早稲田大学ア式蹴球部公式マスコットキャラクター・アルフ。緊急事態宣言下において活動を制限された早スポ記者に代わり、ア式蹴球部の取材をしてくれることに。そんなアルフは一体何者なのか。愛くるしいマスコットの謎をひもといてみよう。
(インタビューはオンラインで実施いたしました)
ミニアルフとともにパチリ
アルフ誕生のきっかけは、指揮官(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)の「キャラクターを作ろうよ」。そんな一言からのスタートであった。外池監督の知人を通し、ア式蹴球部公式キャラクターは少しずつ形を帯びていく。「(企業と)改善の要望を何度もやりとりした」と、アルフ誕生からアルフ班として活動する須藤友介(スポ4=FC町田ゼルビアユース)は当時を回想する。最大限ア式蹴球部をアピールできる、表現できるマスコットを目指し、着々とキャラクター制作計画は進行していった。
しかし、マスコット制作の動きは、全ての部員に快く受け入れられるものではなかった。今でこそ積極的な発信を行うア式蹴球部の文化が根付いているが、これは外池監督が着任して以来醸成されていった文化。マスコット制作が走り出した頃は「作る必要があるのか」「まずサッカーをやろうよ」という意見も散見されたという。そこでアルフ班が心掛けたのは、部員全員へのヒヤリングだ。「部員全員で作った」という共通認識を芽生えさせることが、マスコット制作には肝要であった。
こうした試行錯誤とハードルを乗り越えた末に誕生したのが、ア式蹴球部公式マスコットキャラクター・アルフだ。ア式のウルフ、でアルフ。名前に関しても、一般公募を行ったほか、部員への聞き込みを繰り返した。Wolf(ウルフ)の頭文字が『W』であったことも決めての一つだという。細部の細部に至るまで、そのこだわりは強い。
アルフ班の小林(写真左)らを中心にアルフの活動は行われる
2019年初夏に誕生したアルフ。その活動は多岐に渡る。中でも特筆すべきはTwitterでの広報活動だ。頻繁な動画のツイートを行なっており、動画内で様々な選手が登場することから選手紹介という側面も担っている。19年には『アルFriday』と題打ち、毎週金曜日にバラエティー動画の配信を行った。また、ア式蹴球部グラウンドの所在する東伏見の夏祭り大会や、西東京市民祭り、早稲田大学の学園祭である早稲祭、さらには野球部の早慶戦にも登場。地道な広報活動を繰り返し、少しずつ認知を広げつつある。
体育会の一部活に公式マスコットキャラクターが存在することは極めて珍しい。全国の大学サッカー部を見渡しても、早稲田大学ア式蹴球部のアルフのみだ。「アルフを通してア式蹴球部や大学サッカーに興味を持ってもらうことができる。大学サッカー、大学スポーツをより多くの人に知ってもらいたい」とアルフ班の小林俊太(創理3=東工大科学技術)は語る。ア式蹴球部、ひいては大学スポーツの認知を高める上で、アルフがそのきっかけの一つになればと考えている。
ア式蹴球部は、あくまで早稲田大学の学生である。しかし、一般学生などとの間にどうしても埋めがたい壁があるのは確か。「アルフがいるだけで硬いイメージをやわらげて、ア式蹴球部との距離を近づけてくれる」(小林)。アルフならではの企画を通して部員の違った一面を発信できるほか、お祭りなどのイベントへの出演を通じて、体育会サッカー部を身近に感じ、応援したいと思ってもらいたいという。
「早稲田の他部活やサークル、他大学との交流を通してより多くの人に大学サッカー、大学スポーツの良さを知ってもらえれば」と小林。マスコットにおいても日本をリードする存在へ。アルフとアルフ班の、二人三脚の取り組みは今シーズンも続いていく。
(記事 橋口遼太郎 写真 ア式蹴球部提供)