【連載】早慶クラシコ特集『Refuse to Lose』【第14回】ア式副将インタビュー 植村洋斗

ア式蹴球特集

 第14回には今季のア式蹴球部(ア式)で副将を務めるMF植村洋斗(スポ4=神奈川・日大藤沢)が登場。昨年プロに内定した中、今季はここまでリーグ戦ではPKの1得点のみと、結果を残すことが課題だという植村。1部昇格というチームの目標に向け、今年中にJリーグのピッチを踏むという個人の目標に向け、今見据えてることに迫りました。
※この取材は6月8日にZoomにて行われたものです。

 

去年の方がチームを勝たせられる選手に近かった

ボールを運ぶ植村

 

――個人のプレーについて、今季振り返っていかがですか

植村 ケガからのスタートでシーズン最初から合流できなかったです。合流してからもなかなかコンディションの面で上がってなくて、結構自分の中で悩みながらプレーしてたんですけど、最近になって徐々にコンディションが戻ってきてて、昨シーズンとは違ってトップ下での起用が増えてる中で、結構自分の中でもプレーしながらトップ下のポジションをつかみながらやってるって言う現状ではあります。もっともっと良くなるのかなと思いながらプレーしてます。

――3年生noteより「周りからは点を取るキャラではないと言われる。でも心の中では点が取りたいと思っていたのが本音」とありました。今季のプレーからご自身でどう評価されていますか

植村 結果にも現れているように点は取れていません(6月8日時点)し、そこはまだまだ自分の課題だなというのは思います。コンディションが戻ってないっていうのは言い訳ですし、日頃の練習から得点、結果っていうのに日頃からどれだけ自分で意識して取り組めるかというところで、結果は見えてくると思うので、そこはもう一度自分の中で意識高く持ってやっていく必要があるなと感じています。

――今季はケガの影響で青学大戦(△1-1)からの出場でしたが、現在のコンディションを見て、どういったことを意識していましたか

植村 ケガの期間がかなり長かったので、やはり復帰してからなかなか思うようなプレーができなかったっていうのはありました。けど、練習をやっていくなかでプラスアルファ軽く走るとか、体力面のほうを重点的にやるようにしていたので、そこら辺は意識してやってました。

――大学生活入って初めての離脱だと思いますが、その中で離脱してた期間で考えが変わったところはありましたか

植村 早くサッカーをしたいなとうずうずしていました。ケガの期間、どれぐらい自分に向き合えるかで今後これから変わってくると分かっていたので、筋トレの量とかは意識して増やしていましたけど、復帰してみてコンディション面で苦しい面はあるので、今そんな感じですね。体幹とかもかなりしていました 。

――個人の課題はありますか

植村 一番は結果のところです。ずっと言ってますけど、なかなか取れてないので、そこを一番の課題として挙げています。あとは課題ではないかもしれないですけど、勝ってはいるものの内容は自分たちの求めるサッカーとは程遠いですし、そこの中心に自分がいるべきだと思うので、そういった意味でもチームの中心となってゲームをコントロールできればいいかなと思いながらプレーしています。

――昨年に引き続き、10番を背負われていますが、試合中にプレッシャーは感じますか

植村 プレッシャーは特に感じないですけど、やっぱり10番をつけさせてもらっている以上はチームを勝たせる存在でいなきゃ行けないと思うので、そういった意味でまだまだ10番として役割は果たせてないと思いますし、本当は8番とかがいいんですけど、高校からずっと8番で、好きな番号で。人生で10番を付けたの初めてなので、プレッシャーとかはなかったけど、頑張んなきゃいけないという気持ちです。

――どういう経緯で10番に決まりましたか

植村 前監督(外池大亮氏、平9社卒)からLINEで10番を任せると。頑張りますと返しました。本当は8番がいいなと思ってたんですけど、もしかしたら10番あるなと思っていたら、前監督からLINEが来たので頑張ろうという感じです。

――現在背番号8番の福井寿俊選手(文構4=東京・国学院久我山)と交換してもいいなって思いますか

植村 福井付けますかね(笑)。付けたがりますかね、全然渡します。

――成長できたところはありますか

植村 大学3年半くらい通して、2年時が1番成長できたかなと思っています。それは守備の部分とか自分の課題に対して向き合うっていうところをその当時すごく向き合わされたというか、そういうのがあったので一番成長できたかなと思うんですけど、今シーズンは一番上となって立場が変わった中で、キャプテンマークをつける試合もあり、やっぱりそういうチームをまとめる力とかそういった意味での立場的成長というか、副キャプテンに置かれてチーム全体を見るとか、プレー以外の成長はあったかなと思います。あとはトップ下をするようになってから、プレーの幅というか、いろんなポジションできるようにというのはジュビロ磐田でも求められているので、そういった意味でもいろんなポジションができてプレーの幅は広がったのかなと思います。

――攻撃と守備、両方できるようにとかなりnoteで書かれていたりしたんと思うんですが、現状をどう評価されていますか

植村 大学に入った時に比べて、その時は攻撃しかしてこなかったので、そういった意味で守備は自分の中で一つの武器になりつつあると思いますし、10番のポジションをやる以上は守備も攻撃も両方できないと試合では使ってもらえないというのは上のレベルに行けば行くほど感じる部分はあるので、両方できて得しかないなと思います。その中で自分は攻撃の方が好きなので、攻撃で違いを出さなければいけないと思っています。

――1年時のnoteより「チームを勝たせられる選手になる」とありましたが、チームを勝たせられる選手に近づけていると実感はありますか

植村 実感はどちらかというと去年の方があったのかなと思っています。去年は結果は出なかったですけど、やはり存在感という意味では去年の方が自分の中ではやってて出せたのかなと思いますし、そういった意味では去年の方がチームを勝たせられる選手に近かったのかなと思います。今シーズンは2部に落ちてレベルとかあるにせよなかなか自分もやってて満足いくプレーっていうのはあんまりないですし、そういった意味でまだまだ勝たせられる選手にはまだまだ遠いかなと思います。

――チームとしてリーグの結果をどう感じていますか

植村先週(立正大戦、●2-4)で負けて順位は下がりましたけど、自分たちの目標としている昇格というところには可能性は全然ありますし、そこを取れるだけのメンバーもいると思うので、そこは本当に絶対条件ってよく言われますけど、昇格に向かってやっていくしかないと思います。でも内容を見た時にまだまだ自分たちのやりたいサッカーはできていませんし、これが正直2部で良かったかなと思いつつも、やっぱり自分の中では内容もこだわりたいと思いますし、内容も伴った上で勝つっていうのがやっぱりチームとしても自分としても満足するものだと思うので、内容ってところをこだわって昇格できればいいなと思います。

――今季,決定力不足や、立ち上がりが課題として上がっていますが、どう改善していきたいと考えていますか

植村 立ち上がりのところは去年も課題でしたし、それに向き合ってアップとかも変えたりしてるんですけど、なかなか改善ができないので、そこは1人1人の意識だったりとかで変えていくしかないと思います。難しいですけど、いろいろトライしてやってみる必要があるかなと思います。

――兵藤監督(兵藤慎剛監督、平20スポ卒=長崎・国見)が立ち上がりについて「逆に意識してしまっている、どっしりと構えるのでは無くやられないようにと焦燥感、不安が募っちゃってるのが良くないんじゃないか」とおっしゃっていましたが、どう分析されていますか

植村 確かにそうかもしれないですし、立ち上がり立ち上がりってみんなも言いますけど、あんまり自分は気にしてなくてやられなきゃいいかなとは思いつつ、チームとしてみたら立ち上がり押されるとやっぱ入りが悪くてなかなかうまくいかないので、まあ変に気にすることなくいきたいです。それこそ今自分たちのサッカーっていうのはなかなかできてない状況ですし、そういった意味で立ち上がり悪くてどんどん引きずっているっていうのがあるので、自分たちのサッカーを貫き通すとか、そういうことをやっていければ立ち上がりも自然と良くなるのかなと思います。

――キャプテンマークを巻かれることが多いですが、試合前に立ち上がりについて声かけされてますか

植村 アップ前の円陣でキャプテンが一言言ってからアップに入るんですけど、自分はそんなに喋るタイプでもないので。でもたしかに自分もいつも立ち上がり立ち上がりって言ってます(笑)。そこで言ってから、試合中はあんまり喋るってよりはプレーでっていう方が強いので試合前のアップで喋るだけですね。

――去年の早慶戦では自身のプレーに納得いっていないというようなお話がありましたが、今年はどのようなプレーがしたいですか

植村 やっぱり早慶戦っていう舞台は特別な場所だと思います。そういった意味で去年もプロ内定後の試合で周りからの見られ方とかはどの試合もそうですけど変わってきますし、そういった意味ではその舞台で自分がどれだけ周りとの違いを見せれるかっていう、見てる人からもあいつやっぱプロだなと思われると思うので、それこそやっぱ結果が一番分かりやすいですし、得点は取りたいなと思いますけど、早慶戦だからといってなんか変えることなくいつも通りのプレーをできたらそれが周りとの違いにつながると思うので、特に考えることなくいつも通りのプレーができたらいいなと思います。

――大学生活最後の早慶戦になりますが、意気込みをお願いします

植村 最後なのでやっぱり勝って終わりたいですし、今年は観客の上限がマックスまで入れるということなので多くのお客さんが来てくれると思います。最後早慶戦勝ってみんなで笑って終われればいいなと思います。

今年中にジュビロでリーグ戦デビューをしたい

PKを蹴る植村

――プロ内定発表から約1年経ちましたが、ご自身の中で成長したこと、変化したことはありますか

植村 プロ内定ということで見られ方は変わるので、毎試合毎試合違いというか、変なプレーはできないなと思ってますし、内定してそこがゴールじゃないっていうのもあります。去年内定してから今1年近くたって、残り大学生活も約半年ぐらい残されて、プロに行く前の段階としてここで練習参加もしてますし、やっぱりプロの強度とかは自分の肌で体感してるところはあるので、それを大学で自分でどれだけ意識して毎日練習取り組めるかでやっぱり来年のプロ行ってからの自分の立ち位置っていうのは変わってくると思うので、常に基準を上に自分の中で置いて毎日やっています。

――現在のチームの雰囲気はどうですか

植村 雰囲気は悪くないな。良いとは言えないけど悪くもないなって感じで、その日によって本当に雰囲気コロコロ変わるので、なんとも言えないですけど(笑)。でもみんながリーグに向かって毎日の練習に取り組めているので、内容はなかなか伴っていない中でも、結果って部分にはつながっているので、すごく良い雰囲気でやれてるなっていうのはあります。

――チームの雰囲気の良し悪しは頻繁に変わりますか

植村 練習のメニューとかにもよります。結構メニューによってはグダグダしちゃう時もありつつ、まあでも最近は本当に1週間いい積み上げができてリーグを迎えているので悪くない雰囲気でやっています。

――グダグダになる時はどういう感じて引き締め直しますか。4年生が主導なのか、監督の声掛けですか

植村 あまりにも良くなかったら監督が強く言ってますけど、最近は言うこともなくなりました。最近は雰囲気悪くなく、良い雰囲気でやれてますし、でもそういう空気になったとき誰かが言うべきなのかなと思いますけど、特にあんまり雰囲気良くなくても言わずに淡々と練習進んでるって感じです。練習後に4年生は毎日振り返りしてるんですけど、明日はこうしていこうと話してって感じでやってます。

――副将になり、変化したことはありますか

植村 立場が変わるので、責任とか、そういったのはふりかかってくると思いますけど、自分の中では特に副将になったからといって考えることなく、自分のやることは試合出て勝たせることでしかないと思うのでそこだけを考えてやってます。

――チームをまとめる上で悩むことはありますか

植村 平松(柚佑主将、社4=山梨学院)がいるので、チームをまとめる役割っていうのは彼がそういう部分ができる人でキャプテンなので、まとめるのはほぼ彼に任せてます。自分はそんなチームをまとめるキャラではない中で、最近は試合中とか平松がベンチスタートで自分がキャプテンでってことがあるので、この間失点した後とかなかなか落ち込んで前に向けないという選手が多かったので、そういう時に自分が声をかけて行く必要があるなと思いながらやる必要があると思いますし、前に比べたら声出してるかなと自分で思いますけど、周りに伝わっているかが分からないのでそういった意味でもこれからチャレンジしていければいいなと思います。

――副将の立場からみて平松主将はどのように映っていますか

植村 彼もオンオフしっかりしてて、結構ふざける時だったり真面目にやる時だったりっていうのはしっかりあります。それは自分にはないものなので、見ててこいつすごいなと思いつつも、いい関係で自分たちやれてるなと思いながら、この間も2人で話した時も一緒に出ようぜみたいな感じで話してるので、関係としては良い関係でやれてるなって思います。

――副将を務めていて、理想の副将像はありますか

植村 理想を言っちゃえば自分が1年時の山田晃士さん(令3社卒=現ザスパクサツ群馬)です。見ててすごいなって思いますし、あの代は本当に全員がすごかったですけど、特にキャプテンとかはチームを引っ張ってたなと感じるので、理想はあれですけど、今の自分にはできないので(笑)。プレーでチームを勝たせられたらいいなと思っています。

――副将として、ピッチ上ではキャプテンとして、心がけていることはありますか

植村 心がけてることは特にないですけど、ずっと言ってるようにプレーで示すっていうところでもっともっと自分でもやれると思いますし、もっと引っ張っていく存在にならないといけないと思うので、練習から本当に自分の課題っていうのは分かっているのでそこに向き合いつつやっていきたいなと思っています。

――座右の銘は「自分らしく」ということですが、今の植村選手にとっての自分らしさとはなんですか

植村 今の自分らしさは周りに流されることなく、自分の思ったように自分が考えるままに動いてるって感じで、プレーでもそうですし、その他の私生活でも自分が今これしなきゃいけないと思うと周りに流されずやってます。ブレることなく、サッカーでもサッカー外でもやれてるのが自分らしさかなと思います。

――現在の注目選手は

植村 前回は怜於(山田、スポ4=神奈川・鎌倉)でしたね。今回は変えて、奥田陽琉(スポ4=柏レイソルU18)で。なかなか苦しんでいると思うんですけど、最近もベンチに入れない中で彼自身多分絶対努力してると思いますし、そういう彼自身大学入ってから苦しいシーズンや、苦しい時を過ごす時が多く、それでもこうやって努力して頑張ってる姿っていうのも既に見ているので、ここから巻き返しをはかってほしいなと思います。

――改めて今季の目標をお願いします

植村 チームとしては日本一、リーグ優勝、昇格を上げてますし求めています。個人としては何回も言うようですけど結果というところをこだわってやっていければいいなと思いますし、もう一つは今年中にジュビロでリーグ戦デビューをしたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材、編集 大濵愛弓 写真 髙田凜太郎)

 

◆植村洋斗(うえむら・ひろと)

2001(平13)年8月26日生まれ。173㌢、67㌔。神奈川・日体藤沢高出身。スポーツ科学部4年。2024シーズンよりJ2・ジュビロ磐田に加入内定。今年もルーティンはマリオカートだそうです!