今季、ワセダは良くも悪くも様々な経験をしたことだろう。そんな1年間、チームをけん引し続けたMF中田航平主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)とDF三竿雄斗副将(スポ4=東京ヴェルディユース)。主将、副将の2人は関東大学リーグ戦(リーグ戦)の結果をどのように考えているのか。そして全日本大学選手権(インカレ)の展望はいかに。本連載の最後を飾るべく、主将×副将対談を行った。
※この取材は12月10日に行われたものです。
「首位と勝ち点15差という結果は屈辱的」(中田)
三竿
――17年ぶりのリーグ戦優勝を目指していた中で、その目標は達成できませんでした。率直にリーグ戦を振り返っていかがですか
中田 優勝できなくて悔しいという気持ちはもちろんですし、前半戦は専大に勝ち点2差で折り返したにもかかわらず、最終的には勝ち点15差つけられてしまったのが悔しいです。後半戦の全てが悪い試合だったというわけではないのですが、結果的にそこまで差を離されての2位で終えたことは屈辱的でした。
三竿
一昨年やきょねん、ことしと前期では良い結果を残してきました。自分としては2年生から試合に出させてもらって後期で失速する経験を2年間してきたなかで、後期は勝ち点3を取ることが難しいとは分かってはいたんですけど・・・。自分自身そのことを伝えていきたかったけど、伝えきれなかったですし、他のチームが夏の間にレベルアップして、自分たちより上になったときに結果がなかなかついてこなくなりました。自分自身もこれだけ上手くいかないのは初めてです。踏ん張らないといけないところで踏ん張れなかったし、決めるべきところで決めきれない弱さがありました。航平も言ってましたけど、首位と勝ち点15差という結果は屈辱的ですし、とても責任を感じています。
――後半戦になって勝ち点が伸ばせなくなった要因の一つに、失点の多さがあると思います。後半戦は13試合で25失点を喫してしまいました
中田 もったいない失点が多かったですね。勝てた試合も失点したことで、勝てなかった試合が多かったです。代表的なのは順大戦(第17節、△2-2)ですかね。あの試合は勝っているときのゲーム運びが課題であることが浮き彫りになりました。前半2-0としてそのままいけば勝てたにもかかわらず、得点を奪おうとする意識が強くて、得点も取れずに最後には追いつかれてしまって。もっと守備的にして得点を取らせないようにするのも一つの策だったと振り返って思います。1試合のなかで、攻めるときと守るときのメリハリがなかったですね。それと単純に個人の弱さというものがあります。夏場で相手のほうが成長をして、相手の技術が自分たちを上回ったから得点されたというシーンも多かったように感じています。
三竿 今季は例年に比べて本当にもったいない失点が多くて、なんでそんなので失点してしまうのかと思う場面もありました。一瞬の判断ミスや集中力の欠如から簡単にやられる場面が多かったです。昨季はDFラインの山地(翔、平25政経卒=浦和レッズユース)くんや畑尾(大翔、平25スポ卒=FC東京Uー18)くんや順平(菅井、平25スポ卒=浦和レッズユース)くんが90分間集中力を切らさずに高いパフォーマンスを発揮していた中で、今季は自分も含めてDFラインのパフォーマンスにばらつきがすごくありました。最後に体を張る部分も、チームとして昨季より少なかったですね。DFラインで唯一の4年生である自分が、練習や試合が終わった後、修正すべき点は修正するようにもっとコミュ二ケーションを取るべきだったなと感じています。
――チーム状態が悪い中で、雰囲気も良くはなかったと思います。状況を打破するべく、主将や副将で特別に話合いを設けるということはありましたか
中田 いやー特別にはしてないですね。
三竿 そんなに雰囲気としては悪くはならなかったんですよ。深く落ち込むこともそこまでなくて、日々のトレーニングはしっかりできていた感触はありました。確かに100%満足いくトレーニングができなかったこともありましたけど、自分たちの戦いをやろうということで、そこはぶれることはなかったですね。
中田 負けたとしても週明けには完全に切り替えることはできていました。次の試合に向けて、チーム一体で勝利を目指して向かっていけていたとは思います。結果だけがついてこなかったですね。
――トレーニングの取り組み方にはポジティブな面があったということですが、試合をこなしていく中で得られた収穫というものはありましたか
中田 自分たちの強みを生かしてゴールを奪えたシーンがいくつかあったことです。筑波大の1点目も奪ってから速く前に行ってゴールを決めることができましたし、順大戦の2点目もボールを高い位置で奪って素早く左に展開して生まれた得点でした。自分たちが夏場でトレーニングしたことや、いままで積み上げたものが出せたゴールをいくつか決められたので、そこは本当に良かったと思います。最終節の専大戦も勝てはしませんでしたが、ワセダらしい内容は見せられたかなと。結果は敗れてしまいましたが(●0-1)、攻守の切り替えやハードワークという自分たちの持ち味は出せていたので、全てが悪いわけではなかったと思います。成長したと思える面もゲームを通して感じることができましたし、今後のインカレで生かしていければと考えています。
三竿 自分のことだけを考えると、一昨年やきょねんに比べて成長したという実感はあまりないですね。自分の持ち味も出しきれなかったし、失点も多かったですし、成長しきれなかったというのが正直なところです。逆に今季出始めた選手にはとても良い経験になったと思います。特にDFラインの選手は若い選手が試合に絡むようになりましたが、後期のうまくいかなかった経験や、試合を通してうまくいかなかった経験を来季以降に生かしてくれればと思います。今季はリーグ優勝という目標は達成できませんでしたが、来季は良い結果を残してもらいたいです。
――三竿選手は少し個人的なことにも言及しましたが、中田選手自身のパフォーマンスを振り返っていかがでしたか
中田 後半戦からリーグ戦に出られるようになりましたが、パフォーマンスに波があったように感じています。ただ、調子が良いときはボールを持った状態で相手に寄せられても落ち着いてプレーできたし、守備のときもしっかりとハードワークできていました。3年半に渡ってリーグ戦に絡めなかった中でも、通用する部分もあるんだなと思いました。だからこそ、個人としてもっと自信を持ってやらないといけなかったと感じています。自分主導でチームとしても早いサッカーをするのか、タメを作って時間をかけて攻撃するのかって判断もして、ゲームを掌握していきたかったですね。自分自身の良い部分や課題が明確になって良かったとは思います。
――冒頭でも三竿選手が「後期で失速する経験を2年間してきた」とおっしゃっていましたが、今季も含めて、ワセダはここ数年間に渡って後半戦になると勝ち点を伸ばせないパターンが続いています。この点をお二人はどのように分析されていますか
三竿 自分たちは1試合1試合に懸ける気持ちが本当に強いです。だから前期や後期とかは関係なく、どの試合でもハードワークを絶やすことはないですし、勝利への執着心はものすごくあります。でも他の実力がある明大や筑波大や専修大は、前期だからまだ試合数も残っているって気持ちもあって、ハードワークの部分や勝利への執念というものが前期は少し薄いように感じます。逆にそういった実力のあるチームは後期になって追い込まれたり、終わりが見えてくると、ワセダが強みとしている攻守の切り替えや球際の激しさ、運動量とか勝利にこだわる姿勢というものが出てくるんですよ。ただでさえ技術で負けているのに、しっかりと相手チームがそういう面を出してきたら、勝つのは簡単ではなかったですね。さらに言うなら、自分たちは夏の間やオフシーズンの期間で自分たちができたことをベースに、プラスアルファでできなかったことや新たな武器を身につけていればなと思っていて。ワセダは奪ってから早い攻撃を仕掛けるのは得意ですけど、そればかりだと相手に警戒されてしまいますし、一つや二つのパターンでは通用しなくなってきます。裏への意識だけでなく足元でボールを繋いだり、サイドからだけでなく中央突破も試みたりと状況判断の面も含めて、もっと色々なかたちを持っていれば違う結果になったと感じています。守備でも個人プレーのところばかりでなく、連携や戦術的な面ももっとフォーカスしてやっていれば、勝ち点も変わっているのかなと感じています。自分たちのやってきたことのみを重視してしまった面は少なからずあったと思いますね。
中田 これが正解かどうかは分からないですけど、他大学は色々な選手が出ているのに対してワセダはメンバーが固定されているので、そのことは少し影響していると思います。後半戦の最初は、試合に出れていなかったMF竹谷(昂祐、スポ4=ガンバ大阪ユース)が第11節の中大戦でゴールを決めて勝利に導いたりしていましたけど、その後のリーグ戦を見てみたらそういった選手はあらわれてこなくて。その点、専修大は30番、40番台の選手が試合に出ているのは当たり前ですし、そういった環境でないのは良くないと思います。同じ選手がいれば相手も分析しますし、戦術も研究されます。そう考えたら色々な個の強さが出てこないと、こういう結果になってしまうのかなとすごく感じます。前半戦はすごい感情も高ぶっていて、良いパフォーマンスが合宿や練習でも多く出ていて試合で発揮できていましたが、逆に後半戦はメンバーが固まって「スタメンは変わらないだろう」という雰囲気が少し出てしまいました。そうではいけないし、練習で良い競争に終わるのではなくてスタメンが入れ替わるところまでいかないと、後半戦で勝つことは厳しくなってくると感じました。
――ワセダでは「一つのポジションを3人の選手が争う」競争をしていくことがチームの指針の一つであるという話を聞きましたが、そういった競争にはならなかったということでしょうか
中田 監督が前々からそのことは言われていたことではあるんですが、実際にはケガ人も多くて、良い競争にはなっていなかったと思います。FW片山(瑛一、スポ4=埼玉・川越)やFW上形(洋介、スポ3=東京・早実)といった昨季から試合に絡んでいた選手が出られない状況になって、FW宮本(拓弥、スポ2=千葉・流通経済大附属柏高)とFW榎本(大希、スポ4=横浜F・マリノスユース)の2トップで自然と固まっていきましたけど、そういう環境だとダメだと思います。逆に昨季のインカレを振り返ると、一つのポジションを3人近くで争っている環境がありましたし、だからこそ優勝できたという思いがあります。
――昨季のインカレではリーグ戦を怪我で欠場し続けていたMF白井豪(平25スポ卒=東京・三鷹)選手がゴールを量産して優勝に貢献しました
中田 昨季はインカレ開幕前に貴司(MF近藤、スポ3=東京・三菱養和SCユース)が怪我した中でも、豪くんが出てあれだけの結果を残しましたよね。ミサや政幸(DF奥山、スポ2=名古屋グランパスユース)や貴司が怪我したときに、他の選手が出て豪くんみたいな活躍ができるかっていったら、リーグ戦の時点では難しかったと思います。
――リーグ戦の時点ではというお話が出ましたが、現在では少し良い競争関係になってきているということでしょうか
中田 そうですね。リーグ戦を終えてからの最近のトレーニングでの中でも下級生もエネルギーを持ってプレーしてきてますし、紅白戦で3チームで試合をしたりしても下のチームが上のチームに勝つことも出てきているので、少しずつ複数の選手が一つのポジションを争う流れにはなってきていると思います。
――三竿選手自身はDF望月理人(スポ4=鹿島アントラーズユース)選手との争いが自らの成長に繋がっているという話を度々されていますが、チーム全体を見たときに良い競争は行われていると思いますか
三竿 自分自身は本当に理人が同じポジションで争っているって危機感というか、良い意味ですごいライバル意識を持っています。それは今季だけでなくて1年生のときから続いている関係ですし、だからこそいまの自分があると思います。でもチームの現状として、自分のポジションに限らずケガ以外でスタメンが入れ替わることはほとんどありません。口ではメンバーは決まっていない、スタメンは白紙であると言っているけど、結局試合に臨むのはいつも通りのメンバーで戦ってきました。それは監督の采配どうこうではなくて、本当に自分たち選手自身の問題です。例えばスタメンの11人の選手を見て、メンバー外の選手がなんであいつが出ていてあいつが出ていないんだって思うことはなくて、誰もが納得するような11人なんですよね。航平も言いましたけど強いチームはメンバーが代わっても結果は出るし、それに対して自分たちは3人が一つのポジションをかけて高いレベルで争うところには至っていませんし、選手層が薄いのが現状だと思います。ことし紅白戦をやっていても、下のチームに負けることは本当に稀で数ヶ月に一回とかでした。自分がいままでやってきた環境の中では下のチームが上のチームに勝つということは珍しくなかったし、当たり前だと思っていたのにという気持ちはあります。特に下級生なんかは上級生に対してもっと激しくやってきてもいいと思うし、すごく大人しい印象があります。もっと自分気持ちや感情を出してプレーしてきてほしいですし、そうしていくことが良い競争にも繋がっていくと思います。
「個が強いほうが人生得すると思うんですけどね(笑)」(三竿)
中田
――ここからは少しリーグ戦からは話を移したいと思います。まずお互いのオンとオフでの印象を聞かせてください
中田 プレーしてるときはすごい熱いですよね。喧嘩っぱやいっていうか、暴言も吐きますし、平気で相手を削りますし(笑)。でも私生活になったらふざけてることも多いですし、楽しそうにしてるなって思います。楽しそうですね、いつも(笑)。小原(敬、商4=ベガルタ仙台ユース)とか皆とふざけてますし、色々な人と絡んだり、色々な奴と飯にも行ってますしね。
三竿 どっちもくそ真面目かなって思いますね。サッカーしてるときは真面目でクレバーだし、すごいリーダーシップの取れる選手だと思います。私生活になっても少し真面目すぎるっていうか、ノリの悪いところもありますけど、航平もピッチ離れたら平気で人としてくそなこともしますし、結構えげつないことを後輩にしてますよ(笑)。まぁ、よく分からないっていうか・・・
中田 お前適当に言ってるだろ(笑)。
――えげつないことを言える範囲で教えてください
三竿 言えることか・・・
中田 別にないんだよ!(笑)。言える言えないんじゃなくてないんだよ(笑)。
三竿 いやあるある、普通にある(笑)。風呂場で後輩にちょっかいだしてました。風呂場で後輩の顔面にね!
中田 貴司か(笑)。遠征のときに三竿と俺で風呂に入ってるときに、ふざけて貴司を標的にしました(笑)。
三竿 可愛がりですね。可愛がりです(笑)。
――お互いに大学に入る以前から面識はありましたか
中田 いや、知らなかったです。
三竿 俺は知ってました。航平は主将もやって目立ってましたし。
中田 最初はこいつ誰だよって思いました(笑)。
三竿 そう思われても仕方ないです。俺はユースのときは本当に適当にやっていたんで(笑)。
中田 話聞いたらすごいんですけどね。高校1、2年のときには出てたんだっけ?
三竿 いや1、2年のときには背番号6を貰ったんですけど、ずっと怪我していて結果何もできなかったですね。2年の途中で怪我から復帰したんですけど、色々あってまた試合に出れなくなって。3年のときにようやく20番を貰って、結構試合には出れるようにはなりましたけど。
中田 プリンスリーグでもやってない?
三竿 試合は一緒にはやってないよね。
――4年間一緒に過ごしてきた中で、改めて4年生はどのような学年だと考えていますか
中田 「個」が強いですよね。サッカーしてるときも本当に個が強いし、ピッチを離れても個のインパクトがありますね。まとまってはないです(笑)。でも仲は良いよね?
三竿 仲は良いよ。仲悪い奴らもいるけど。
中田 確かに皆で何かしようって感じにはならない(笑)。
――1年生のときからいまの学年の色というものは変わらないのでしょうか
三竿 そうですね。本当普通ですよ。逆に他の学年が個が無さすぎるというか、つまらないですね。本当に何にも面白くないです(笑)。4年生はピッチに入ったら人が変わるっていうか、感情むき出しにしてプレーするし、ピッチ離れたらふざけあったりしますけど、サッカーやってる奴は俺の中ではそれが普通ですよ。逆に3年生はピッチ内外でおとなしかったり、つまらない奴が多くて、そういう奴は・・・上にはいけないかなって思いますね!(笑)。
一同 (笑)
三竿 俺らみたいな感じのほうが、選手としても良いと思いますし、就職って意味でも俺らの代は優秀ですよ。主張してこない奴なんて企業側も取りたくないですし、全然個が強いほうが人生は得すると思うんですけどね(笑)。
――学業面では卒論の提出が間近であるとは思いますが
中田 いやー本当に切羽詰まってますね。何とか終わらせます。
三竿 ノーコメントでお願いします。
――卒論のテーマは何でしょうか
中田 ずっとキャプテンをやってきたので、リーダーシップ系のテーマでやろうとは思っています。
三竿 そこもノーコメントでお願いします!(笑)
一同 (笑)
――ワセダア式蹴球部では選手たちの彼女が試合を観にくる彼女会のようなものがあるという噂がありますが、その点についてはいかがですか
三竿 組長がこいつの彼女です。その傘下に色々といるんですけど、俺もよく分からないです。
中田 4年の彼女はあんまり来ないですね。3年生の彼女が中心です。なんかその軍団みたいな人たちが慶大戦に、僕の彼女と3年生の彼女4人で一緒に試合を見に来てたみたいなんですよ。それで僕が出てくるのが一番遅くて、それでみんなの彼氏は先に出てきたけど、僕の彼女を独りにして帰ると可哀想だから帰れなかったみたいです。「航平さんが終わってないのに、彼女さんを置いては帰れない」という雰囲気がちょっとできちゃったみたいで(笑)、それを機に軍団が形成されたってことらしいです。
――中田選手自身は試合に来るように誘っているんでしょうか
中田 家の近くで試合するときには来ればとは言ってます。来てくれって言ってます。
――来てくれたときは、やはりいつも以上に高まりますか
中田 どうなんですかね(笑)。関係ないですよ(笑)
――三竿選手は彼女とのプライベートについてはいかがですか
三竿 ノーコメントです!
一同 (笑)
三竿 言っちゃだめです(笑)。彼女も試合に来ますけど、その軍団とは一緒に見てないですね。その軍団と話したりはしてますけどね。そんなに変わらないですよ、他の彼女と。
中田 こいつも色々あるんですよ(笑)。
三竿 大変なんですよ、自分も(笑)
――大学サッカーを盛り上げようという観点から、ことしは総勢12人のJUFAガールが活動をしていましたが、それに対して思うところはありますか
三竿 いやーちょっとよく分からないです。全然絡んだことがないので。
中田 色々いるなって思います(笑)。一概には言えないですね。
――話は大きく変わりますが、ハロウィンでMF小松聖音(商4=北海道・札幌光星)選手と中田選手で仮装していた姿がNAVERのまとめに載ったという話を聞きましたが、仮装に至った経緯を教えていただけますか
中田 あれですか(笑)。あれは小松が会社の同期の奴とハロウィンで遊んでたんですけど、その衣装を寮に持って帰ってきて、小松と堀田(稜、スポ2=浦和レッズユース)が一緒に「ハロウィンしようぜ!」って言ってきて(笑)。俺は拒否ってたんですけど、じゃあ一回だけってことで写真撮らせて貰って、小松がツイートしたら載ってしまったって感じですね。知ってた?
三竿 知ってたよ、もちろん(笑)。
中田 あそこまでいくと恥かしかったですけどね。ツイートがまとめられちゃうなんて思ってないですから(笑)。仮装もなんだこれって感じですしね。まぁ良い経験です(笑)。
「優勝を目指して全力で戦います」(中田)
三竿。DFライン唯一の4年生として守備面でもチームに貢献した
――インカレについて話を移していきたいと思います。インカレの組み合わせが発表されていますが、組み合わせについてどのような感想をもたれていますか
中田 比較的良い山に入ったんじゃないですか。優勝するためには結局強い強いチームと当たらないといけないので、どことあたっても別にいいんですけど、客観的に見たら勝ち上がりやすいブロックに入ったとは思います。
三竿 関西学院大と広島修道大との試合で勝ったチームと初戦を迎えるわけですけど、客観的に見たら関西学院大が勝ち上がってくると思います(実際12月15日に行われた一回戦で、関西学院大は4-1で広島修道大に勝利。初戦の相手は関西学院大となっている)。春先の早関定期戦で負けてますし、技術的に高い選手が揃っていて難しい相手になると思います。そこで勝ったとしてもまた強い相手が来ると思うし、どことやっても厳しい戦いになるので、一概に良い悪いとは言えない部分もあるとは思いますね。
――早関定期戦の話が出ましたが、そのときに印象に残っている選手はいますか
中田 センターバックがヘディング強かったなとは思います。瑛ちゃん(FW片山瑛一、スポ4=埼玉・川越)が全部競り負けていたって印象があるので。
三竿 関西(大学)リーグの得点王のFW呉屋(大翔)だったり、アシスト王の選手(MF小幡元輝)もいますし、すごく厄介ですよね。自分たちにはいないような選手が揃っているので、本当に強いチームだと思います。
――前回大会のインカレ覇者として臨むわけですが、インカレ連覇を達成するポイントは何だと考えていますか。ワセダとして最後に連覇を達成したのは1993年と1994年と、20年もの間連覇からは遠ざかっています
中田 8日間で最大4試合をこなす短期決戦なので、大会中にスタメンを変更するのは難しいかもしれないですけど、スタメンを変えることも求められるかもしれないですし、勝っていくなかでどれだけ疲労を貯めないでいくかってことは考えていく必要があると思います。自分たちはハードワークができてこそのチームですし、ハードワークできるように個人個人がうまくコンディションを整えていきたいですね。
三竿 こういうトーナメントは精神的なものが勝敗を大きく左右すると思います。負けたら終わりっていうプレッシャーから消極的になりがちな中で、いかに積極的なプレーができるか、相手の心を折るようなプレーができるかが重要になってくると思います。球際の激しさも含めて一つ一つのプレーにエネルギーを持ってやりたいですね。中1日での試合も多いですけど、そういう疲労の部分も精神的なもので乗り切れるかってところですし、ハートが全てだと思います。
――昨季インカレ優勝できた要因の一つに、アミノバイタルカップ優勝、総理大臣杯ベスト4とトーナメントでも結果を残してきたことが挙げられると思います。しかし今季はアミノバイタルカップ7位、総理大臣杯でも2回戦で敗退と結果を残しているとは言い難い状況です。この2大会で優勝できなかった教訓をどのように生かしていこうと思っていますか
中田 あんまり性格的に過去の大会とかは気にしないので、そういう意味では結果を残せていないことに対してネガティブになることはないですね。ミサもいってましたけど、短期決戦では気持ちの強さがとても大事なので、本当に勝ちたいという気持ちで相手を上回れるかだと思います。
三竿 先ほども言いましたけど、どれだけ積極的なプレーができるかだと思いますし、リーグ戦とか過去のトーナメントでは相手の合わせたサッカーをしてしまいズルズルといってしまったので、立ち上がりから最後まで90分間を通して自分たちのサッカーをしたいですね。そうすれば結果はついてくると思います。
中田。6月からスタメンに定着し、ピッチ内外問わずチームを引っ張った
――インカレ優勝に向けてチームの機運は高まっていきていますか
中田 ミサがずっと湘南ベルマーレに練習参加していて、全日本大学選抜とか関東選抜で何人か選手が抜けていた中で行われた1週間のトレーニングではチームのことよりも個人を高める練習を意識していました。先発で出続けていた大希(FW榎本、スポ4=横浜F・マリノスユース)もケガをしてしまって出られるか分からない中でも、チームとしてここ1週間で優勝に向けてさらに良いトレーニングをしていこうという意識でやっていますね。
三竿 個人的なことを最初に言うと、ここ数週間ベルマーレで練習していた中で、自分自身すごい密度の濃い1週間を送れました。練習を通して95パーセント自分の力が発揮できたとしても、一瞬の集中力の欠如や一度でも緊張感のないようなプレーを残りの5パーセント詰めきれなかったことでしてしまい、評価を下げてメンバーに入れないということがあって。日頃の練習から100パーセントでやっているつもりだったけれど、つもりじゃだめなんですよね。本当に自分の甘さというものを認識できたし、逆に最初の1週間はだめだったけど、その次の1週間で強い気持ちで練習に臨めました。自分の限界というものが意外と限界ではないことが分かったし、こういうプロとやるなかでも通用する部分にも気づけたし、そういう経験を明日からの練習に生かしてチームに刺激を与えたいと考えています。
――チームメイトの中で、期待している選手や頑張ってほしい選手はいますか
中田 奥山じゃないですか。全日本大学選抜でもあれだけ評価されていますし、チームの中でもすごい信頼感の厚い選手なので。ここがすごいってプレーはしないかもしれないですけど、彼の存在はとても大きいし、玄人が好むようなプレーをしてくれると思います(笑)。
三竿 瑛ちゃんですね。ケガから復帰してインカレに向けてしっかり良い準備をしてると思うし、ケガで出られなかった分の思いをインカレにぶつけてほしいです 。皆も瑛ちゃんが帰ってくるのを待っていたと思いますし、本当に頑張ってほしですね。
――4年生は負けたら引退ということですが、それに対して思うところはありますか
中田 何か分からないですけど、25日で引退だと思っている自分がいるんですよね(笑)。あんまりそれより前に引退するってことは想像できないんですけど、そうならないように1試合1試合気を引き締めて戦いたいと思います。
三竿 いまから結果がどうなるかって考えても仕方ないですし、本当にこれから1日一日をいままでの人生で一番密度の濃いものにしたいです。試合でも一瞬一瞬を大事にして、一瞬一瞬を集中してやることによって、一番上にいけると思います。
――インカレ優勝に向けて意気込みをお願いします
中田 個人としても最後の大会になるので、今シーズンは総理大臣
杯でしかゴールを決めていないので、得点を取りたいって気持ちはあります。まぁでも、チームが優勝できればいいとは思ってます。とにかく優勝を目指して全力で戦います。
三竿 今季振り返ったときに、後悔する部分というものがすごく多くて、終わりよければ全て良しではないですけど、優勝して次のステージに進みたいと思っています。連覇も長年していないという話ですし、らいねんに繋げるためにも優勝したいと思います。
——ありがとうございました!
(取材・編集 下村龍史、松坂和之進、松下優)
左から三竿、中田
◆三竿雄斗(みさお・ゆうと)
1991(平3)年4月16日生まれ。174センチ、69キロ。東京ヴェルディユース出身。スポーツ科学部4年。2年生の頃から先発出場、湘南ベルマーレへの来季加入内定など輝かしい実績を誇る三竿選手。サッカーに関する質問では冷静な分析でしっかりと答えてくれましたが、プライベートな質問ではノーコメントを貫く場面も…。真相は謎のままです。
◆中田航平(なかた・こうへい)
1991年(平3)4月21日生まれ。171センチ、63キロ。神奈川県立横須賀高出身。前所属・横浜F・マリノスユース。スポーツ科学部4年。頼れる主将としてチームを引っ張ってきた中田選手。三竿選手から「くそ真面目」と評されていましたが、ハロウィンでは仮装してしまうというおちゃめな1面も!「良い経験」と振り返り、真面目な中田選手ならこの経験もサッカーへと繋げてくれることでしょう!