【連載】全日本大学女子選手権直前対談 最終回 加藤希主将×並木千夏副将×近澤澪菜

ア式蹴球特集

 最終回を飾るのは加藤希主将(スポ4=アンジュヴィオレ広島)、並木千夏副将(スポ4=静岡・藤枝順心)とア女の守護神・近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)。30周年を迎えた今シーズンの振り返り、集大成となるインカレに懸ける思いを伺いました!

※この取材は12月18日に行われたものです。

 

「ビーガンカフェでバイトしてます」(近澤)

『日常を切り取る』を信条に生きていると語る近澤

――緊張をほぐすために、プライベート面の他己紹介をお願いしたいです

加藤 (近澤)澪菜はおしゃれなカフェでバイトしてます。

近澤 ビーガンカフェでバイトしてます。

加藤 あと、あかり(蔵田、スポ4=東京・十文字)のスマホの壁紙を作ってあげています。センスがいい!

並木 エモさを求めてます。ひとりで夜の公園に行くとか、写真撮るとか。

近澤 そんなに頻繁にしてないし、もう一人友達連れてる(笑)。探して行ってるわけじゃなくて、散歩しててここ良い!みたいな。『日常を切り取る』。

――主将についてはいかがでしょうか

近澤 のんさん(加藤)は料理上手。のんさん家で、去年から月1くらいで集まってご飯してます。シェフ!

加藤 なんでも作ります。和洋中。クックパッド見て作るんで。東京で一人暮らしを始めて、それでやるようになりました。

――アスリート的な面を考えていますか

加藤 考えてる方ではありますね。食事って楽しむものだけど、「栄養摂取」って考えて、食べたものを全部記録して足りない栄養があればサプリで(補う)。今はあんまりですけど。

並木 アクティブな人です。サイクリングとか。堅そう(な性格)に見えて意外と夜中に遊びたくなっちゃって。

近澤 それは言い方が悪くない?(笑)

――副将についても紹介をお願いします

近澤 わがまま娘です(笑)。

並木 やめて~、そんなわがまま言ってないってば!

近澤 あと、意外と優しい。むすっとした態度をとりがちだし、一見近寄りがたいけど、意外と人のこと思ってるというギャップがあります。

加藤 千夏もアクティブですよ。よく地元の友達といろんなところに遊びに行ってる。

並木 一回(澪菜と)地元でサーフィンしました。波に乗れたよね。おすすめは鵠沼(くげぬま)海岸です。

――次に、サッカーやプレーに関して他己紹介をしていただきたいです。この人には敵わないと思った面や尊敬しているところなどを教えてください

並木 澪菜はビックセーブとかロングフィードもありますが、プラスの声掛けが多い。チームの雰囲気とか士気が一気に上がるところはすごく助けられていると思います。

加藤 澪菜は存在感が一番すごい。だって、普通に立っていてゴールに入る気がしなくないですか?(笑) 他のチームのGKも圧がありますが、澪菜は格が違う。立っているだけでオーラがあるので、そこは自分には出せないなと思います。

――昨年のインカレで敗退した際、ゴールマウスを守っていたことで責任を感じた部分も大きかったと思います。迎えた今シーズンは飛躍的に成長しましたが、ご自身は変化を感じていますか

近澤 去年、(試合の)直前で任せてもらえることになって、その結果負けてしまっていろんな人に「澪菜だけの責任じゃない。気にしなくていいよ」と言われたんですけど、やっぱりGKなのであの負けは引きずりました。でも、「澪菜なら安心する、任せられる」と思われるように、絶対インカレで優勝する! と思って挑んだ今シーズンだったので、大黒柱だと思われていることはすごくうれしいです。

――失点数が非常に少ないですが、何がそのような結果をうんでいるのでしょうか

近澤 意識して取り組んだこと、特化して練習したことはないのですが、声を出すとか。自分が技術や戦術で引っ張っていくよりは、声で引っ張っていく方が得意だと思っています。自分が伝えることができればみんな気持ちが上がって、もっと一緒に守れるかなと思っています。

――並木さんについても聞きたいです

加藤 千夏は献身性がすごい。仕事人って本人も言ってるんですけど(笑)。競った後のセカンドボールを取ってくれて試合が楽になることも多いし、マークの受け渡しとかも気にしてくれるので、守備面で特に助かっています。

近澤 目立つプレーは多くないんですけど、いなかったらア女の今のサッカーは成り立たないなと思っています。目立たないことだけど、安定したパフォーマンスを続けられることは良さですし、セットプレーのキッカーをしているのですが、すごくいい質で蹴っているので強みですね。

――今年はケガの影響で、試合に出たり出なかったりしていますが、どのようにプレーで示そうとしていましたか

並木 のんみたいに言葉で示すのが苦手なタイプで。だから自分がピッチに立って、自分のやるべきことをする。ピッチの上にいることが一番伝わると思います。今年は自分がどうなりたいかじゃなくて、とにかく「勝ちたい」「勝たせたい」と必死でした。相手より1点上回れば勝つから。それだけでした。

――スローガンの『挑越』の生みの親として、意識していたのでしょうか

並木 去年は「挑まれる」気持ちだったけど(インカレの)初戦で負けて、自分たちは挑戦者だということを忘れてはいけないよねということを話しました。それで。相手を越える、毎日自分たちを越えてていこうという自分の気持ちが『挑越』にぴったりでしょって(笑)。プレーで示せるタイプが少ない学年で、爆発的な影響力のある人もいない文、ひとつずつ積み上げていくという学年の雰囲気もあって、ゴリ押ししました(笑)。

――では、加藤さんに移りましょう

並木 のんも献身性がすごくて、誰よりも走るってます。声がかれるくらい毎試合出してくれています。彼女なりのキャプテンシーというか、主将としての信念があるんだろうなって思っています。

近澤 要求されていることに対する体現度がすごく高くて、かつ誰よりも熱量をもってる。情熱を持っている人なので、円陣の時の言葉一つでチームが締まる。ほんとにめちゃくちゃ走るし、試合の後は声がかっすかす。ついて行きたいと思える存在だし、「あんなに頑張っているんだからこっちも頑張らないと!」と思わせてくれます。

――昨年とポジションが変わって前期はあまりハマっていない印象がありました。でも後期になってフィットしたというか

加藤 正直、サイドハーフしたいんですよ(笑)。でも求められているのはサイドバックだったので、最初の方はうーんって感じだったので、それがプレーに出ちゃってたかもしれないですね。見透かされてたのかな。

一同 (笑)。

加藤 でも、サイドバックをやり続けたことで慣れたということもありますし、もともと高校生の時はサイドバックをやっていたので、その感覚が戻ってきました。それで徐々にフィットしていたのかなと思います。

――「30代目の主将」は重いですか

加藤 そんなに。

並木 のんは背負い込まない。いい意味でラフ。ナチュラル。

――最終ライン、なおかつ4年生ですが、そこに対する意識はどうですか

加藤 自分は結構前に出て対人に持ち込んで(ボールを)とるというのが得意なプレーなので、前に前に勝負しますね。たとえに抜かれてもセンターバックと澪菜が後ろにいるのでサポートしてもらえます。自分はチャレンジできる環境でやらせてもらっています。責任感はもちろんあるけど、考えすぎないですね。

 

「みんながすごく愛おしく感じました」(並木)

関東リーグ優勝時を振り返る並木

――ここまでのシーズンを振り返って、チームとしてはどういうシーズンでしたか

近澤  正直予想通りというか。滑り出しは良いけど絶対どっかでつまずくなと感じていました。相手に対策されるといのもそうですし。でもその中で相手に飲まれるより自分たちの良さを出し切れたシーズンでした。みんなでサッカー楽しもうというところがあふれ出ていたというか。

並木  予想以上に苦しかったです。自分のケガだったり学年の事だったりチームの事だったり、色々ありました。スタートはめちゃくちゃ良くて、一個つまずいたときにガタガタってきたのを必死に耐えた感じです。やっぱり楽しむことが一番だよねって気づけたからこそ、今はみんなで頑張れるというか、いいチームになってきた感じがするシーズンでした。

加藤  はじめが良すぎるぐらい良くて、「え!?え!?」みたいな感じでした。関カレ前期は優勝して、このまま行くんかなと思ったらやっぱりこけて。でもこけるタイミングが早かったのも運が良かった。しかも今年のチームは自分事として捉える人が多かった。何とかしなきゃってもがいていた時に「やっぱサッカーって楽しいもんだよね」「楽しむためにこれは絶対やろうよ」みたいな感じで、何とか這いつくばって立て直していったかな。

――大会別に振り返っていくと、まず皇后杯関東予選があって準決勝(日テレ・メニーナ、9月18日、●2-6)で屈辱的な負け方をしました。昨季は2位、それまでは3連覇していましたが、今年はどうでしたか

近澤  その時が自分的には一番苦しくて。ピッチ上に4年生がいなくて、自分キャプテンマーク巻いてる。自分はどうやって引っ張っていけばいいんだろうって。声がだけじゃ解決しないというか、声出し続けてもみんな苦しいからそれが返ってこないというのに自分自身もまた苦しめられて。メニーナ戦は前半だけで3失点、自分がGKやってて6失点で負けることが無かったので、どん底まで落ちたというか。次の日も試合だったんですけど全然気分が乗らないし「どうしよう」みたいな。そこで話を聞いてもらったりして、何とか立て直せたかなっていう感じでした。結構苦しい皇后杯予選でした。

――並木選手はけがで、加藤選手は教育実習で、それぞれピッチにいませんでしたが、客観的に見ていてどう感じていましたか

並木  とにかく申し訳なかったです。のんがいないのは元々知ってたことだったんですけど、それに加えて自分のけがで後輩たち必死になって戦ってくれてるなか、自分ができることはスカウティングとか外からビデオ撮るとか声出すとか、そういうことしかできなくて。自分が戻れたらな、自分がピッチにいたらな、みたいな気持ちもあったりして。でもそれに対して無力な自分がきつかったというのもありました。でも、後輩たちは「ごめん」みたいな感じだったんですけどみんなが必死に戦ってくれたことには、感謝していました。

加藤  (自分がいない時に)今思えばもうちょっとチームのためにできたことはあったんじゃないかな。あんな大敗するとは自分は思っていなくて、結果見たとき正直「え!?」みたいな感じでした。急いで(近澤らに)電話して「大丈夫?チームどんな感じ?」って。自分が声を直接かけていない人でも「やるしかない」と思っていた人が多かったと聞いて、そこはみんなさすがだなと思いました。今まで試合に出れない時期が長かったからこそ、自分がプレーできない時にどうやってサポートするかを考えていたつもりだったんですけど、まだまだだったんだなと感じた皇后杯予選でした。

――関カレは前期は順調でしたが、後期はア女を除く上位3チームに負けて逆転優勝を許しました

近澤  関カレは、出ていた時期は去年からの成長を感じていました。チームが一番苦しい時に(けがで)出れていなかったので、その時に自分に何ができるかチームを俯瞰してみたときに、何が足らないんだろうっていう答えが出ずに復帰してしましました。でも命がけでゴールを守るというか、無失点にこだわり続けるところにフォーカスを置いて練習したし声出し続けたし。成長も挑戦もし続けた関カレだったなって思います。

並木  絶対に勝たなきゃいけない相手のときに復帰したので、自分がベストコンディションだったらとか考えてたんですけど、結局できることを毎試合やるしかないと思って挑んでいたので、100%出したつもりです。前期までは守り切れていたシーンとか決め切れていたシーンが、後期になって「その一歩が出ていたらシュートを打たれなかったのに」とか「あそこで決め切っていたらもっと楽だったのに」という試合が増えていました。でもそれがあるからこそインカレに向けて改善するところ、やるべきことが見つかったと思います。最終目標がインカレ優勝なので、「あの敗戦があったからインカレ勝てたよね」と思えるようにしようと思える戦いが多かったです。

加藤  関カレ後期は教育実習明けで、日体大戦とかは体動いていて、個人的にはいい感じだったんですけど、やっぱり最後のところで一歩出せないとか、自分の方から崩されちゃうとか、そういうシーンが多かったです。それぞれが何とかしなきゃと思っていたんですけど、その方向がいまいち一致していないというか。みんなが個々で焦っていて、その雰囲気を自分たちで作りだして苦しくしちゃっていたかなと思います。

――その焦りとこから生まれてきたものですか

加藤  後期になってより結果が求められる中で、チームも勝ち点が積めていなくて。チーム全体が勝たなきゃいけないと思っていました。自分が何とかしようとやってくれる人が多いからこそ、もっと逆サイドに展開した方が楽なのに自分で打開しよう、みたいなところから焦りが生まれたのかなと思います。

――『四冠』を掲げた中で最初の二つを落として、その直後に関東リーグでは圧倒的な差で優勝しました

並木  試合終わった後に優勝したのか確認しあって、もう一回集合して喜べた感じだったね。

近澤  実感薄かった(笑)。でもうれしかったです。それはみんなで獲った一つの『冠』だったのでうれしかったです(笑)。

並木  自分も実感はしてなかったというか、とにかく関東リーグとか関カレとか関係なく全員が必死に毎週連戦を戦っていて、勝つことが頭にあって、勝ち点が頭に無かったんです。(優勝決定後に)ここ(東伏見)で写真撮ったときにみんなが「ワー!」となった時にそこで「ワー!」ってなって、感動というか、「連戦をみんなで頑張ったんだな」って改めて思って、みんながすごく愛おしく感じました(笑)。

加藤  母性(笑)。関東リーグも勝ちに行くと今の4年生で決めたんです。今まで12連覇していたのに去年それが途切れちゃって、去年は変則的ではあったんですけど悔しくて。だからこそ関東リーグは絶対取りたかったですし、その中で特に前期は(土日)連戦のときにどっちも90分出た選手もいました。関東リーグだけ出ている選手もそこで自分の良さを発揮してくれたり、多くの選手が得点に絡んだり、「チーム全体として戦った感」がある関東リーグだったかなと感じています。

――皇后杯の初戦(香川西高、11月26日、〇4-0)は改めてトーナメント初戦の難しさを感じたのかなと思います。全体を振り返ってどうでしたか

近澤  初戦はこっち(東伏見)で練習していました。正直みんななら行けるでしょって思ってたんですけど、前半終わって「あれ、点入ってない。どういうこと!?」と(笑)。後半始まったら真央(吉野、スポ3=宮城・聖和学園)が点取って、そこから3点取ってくれて。いざ(2回戦の)スフィーダ世田谷戦(12月5日、●0-1)、相手は格上でしたけど自分たちが通用するところもあったし。でもセットプレーひとつでやられてしまったというのがなでしこリーグと大学生の違うところだし、試合の運び方も格上の相手だなと思いました。結果的には負けてしまいましたけど、自分たちのできたところできなかったところがはっきり出た時点で、収穫だなと思っています。チーム的には満足しちゃだめだけど、個人的には満足しています。

並木  初戦は高校生相手だったんですけど、学ぶことが多かったです。相手の勢いや戦う姿勢は自分たちも吸収できました。苦戦はしましたけどやるべきことをすれば勝てるとは思っていたので結果につながったし。相手の良さに気づけて吸収できてスフィーダ戦に挑めたのは良かったと思います。そのスフィーダ戦は士気高く、みんなで一体感を持って戦えたのはいい試合だったなと思うし、そこまで差がはっきり見えたわけではなかったです。自分たちが通用することもあったし、通用しなかったことやできなかったことにフォーカスして今その課題に取り組めているし、インカレ前にチームも雰囲気も上がってきているので、皇后杯は良い大会だったなと思います。

加藤  WE(リーグ所属チーム)撃破を目標にしていた中で、なでしこ1部のチームに負けてしまったのは正直悔しいなという感想です。さっき千夏も言ってくれましたけど、香川西の戦う姿勢を学んだことをすぐ次の試合で体現できたことは自分たちの強みなのかなと思いました。でも去年も大東文化大(インカレ2回戦、12月26日、●0-1)にセットプレーでやられている中で、皇后杯もセットプレーでやられてしまったところは自分たちの課題だなと思っています。このスフィーダ戦に勝てたらすごい自信になった、悪い流れを断ち切った、やってやった、インカレもやってやるぞとなったかもしれない。小さい差で勝ち切れなかったというのは悔しいなと思います。

 

「ア女らしく最後まで粘り強く戦って日本一を獲りたい」(加藤)

優勝を獲ると宣言するア女第30代主将・加藤

――皇后杯が終わってからインカレまで3週間ありましたが、チームとしてはどういうことを意識して練習に取り組んでいましたか

加藤  ちょっと秘密もあるんですけど(笑)。でも全体としてサッカーを楽しもうということは変わらずやっていて、楽しむためにポジティブな声掛けもそうですし、みんなでやってみようみたいな雰囲気は良いなと思いますね。

並木  自分たちの戦い方を増やしている最中という感じですね。試行錯誤しながらみんなで。

加藤  残り時間が短い中で自分たちの強みをどうやって出すか、弱みを克服するよりも得意なところを磨こうとなっています。前圧(前へのプレス)や切り替えに磨きをかけている最中です。

――今のチームの状態をどういうふうに見ていますか

近澤  活気があるというか、ポジティブな声が多いです。挑戦者なので「全員で挑む」というところで。よりア女のサッカーに磨きをかけるために必要な作業を毎日全員がやっているなと。それがポジティブに行われているなという印象です。

並木  雰囲気はめちゃくちゃ良くて、一人一人が頑張っているなと思うし、明るいなと思います。自分だったら「このままだとヤバいかもしれない」と暗くなったり、考えこんじゃう時期だと思うんですけど、みんなが元気がある(笑)。自信があるとは別なんですけど、楽しもうというのがあると思います。だからいい雰囲気でやれているというのもあるし、自分はもっと緊張感を持ってもいいのかなと思ったりしています。

加藤  確かに雰囲気はすごくいいなと思っています。本当はインカレが始まる実感がないというか。来週も連戦あるんじゃないか、ぐらいな勢いです。ほんまに終わるんだねっていう。

並木  そうそう。全然実感がない。

近澤  だからまだ連戦続くと思ってるよ。土日連戦みたいな。

加藤  フィジカル(強化)の日でも、本当はみんなきついはずなんですけど「やろうやろう」という声が、それこそ2年生とか1年生とかも声出してやってるし、ア女として成長しているなとすごく感じていますね。

――今大会の注目選手を挙げてください

近澤  じゃあ若葉(後藤、スポ2=日テレ・メニーナ)で!コミュニケーション取りながらこの1年ゴールを守ってきたので。インカレでは無失点優勝したいと個人的には思っているので、みんなの力は必要ですけど特にCBとの連携は大事なので、めちゃくちゃ注目しといてほしいです。

並木  花菜(木南、スポ1=ちふれASエルフェン埼玉マリ)です。ア女の前線ってみんなが注目するというか、みんなが宝。ひろ(廣澤真穂、スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)とか雛(髙橋雛、社4=兵庫・日ノ本学園)みたいにみんながマーク行きたくなるような選手が前にいて、でも花菜ってそれに比べたら大丈夫そうな(雰囲気)。分かる?

加藤  オーラというかね。消すのうまいよね。

並木  そうそう。けど、そっち(廣澤、髙橋ら)に注目がいってるときにめちゃくちゃいいポジションにいてくれるし、献身性もクロスも、詰めも入ってるし。逆側に気になる選手がいるからこそ陰に隠れているように見えて、ここぞというときにチームを助けてくれるので期待しています。

加藤  千夏ですね。ぱっと見分からない仕事人気質というか、守備の献身性だったり、目立たないけどサイドを簡単に変えたりとか。そういうひとつひとつ小さいプレーでチームを支えてくれていると思うので。自分も走ってますけど千夏も走っている選手なので、見ていて面白いと思うので注目してほしいです。

――ご自身のここを見て欲しいという部分はありますか

近澤  自分が活躍しない方がいいはず(笑)。だから、大事な局面でゴールを守り切る。この1年間自分の中ではシュートストップの範囲が広がったというか、伸びを感じている部分です。最後もし抜かれても大丈夫だよって思ってくれてるはずなので、ピンチの時のシュートストップに注目してほしいですね。

並木  注目しないと見られないからね(笑)。自分の周りがうまく行くような小さな積み重ねを見てほしいです。胸張って言えます(笑)。みんなの良さをめちゃくちゃ引き出しています!

加藤  最後まで粘り強くディフェンスするところは注目してほしいです。1対1の対人が強みだと思っているので、最後まで粘り強いプレーを注目してほしいです。

―― では最後に、今季の集大成となるインカレに向けて意気込みをお願いします

近澤  個人的には無失点優勝には絶対にこだわってやっていきたいです。チームとしては優勝するというところを前提に一人一人が楽しむところと、4年生とやる最後の大会なので絶対に後悔してほしくないな。本当にみんな大好きなんですよ、4年生のこと(笑)。だからこそ、このメンバーでやれるサッカーを楽しんでほしいんで。優勝します!

――4年生のお二人は勝っても負けてもア女では最後の試合になります

並木  実感が無いんだよね。最後っていう。

加藤  終わってもまだ(ア女に)いると思ってる(笑)。

並木  チームが勝つときとか流れがいい時は必ず自分がいい時だから、自分が良かったらチームは良いし、チームがいいってことは自分がいいってことだから、そこはシーズン通して積み上げてきたことなので、自信もって全員で戦って勝ちたいです。優勝します!

加藤  さっきから楽しむという言葉がいっぱい出ていますけど、前提として楽しむところは大事にしたいなと思っています。でもア女って勝たないといけない組織だと思うので、『四冠』を目標にした中でまだ一冠しか取れていないのは事実ですし、最後はア女らしく最後まで粘り強く戦って日本一を獲りたいと思います。

――ありがとうございました!

 

(取材、編集 手代木慶、前田篤宏、写真 水島梨花)

 

 

◆加藤希(かとう・のぞみ)(※写真右)

1999(平11)年12月9日生まれ。164センチ。アンジュヴィオレ広島出身。スポーツ科学部4年。朝活に力を入れている加藤主将。富士山見るために夜出発することもあったそうで、特に逃避したい現実があると行動力を発揮します!

◆並木千夏(かとう・のぞみ)(※写真左)

1999(平11)年7月20日生まれ。160センチ。静岡・藤枝順心出身。スポーツ科学部4年。ツンデレだと誰もが認める並木選手。好きなジャニーズはSixTONESだと間髪入れずに答えてくれましたが、推していることは内緒だそうです!

◆近澤澪菜(ちかざわ・れな)(※写真奥)

2000(平12)年9月3日生まれ。178センチ。JFAアカデミー福島出身。スポーツ科学部3年。よく「黄昏る」という近澤選手。部員のスマホの待ち受けを自作するなど、おしゃれなことへのこだわりは誰にも負けません!