第1回に登場するのは選手を支える3,4年生の学生スタッフ4人。スタッフならではの感情や、選手への思いを語っていただいた。
※この取材は12月9日に行われたものです。
「実希はまず…異国の人だよね(笑)」(安住)
金城について語る安住
――では初めに皆さんのことを詳しく知りたいので、他己紹介をお願いします
安住 たかさんはまず、ア女イチの美脚だよね。
一同 (笑)。
安住 誰も勝てない。
金城 足の速さもね。選手も勝てないよね。
安住 練習中のボール拾いをしているんですけど、誰よりも早いんですよ。
金城 そこも勝てないね。
安住 あとは…誰よりも朝が早いと思う。とても早起きなんです。
――何時ころに起きるのですか?
菅原 だいたい5時過ぎとかには起きてる…。
――なんでも早いのですね(笑)。菅原さんはこれを聞いていかがですか?
菅原 あながち間違ってはないのかな…(笑)。
一同 (笑)。
菅原 やっぱりなんか恥ずかしいですね。
――続いて金城さんはいかがですか?
安住 実希は…
金城 ちゃんといいこと言ってね。
一同 (笑)。
安住 実希はまず…異国の人だよね(笑)。
一同 (笑)。
安住 今は慣れてきたけど、最初は何言っているか
安住・山下 わからなくて(笑)。
安住 沖縄出身っていうのがあって、ふと出た言葉が、ん?みたいな。
山下 ナチュラルに言っているけど、通じない通じないみたいな(笑)。
一同 (笑)。
菅原 自分の言ったことは絶対にやり切ろうというのがすごく伝わってくるかな。
――それを聞いてどうですか
金城 恥ずかしい。今思えばですけど、1年生の頃は確かに、いろいろ通じてなかったなと(笑)。
金城 あの時は本当に、自分が普通だと思ってたから…。けど、何かとお互いに説明はしあってた気がする。
山下 一回止まってたよね。
金城 話がね、なかなか進まない(笑)。
一同 (笑)。
――安住さんについてはいかがですか
金城 ア女のお母さん。お姉さんかなあ。
山下 なんだっけ、年が物を言うみたいな?
安住 ちょっと!(笑)
山下 同期の中でもここ(金城・山下)が年上なんですけど、なんかあったら、「伊代、実希」みたいな(笑)。頼れる。
――それはどういうところで感じるのですか?
金城 そんな言い争いとかはないですけど、目に見えない揉め事とかがあっても、「おいおい」っていくんじゃなくて、上から見守っていて。でもちゃんと介入してる感がすごい。で、ちゃんと解決に持っていく感がすごい。
菅原 すごく熱いかなあ。あんまり口調で激昂するような感じはないですけど、たぶん思っていることはすごく熱いし、みんなが盛り上がっていくぞ、おーってなっているところでもさっき言ってたみたいな姉さんっていう言葉がフィットするような感じですね。
――これを聞いていかがですか
安住 恥ずかしい(笑)。
一同 (笑)。
――続いて山下さんはいかがでしょうか
金城 夏季は…選手より熱い。選手より勝ち・勝利にこだわる、かなあ。負けたらすごく悔しがるし、勝ったら誰よりも喜ぶし。
安住 今までにみんなが想像できるようなマネージャー像とはまた違った、良い意味で違ったマネージャーっていう役職を確立しているような人です。
――詳しく教えてください
安住 自分たちは勝利に携わることはないんですけど、選手よりも試合にかける思いとか、対戦相手に対する、リスペクトもありながら、勝ちたいという思いとか、そういうのを素直に出せるのもすごいと思います。
金城 あと、すごく気が利きます。
菅原 やっぱり選手の近くにいる存在ではあるので、すごく悩むことは多いと思います。あと、本人は結構食べるのが好き(笑)。
一同 (笑)。
金城 忘れた(笑)。
安住 忘れてたね。
金城 一番大事なこと忘れてたね。
菅原 一緒に関わるところは関わるんですけど、オンオフでしっかりとこう自分の楽しみたいことを楽しめている感じで自分は結構いいなと思います。
――これを聞いていかがですか?
山下 最初はまあまあ、って聞いていたんですけど、食べることが好きっていうのは一番否定できないなと(笑)。
――ありがとうございます。次に数ある部活の中で、ア式蹴球部女子部で学生スタッフを始めた理由を教えてください。
山下 もともと大学でマネージャーになりたいっていうのはあって、もともとは違う部に入る予定だったんですけど、そこがあまりうまくいかなくて。どこにいこうか悩んでいる時期に同期の真田彩葉が、当時はまだ友達ではなかったんですけど(笑)、
一同 (笑)。
山下 (真田のことを)知らなかったのにいきなり所沢キャンパスのスポーツホールで「ア女来てよ!」って言われて、その週末に見学に行って、女子部の雰囲気が好きだったのと、中高とかスポーツで日本一とか、一番にこだわってやってきて叶わなかったので、大学では日本一を目指せる環境が、ア女が一番いいなと思ってア女のマネージャーを選びました。
――ちなみに何の競技をされていたのですか
山下 ボート競技をしていました。
――その中でマネージャーになりたいと思ったきっかけは
山下 今早稲田の漕艇部は女子部員が少なくて、私が入部したときは。マネージャーをやるなら選手をやってほしいと言われていて。ただ私は選手としてはやり切っていたので、それはしんどいなと思って、ア女に入りました。
安住 私も結構同じで、違うスポーツをずっとやっていたんですけど、家族も全員その競技をやっていて、両親も兄弟も世界で活躍しているような選手で。でも一方で私は全国大会に出るまではいくけどその先は見えなかったので、大学では自然とその競技を続けるという選択肢がなくて、何か大学で新しいことを始めようと思っていたんですけど、それが新しいサークルなのか、大学から始めるラクロスのようなスポーツなのか、いろいろ考えていた時に、新入生オリエンテーションの時にいろいろな部活の人たちが「学生トレーナーを募集してます」って話しているのを聞いて、これだと思っていろんな部活に見学に行きました。ア女はGW前の本当に最後の方に行って、ア女に見学に行ったのも同じクラスだった真田彩葉と黒柳美裕に来てよって言われて行ったんですけど、行ったときに「あ、もうここかな」と思って、決めました。
――ちなみに何の競技をされていたのですか
安住 空手道です。
金城 私はもともとずっとトレーナーになりたくて、なので大学に入ったら学生トレーナーをするというのは決めていて。なんでア女に決めたかというと、家族がサッカー一家で、サッカーが身近にあったっていうのと、私はずっとバスケをしていたので、この(サッカーとバスケの)二択かなというのは自分の中でずっとあって。これまた二人と同じで同期の、彩葉じゃないんですけど(笑)、加藤希が同じクラスで、仲良くなって、ア女おいでよって言われて、その時はア女が何か、何の略かも知らなくて、それが女子サッカーっていうのもわからないときにいわれたんですけど、ア、女子サッカーじゃんってなって、ア女の見学に来たら自分の中で全てがかみ合っていて、「あ、もうここだな」っていう直感が自分の中に合って、で、即決しました。
――トレーナーになりたいと思った理由はあるのですか
金城 もともとバスケをしていてプレイヤーだったんですけど、ケガに悩まされる期間が多くて、その時にお世話になった方々に自然とあこがれを持って、医療にも興味があったのと、大好きなスポーツがすごく融合している、何というか自分のためにあるというか(笑)
一同 (笑)。
金城 そこまで感じてしまって、もうそれしか見えなかったですし、今も見えていないです。
菅原 そうですね、自分は同期が残り8人いるんですけど、自分は同じクラスにア女がいなくて。さっき話していたオリエンテーションに参加したのがア女を知ったきっかけで、そこで、今はいらっしゃらないんですけど、社会人のスタッフの方と実際に話してみて、それまでは女子部は(選択肢として)考えていなかったんですけど、自分の中で、女子部に入らないという選択もなくはないなと思ったんですけど、いざ入ろうという感情にならない今までの自分がいて。すごく偏見を感じていたというか、男子部の方に女子がスタッフとして入るのはごく自然だなあという風に自分も感じてはいたんですけど、逆のパターンよっぽどないなって思って。でもない理由はいまいち説明できなかったんですよね。すごくそこに差別というか偏見があるんじゃないかなというのを思って、そこを変えていけたらなと思って入っていますし、入ってよかったなと思っています。
――学生スタッフとして活動していて一番やりがいを感じた瞬間を教えてください
安住 私は学生トレーナーなので、リハビリの選手とかと一緒に行動することも多いんですけど、その子が復帰戦で活躍していたり、ユニフォームを着てピッチに出る瞬間とかはやっぱりトレーナーならではの感情を得られるのかなと思って、その時はやっていてよかったなと思います。他にもチームの勝利とかいろいろあるんですけど、一番初めてトレーナーをやっててよかったなと思うのはそういう瞬間でした。
金城 私も割とおんなじかなあ。あとは自分が見させてもらっていた選手がユニフォーム来ているのを見るのはすごくうれしいし、その姿でピッチで走り回っているのを見ると、役職柄マイナスの子をマイナスから0に持って行って、0からプラスに持っていくという役職なので、マイナスの状態を知っているからこそ、すごい来るものがあります。今年から遠征に行かせてもらってはいるんですけど、今まで行けなかったときにその試合は見れていないけどちゃんと走れたよとか、見えていないところを報告してくれるのがすごくうれしくて。90分走れたよとか、逆にマイナスの感情も出てくることもあるんですけど、それを伝えてくれる時にはすごいちゃんと良い関わり方ができているなという実感ができます。
菅原 選手が自分自身をしっかりと評価できるようになるというか、感情もこのような競技をやっていく上では大事だと思うんですけど、感情だけで行動するのではなくそこをぐっとこらえて、次目指す先はどこだろうというのを考えている姿を見ると、今まで自分が4年間関わってきて、良かったなと感じますね。
山下 小さいことなんですけど、毎日の練習でグラウンドにマーカーを置いたりというのはマネージャーの仕事なんですけど、今年は結構監督が新しくなって、そういった仕組みも結構変わって、臨機応変に動かなくてはいけない場面が増えて。そうなったときに一日の練習が何事もなく終わっただけで、ああ、よかったとなるのと、今年から結構本格的に遠征とかの手続きを任されるようになって、新幹線移動とかバス移動とか、去年までは全く遠征に行っていなかったので雰囲気もわからないまま参加していて最初は不安なんですけど、何事もなくいって帰ってこれると、ああ、よかったと思います。
「選手がうまくいかないときは自分たちも苦しい」(金城)
学生スタッフならではの苦しみを語る金城
――では逆に学生スタッフとして活動する中で大変だったことはありますか
菅原 距離の取り方というか、選手との距離感はすごく大変というか、難しいところがありますね。
――具体的には
菅原 近すぎると情が入ってしまうというか、それはそれでいいことではあると思うのですが、位置関係としては多分監督・コーチと選手の間にいる役職だと思っているので、選手によりすぎてしまうと監督側とうまくいかないし、選手によってかかわる量のギャップが出てくるとチームがうまくいかなくなってしまうので、そこはすごく難しいというか、(誰もが)悩む時期があるところかなと思います。
安住 まさにそうで、学生スタッフ、特にトレーナーって選手とスタッフの中立の対場で、客観的に見てチームのことを話さないといけないし、けど選手がここまでには戻りたいという感情を爆発させたりすると、中立の立場としての判断と両者の意見を聞いてる身として心が苦しくなることは多々ありました。あとは知識とか勉強しなくてはいけないものが多い中で、1年生の頃はなかなか自分の存在意義を見出せなかったというか、できることが少ないので、もちろん他にもやるべきことはいろいろあるんですけど、自分がここにいて何ができるんだろう、とか、そういうのは結構悩みました。今ではもちろん解消しているんですけど、1年生の頃は特にありました。
金城 2人が言ってくれたように、トレーナーって、立場・役職的に感情を入れるなと教わることが多くて、伊代が言ってくれたように自分の判断が鈍ってしまうこともあるし、たかさんが言っていたように距離感が、感情を入れすぎても選手とトレーナーの距離感は保たなくてはいけないので、でも人間なので、感情が入ってしまうところもあって。特に自分が見させてもらっている選手がなかなか復帰まで持っていってあげられないときとか、なかなかコンディションが上がらないときとか、1回復帰したのにもうその復帰戦でリハビリに戻ってきちゃったりとか、うまくいかないときはもちろん選手も苦しいし、それ以上の苦しさは自分たちにはないけど、自分たちも苦しいし、何が間違っているんだろう、どこをどうしたらいいんだろうというのがわからなくなる時はすごく苦しいし。伊代が言ってくれたように1年生の頃はすっごく苦しくて、何をできるわけでもなく、でも部員の一員だし、じゃあ何が自分にできるから何を考えて生きているんだろうというのを考えるのがあの時は一番苦しかったですね。
山下 しんどいことは…
一同 (笑)。
安住 一人だけトーンが(笑)。
山下 たくさんあるんですけど(笑)、トレーナーさんは選手を復帰させるとか目標があって活動しているけど、マネージャーってゴールがないというか、同じことの繰り返しをずっとしているから、自分が何のためにやっているんだろうとか、なんで自分がここにいるんだろうとかを考え出したらきりがなくて、それこそ本当に自分のやっていることがチームの勝利につながっているとは思えないし、みんなはいつもありがとうと言ってくれるけど、自分からしたらそんな…みたいな(笑)
一同 (笑)。
山下 好きでやっていることだから、感謝されることでもないよ、なんて思いながらやっているんですけど、今年ちょうどア女のマネージャーって人気がないのか、少ないんですよ(笑)。
一同 (笑)。
山下 2年に1回くらい入ってくるという感じで。今年4年生にマネージャーがいなくて、その中で遠征とか行くときに、何かあって最初に頼られるのはマネージャーであって、でも去年まで遠征に行ってなかったり、サッカーのことも入部してみんなに教えてもらいながら知るという感じだったので、それを言い訳にしたくないけど、逃げたくなるというか。スタジアムも知らないし、サッカーの試合がいつもこんな感じだよと言われても知らないし、それを言い訳にして逃げたくはないなとはいつも思っています。
――2人の1年生スタッフについて教えてください
安住 今トレーナーとしている一人の子は本当にサッカーが好きな子で、自分たちにはない熱さ、サッカーに対する愛とか、女子サッカーに対する愛がとても深い子なので、その熱量をうまくトレーナー業の方に注いでくれたらいいんじゃないかなと思っているところなんですけど…(笑)
一同 (笑)。
菅原 そうですね。自分も1年生を経験してきて、似たような感じで今何をすればいいんだろうというような時期を過ごしているんだろうなと感じますね。自分は1年の時に3年生の方がいて、あと社会人の方でチームを回していたんですけど、下手なことはできないじゃないですか(笑)。下手なことできないなという思いが強すぎて、選手に関わり切れないというか、ちょっと遠めから見てしまう感覚がどうしてもあって。今は本人も多分どんどんかかわっていきたいという思いは、サッカーをすごく知っている以上あると思うんですけど、どうしてもその一歩が出づらいのかなと思います。
金城 2人が言っている通りで、女子サッカーに対する熱がすごいある子なので、そこをうまくトレーナー業だったり、ア女のプラスになることだったりに繋がる形でそのエネルギーを使っていけるように、こっちも持って行ってあげないという責任はあるので、難しいところではあります。責任はこっちも感じている部分はあって、彼女は3年生で独り立ちしないといけない代なので、そこまでもっていかなくてはいけない責任感というのは最近すごく、良い意味で感じさせてもらっている、ちょうどその時期です。
山下 菊池朋香は高校時代にマネージャーをやっていたので、私よりもマネージャー歴は長くて、マネージャーとしてここやってほしいなというところは1回言ったらだいたいわかってくれるんですよ。あとは私と同じように3年生でいろいろ引っ張っていかなくてはいけないので、そういう部分で私がいる間に教えられることは教えてあげたいと思うし、多分スーパーマネージャーになれるんじゃないかなと思います。
――では次に、お互いの仕事ぶりについて聞かせてください!(笑)まずは菅原さんについてお願いします
金城まずさっきも出たんですけど、ボールを取りに行くスピードが速すぎる。もう取りに行ったらはい、みたいな。
安住それも遠いところから来るんですよ(笑)。いつも練習中にメニューやっていたら均等に分かれて、一番近い人が(ボールを取りに)行く、みたいな。でも私のほうが近いボールに対しても遠くからきて、もう追いつけない、みたいな(笑)。
金城 あれ悔しいよね。
安住 悔しい。けどチームのためにたかさんのほうがいいか、なんて思います。あとは本当にトレーナーとしてですけど、たかさんがいてくれなかったらと考えると恐ろしいというか、今その1年生で入ってきてくれた子たちは3年生で独り立ちしなきゃいけないじゃないですか。ちょうど今の私の対場なんですけど、この1年たかさんがいなかったらこんな自由にできなかったというか、たかさんがいたから安心して私たちはできたというか、その存在感、安心感には感謝しているし、あとは私たちにはできない選手とのかかわり方、距離感。やっぱり異性なのでなかなか大変だったってさっき言ってましたけど、今はたかさんにしかできない関わり方というのが確立されていて、私たちには言えないような声掛けとかをしているのを見ると、見習わなきゃなと思います。
金城 選手に気付かせるのがうまいよね。
安住 そうそう。
金城 立場上選手自身が自分のことを一番わかっているから、そこに選手自身の目を向けさせることがすごく上手で、尊敬しているし見習いたいです。
山下 そこまで関わることは多くないんですけど、常に相談役みたいな(笑)。
一同 (笑)。
山下 話聞いてほしいなというときに話しかけてくれるんですよ。だから今たかちゃん話したかったんだよーみたいな。
一同 (笑)。
山下 だから私はいつも助かってます。
――では次は金城さんについてお願いします
金城 怖いなー。
安住 真面目。あとは同じ立場っていうのもあるかもしれないですけど、やっておいてほしかったことをやってくれていたりとか、いてほしいところにいてくれたりとかは良くあります。だからすごく助かってます。あとは仕事が丁寧。選手一人に対するケアとか、いろいろな仕事に対して漏れなく丁寧にやっているのが素晴らしいと思います。
菅原 後輩3人はそれぞれ描いているトレーナー像は違うと思うんですけど、それを持っている中で最大限、考えうるベストでやってほしいなと思っていて。で、自分はあんまり口を出さないような環境でできたらなと思っているんですけど、その中で自分としては、自分がこの後抜けたとしても2人はしっかり回していける環境にはもう今はなっているかなと思います。今ここで自分がお疲れさまでしたって抜けても、大丈夫だと思います。
山下(トレーナーの)2人の話にもなっちゃうんですけど、1年生の時から一緒にやっている姿を見ていて、1年生の時は仕事があまりない中で3年目になって、「やばい、ケアの時間ない!あと何人?」とか話しているのを見ると、成長しているのが目に見えてわかるし、練習中とかに選手が怪我したりしたらさっと寄っていく姿を見ると、あ、トレーナーだなあって思います。そのあとのアフターケアというか、選手への接し方とかもすごいなあと、この2人じゃないとできないなと思います。
――では次は安住さんについてお願いします
金城 伊代はもう本当に私のもう半分みたいな勢いで存在は大きくて、さっき伊代も言ってくれたんですけど、言葉に出さずとももう伝わっていて、トレーナーとしてこの3人でやっているときに、誰かが1人けがをした、近くに誰がいる、いよがいた。じゃあその次に何をしたほうがいいんだろうというのを、全てがマニュアル通りに進んでしまう、怖いくらいに。それくらい、トレーナー3人はバランスが取れていて、その中で全部やってくれるから、あれが欲しいと思ってパッと見たらもう持ってるみたいな。いてほしいと思ったらもういるとか、そんな感じです。何も言わずともすべてが通じる関係になって、それは大きいなと思います。
――では次は山下さんについてお願いします
安住 社会人スタッフとの関わり方もうまいなと思っていて、私たちも役職上選手のリハビリの状況を伝えることもあるんですけど、練習メニューについて話したりだとか、遠征先での関わり方もそうですし、目上の方との連絡とか接し方が上手だなというのと、あとは報連相が早いので、受ける側としては助かるというか、次の日の試合とか練習の流れを考えなきゃいけないときとかも、的確な情報をくれるので、すごくやりやすい。
金城 仕事が速い。伊代が言っていたように目上の人との距離の詰め方がすごくうまくて、遠征の時にバスの運転手といつも仲良くなるんですよ。
一同 (笑)。
安住 不思議なくらいね。
金城 すぐ仲良くなる。
山下 あっち(運転手)が優しいんだよね。
菅原 自分的には仕事だって割り切っちゃうと仕事なんだろうなという動き方になってしまうと思うんですけど、本人もどうやってチームに貢献しようかを考えて活動している中で、それをあんまり仕事に感じないというか、熱い感じで活動しているのが目に見えるので、仕事ぶりというとちょっと語弊があるかもしれないですけど、丁寧さ、速さってところはすごく感じるし、助かっています。
――コロナによる中断期間はどのような仕事をしていましたか
安住 自分たちはちょうど今シーズン始まるときに、マネージャーが夏季しかいなかったですし、今年でたかさんがいなくなるというのもわかっていたので、何としてでも新しいスタッフの子たちを入れなくてはいけないというところで、シーズンが始まるときに、新アカウントを、インスタもTwitterも、学生スタッフ専用のアカウントをつくって、新歓に力を入れようとしていたところで自粛が始まってしまいました。その時に、(自粛期間)だからこそできることがあるよねっていう話になって、新歓はもちろんですけど、学生スタッフの普及であったり、魅力であったり、そもそもそういうのがないから入ってくれる子が少ないんだよねっていうところから、そういう魅力だったり、学生スタッフのありのままの姿だったりを見せる場としてSNSを設けて、じゃあこの期間に何ができるかという話になって…インスタだったっけ?
金城 インスタ。学生スタッフとしての仕事内容と魅力、どんな練習で何をしているかとか、シーズンを通してのスケジュール感、チームはこの時期にどういうことをしていて、その時に学生スタッフは何をするかっていうのを、とにかく発信、できることを発信して、いつ開けるかわからない自粛期間の時には、とりあえず誰か来てほしいみたいな。その結果として自粛が明けた後にアシックスさんとの関わりも出てきて、大きなイベントを自粛明けに、早稲田間での学生スタッフのつながりとして、集まれ学生スタッフの森と題して、学生スタッフが活動している写真にハッシュタグをつけて投稿してもらうというのをインスタでやって、第二弾としてはTwitterで全国的、大々的にsphotoグランプリっていうのを開催するのも、この自粛期間に温めてたのを自粛明けにやったという感じです。
安住 あれがあったからいろいろできたっていうのはあるね。普段活動する中ではそれほどの時間を取れないのでいい意味で時間はできて、そこでいろいろ話して出てきたものはあったね。
――イレギュラーなシーズンでしたが、これまでを振り返っていかがですか
菅原 これは他の3人にも伝えているんですけど、4年生だからという思いで活動しているわけでは自分はなくて、今までの長い歴史の中の1年だし、これからもきっと続いていくと思うんですけどその中の1年という中で…難しいなあ(笑)。チームの掲げる目標で達成したものもあったり、途中で負けてしまったり両方あったんですけど、その中で選手たちが支えあっているというか、選手たちにも個人の目標はあると思うんですけど、その中でもチームが目指していくものに対してどうやって自分たちが関わっていけるか、というのを考えている1年だったかなと思います。
金城 すごくイレギュラーだったので…。全部を美化するわけではないですけど、だからこそ考えさせられる部分もあって、コロナの感染対策しなきゃいけないっていう状況下で、いかに効率よく回すのかっていうところとか、その中でも逆にケアの質だったり選手とのかかわりの質を下げないかっていうのを本当に制限されている中でいかに自由にやるかっていうのをすごいトレーナーとしても学生としても部員としても考えているシーズンです。
菅原 空白の一年にはならなさそうだよね。コロナのせいで穴が空きそうとかはないですね.
安住 イレギュラーもありましたけど、チームとしても指揮官が全く代わって、チームのカラーがすごく変わったんですよ。最初はきっとやっぱり私たちも含め、私たちの過去2年、たかさんは過去3年とは全く違ったチームカラーになったので、最初は戸惑った部分も多かったですけど、でもみんなが生き生きと楽しそうにサッカーしている姿とか、私たちも今まで以上に社会人スタッフの方とコミュニケーションをとる機会が多くなりましたし、自粛期間もあって大変でしたけど、いい方向にすごく向かっているなというのは見ていても感じていて。だからこそ最後まで福田あや監督のもと、一緒の方向を向いて走っていけたら、おのずと良い結果が出てくるんじゃないかという手ごたえのようなものはありますし、選手みたいに中にはいませんけど、チームの一員としては感じています。
山下 色々なイレギュラーがあった中で、例えば自粛期間にチームでのミーティングとかをして、今まで話したことのない人とかとも話す機会があって、その中で私たちは学年でミーティングを開催しました。私たちの代って同期愛が強いよねって言われる代なんですけど、その自粛期間でさらに同期の力強いなって、私は自粛期間地元に帰れなくて東京の寮に一人だったんですけど、そのなかで 同期がミーティングを開いてくれて、話す機会をつくってくれたり話を聞いてくれたりして、そういう時に今年1年間それが結構助けられたなというか、一番印象に残っています。
「選手一人ひとりをもっと知ってもらいたい」(山下)
新たな企画について語る山下
――山下さんにお伺いしたいのですが、「私たちは知っている」を始めようと思ったきっかけを教えてください
山下 ア女のマネージャーって練習外ではそこまで仕事がなくて、今4年生の川端さんが主務をやっていて、2年生のシャーンが副務をやっていて、私も一応副務をやっているんですけど、朋香は今何もなくて、言ってしまえば手が空いていたんですよ。それでインカレ前に何かチームのために出来ないかなと考えた時に、福田監督がよくア女をかっこよくプロモーションしてほしいというのを言っていて、メンタルトレーナーの方と一緒に選手とか学生トレーナー一人一人にフォーカスして、インカレ前にそっと背中を押す、みたいな(笑)。
一同 (笑)。
山下 そっと背中を押して、かつ今年インカレが無観客で開催されることが決まっている中で、ア女はサポーター、ファンの方が多いので、そういう人にア女を、選手一人ひとりをもっと知ってもらいたいなというのがあって、始めました。
――発案者は山下さんということですか
山下 そうです。
――実際にやってみていかがでしたか
山下 ア女にいる私とかを読みながらとか、選手のさりげないところを見ながら考えているんですけど、結構面白かったというか、いつも選手のことは見ているんですけど、より注意して見ると、あ、この子今何考えているんだろうなー、とか、もちろんスタッフもそうですし、さりげない表情とかを改めてみることが出来たので、まだ今は同期で苦戦しているんですけど、あと残り半分くらい頑張りたいと思います。
――動画は山下さんが作っているのでしょうか
山下 朋香と私の2人で作っています。
――ストックは結構あるのですか
山下 ちょっと…(笑)。
――ありがとうございます。では続いて来年について聞かせてください
菅原 自分は進路がまだ決まってなくて、これ3人の前で言っちゃうと不安にさせちゃうと思うんだけど(笑)。それぞれやりたいことだったり、こうありたいという姿がにじみ出てきているというか、感じることができるので、それを感じたらすっと離れるくらいには、今はなれていますね。
――3人は残り1年ですが、来年に向けていかがですか
安住 私は学生トレーナーもやっているんですけど、将来トレーナーを続けるという選択肢はなくて、職業としてはやらないので、あと1年間トレーナー業、学生スタッフとしても最後になるんですけど、自分ができることは最後まで増やしていきたいというのは常にぶれずにやっていきたいですし、残り限られたトレーナー期間をやり切りたいというか、それだけですね。自分ができることは全て、ア女に還元して、微力ですけど、卒業したいと思います。
金城 あと1年かー。自分は将来に繋げられるような1年にしたいなというのは個人的に強い思いがあるのでそこはブラさずに、自分ができることを全力で、自分にしかできないことを丁寧にぶれずに、覚悟と自覚と責任をもって1年間やり切りたいという思いです。
山下 率直に来年が楽しみというのがあって。自分たちの代になるのは早かったけど、やっとかっていうのは正直なところとしてあって。それと同時に4年生としての自覚であったり、チームを引っ張っていかないといけないし、来年は主務になるのでそれのプレッシャーももちろんあるんですけど、だからこそ1年間通してミスなく、何事もなく終わってきれいに卒業したいなと思います。
「夏季は何が起きてもすっとベンチにいる存在」(菅原)
インカレのキーマンを挙げる菅原
――ではここからはインカレについてお伺いします。皆さんが思うインカレのキーマンを教えてください。
一同 キーマン?!(笑)
山下 のんちゃん。加藤希ですかね。なんか結構冷静だけど、吠えるときは吠えるから、この前のハリマ戦とかも、のんちゃんっていつも声を出しているイメージではないんですけど、あの試合の時はチームが劣勢でも積極的に声を出しているのが私は結構印象的で、いつも冷静だけど、のんちゃんが声を出すとチーム全体がやらなきゃ、という感じで士気が高まるので、そういった意味でのんちゃんには期待しています。
菅原 多分今出場可能な選手でメンバー編成をしていくことになると思うんですけど、ポジションが確立されている選手って必ずしも全員決まっているわけじゃなくて、みんなにチャンスがあるというか、今年それをすごく感じる1年だったので、その中で、1人だけベンチに入れることが決まっている人がいて、それは夏季で。夏季は多分何が起きてもベンチにずっといる存在だし、試合に一番近いところにいると思うので、夏季が選手を盛り上げる役にもなれるし、浮足立った選手を抑える役にもなれるので、絶対に多分ベンチに入れるので、なつきがキーマンじゃないですかね。
金城 でも私もまったく同じこと考えてて。絶対入るポジションだし、必要不可欠なんだよね、試合をするには絶対。確立されてるからそれなりのプレッシャーだったり、表には出せない思いもいろいろあると思うんですけど。
菅原 うん。でもそこで自信もって、私がいないと回らないんだぞってくらいの気持ちでベンチに堂々と座っててほしいなと思います。
安住 あとはやっぱりあやさんかな。私たち学生スタッフの共通の用語がありまして、「あやさん劇場始まったよ」って(笑)。
一同 (笑)。
金城 劇場がね、試合中にね。
安住 ベンチでのあやさんのパワフルさがインカレでも見られるんじゃないかなと。
金城 それですごくベンチも良い空気になるよね。
山下 いつも助けられてる。
金城 一人でパンパン!って。
菅原 ピッチの外で一人でね。
安住 エアサッカーしてるみたいな(笑)。
――最後に、インカレへの意気込みをお願いします!
安住 ピッチの中で活躍することは天と地がひっくり返ってもないんですけど、特に学生トレーナーは、送り出す前がもう仕事としては終わってしまうんですけど、そこまで、ピッチに繰り出す準備っていうのはしっかり自分たちができることはしてあげたいなっていうのと、送り出した後はもうみんなに楽しんでやってもらえればそれでいいので、あとは1人のファンとして応援するのみです。信じています。
金城 伊代が言っていたように自分たちって立場上、試合を決めるようなシュートを決められるわけでもなく、勝ちに導くようなスーパーセーブができるわけでもなく、でもそのような選手たちをそれができる状態で、100%にしてピッチに送り出すのが仕事だと思うので、こっちも100%でやり切りたいし、あとは信じるだけですね。
山下 試合までの準備はミスなく、ちゃんとみんながインカレに出れるまでの準備は整えるので、あとは頑張ってほしいのと、ベンチにはもちろん交代で代わるような子もいるので、そういう子たちのサポートまでしっかりやって、東京に帰ってきて、優勝できるように頑張りたいです。
菅原 選ばれた選手はすごくフォーカスされるというか、みんなの視線が集まると思うのですが、やはり怪我で入れない選手だったり、コンディション面でメンバー外に外れてしまった選手も必然的にいるわけで。そういった選手の思いを背負って立つことになるんだよっていうのを自分たちが、メンバーから外れてしまう選手たちに近い分、知っているところは多いと思うので、そういう点をしっかり伝えて、みんなが知ってる状態で、勝ちにいけるような準備ができたらいいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 内海日和、稲葉侑也 写真 手代木慶)
インカレへの意気込みを色紙に書いていただきました!
◆菅原貴幸(すがはら・たかゆき)(※写真中央右)
1998(平10)年7月5日生まれ。169センチ。福岡・八女学院出身。スポーツ科学部4年。ピッチ内外でチームを支える菅原さん。色紙には「Passion」と書いていただきました!
◆山下夏季(やました・なつき)(※写真左)
1999(平11)年8月18日生まれ。155.4センチ。静岡・浜松北出身。スポーツ科学部3年。3年生ながら頼れるマネージャーとして活躍する山下さん。インカレでも「アツく、冷静に」戦います!
◆安住伊代(あずみ・いよ)(※写真中央左)
1997(平9)年7月29日生まれ。162センチ。宮城・仙台第二出身。スポーツ科学部3年。金城さんと共にトレーナーとして活躍する安住さん。ピッチに外でも、選手と「共に闘い」ます!
◆金城実希(きんじょう・みき)(※写真右)
1999(平11)年8月18日生まれ。155.5センチ。沖縄・開邦出身。スポーツ科学部3年。安住さんと共にトレーナーとして躍動する金城さん。色紙には「百」と書いていただきました!