「相撲を取るのが大好き」相撲部インカレ直前対談2024 第1回 岡本塁×横山司【連載】

相撲特集

 全4回でお送りする、相撲部インカレ直前対談(注:インカレとは、全国学生選手権のこと。ことしは東京・両国国技館で開催)。第1回に登場するのは、岡本塁(スポ1=兵庫・報徳学園)と横山司(スポ1=東京・足立新田)の2人。同じ学年、同じ学部、そして相撲部の同期として、早大に入学した理由や安治川部屋での合同稽古についてまで伺った。

――まずは、お互いのことを紹介してください

岡本 スポーツ科学部の横山司くんです。筋トレに最近ハマり出していて、トレーニングについて僕に質問してきます。サウナが大好きです。

横山 同期の岡本塁くん。スポーツ科学部1年で、自分と同じくサウナが好きです。昨日も一緒に行ったりして。あとは筋トレも好きで、最近よく英語の勉強をしているんですよね。加えて読書もしている。なんかすごい真面目な雰囲気を出している(笑)、っていう同期ですね。

――早大入学以前から面識はありましたか

横山 いや、そこまでですね。

岡本 たまに試合会場で見かけるくらい。

横山 負けたらちょっと会釈する感じ。本当に何も知らなかったです。

――学年や学部、部活が同じということで、プライベートでの交流が多い印象です

横山 やっぱり部活動内の関係だけではなくて、寮がみんな一緒ですし。剣持さん(京吾、スポ2=神奈川・県立光陵。相撲部員)の部屋にみんなで集まって、そこですごい喋ったりとか。また2年生2人と昨日サウナに行ったんですけど、それぐらいプライベートでも遊ぶような機会はたくさんありますね。

岡本 みんな仲良く遊んで、結構暴れ回ってますね(笑)

――お二人ともことしから寮生活がはじまりましたが、高校生活と比べていかがですか

岡本 門限も特に決められていなくて。1人部屋で自分のプライベートな時間があるので、結構過ごしやすい。なんなら実家よりも暮らしやすいかもしれないです(笑)。

横山 1人部屋っていうのもありますし、なにより寮の人たちがみんな優しいので。それこそ寮長や寮母さんも優しく接してくれたりとか、「困ったことがあったらすぐ言ってくれよ」と言ってくださったりとか。本当に過ごしやすい環境だなと思います。

――寮生活をはじめ、他の体育各部の方々との交流はありますか

岡本 最近はレスリング部の金澤くん(空大、スポ1=千葉・日体大柏)と話します。リーグ戦(東日本学生リーグ戦。9月に東京・靖国神社相撲場で開催)に来てくれて、そこから仲良くなって(注:欠員補充のため、金澤が先鋒として団体戦に出場した)。一緒にご飯を食べたりするようになりました。あと授業が一緒のアメフト部員とも仲良かったりするんですよ。ただ司(横山)の方が他の部との交流が多いですね(笑)。

横山 たとえば必修科目を受けるなかで、ア式(ア式蹴球部)のメンバーと仲良くなったりとか。寮生活だったらア式とか、ハンドボールとかアメフト、レスリングとかいろいろですね。なので大学ですれ違ったときに「今どうしているの」みたいな会話をしますね。

――改めて、現在の相撲部の雰囲気を教えていただきたいです

岡本 すごく良い雰囲気です。監督(橋本侑京監督、平31スポ卒=東京・足立新田。監督は現役選手としても活躍中)がいなくても、自分の練習をしてしっかり追い込めていると思うので。本当に良い環境だなと思っています。

横山 雰囲気の切り替えというか。しっかり強弱をつけながらやっています。あと稽古が始まったら、先輩後輩関係なく「ああした方がいい」「こうした方がいい」とか。そういった意見の出し合いができるものも早稲田の強みだと思います。また監督がいないのは平日なので、平日にどう過ごしたらいいかとか、自分で考える時間がたくさんあるので、その時間もみんなそれぞれ有効活用しているかなと思います。

――監督はプレイヤーとしてもご活躍されているとお聞きしました。監督と胸を合わせる稽古もあるそうですがいかがですか

岡本 やっぱり強いですね。的確な指示をしてくださって、とにかく一緒に相撲を取れることは刺激になります。監督には負けちゃ駄目っていう。

――横山さんは監督と同じ足立新田高校出身ですよね

横山 そもそも自分が小さいとき、監督のお母さんに誘われたんです。「相撲やりませんか」って。監督のお母さんに話かけられなかったら、自分は相撲をやっていなくて。そのうえ監督と自分は荒川出身で、過ごしてきた環境も同じなので。監督というより、自分の中では優しいお兄ちゃんのような、年の離れたお兄ちゃんのような感じですね

――監督の存在が早稲田の相撲部を選んだ決め手なのでしょうか

横山 それもありますね。監督が身近にいるだけで、過ごしやすいっていうのもあります。監督をはじめ、早稲田で強くなった方がたくさんいるので。また、自分の時間もすごく欲しかったというか、それもあって早稲田に来たという感じですね。あとア式とかアメフト、レスリングとか横のつながりがあったらいいな、っていうのはあったんです。ほかの大学からもスカウトをもらいました。もちろん個人差はあるかもしれないけど、他大だと常に相撲部員と一緒に行動すると思うんですよね、相撲部に縛られるような。だったら大きな大学で、人とのつながりも多いし、そして横のつながりも大切にしたいなと思って、早稲田に来ました。

――岡本さんが早稲田の相撲部を選んだ理由は何ですか

岡本 早稲田は学生の自主性を大切にしていて。また僕自身、あれやれこれやれって指示されるより「こうしたらいいんじゃないか」「ああしたらいいんじゃないか」って自分で考えて試すことが結構好きなので。早稲田と自分が結構合うなと思って選びました。

――今年度が始まってから、ここまでのご自身の成績や大会を振り返っていかがでしょうか

横山 東日本(東日本学生選手権。6月に東京・両国国技館で開催)がデビュー戦で、自分の中で最低の成績だったんですけど。そこから徐々に金沢(全日本大学選抜金沢大会。7月に石川県立卯辰山相撲場で開催)だったりとか、リーグ戦だとか、徐々に自分の中で相撲を取れてきてる部分もあるので。1年生の間は全然捨てだと思ってないんですけど、自分の気持ちを上げていくっていうのも大切な部分かなと思っていました。次のインカレでは今まで上げてきた部分をとりあえずぶつけて、それが結果につながらなかったとしてもためになるようなことばかりだと思うので、それを意識して頑張っていきたいなと思います。

岡本 高校のときに想像していたより結果を残せてないっていう状況です。金沢も個人体重別(東日本学生個人体重別選手権。7月に東京・靖国神社相撲場で開催)もあんまり良い結果を残せていなかったのですが、そこからどんどん調整して、リーグ戦で手応えがあったので。インカレまであと2週間ぐらい調整して、もっと納得できる結果が出せるように頑張りたいと思っています。

――今年度が始まってから、一番印象に残っている取組を教えてください

岡本 一番は宇佐大会(全国大学選抜宇佐大会。5月に大分・宇佐市総合運動場相撲場で開催)で東洋大学と当たった時に、オトコンバト選手(3年)にうっちゃりで勝ったことが印象に残っています。高校のときにインターハイで戦ったのですが、そのときは負けて。大学でリベンジできました

横山 一番印象に残っているのはやっぱり日大の花岡(真生、4年)選手。ここ半年で合計3回ぐらいやっています。東日本で当たったときは、正直どれだけできるんだろう、でもある程度通用するだろう、ってちょっと生半可な気持ちで行ったのがすごく裏目に出たというか。ちょっと実力遠いな、近くないなと負けて思ったんです。それがすごく印象に残っています。

――夏にはレスリング部やアメフト部と合同稽古をされていました。そのなかで得られたことや学びになったことがあれば教えていただきたいです

横山 将来的にはプロの世界にももちろん行きたいですけど、その後に指導者になりたくて。そのための指導力がすごく身に付きました。レスリングやアメフトの部員は相撲の初心者なので。何をアメフト部を教えたらアメフトに生かせるかとか、どんな動きをしたらレスリングの動きに通用するかとか、そういったことを考えながらやっていましたね。例えばですけど、アメフトだったら瞬発力が必要なので、相撲における立ち合いの瞬発力、そういった力の入れ具合を教えたりしていましたね。

岡本 初心者に教えることって、あんまりないじゃないですか。自分も初心者の時期があったんだなっていう(笑)。その初心を思い出す感じでした。

――レスリング部やアメフト部との合同稽古に加え、安治川部屋との合同稽古もされていました。そこでの横山さんのみなぎる闘志が印象的です

横山 相撲を取るのが大好きなんですよ。もちろん見るのも好きなんですけど、何より自分は相撲を取りまくるのが好きで。取って取って、通用する通用しない。負けた勝った、もう痛いとかあっても気付かないみたいな。もう気合が入れば入るほどハイになってくるんで。何よりプロのお相撲さんと稽古できる機会も滅多にないので。そういった機会をいただけるっていうことは、すごく大事にしないと。あとはケガしたら終わりなので、ケガをせずにどこまで良い相撲が取れるかを意識しながら、気合を入れてやっていました。

――安治川部屋には、新十両昇進が決定した安青錦関が所属していますよね

横山 1回しか当たっていないのですが、やっぱり何もできなかったです。もちろん1回しかやっていないのはあるんですけど、でもこの一発で終わってしまう世界なので。それに対して何もできなかったっていうのは、自分の実力がまだ伴っていないっていうのもありますし、「まだまだだな」と痛感した一番ではありました。

岡本 その前の大会(東日本)でケガしちゃっていて、見学しかしていないんですけど、安青錦さんと元々知り合いで。お友達って言ったらあれなんですけど(笑)。彼が入門前のときに、関西大学や自分の高校にも練習しに来ていたのですが、そのときも全然勝てなくて。プロの世界に行って、ますます体も大きくなっているしがっちりしている。すごい頑張ってるなと思っています。

――インカレであと2週間です。現在特に意識して稽古していることは何ですか

横山 意識しているのは、やっぱり下半身と上半身のバランスですよね。自分の体重が重い分すぐに崩れたりとか、足が前に出なかったら何もできないとか、言い訳っぽくなるんですけど、ブランクがすごいあって未だに感覚が鈍りすぎているというか。足と上半身がうまく合致しないときがすごくあって、それをどうにかしようと思ってここ半年やってきました。ことし最後の大舞台ということで、インカレではそこを徹底して、その中でいい相撲を取りたいなと思っています。

岡本 意識していることは、まず立ち合いでしっかり当たること。あと左前みつ取って、ていう自分の形を意識することで、インカレ2日間とも100パーセントのパフォーマンスを出せるように。もちろんストレッチや体のケアをしっかりして、自分の力を出し切れるようなコンディション調整も意識しています。

――相撲部唯一の4年生である大村さん(晃央、社4=静岡・飛龍)と共にする、最初の最後のインカレです

横山 一言で言うとすごくお世話になっていて、「大村さんがいての日常」みたいになっています。最後の恩返しじゃないですけど、良い気持ちで終えられるようなインカレにしたいなと思っています。

岡本 大村さんには日頃からお世話になっていて、稽古のときも盛り上げ役というか、すごく良い雰囲気を作ってくださいます。大村さんが稽古にいるときといないときでは全然雰囲気が違くて。インカレが終わったら「もう引退する」と言っていたので、ちゃんと結果を残せるように自分も全力で頑張りたいと思います。

――団体戦では、大村さんを中心にチームの雰囲気が作り上げられているというか

横山 大村さんが本当に明るくて、ハッスルで元気がある、みたいな。そういう人がチームに1人いるだけで雰囲気がぐんと上がって、自分が落ち込んだとしても、それを上回ってくるような気がしています。大村さんを中心に自分たちも戦っている、みたいな。そういったチームですかね。

岡本 試合のときも的確なアドバイスをくださって。とても元気をもらう。場を盛り上げる力がすごいですよね。

――さいごに、インカレの意気込みや目標を教えてください

横山 団体戦はAクラスからスタートなので、しっかり1勝して、決勝トーナメントに残ることがまず第一の目標です。個人的な目標は、今まであまりうまくいかなかった部分を修正して、良い結果を残していきたいです。

岡本 団体戦の目標は、今年の初めにチーム目標で決めたベスト4に入ること。自分個人としては、12月の天皇杯(全日本相撲選手権。東京・両国国技館で開催)に1年生から出たいなと思っているので、その出場資格である個人ベスト8以上を目指して頑張っていきたいと思います(注:天皇杯出場可否は、1年間で出場した大会結果によるポイント制で決まる。岡本の場合は、インカレ個人ベスト8以上で天皇杯出場権が得られる)。

(取材・編集 中村環為、写真 上野慶太郎、田部井駿平)

◆岡本塁(おかもと・るい)※写真左
兵庫県・報徳学園高校出身。スポーツ科学部1年。5人制団体戦では大将として出場。本人曰く「重圧をあまり感じないので、大将として一番最後に出場するよう指名されている」そうです!

◆横山司(よこやま・つかさ)※写真右
東京都・都立足立新田高校出身。スポーツ科学部1年。5人制団体戦では副将として出場。ケガ明けのため、6月の東日本学生選手権が大学デビュー戦。「心体」に磨きをかけ、大会を追うごとに調子が右肩上がりです!