第2回にはア式蹴球部(ア式)の絶対的エース、駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)が登場。今季はここまでリーグ戦で4ゴールと絶好調のストライカーが、早慶クラシコを前に内に秘めている思いに迫った。
※この取材は6月7日に行われたものです。
自分の中では正直、これくらいはできるという感じ
立正大戦でゴールを決め喜ぶ駒沢
――関東大学サッカーリーグ(関東リーグ)では現在4位に位置しています。まずここまで(関東リーグ第7節終了時点)を振り返っていかがですか
駒沢 想像、というより理想よりは全然下ですね。この前の立正大戦(6月4日、●2-4)で勝てば単独首位でしたし、そういった勝負どころで勝てないというところは昨年から改善ができていない部分なのかなと思います。
――となると改善できていないのは戦術面というよりは精神面ですか
駒沢 どちらか、というより全てですね。
――監督の交代があってやるサッカーも変わってきていると思います。サッカーの内容面について駒沢選手自身はどのように評価されていますか
駒沢 1点も取れなかった試合が山梨学院大戦(4月30日、●0-2)だけですし、昨年に比べれば格段に得点が取れています。昨年は得点が取れない試合が続いたということを考えても、内容面でいうと良くなっていると思います。
――駒沢選手に限っていえば、ここまで出場された試合全てで得点を記録されています。ご自身の中で自分に対する評価はいかがですか
駒沢 自分の中では正直、これくらいはできるという感じですかね。そこまで自分に良い評価はできていないですし、立正大戦でいえば相手のFWの選手は3点決めていて、試合を勝たせる選手という意味では負けてしまったということを痛感しました。もっとそこには、こだわっていやっていかなければならないと思っています。
――チーム、個人両方において、メンタル面以外で言うとどういったところを改善していきたいですか
駒沢 やっぱり立正大戦がターニングポイントというか、自分の中で1番悔しかった試合でした。というのも、PKでの1点を除いた3失点がすべて同じやられ方で、試合中にそういったミスを修正できなかったんです。試合前に戦術面などいろいろと準備をしてくれていますし、それももちろん大事なんですが、やっぱり試合中にどれだけ問題点を修正できるかというところはチームとして大事だと思います。それができずに相手の強みであるサイド攻撃をやらせ続けてしまったというのは、チームとして心から「負けたな」と思わされました。
――ここからのリーグ戦、どのように戦っていきたいですか
駒沢 まだまだ試合はありますし、優勝を目指せる勝ち点差だと思っています。前節(立正大戦)負けはしましたけど、22試合分の1試合ですし、後期で勝てば問題ないので。前期のうちにあの試合ができて良かったかなとも思っています。
――兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)への印象はいかがですか
駒沢 やっぱり指導者以前に一選手としてすごい方なのでリスペクトしていますし、その経験から一つ一つの言葉に重みも感じます。自分たちに真摯(しんし)に向き合ってくれますし、そこに対して自分たちも同じ気持ちで同じ場所を目指そうという気持ちにさせてくれる監督です。
――進路を考えた際に、ユース時代所属していたツエーゲン金沢(金沢)に戻りたいという気持ちはありますか
駒沢 金沢は(自分を)気にかけてくれているクラブですし、プロ選手になりたいので、もちろん金沢はその選択肢としてありますね。とはいえ現時点ではどこにも決まっていないですし、高いレベルで、とにかく自分が目指す目標により近いレベルでプレーできたらいいなと思っています。
早慶戦はア式の1年間の中で一番大事な日
立大戦でPKを蹴る駒沢
――それでは早慶戦の話に移ります。駒沢選手は1年生の頃からスタメン出場得点もされていますが、この試合に対してはどのような印象をおもちですか
駒沢 早慶戦はやっぱり、ア式の1年間の中で一番大事な日って言っても過言ではないくらい、懸ける思いの強い大事な日だと思っています。ピッチ内外でみんなが力を尽くしてつくり上げる舞台で、自分はそこに立たせてもらえているので、すごく感謝しています。1年生の時は関東リーグの慶大戦も兼ねていたので、あそこで決めた得点がリーグ初得点にもなって、本当にあそこから自分が始まったなとも思います。昨年は途中出場で勝利に貢献できたといえど、自分としては物足りないなという感じはあって。それでも早慶戦は本当にたくさんの人が観に来てくれて、学生の皆さんはもちろん、両親や地元の友だちとかも観てくれるんです。そういう意味でも昨年はリーグ順位や得点数を考えても「このままじゃだめだな」と再確認させてくれる試合になりましたし、後期へのターニングポイントになったかなと思います。
――慶大の前線には、今季鳴り物入りで加入したFW塩貝健人選手がいます。駒沢選手とのFW対決も注目ポイントになるのではと思いますが、意識したりする部分はありますか
駒沢 春先に高校選抜とトレーニングマッチをして、自分とは違うゲームに出場していたので同じピッチには立っていないんですが、すごくうまくて印象に残っています。リーグは違うのでまだ戦えていないですが、早慶戦という大きな舞台で戦えるなら、すごく楽しみだなと思います。
――リーグのカテゴリーこそ早大が格上ですが、慶大は早慶戦になるとさらに一段階強度を上げてくる、厄介な相手という印象です。これまでの経験上、慶大はどのようなチームだとお考えですか
駒沢 もちろん簡単なチームではないと思います。早慶戦という舞台はやっぱり本当に特別なので。プロにいっても早慶戦という舞台は体験できないですし、自分はあと2回しかないので、そこに出られるということに対しては感謝の気持ちでいっぱいです。
――期待している選手、注目してほしい選手はいますか
駒沢 松尾(松尾倫太郎、人2=千葉・八千代)ですかね。プライベートでも結構仲が良くて気が合う選手なんですけど、1年目同期で入学した中でア式に入れず、昨年やっとの思いで入部して今季は良いかたちでスタメン出場を続けていて、この前得点も取りました。サイドハーフとフォワードという近い関係の中で、お互いプレー面でもうまくやれていますし、本人にとっても初の早慶戦ということで気合も入っているはずなので、ぜひ期待してほしいですね。
――では最後に、早慶戦に向けて駒沢選手の目標、そして意気込みを聞かせてください
駒沢 早慶戦に勝利することで、この舞台を準備してくれているア式の部員やOB、保護者の皆さんへの感謝が1番伝わるのかなと思っています。その結果の中に自分の得点や活躍で少しでも貢献できていれば、もっとうれしいです。
――ありがとうございました!
(取材、編集 大幡拓登 写真 髙田凜太郎、熊谷桃花)
早慶クラシコに向けての思いを書いていただきました!
◆駒沢直哉(こまざわ・なおや)
2002(平14)年5月17日生まれ。178㌢73㌔。ツエーゲン金沢U18出身。スポーツ科学部3年。つける背番号へのこだわりを聞いてみると、こんな格好良い答えが。「番号なんかより、結果で示します」