのいいところも合わせて、全体的に良くなっているな、一新されて良くなったなっていう感じはしています。
剣持 変わったように見えるんですけど、雰囲気はそんなに変わっていなくて。早稲田の良いところが受け継がれているなって思います。あと今の監督は現役の選手でもあるので、技術的な指導とか、結構実践的なアドバイスをしてくれます。本当にありがたいですね。
ーー2年生になって、より複雑な講義が増えたと思いますが、部活動と学問の両立はいかがですか
内田 僕は、僕「は」(笑)、両立できていると思うんですけど…
剣持 自分なりに努力をして僕は頑張っていますね(笑)。僕ら2人ともバイトをしていて、学業と相撲を合わせて3つ両立できている自負はあります。
内田 でも監督からは、勉強と相撲を両立できないやつはバイトしちゃだめだって言われているので。(剣持を見て)ちょっと勉強の方を頑張りたい…
剣持 僕は学業につながるバイトをしているので(笑)
内田 まあまあまあまあ(笑)
ーー内田さんは早稲田キャンパスと東伏見キャンパスを頻繁に行き来されていると思いますが、移動時間は何をされていますか(注:内田は社会科学部。相撲道場は東伏見にある)
内田 その時間を勉強に使っている、って言ったらかっこよく見えますけど(笑)
剣持 嘘じゃん
内田 嘘で(笑)、ずっと音楽を聞いています。リラックスして、HIPHOPとかを聞いています。今だったら、Kohjiyaっていうラッパーがいるんですけどすごく聞いていたかな。今も聞いてますけど。
剣持 何の曲を聴いてるの?
内田 にわかがバレる(笑)

インタビューに応じる剣持
ーー剣持さんはHIPHOPをよく聴かれるのですか
剣持 何でも知っています(笑)。でも所沢キャンパスには、同じ学部の1年生2人(相撲部の岡本塁(スポ1=兵庫・報徳学園)と横山司(スポ1=東京・足立新田))と3人で行くことが多いですね。大体喋ったりして、気づいたら到着しています。音楽も聞きたいんですけど、ずっと僕の部屋でたむろしているやつがいるので。
内田 (笑)
剣持 あんまり音楽を聴く時間がないです。
内田「だいぶ自信がついた」
ーー今年度ここまでのご自身の成績はいかがですか
内田 僕がことし掲げた目標は、団体と個人で全国入賞なんですけど。団体は東日本(東日本学生選手権。6月に東京・両国国技館で開催)で10位、個人だとベスト8までいったんですけど、あと一勝っていうところで負けちゃったので入賞に届きませんでした。あと一歩地力をつけなきゃ、もっと稽古をしないと、頑張らないとなって思いました。
剣持 僕は去年手術した足首をずっと痛めていたり、1カ月前ぐらいのリーグ戦(東日本学生リーグ戦。9月に東京・靖国神社相撲場で開催)で脳振とうになったりして、あんまり満足できてないっていうのはあるんですけど。まだ2年目なので、そしてあと2年ちょっとあるので、しっかり稽古していきたいと思います。

東日本学生個人体重別選手権(7月、東京・靖国神社相撲場で開催)に出場した内田(土俵上左)
ーー今年度が始まってから、一番印象に残っている取組を教えてください
剣持 金沢大会(全日本大学選抜金沢大会。7月に石川県立卯辰山相撲場で開催)です。3、4カ月くらい突き押しを練習してきて、それががっちりはまった感じがしたんですけど、負けてしまいました。それでも、立ち合いを含めて一番いい感じにできたかなと思っています。
内田 金沢大会で、日大の川上さん(竜昌、4年)とベスト16決定戦で当たったときの一番が記憶にあります。いままで強い選手と当たっても勝てないというか、自信がつかなかったところを、その一番に勝てたことでだいぶ自信がついたかなと思っています。とても記憶に残った一番でした。頑張れば上を目指せるのかなって感じて、気持ちが変わりました。
ーーことしから立ち合いのルールが改正されました。何か影響はありましたか(注:詳しくはこちら)
内田 以前からしたら結構変わったんですよね。ただ僕は相手より先に手をつくタイプなので、あんまり変わることはなかったかなと思いました。
剣持 僕も先に手をつくので、タイミングが取りづらくなったかなと思いますね。相手ではなく審判に合わせるので、1年前までとタイミングは違いますね。だんだんみんな慣れてきたなって思っています。
大村さんへの思いは「誰にも負けない」
ーーインカレであと2週間です。現在特に意識して稽古していることは何ですか
内田 そこまで焦っているわけじゃないですけど、いまは自分の相撲を取るために、攻めの相撲を研究していますね。あと2週間、間に合うか分からないですけど、間に合わせるように一番一番集中して頑張っていきたいです。
剣持 僕はリーグ戦で脳振とうになってしまったので、インカレに出るか分からないですけど、できることをちょっとずつやっていければなと思っています。チームのサポートをしたいです。
ーーリーグ戦が終わって1カ月ほど経ちますが、体調はいかがですか
剣持 本調子の2、3割ぐらいですね。四股を踏むだけでちょっと頭に響きます。
ーー大村さん(晃央、社4=静岡・飛龍)と共にする、最初の最後のインカレです
内田 大村さんとは高校も同じで、そのときは寮の部屋まで同じでした。ずっと一緒に付き添ってきたので。いや付き添わせてもらっている、っていう感じなので(笑)。大村さんと一緒に戦うのはラスト、っていう思いは誰にも負けないと思います。大村さんのためにも、チームを勝たせたいという思いがあります。
剣持 普段の稽古でも大村さんが引っ張っているというか、率先して自分から稽古したり、声を出したりしてくれているので。あと2週間っていう少ない時間ですけど、できるだけ稽古に集中したいですね。
ーーさいごに、インカレの意気込みや目標を教えてください
内田 僕は個人・団体ともに入賞を目指してインカレに臨みます。相撲内容の目標は、攻めの相撲で勝つこと。それがサブミッションです。
剣持 僕はことしのインカレに照準を合わせてきたんですけど、ケガをしてしまったので治すことが最優先。インカレは多分出ないと思うので、チームを盛り上げて裏から支えるようにしたいと思います。
(取材・編集 中村環為、写真 上野慶太郎、田部井駿平)

◆内田京汰(うちだ・きょうた)※写真左
静岡県・飛龍高校出身。社会科学部2年。相撲部唯一の4年生、大村さんと同じ高校出身で、高校時代も現在も寮の部屋が同じだそうです。「大村さんと一緒に戦うのはラスト、っていう思いは誰にも負けない」と、熱い思いを語っていただきました!
◆剣持京吾(けんもち・けいご)※写真右
神奈川県・県立光陵高校出身。スポーツ科学部2年。寮での剣持さんの部屋は、相撲部員のたまり場となっているとのこと。相撲部員1、2年生でサウナに行くなど、プライベートでの交流も活発です!