【連載】スケート部ホッケー部門 インカレ直前対談 第3回 DF棚橋俊太主将×DF沼田恵裕副将×FW上山響平

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 12月24日に開幕する日本学生氷上競技選手権(インカレ)を控えるスケート部ホッケー部門。最終回となる第3回に登場するのは、DF棚橋俊太主将(スポ4=愛知・東海)、DF沼田恵祐副将(文4=青森・八戸)、FW上山響平(スポ4=北海道・駒大苫小牧)の3人。最高学年としてチームを引っ張ってきた3人の胸の内や、最後のインカレに向けた意気込みを語る。

※この取材は12月5日に行われたものです。

三者三様の帽子を被って対談に臨む選手たち

ーー隣の人の他己紹介をお願いします。まずは棚橋選手から沼田選手に

棚橋 僕が紹介する沼田恵祐くんは八戸高等学校出身で、現在早稲田大学の文学部に通っている大学4年生です。八戸高校というすごく頭の良い高校出身で、喋り方であったり、日々の振る舞いだったりというのが大人びていて、すごく余裕を感じさせてくれる、同期のお父さん的な存在です。よろしくお願いします。

ーーでは、沼田選手から上山選手にお願いします

沼田 僕が紹介するのは上山響平くんで、駒澤大学附属苫小牧高等学校出身、現在スポーツ科学部4年に在籍しています。彼は一見大人しそうに見えるかもしれないですが、部屋で同期だけで話してる時とかは、みんなが思っているのとは違う一面が見られます。大人しいイメージからはかけ離れております。

ーー最後に上山選手から棚橋選手にお願いします

上山 棚橋俊太くんです。東海高校出身のスポーツ科学部4年です。彼はチームのキャプテンを務めています。キャプテンを務めてるんですけど、普段あまり寮にはいないので(笑)。チームとコミュニケーションが取れていないのかなって思いますね(笑)。あとは東海高校っていう頭の良い高校出身なので、知能が感じられるプレーを見せてくれます。

ーー一緒に過ごして4年目になる同期について、入寮時のエピソードや第一印象とギャップを感じたエピソードはありますか

沼田 そういう話になったら何回か話したことがあるんですけど、やっぱり入寮する時ってみんな緊張するし、初対面なのでみんな大人しいと思っていたんですよ。実際、ただ1人を除いて大人しかったんですけど、棚橋俊太くんだけは違って(笑)。機会があってマックにみんなが集まって、自分と俊太だけ2人テーブルに通されて、自分は緊張してたんですけど、こいつやたら話かけてくるなと思って(笑)。こんなに喋るやつなのかって最初に思っていたんですけど、いざ入寮してからも相変わらずでしたね。普段からずっとうるさい人でした。

棚橋 (笑)。
 僕からの話は小話みたいに挟んでもらえればいいんですけど、今年就活していて、みんな精神的にも肉体的にもすごくダメージを負っていて。色々な締め切りとかも直前に迫っていたんですけど、リフレッシュしようという話になって。自分は中学高校ってゴルフ部に在籍していたので、ゴルフに2人と一緒に行って教えることが多かったんですけど、なぜかその日も急にゴルフ行こうみたいになって(笑)。そこで誰が言い始めたのか分からないですけど、やっぱりドレスコードは守ろうという感じになって、今日みたいな感じでみんなハンチングを被って、就活できるようなジャケットも着て、ゴルフをしに行ったというのがこの3人の1番最近のエピソードであります。

ーーゴルフ部だったんですか

棚橋 はい、ゴルフ部でした。ベストスコア89です。

上山 すごいの?それって。

棚橋 ちなみにすごくない。あんまり。

上山 4人で行った時、別に俺らと変わんなかったよね。

棚橋 あれはね。

上山 就活中の話で、沼田くんがちょっとおかしくなっちゃったエピソードがあります(笑)。 普段は知的なキャラなんですけど、 切羽詰まっておかしくなっちゃったのか、急に会議室で叫び始めちゃっったり、パソコンをすごく近い距離で見つめて叫んだり、よく分からないことをずっとしてたのが印象に残っています。

棚橋 4年生からちょっとおかしくなっちゃって、部屋でもけっこう狂っていますね。

上山 それで「ぬまくん」っていうよく分からない変なあだ名つけられてね。

棚橋 キャラ変してね。

沼田 自分の中ではキャラ変ではないです。まあ、眠っていたものが目覚めた感じです。

上山 眠っていたんだ(笑)。

カメラ目線の沼田副将

ーー最高学年の4年生になって、何か心境の変化はありましたか

上山 心境か、難しいな。去年だったら、上の学年がいたからなんとかしてくれるんじゃないか、みたいなことを少しは思っていたんですけど、今年からは自分が最上級生になったので、そのなんとかしてくれる人っていうのがいない。自分が4年生だから、なんとかしないといけない側になったという意識はあります。頼っていた部分を少しずつ減らしていって、頼られるようになっていかないといけないというか。

ーー自分の役割についてはどのように感じていますか

上山 自分はマークを何にもつけていないので、役割はプレーでしかないのかなって思います。フォワードなので、点数を取ることなのかなと思っています。

ーー棚橋主将はいかがですか

棚橋 去年も副将というマークをつけさせてもらっていたんですけど、その時はもう去年の主将や副将に、「別に俊太はそんなにチーム全体のことは気にかけなくていいから」と言われていて、ディフェンスのことを考えたり、下級生を見たりすることをメインで過ごしていたので、あまりチームを支えるという意識はありませんでした。どうすればチームが良くなるかとかも、去年は考えて過ごすことがあまり出来ていなかったんですけど、4年生でキャプテンになって、自分の振る舞いやプレー、日々の生活というのがすごくチームに影響が出ると思いましたし、逆に自分から発信することでチーム全体が同じ認識を持つことが出来る。チームとしても良いプレーが出来ると思いました。去年に比べたらその責任感や、自分がやらないといけないという主体性が芽生えたと思います。

ーー主将に就任した時に考えていたことなどはありましたか

棚橋 自分は高校までクラブチームでしかホッケーをやってこなくて、そこでキャプテンはやったことがあったんですけど、しっかりとした体育会で主将をやるということがよく分かっていなくて。でも同期がそこは頼ってくれていいよと言ってくれたので、あまり1人で気負い過ぎず、チームメイトや同期がたくさんいるから、自分でやるところはやりながらも、周りをしっかり頼っていきたいなという気持ちでした。

一同 (拍手)。

棚橋 何この拍手は(笑)。

ーー沼田副将はいかがですか

沼田 マークをつけたっていう点で言うと、 チームを引っ張っていくのは当たり前として、どう具体的にプレーや日常でも引っ張っていくか、やっぱり悩むことや色々と試行錯誤することが増えました。個人的には、チームを引っ張っていくことに加えて、やるからには結果にこだわらないといけないなっていう感情がより強くなりましたね、去年よりも。最後の年なので、そこだけは最後まで追い求めていこうかなと思っています。

棚橋 素晴らしい。

ーーここからは秋季リーグ戦について振り返っていただきます。改めてどのようなリーグ戦になりましたか

沼田 長いようであっという間の大会だったなと感じます。日にちで見たら3カ月くらいあったんですけど、1巡目の初戦を良い内容でありながらも落としちゃって、そこからずるずると勝てなくて。なかなか勝ち星を重ねられないまま1巡目の後半に入って、気づいた時には降格の危機まできていて。なんとか1回チームを持ち直して残ることはできたものの、2次リーグも色々重なって試合の棄権もあったので、あっという間の3カ月だったなと思います。辛い経験もしてきたので、秋リーグのその経験をインカレで生かしたいなと思っています。

棚橋 恵祐が言ってくれた通り、なかなか勝ち星を挙げられない、長いようで短い秋リーグでした。あまりチーム全員が揃って試合が出来なくて、ただでさえ人数が少ない中で、今シーズンは色々と重なってチーム全員でプレーが出来なかったので、それは心残りですし、結果としても良いものを残せなかったというのがすごく悔しいです。
 ケガ人が多く出るのも例年にはあまりなかったことでしたし、リーグの最初の方は東大和のリンクでやって、いつもとは違う感じだったので、自分としてもどうするべきか悩みました。試合への臨み方、ルーティンとしていたものが東伏見のリンクではないと崩れてしまうみたいな部分もあって、そういうところにも悩まされながら、チームとしても結果を残せず、全体として5位という結果で、すごく不甲斐ないです。この気持ちはチーム全員が持っていると思うので、インカレにぶつけたいと思います。

上山 結果は残せていないんですけど、終わってみて考えたら、すごく成長することが出来た大会だったのかなと思っています。負けが続いて、このままではダメだという気持ちで、チーム全員が話し合ったことで、意識とかが変わりました。一丸となってプレー出来るようになったのかなと思います。なので、最後も棄権しないといけない状況になってしまって悔いは残っているんですけど、全体的に見たらチームとして成長することが出来た秋リーグでした。

全て同一色のHARIBOが入っていることに驚く棚橋主将

ーー今お話にあった「一丸となって」というのはチームスローガンの『Oneness』通ずる部分があるのかと思うのですが、このスローガンへの思いはありますか

棚橋 このシーズン中に意識してたかというとそうではないんですけど、チーム全体が試合に勝つためにどうするべきかを考えて動くことで一体感が生まれると思うので、1回チームとして崩れた時にチーム全体で話し合って考え直したことが『Oneness』というスローガンを体現できた良い機会だったかなと思います。

ーー印象に残っている試合について教えてください

棚橋 僕は大東文化大戦です。そこで負けたら降格するかもしれない、勝ったらギリギリ残れるということは2、3週間前の日大戦に負けた時から分かっていたことだったので、コーチ陣も選手も色々考えて、勝つためのプレーをすごく練習して、そこはなんとしてでも突破しようと準備してきました。いざ本番を迎えてみたら入りからテンポ良くできて得点も重ねて、有利な状況で試合を進められていたんですけど、相手側もここで負けたら入れ替え戦にいってしまうということで、同じように気持ちが乗ったプレーを見せてきて、試合終了直前に自分の目の前で同点に追いつかれてしまいました。そういう経験は今まであまりなかったので、その場面を目の前にしたというのも印象的ですし、結果最後のシュートアウト戦をしっかりと決め切って勝ち切ることができたので、チームとしてすごい良い経験になって、色々含めて1番印象に残っています。

上山 印象に残っているのは2次リーグの明大戦かなと思います。点数の取り合いみたいな感じの試合だったので、良い試合だったと言い切ることは出来ないんですけど、やっぱりフォワードとしてはすごく点数を取れた試合だったので、自信にもつながった試合でしたし、最終的に負けてしまったんですけど、明治相手にここまでできるんだっていうチーム全体の自信にもつながったのかなという点で印象的な試合です。

沼田 僕も1番印象に残っているのは2次リーグ初戦の明大戦です。安直な理由なんですけど、多分自分たちは今まで1回も明治にだけ勝ったことがないんですよ。自分たちが1年生の時から4年間、それ以外の大学には勝ったことがあるんですけど、明治にだけ勝てなくて。インカレのトーナメントも反対の山で当たる可能性が少ない中、もしかしたら最後になる明大戦で、その試合は勝つチャンスもあった試合。そういう点で、勝ち切れなかった悔しさがすごく残りました。

ーー引退が近づいている実感もあるのかと思いますが、今のチームの完成度はどのくらいですか

棚橋 これくらい?(完成度はまだ低いことをジェスチャーで表す棚橋)

沼田 これくらい。(さらに低く見積もった沼田)

上山 いやそんなにもないでしょ(笑)。

主将・副将の2人に冷静に突っ込む上山選手

ーー足りていない部分はどのようなところなのでしょうか

棚橋 2次リーグの2試合、明大戦の後の中大戦と日大戦ではどちらも1得点しかしていないので、得点力不足っていうところはまだ課題かなと思います。

沼田 よく言われることなんですけど、コミュニケーションがチームの中で足りていないのかなと思います。もう少しそこはインカレまでに詰めたいと思います。

上山 自分たちでチームとしてやるべきことを決めたので、あとはそれをできるかできないか。できるようになるために、練習するしかないと思います。

ーー完成度を高めて、インカレで武器にしたいチームの強みはどのようなところですか

上山 チームの強みか。

棚橋 強みって何なんだろうね。

上山 仲の良さかな。キャプテン、任せた。

棚橋 今、響平が言ってくれた通り、仲の良さというか、勝つためのプレーをみんなで統一してできることです。組織が1つになれることは1つの強みだし、一度勢いをもってプレーできたら、それはどこよりも強いと思っています。最後のインカレなので、チームの一体感でプレーにも勢いを持たせることができれば、強さが全面に出てくるかなと思います

ーーそれぞれ個人で課題はありますか

沼田 プレーとかはもう変わらないと思っているので、課題で言うと、少し体重が重いことかな。もっと動きやすくなるように、絞るだけ絞ろうかなと思います。

棚橋 自分は主将として今まであまり良いプレーが出来なくて、それ以外の部分でもチームを勝たせたって言えるような手応えがまだないので、最後、自分で手応えをつかめるような試合をしたいと思います。

上山 体調を整えることが1番重要なのかなと思います。さっき恵祐が言ったように、今からだとプレーは大きくは変えられないので、気持ちのところ、点数を取る気持ちを今よりも強く持って試合に臨もうと思います。

ーーインカレでの注目選手を1人挙げるとすればいかがでしょうか

棚橋 FW笹沼葵(教2=東京・早実)選手です。 葵選手は去年1年生でルーキーながらチームのエース並みに点を取って活躍してくれてたんですけど、今年の秋リーグはゴールがないので、本人的にもすごく悩んでいるでしょうし、悔しい気持ちも強いと思うので、最後インカレでそれをぶつける彼の爆発に期待してほしいと思います。

沼田 注目選手は、プレッシャーかけるわけではないですけど、俊太じゃないですか。やっぱりなんかやってくれるでしょ。最後なので、本当の最後なので、彼に期待してほしいです。

棚橋 (笑)。

上山 笑ってるけど笑ってないね。笑えてない(笑)。

沼田 緊張させちゃった(笑)。やらかした(笑)。

上山 僕はFW田中裕人選手(スポ4=滋賀・光泉カトリック)です。

一同 おお。

上山 彼は今シーズンケガだったり体調不良だったり、ほとんど試合に出ていないので、インカレでその出てない分の悔しさをぶつけて良いプレーをしてくれるんじゃないかなと思います。田中選手はインカレ決勝までいったら自分の命を削ってでも、自分が死んでもゴールが決まったら嬉しいと言ってくれているので、それくらい気持ちのこもったプレーに期待してください。

ーー最後にインカレでの自分のアピールポイントと意気込みを教えてください

上山 アピールポイントは入りそうなコースに打つシュートです。意気込みはそのシュートを生かして点数を取るので、応援よろしくお願いします!

沼田 アピールポイントは「ずっしりとした守り」。

一同 (笑)。

沼田 真面目に「ずっしり、どっしりとした守り」がアピールポイントです。1点でも多く防いで、チームを勝利に導きたいと思います。

棚橋 ディフェンスなので、もちろん恵祐が言ってくれたようなどっしりとした守りもそうですし、攻撃参加が自分は得意なのかなと思っているので、しっかりと守りながら得点にも絡めるように頑張ります。プレー以外の面では、自分は試合中にけっこう声を出す方で、最後は声が枯れるくらいチームに声をかけて雰囲気を上げていくので、そういったところにも注目してください!

ーーありがとうございました!ラストインカレでの3選手の活躍に期待です!

(取材・編集 濵嶋彩加)

◆棚橋俊太主将(たなはし・しゅんた)※写真左
 2002(平14)年12月6日生まれ。179センチ。愛知・東海高出身。スポーツ科学部4年。DF。今年度キャプテンマークをつけ、チームの思いを背負ってきた棚橋選手。リーグ戦の苦しさや悔しさを糧に、最後のインカレではチーム1の活躍をしてくれることに期待です。対談の次の日が誕生日だった棚橋選手。クリスマスに欲しいものはマフラーと話したチームメイトへのアピールは届いたのでしょうか。

◆沼田恵裕副将(ぬまた・けいすけ)※写真中央
 2002年(平14)9月25日生まれ。177センチ。青森・八戸高出身。文学部4年。DF。対談からはクレバーな印象を受けましたが、4年生になってから新たな一面を開花させたという沼田選手。インカレではずっしりとした守りでチームを勝利に導く姿に注目です。クリスマスプレゼントには、リンクが寒くて足が冷えてしまうため、「しっかり温かくなる靴下」が欲しいそう。

◆上山響平(かみやま・きょうへい)
 2002(平14)年5月9日生まれ。173センチ。北海道・駒大苫小牧高出身。スポーツ科学部4年。FW。FW林幹汰(文4=東京・早実)選手に他己紹介された上山選手(詳しくは第2回をチェック)。インカレでは、フォワードらしくスマートなシュートで得点を重ねる姿に注目です!クリスマスに欲しいものは海パン。冬にもらうことによって、夏に使う時まで、ワクワクする気持ちを長く楽しめるという独自の理論を展開しました。