最終回の第3回に登場するのはRB安藤慶太郎(社3=東京・早大学院)とLB原康介(法3=東京・早大学院)の2人。早大BIG BEARSの攻守の中核を担う3年生の2人に秋季リーグ戦の振り返り、全日本大学アメリカンフットボール選手権(全日本大学選手権)の意気込みを伺った。
※この取材は11月21日に行われたものです。
自分のプレースタイルを確立できた(安藤)
法政戦でTDを決めるRB安藤
――秋季リーグ戦について伺っていきます。リーグ戦2位という結果についていかがですか
安藤 リーグ戦は甲子園ボウルに駒を進めるために、いかに有利なポジションで勝ち進むかというためのリーグ戦だと思っているので、全勝できなかったのは何より不満足です。チームとしてはオフェンスが結構形になってきたり、ディフェンスは失点数を少なくリーグ戦を終えられたのは良かったですが、一番の目標である全勝ができなかったのは不満があります。
原 自分もリーグ優勝は通過点で、その後に日本一という目標でシーズンを戦ってきたので2位という結果は非常に悔しいです。ただ2位になってしまった以上はこれからやれることをやって日本一まで進んでいくだけだと思っているので、ここから全力で勝ち進んでいきたいです。
――個人としてリーグ戦を振り返って
安藤 春はまだRBとして自分のプレースタイルが定まっていなかったですが、シーズンを迎える段階で自分のプレースタイルを確立できました。試合の中でしっかり成長してある程度のスタッツを残しつつ、自分の実力も伸ばせたので良かったと思います。
原 自分は昨年や今年の春に比べて数字は全く残せませんでした。もちろんマークが強くなってきたのもありますが、個人としてもう一段階レベルアップできていないという現状があるので、ここからさらに成長できるように、これを壁だと捉えて頑張っていきたいです。
――安藤選手はリーグ戦では11タッチダウン(TD)とリーグトップの記録を残しましたが、手応えはありますか
安藤 手応えはあまりないですが、出場した試合では必ずTDを取るということを自分の目標としていたので、そこを継続できたのはすごく良かった点です。11個も取れたのはリーグ戦が終わって、「あ、取れたんだ」という感じですね。
――特に印象に残っているプレーは
安藤 法政戦の右展開のオープンプレーです。あの試合の早稲田としては最初のTDで、結構チームに流れを持ってくるようなプレーだったと思います。自分の得意なプレーでしっかりTDを取れたのですごく印象に残っています。
――原選手にお聞きします。ディフェンス陣は失点数がリーグ最少でしたが、要因は
原 他のチームに比べて、試合にかける準備の量が多かったのが一番の要因だと思います。今年はDL、LB、DBすべてのポジションにタレントとなる選手がいますし、特に4年生の方々は実力だけではなく、相手校の分析など準備の面にも力を入れてディフェンスを作り上げていたので、試合で数字となって表れたと思います。
――今年のディフェンス陣の一番の強みはどこですか
原 今年のディフェンスは試合を通じて失点を少なくできる安定感がありつつ、個人としての能力が高い選手も多いです。要所でビッグプレーを出して、守るだけではなくて流れを引き寄せる守備ができるというのが強みだと思います。
――それぞれお互いにオフェンス・ディフェンスのユニットをどのように見ていますか
安藤 僕からは全国を見ても手堅いディフェンスだなと思います。サイズはあまりないですが、アサイメント力というかみんなで必ず止めてくるようなディフェンスが印象的です。役割分担がはっきりしていて、本人たちがそれをわかっているので、エラーが無くしっかり止められるのかなと思います。
原 早稲田のオフェンスに関しては、ラインズは特に一人一人のサイズはそこまでないですし、選手個人の力で関西相手に圧倒できる選手はあまり多くないと思います。ただ、プレーの精度や、全員のコンビネーションでキープレーヤーに上手くボールを持たせて着々とオフェンスを出していくという印象があります。
――お二人は昨年から多く試合に出場されていますが、昨年から成長できたと感じるところはありますか
安藤 昨年は4年生のエース2人がいた中での出場で、あまりRBの正規のポジションで出ることは少なかったです。今年は一本目ということで、そこでの出場機会も多くなり、その中でしっかり結果を出せましたし、RBのユニット全体としては昨年よりも今年の方が精度を高くできていると思うので、そこは成長できました。
原 自分は昨年に比べると、精神面での成長があったと思います。昨年は自分が2年生で周りに上級生しかいなかったので、試合中は自分のことだけを考えてプレーして、あとは頼っていれば何とかなるという状況でした。ただ今年3年生になり、2年生と一緒に試合に出ることも増えてきたので、試合中には周りとのコンビネーションや、声掛けなども意識できるようになったのは成長した部分だと思います。
先輩方が最後笑って終われるように(原)
早関定期戦でQBサックを決め、ほえるLB原
――全日本大学選手権・準々決勝の試合が明後日に控えています。現在のチームの雰囲気はいかがですか
安藤 オフェンス、ディフェンス同士がばちばちしているのと、全体として結構気合いが入っているという印象です。練習で感情を出すプレーも多くなり、ちょっとだらけている部分があるとしっかり喝を入れるような幹部の発言があったりと、良い練習ができていると思います。
原 4年生を中心に非常に緊張感のある練習ができています。負けたら終わりのトーナメントなので、全員が主力を尽くして戦える雰囲気ができていると思います。
――準々決勝の相手は関西大ですが、どのようなチームだと感じていますか
安藤 全体的に関西大学のディフェンスは身体能力が高く、プレースピードが速いので、そこの2点に警戒しています。自分たちが迷ってしまうとその時点でやられてしまうので、迷いなくプレーすることが大事だと思います。
原 やはり関大と言ったら日本トップレベルのQBの須田選手(啓太、4年)がいるので、まずはその須田選手が気持ちよく試合を進められないように抑えることを目標にしています。そして、エースレシーバーの溝口選手(駿斗、4年)とエースRBの阪下選手(航哉、4年)に自由にプレーされないように、ディフェンスとしていろいろな作戦を立てて、試合を進めていきたいです。
――大会でのご自身の注目ポイントを教えてください
安藤 セカンドエフォートというか、タックルされた後の粘り強さに注目してほしいです。そこができるかできないかが気持ちの表れだと思うので、関大に向けた気持ちの強さを表したいです。
原 関大のOLの選手のサイズは大きいですが、ラスト1秒まで動きを止めることなく全力で立ち向かいに行って、絶対に関大オフェンスを体を張って抑えたいと思います。
――期待しているチームメートは
安藤 僕は八木さん(QB八木義仁副将、政経4=東京・早大学院)です。クォーターバッキングが上手くいっていない時期があったり、オフェンスの幹部の一人として悩んだりしていたので、その八木さんがシーズンを通して成長できたことを関西大に向けて発揮してほしいです。また、オフェンス幹部としてみんなのために考えてきてくれたことが実るところを見たいと思います。
原 自分はずっと一緒にLBとして出場してきた石黒選手(哲、政経4=東京・早大学院)に注目してほしいです。春からずっと2LBで一緒に試合に出てきましたが、コンビネーションの精度も上がってきていますし、練習中もディフェンスの司令塔として常にチームを引っ張ってきたので、その石黒さんの集大成となるトーナメントでの姿に注目してもらいたいです。
――4年生と挑む最後の大会となります全日本大学選手権への意気込みをお願いします
安藤 僕は高校からアメフト部ということもあって、早大学院時代からの先輩にもすごく思い入れがあります。特に4年生の代はかなり強い代だったんですが、コロナのせいで思うように練習できなかったり、それもあって早く引退したりで、思い入れの強い先輩たちです。その先輩方とできる最後の大会なので、頑張って優勝したいと思います。
原 自分も下級生の頃から4年生の方々と一緒に試合に出させていただいていたので、先輩方への思い入れは非常に強くあります。4年生は先輩というよりも大好きな存在なので、その先輩方が最後笑って終われるように、全日本トーナメントで優勝を目指して、少しでも先輩方に貢献できればと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 沼澤泰平)
◆安藤慶太郎(あんどう・けいたろう)※写真左
東京・早大学院高出身。社会科学部3年。ポジションはRB。169センチ。74キロ。リーグ戦では11TDをたたき出した安藤選手。全日本大学選手権では誰にも止められないエースの走りに注目です!
◆原康介(はら・こうすけ)
東京・早大学院高出身。法学部3年。ポジションはLB。181センチ。99キロ。この1年は精神面で大きく成長したという原選手。全日本大学選手権では豪快なQBサックに期待です!