【特集】バスケ早慶戦前対談 岩屋頼×堀陽稀×堀田尚秀×廣政遼馬×椎橋遼生

特集中面/バスケットボール特集

5月31日に開催される早慶定期戦(早慶戦)。今年で83回目を迎える本大会は大学バスケ界屈指の注目度を誇る。満員の代々木第二体育館で迎える伝統の一戦を前に、選手たちが抱く思いとは。両校の主将と副将に早慶戦への意気込みを伺った。

※この対談は3月22日に行われたものです。

ーーそれぞれ自己紹介をお願いします

岩屋 G岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)です。主将を務めています。ポジションはポイントガードです。

 F堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)です。副将を務めております。ポジションはフォワードです。

堀田 G堀田尚秀副将(スポ4=京都・東山)です。副将を務めています。シューティングガードをやっています。

廣政 廣政遼馬(慶大4年)です。主将を務めています。フォワードをしています。

椎橋 椎橋遼生(慶大4年)です。副将を務めています。ポジションはセンターです。

ーーご自身のアピールポイントを教えてください

岩屋 僕は一つこれというものではなく、パス、アシスト、得点をまんべんなくできる幅広いプレイが強みだと思っています。

 僕はディフェンスを頑張っているので、早慶戦もディフェンスを頑張りたいと思います。

堀田 スリーポイントを武器にしています。

廣政 シュートを一番得意にしています。

椎橋 僕はそこまで得意なプレーはないですが、慶応全体でディフェンスと、リバウンドと、ルーズボールをやる選手が必要となっているので、一番それを体現したいなと思っています。

ーー今年のチームの強みを挙げてください

岩屋 自分たちはサイズがそこまでないので、全員が走る速い展開に持っていけるところが強みだと思っています。

 そうっす。一緒っす。

堀田 それに付随して、全員がシュートを打てる部分と、前からプレッシャーかけれる部分が強みだと思います。

廣政 ディフェンスからというチームコンセプトをしっかりみんなで理解して、その強みを活かせるチームだと思ってます。

椎橋 フレッシュな下級生がいっぱいいることだと思います。

ーー新1年生の印象はいかがですか

岩屋 のびのび自由にやってくれているので、思い切ってプレーしてくれていると思います。

 いい感じっす。結構身長も高くて、能力も高いと思うので、頑張ってほしいです。

堀田 サイズがあってシュート力もある選手が2人いるので、ファイブアウトにした時でも相手のビッグマンを守りながら、オフェンスではアドバンテージを取れる能力があることが強みだと思います。

廣政 ある程度サイズはありますが、中外を問わずにプレーできることは一つ強みだと思います。チームのコンセプトに沿いながら、自由にのびのびとプレーしてほしいなと思います。

椎橋 コミュニケーションを自分から取ってくれることがありがたいです。分からないこともすぐにバックアップできますし、そういった関係性ができているのは良いかなと思ってます。

ーー両校の主将にお伺いします。お二人が主将になった経緯を教えてください

岩屋 1年生の頃からずっと試合に出させてもらっていて、ポイントガードということもありますし、去年はほぼゲームキャプテンみたいな立ち位置でした。やらないといけないという使命感がありつつ、自分で引っ張っていきたいなと思ったことがきっかけです。

廣政 僕も1年生の頃から色々発言させてもらっていたので、うまくチームに貢献も還元できたらなという思いがあり、周りからの支持もあって主将を務めることになりました。

早大の主将を務める岩屋

ーー両主将は周りから周りからみてどのような主将ですか

 やる気がある時は頼りになるキャプテンです。でもやる気がないときはやる気がないので、そこをもうちょっとムラなく頑張ってほしいと思います。

堀田 特にプレーの面で引っ張っているなという印象が強いです。ここ1番で頼りになりますし、自分が点を取りにいきつつ周りを生かせています。ポイントガードとしてチームを引っ張り、キャプテンとしてベンチからでも周りに声をかけているので、頼もしい存在です。

椎橋 彼は強烈なリーダーシップがあって、1年生の時からストイックでした。最近はどうやったらもっと下級生を巻き込めるかというところまで考えてくれていて、すごく頼りになります。チームがうまくいかない時も1番声を出してくれたり、私生活もかなりストイックなので、そういうところはみんなが見習うべき存在だと思っています。

ーーそれぞれ相手チームの印象はいかがですか

岩屋 慶応さんはすごいハッスルをするので、僕らがやらないといけないことを体現できているチームという印象です。ディフェンスやルーズボールに強く、そこの部分がすごい慶応さんらしいなと思います。

 一緒なんですけど、早慶戦の時はすごい強いという印象です。リバウンドとか、ディフェンスとか、ルーズボールをめちゃくちゃ頑張ってくるので、良い意味でダルいチームだと思います。

堀田 1ポゼッションへの熱量というのは、東京六大学リーグ戦の試合でも感じましたし、特に早慶戦となればより一層強度の高いバスケットをしてくるという印象です。

廣政 一人一人のスキルも高いですし、個の能力がありつつ、チームとしてしっかり繋がっているところは魅力的です。自分たちからしたら1年間倒したい相手としてずっと掲げているので、そういう点ではターゲットでありつつ、目指しているチームでもあります。

椎橋 個人的な話になりますが、僕が高校のウィンターカップ(全国高校選手権)で負けたのが東山の2人(堀副将、G堀田尚秀副将、スポ4=京都・東山)だったので、そこから勝ちたいなという思いがあります。スタメン以外でもみんな実力がありますし、1年生も全然スタメンに引けを取らないくらいうまいし、体も強いというところで、相当頑張らないと勝てないなと思います。

ーー去年の早慶戦を振り返っていかがてすか

岩屋 僕は出場できず、動画で見るかたちとなりましたが、かなりメンバーが欠けているにも関わらず面白い試合でした。

 僕も出ていないのですが、接戦だったので見ててヒヤヒヤしました。もっと頑張ってくれと思っていました。

堀田 この2人の他にも三浦くん(三浦健一、スポ3=京都・洛南)とか城戸くん(城戸賢心、スポ3=福岡第一)もいない中で、どうやろうという課題がありました。レギュラーメンバーとそうではない人が一緒にずっと出ていましたが、早慶戦という何が起こるか分からない大舞台でこのメンバーでも絶対に負けられないというプライドがありました。責任感というものが自分の中で大きく芽生えた大会だったと思います。

廣政 相手は主力が欠けていましたが、それでも崩れないところが印象的でした。前半はリードしている状態でしたが、第3Qでひっくり返されるという、こっちからしたら非常に嫌な展開になってしまいました。そこは反省点であり、悔いの残る試合になりました。

椎橋 前半は本当に勝てそうな感じではありましたが、最後の遂行力という部分では早稲田に分があったと思います。主力メンバーを欠いていても、チームの強さというものをすごく感じました。

ーー早慶戦に対する思いを教えてください

岩屋 伝統ある定期戦ということで、恥のないプレーをしないといけないと思います。普段の大会よりもお客さんが入ってくれて、普段じゃ経験できない舞台で試合ができるので、すごい楽しみという印象があります。

 僕らはバスケするだけですが、いろいろな人が関わってくれているんだなと思ったので、感謝の気持ちは忘れずに頑張りたいと思います。

堀田 伝統もありますし、特にスタッフ陣が多くの時間を費やして作ってくれる大会です。その分、僕たち選手は勝利しないといけないですし、僕らは早慶戦も4年目なので、慶応さんには絶対に負けられないなという思いがあります。

廣政 入学して3年間、早稲田に負け続けている状態です。学生、スタッフをはじめ、たくさんの方が支えてくださる大会なので、このままじゃ終われないという思いがあります。未知な景色というか、勝利して見えるものは違うと思うので、最後にそれを味わいたい思いがあります。そういう意味では絶対勝ちたい試合です。

椎橋 僕は父が慶応バスケ部のOBで、慶応の試合を小さい頃からよく見ていました。早慶戦の舞台にに立ちたいという思いはありましたし、勝ちたいなという思いがあったので、ラストは絶対に勝ちたいです。早稲田の3人も言ってくれていましたが、裏方で準備してくれているスタッフであったり、OBの方々が多いです。そういった方々に恩返しできる1つのチャンスだと思うので、勝ちたいと思います。

慶大の主将を務める廣政(慶應スポーツ新聞会提供)

ーー満員の代々木第二体育館に対する印象を教えてください

岩屋一つ一つのプレーに観客が盛り上がってくれるので気持ちいいっす。

 自分が1年生で早慶戦に出してもらった時に、出場してすぐに点を取り、会場がめちゃくちゃ沸いたのを未だに覚えていて、気持ちいいっすね。

堀田 緊張感という部分では、他の大会とは別格の異様な空気感を1年生の頃から感じています。その中でプレーすることは他ではできない経験ですし、気持ちいいっすね。

廣政 学生バスケだったら1番観客が入るような試合だと思いますが、まずその舞台に立てることがありがたいことです。普段の試合とはまた違って、何気ない1プレーで流れが変わると言っても本当に過言じゃないですし、それが力にも、怖さにもなります。ですが早慶戦をそのような試合として楽しめるかということは1つ大事にしたいところです。

椎橋 僕たちは関東大学リーグ3部に所属しており、あれだけ多くの観客の下でバスケットをできることは他にないので、貴重な経験をできて光栄に思います。スタッフの方々や、いろいろな人の思いが詰まってる大会だと思うので、絶対に勝ちたいなと思ってます。

ーー今年の注目選手を挙げてください

岩屋 期待しているのは新1年生のF松本秦(スポ1=京都・洛南)です。早慶戦の舞台に初めて立つというところで、いかにのびのびとプレーできるかということが勝利への貢献に繋がると思います。そこは注目しているし、期待している選手でもあります。

 4年生のみんなです。最後なので多分みんなやる気だと思うので、見て欲しいです。

堀田 藤山くん(F藤山拓翔、スポ2=新潟・開志国際)です。今シーズンになって大幅にプレータイムを増やし、自分の役割をしっかり果たしてるという印象があります。特に慶応さんはハッスルする面やリバウンドに強みがあり、高さのある選手が多いですが、そこは彼が早稲田の中で1番引っ張ってくれていると思います。早慶戦でも彼のリバウンドには期待したいです。

廣政 僕は新2年生の柳本晴暖選手に注目してほしいです。バスケはどうしてもオフェンスに目が向きがちだと思うのですが、彼の気迫のこもったディフェンスは早慶戦だったら一泡吹かせてくれると思います。流れを変えてくれるような選手だと思うので、ぜひそういうところに注目してほしいなと思います。

椎橋 僕は2人います。新2年生の久保田(和空)と、新1年の桑原(佑尚)です。2人とも身長が高く、能力もすごい高いです。リバウンド、ルーズボールといった慶応のバスケットを本当に体現してくれており、チームにいい影響を与えてくれる選手なので注目してほしいと思ってます。

ーー観客に見て欲しいプレーを挙げてください

岩屋 オフェンスや派手なプレーに注目が行きがちだと思いますが、一つ一つのルーズボールとか、ディフェンスのハッスルといったスタッツに残らない部分に注目して見てほしいと思います。

 ダンクです。やります。

堀田 チームとしてはアグレッシブなディエンスの部分に注目していただきたいです。そして僕自身ではシュートに注目してほしいです。

廣政 そうですね。僕はプレーというよりも、熱量を見ていただきたいなと思います。早稲田さんに対しても早慶戦に対する熱量は絶対負けないと思ってますし、コートに出ている5人だけでなく、ベンチメンバーや、応援席にいる人と一体感を持った熱量を40分間しっかり展開できるように頑張っていきたいです。そこの熱量というところは、目には見えないところかもしれないですけど、ぜひ感じ取ってほしいなと思ってます。

椎橋 僕個人としては、まずディフェンス、リバウンド、ルーズボールという泥臭いところに注目してほしいです。チームとしては、僕たちは毎年早慶戦で早稲田のセットプレーを全部覚えて、動きを先読みして守っていたりもするので、そういうところの準備に注目してほしいなと思います。

ーー早慶戦へ意気込みをお願いします

岩屋 熱量やハッスルというところを慶應さんが言ってくれたので、そこは勝ちたいと思います。

 同じく、そういったところで勝ちたいと思います。

堀田 ただ試合に勝つっていうだけではなくて、一つ一つのプレーでも全てを圧倒できるように頑張ります。

廣政 能力やスキルで劣っていても、勝てるんだということを見ている人に証明したいと思っています。そこのジャイアントキリングは是非見ていただきたいなと思ってます。

椎橋 いかに相手を気持ちよくさせず、相手が嫌なことをするかが大事だと思うので、そこをしっかりやっていきたいと思います。

ーーありがとうございました!

(取材・編集 石澤直幸)

※向かって左から

◆堀陽稀(ほり・はるき)

京都・東山高出身。スポーツ科学部4年。

◆堀田尚秀(ほった・なおひで)

京都・東山高出身。スポーツ科学部4年。

◆岩屋頼(いわや・より)

京都・洛南高出身。スポーツ科学部4年。

◆廣政遼馬(ひろまさ・りょうま)

福岡大大濠高出身。経済学部4年

◆ 椎橋遼生(しいはし・りょうせい)

東京・国学院久我山高出身。法学部4年