【連載】ホッケー部 早慶戦前対談 第4回 MF山下天海主将×DF鈴木悠副将×GK坂井智美副将

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 11月24日(日)に早慶戦を迎えるホッケー部。大井ホッケー競技場での開催は初となる。最終回となる第4回では、女子ホッケー部の幹部を務めるMF山下天海主将(スポ4=京都・須知)、DF鈴木悠副将(スポ4=愛知・向陽)、GK坂井智美副将(文構4=福岡・小倉)の3人にお話を伺う。秋リーグでは、創部史上初となる準優勝を果たした早大女子ホッケー部。来る早慶戦でそれぞれのホッケー人生の集大成を迎える3人が、女子ホッケー部での4年間、そして早慶戦への熱い思いを語った。

※この取材は11月10日に行われたものです。

笑顔で対談してくださった3人

――自己紹介をお願いします

山下 スポーツ科学部4年の山下天海です。現在は女子ホッケー部で主将をしています 。

鈴木 同じくスポーツ科学部4年の鈴木悠です。副将を(坂本)智美とやっています。

坂本 文化構想学部4年の坂本智美です。すず(鈴木悠)と同じく副将をしています。

――お互いの他己紹介をお願いします

鈴木 (山下)天海は高校時代からずっとホッケーをやっていたため、競技歴もすごく長く、昨年も副将を務めていました。そのため競技面ではチーム全体の戦略であったりを考えてくれる存在です。それでもそのような経歴の人とは思えないくらいラフに、フランクに後輩やチームメイトに対して接してくれるので、その2つを両立しているのがすごい主将です。

坂本 本当にホッケーが上手いです。私は初心者だったのですが、初心者の私に対してもずっと練習に付き合ってくれたり、全然怒らない姿がとても素敵だと思います。あとは言語化能力がとても高く、練習メニューや終礼のときにアドバイスを色々くださるんですけど、そういった時の言葉のチョイスが初心者でもわかるような説明の仕方ですごい頼りがいのある主将だと思います。

山下 言語化能力あるかな?

坂本 いや説明分かりやすいよ。

山下 擬音が多いかもしれないです(笑)。

一同  (笑)。

山下 バッてして、バッてしたらいいでしょ!みたいな感じだから、分かりやすい?

坂本 いや分かりやすいよ。いつも端的にまとめてくれていると思います。

山下 鈴木さんは見た感じ優しめに見えるんですけど、熱量がすごいです。やると決めたことに対してはすごく真面目に、貪欲に取り組みます。周りを巻き込む力がすごいので私自身が助かっていますし、ありがたいと思っています。

鈴木 天海(山下)が先頭を走ってくれる存在なので、巻き込んで一緒にやろうみたいな、後ろからサポートできたらなと思っていたので、そう言って貰えて嬉しいです。

山下 智美(坂本)はとにかく人望が厚い人だと思っています。先輩からもそうだったのですが、特に後輩からの人望が厚くて、何かあったら智美さんに聞くとか、プライベートのことも相談しているのをよく見ます。ホッケーのことでも、智美は大学から入ってホッケーを始めているのですが、それを感じさせないほど頑張っているのがみんなに伝わっています。それが智美の良いところで、みんなが尊敬して質問にしに行ったりします。もう一言で言うと人望が厚い。良い副将だなと思っています。

坂本 泣いちゃう(笑)。

鈴木 それこそ一言で言うと努力の人だなと思います。大学からと言っても、大学2年から入ったのに副将というところを任されて、キーパーというポジションということもあるのできっと練習メニューを作るのも大変だろうと思います。それでもそこを感じさせずに自主練とかも遅くまで残ったりしていて、その姿を見てみんなついて行きたいと思うし、尊敬もしています。

――お二人の言葉を受けていかがですか

坂本 身に余ることです。

一同 (笑)。

早大ホッケー部について

――ホッケー部は大学から競技を始める選手が多いですか

坂本 はい。大学から競技を始める選手の方が多いです。

――ホッケー部の雰囲気を教えてください

坂本 リーグ戦で戦う上位校に比べれば、初心者と経験者が混ざっているのは珍しいと思います。だからこそ活発に意見が交わされることは早大の特徴ですし、良いところだなと思います。

山下 監督からも選手主体のチームでやって欲しいということは言われており、放置とは違うのですが、自由にやらせてもらっています。そういった面では今、智美が言ってくれたように上下関係はあるのですが、下からも意見を出しやすい空気感をこちらからも作ろうとしているので、本当に学生主体のチームもいう表現が正しいのかなと思います。

――プレー面での早大の特徴を教えてください

坂本 粘り強く。

山下 泥臭い。

一同 (笑)。

山下 何度も失敗を繰り返したうえで、それをいかに突き通していくかといった感じで粘り強くやっていると思います。

――ディフェンス面での早大の特徴はいかがでしょうか

鈴木 特にディフェンスは粘り強さを意識しています。リーグ戦を通しても私たちが勝ちたいと思っている相手は格上のチームなので、守備の時間というのが長くなる試合が多かったです。チームみんなで守って点が入らなければいいという思いでプレーしています。大学から競技を始めた初心者でも、熱量に関してはずっとホッケーをしている経験者に勝てるところだと思うので、気持ちという面がディフェンスにも強く表れているチームだと思います。

――下級生に対する印象を教えてください

鈴木 頼れる後輩たちばかりで、良い後輩を持った代だなと思います。

山下 下級生も熱量がある子が多くて、よく質問をしてくれる子がいます。上手くなりたいという思いや、試合に出たいという思いを全面に出してくれるので、その下からの押し上げでチーム全体の意識が高まっていると思います。

坂本 下からでも意見を言ってくれることが、練習メニューを作っている側からするとありがたいと思っています。上下関係のある部活動という場だと普通の場合は意見を言いづらいと思いますが、私の作るメニューや、プレーのアドバイスを伝えてくれるのは4年生として教えてくれる人がいないからこそありがたいと思います。

ホッケー歴185カ月の山下主将


リーグ最終戦、笑顔でチームに声をかける山下主将

――ここからは個別に質問させていただきます。山下主将のホッケー歴は何年でしょうか

山下 16年です。今、卒論で自分のホッケー歴を月単位で調べたら185カ月でした。自分でもそんなにやっていると思っておらず、人生の大半を捧げていたことに最近気づきました。

――ホッケーの魅力というのはどのようなところですか

山下 ホッケーはマイナー競技である分、人と密にかかわれることが魅力だと思います。競技の面ではまず1番にスピード感です。また、集団競技のため、誰か1人の調子が良くてもダメだし、逆に私の調子が悪いときでもみんながそれをサポートしてくれればチーム的には良い結果を出せたりすることがホッケーの魅力です。そのことが私がこれだけホッケーを続けてきた理由だと思っています。

――早慶戦を最後にホッケーを引退されますが実感はいかがですか

山下 実感は出てきましたね。今日で残り練習日が10日間になってしまい、指で数えられるようになってしまいました。そのため、この185カ月間かもうすぐ幕を閉じるんだなという実感はやっと湧いてきました。

――どのような思いで主将をやってきたかを教えてください

山下 去年の主将はとてもいい人で、私にとって憧れの存在でした。そういった面で私に主将が務まるのか不安だったのですが、同期や後輩に恵まれて1年間頑張ってやれたと思っています。早大の入試の時や入学した時に、ジャアントキリングを起こしたいということをずっと言ってきました。それが先日の仙台戦で達成できたことが1番の思い出ですし、それが達成できる主将で良かったなと思います。

ディフェンスリーダーとしてチームを支える鈴木副将


ディフェンスリーダー・鈴木副将

――鈴木副将にお伺いします。ディフェンスリーダーとして迎えたこの1年を振り返っていかがでしょうか

鈴木 私が入学して以来、去年の主将がディフェンスメインのポジションをずっと務めていました。私はその状態の早大しか知らなかったため、そのポジションが私に務まるのかといつ疑問がありました。前半はその先輩を真似しようとしたものの、自分にフィットしなかったです。しかし、チームスタッフなど様々な人のお話を聞きながら、真似するのではなく、自分に合うかたちを探していきました。その結果、やりやすいかたちが見つかったので、それが秋の準決勝に間に合って良かったと思います。 ディフェンスにも2個下に経験者がいて、意見が活発に出るポジションです。話し合いが同期の間でもあるし、そこで解決できなかったら私の方まで話が上がってきます。上級生に対した話でも下級生から言ってくれるなど、意見交換が活発なので、そこはディフェンスのみんなに救われてると思う部分です。

――チームとしてこの1年で成長したところを教えてください

鈴木 ディフェンスの選手はは控えめな性格の方が多いと言いますか、最初のころは意見が出なかったり、自分の意見があったとしても、それを共有するまで時間がかかりました。また、プレー中の声掛けも少なかったです。ですが、思ったことを言うことや、プレー中に声を出すことに関しては春よりも増えて、後ろからの声掛けで前の選手をサポートすることができたと思います。

――副将としてチームをまとめる中で、難しかったことはありますか

鈴木 私たちの代の人数が多い一方、下級生の人数がそこまで多くはなかったので、私たちだけのチームにならないように心がけていました。私自身は下級生の頃に悩み事が多く、そのときには先輩に個人的に話を聞いてもらったり、気にかけてくれているなと思うだけで安心感がありました。私もそういうフォローをしたいと思い、意識してやってきました。

ホッケー未経験から2年生で入部した坂本副将


秋季リーグ優勝決定戦ペナルティーコーナーで、山下主将、鈴木副将とともにゴールを守る坂本副将

――坂本副将にお伺いします。2年生でホッケーを始めたきっかけを教えてください

坂本 大学1年生の頃、コロナ禍で授業がオンラインで行われていたため、本当に怠惰な生活を送っていました。でもその1年間を終えた時、最後の学生生活で何かに打ち込みたいと思いました。スポーツは元々好きだったので、何かに部活動に入りたいと思い、2年生から入れる部活動を探しました。そして見つけたのがフィールドホッケーだったのが1番の要因です。

――人一倍の練習量を確保できた原動力を教えてください

坂本 遅れて入った分、頑張らないといけないという思いもあったのですが、なによりゴールキーパーというポジションをゼロから始めたので、自分の成長を実感することができて、もっと上手くなりたいと思い続けられたことが1番のモチベーションになっていたと思います。

――ゴールキーパーというポジションを選んだ経緯はどのようなものだったのでしょうか

坂本 本当に大した話ではないのですが(笑)。私がホッケー部に入部してすぐにゴールキーパー体験会があり、みんながゴールキーパーを体験しました。その時に私はあまりボールが怖くなくて、結構楽しいと感じていました。その時ゴールキーパーをしていた先輩にゴールキーパーをやりたいことを伝えたら、気がついたら2、3週間後にはゴールキーパーとして試合に出ていました。

――坂本副将がすごい成長されたのをお二方は見てきたと思います。難しい面もあったと思いますが、どのように感じていますか

鈴木 自主練の量が半端ないっていうところで、私はキーパー全くやったことがないので分からないんですけど、智美自身、先輩が引退した後すぐに1人立ちしたみたいなかたちで、2年生から始めてるのに誰も横についてなくて、コーチたちもフィールドプレーヤーに教えるみたいな感じだったので、すごい迷ったところもあったと思うんですけど、私とかがプレーした後に必ず今のどうだった?っていうのを経験者のフィールドプレーヤーに聞きに行ってるっていうのがすごいなと思います。貪欲に小さいことから吸収していこうっていう精神があるのが成長に直結してると思うし、成長スピードがすごいなっていうのはフィールドプレーヤーから見ててもすぐ分かるくらいの成長速度だったので頭が上がらないです。

――大学で始める初心者(フィールドもキーパーも含めて)の人へのアドバイスはありますか

坂本 何事も頑張ることが大事だと思います。私がすごく努力したとは思わないんですけど、後輩にも、ずっと自主練してて、練習みてたら分かるんですけどすっごい成長してるなっていう子が何人もいるので頑張ろうって気持ちがあったら全然フィールドにも立てるし、いい試合もできるっていうのを伝えたいです。

秋季リーグ準優勝を振り返って

――秋期リーグでは創部初の準優勝という輝かしい成績を収めたと思いますが、結果についての素直なお気持ちをお聞かせください

山下 素直に、自分たちが準優勝したのかと信じられない部分もあり、自分たちすごくないか?という意外と傲慢なところもありって感じです。結果は残したんですけど、信じられないくらい嬉しいっていうのが率直な気持ちです。

鈴木 結構周りの方とか、それこそ私たちが一年生の時の四年生の代が入ってるグループでおめでとうって言ってくれたり、私の高校時代の顧問がすごくびっくりしたという感想を伝えてくれたり、周りの反応を見て実感するっていうところは天海の意見に加えたいです。周りの人がびっくりしたり喜んでくれたりしているところを嬉しさとして実感しているんですけど、そういうチームになったんだという自覚を同時に持たなきゃいけないなと思います。

坂本 去年の秋リーグも、今年の春リーグも、あとちょっとってところで負けてしまって、それは3位決定戦だったんですけど、あとちょっとで勝てるってところで全部負けてしまったのがすごく私としてもチームとしても悔しかったので、そのちょっとを乗り越えられて、みんなの努力のおかげでしっかり乗り越えてまさかの2位という結果を得れたのは本当に嬉しいですし、ホッケーをしていて一番嬉しかった瞬間です。

――今おっしゃっていた通り、春もシュートアウト(SO)戦までもつれ込んで、惜しいところがあったと思うんですけど、それを受けて秋に向けて改善してきたことはありましたか

坂本 SOの練習はキーパーもですし、フィールドプレーヤーの練習量は増やしました。少し分析の方法とかもキーパーの中では変えてやっていったという点です。

山下 この代はSO戦をすることがすごく多かったので、その分練習の後半には必ずくらいの頻度でSOの練習を入れたり、練習全体が終わった後にもSOの練習をする子が増えました。あとはそういった感じでSOを強化したのもありますが、それと同時に、鈴木も言ってくれたと思うんですけど、ディフェンス力が特に強化できたかなと思います。

――準優勝を成し遂げられた要因として一番大きいと思うものは何ですか

坂本 粘り強いディフェンスだと思います。それはディフェンスに限らず、ミッド、フォワードの人たちも守備になった時にしっかり自分の守らなくてはいけないところを守ってくれたおかげで、無失点でSOまで持ち込めたのが一番結果に直結した要因なのかなって思っています。

山下 後半の集中力が強化できたことかなと思っています。私たちのチームは先に点を取られてから追いつくという展開が多くて、点を取られるとよく負けちゃうかもしれないとモチベーションが落ちていってしまうことがあると思うんですけど、その面では私たちは落とさずに、しっかり最後まで諦めずにやるってことができたんじゃないかなと思います。

鈴木 同じく気持ちの部分で最後まで戦えたっていうのは大きいと思います。例えばディフェンスが良いディフェンスをした時に、「ナイスプレー!」って言って、そのディフェンスを見てまだ私たちも頑張れるよっていうのをみんなで伝染させていった感じがありました。駿河台戦の特に後半では、相手は交代もいるのですが、私たちは交代が少ないということもあって失速してしまって、そういうテンポ的にも苦しい中で、良いプレーに対してみんなで褒めることで、上手く早稲田の流れにすることが出来たと思います。駿河台戦の後半で見られたそういったことが、チームで戦っている感じが今までで一番感じられたので、その気持ちが一つになったということが準優勝という結果に対しての要因として大きかったのかなと思いました。

――駿河台大学は経験者が多く集まっているような大学なのでしょうか

山下 ほとんどみんな推薦で入ってきて、全寮制みたいなチームです。

――やはり1部にいるチームはそういうところが多いのでしょうか

鈴木 山梨学院大学と駿河台大学と東京農業大学は経験者しかいないチームでその次に経験者の多いのが早稲田になっているので、割合的には少ないです。

――そういったチームと戦ってきた4年間を振り返って、女子ホッケー部の一番の思い出を教えてください

山下 私の中ではこの間の秋リーグの準決勝の駿台戦が一番の思い出かなと思います。私は小学一年生からホッケーをやっていて、16年間を振り返ってみたいになっちゃうんですけど、これまで私はホッケーが上手いまではいかないけどずっとそれなりに結果を残してきたとは思っていて。でもそれも自分のチームで結果を残したということではあまりなくて。自分が全国優勝した国体の時も他の高校のチームの中に私が選抜で入った感じだったので、自分が一緒にやってきたメンバーとか監督とかスタッフの皆さんと一緒に、一個の成績を収められた経験というのは、駿台戦で勝ったっていうのが初めてだったので、その面では一番印象深いですし、すごいいい経験をさせてもらいました。

坂本 同じく駿河台戦で、ゴールキーパーは勝ちにも負けにも導く、どっちにも導いちゃうポジションだと思うんですけど、去年の春リーグ秋リーグ、今年の春リーグで全てフィールドプレーヤーが繋いでくれたそのバトンを私がしっかり勝ちに導けなかったところがすごく悔しかったという気持ちがあって、去年の秋はPC(ペナルティーコーナー)で失点してしまったり、今年の春はSOであんまり止められなくて負けてしまったりしたので、最終的に今回の秋リーグでしっかりみんながつないでくれたのを勝ちに無失点で導くことができたのはすごく自分としても報われた気持ちになりました。

鈴木 私も駿河台戦で、みんなで戦っているって中で、私の中では1番楽しかった試合だなと思っていて、内容としてはずっと攻められていていい試合だったとは言えないかもしれないけど、その苦しさをみんなでちゃんと共有できて、話し合いも二分間で出来て、私もホッケーを高校からやっていて天海に比べたらやってる試合数はそんなに多くはないんですけど、11人でやる意味みたいなところ、ベンチも含めてみんなで戦うチームスポーツなんだというのを感じた1試合だったので、全員の調子が良かったわけではなく、ゲガ人や体調が悪い人がいた中でも補いながらという面も含めて、楽しかった試合なので印象に残っています。

――早大ホッケー部で過ごした4年間、3年間をそれぞれ振り返って、総括していただけますか

山下 ここで過ごした4年間は一番私が成長できたところでもあったし、支えてくれている人がたくさんいるんだなっていうことに気付かされた4年間だったかなっていう風に思います。まず1個目の成長できたなと思ったのが、私自身は人をまとめるというのが最初あまり得意ではなかったんですけど、経験者という立場で入らせてもらって、主将という重要な役割を担わせてもらった時に、自分の中でどうしようか考えてそれをみんなに伝えることもできました。元々怒るというか自分の感情を前に出すのが苦手だったんですけど、それを駿台戦の前とかにみんなに伝えて、それが伝わって結果を残せたっていうこともあったと思うので、そういった自分の感情を前に出すという経験をさせてもらった上で、自分はこの4年間で成長できたかなっていう風に思いました。

 あとは支えてもらった人が多かったことに気付けたというのは、結果を残せた時に「応援してたよ」と連絡をしてくれた人がすごいいっぱいいて。目に見えて支えてくれる人だけじゃなくて、他に背景とかで応援してくださっている人がいるということを改めて知ることができたので、この4年間で成長できたし、そういったことに気付けた部分が大きかったかなと思います。

鈴木 私自身は全体を通して振り返ると苦しかったなと思っていて。みんなが初心者から入ってきて、経験者はすごく上手くて。私は(競技経験が)高校からだったんですけど、自分の成長を実感できない中でも、チームとしては頼ってもらえることも多くて。そういう環境に身を置いたのが初めてだったので、その環境に対して自分がどういうことで貢献できるのかというところに悩んで、先輩だったり後輩に迷惑をかけてしまったことも他の部員より多かったかなと思ういます。でも目の前のことにとりあえず1日もがき苦しみながら、3時間の練習を毎日毎日こなしていくことが、最後結果につながったというところで、苦しかったけど結果を残したことによって、継続の大切さを感じた4年間でした。

坂本 夢中になれるものが見つかった3年間、そして周りの支えや助けがあったかからこそ夢中になることができたと感じています。入部した理由のところで少し触れたと思うんですけど、自分は何かに打ち込みたい、そういう気持ちでホッケー部に入って、実際に始めてからどんどんホッケー、特にゴールキーパーの面白さに本当に惹かれてしまって。毎日ホッケーしに行くのが本当に楽しかったので、毎日やっていても飽きない、すごく楽しいものを見つけられたのは、良い大学生活を送る上ですごくプラスになったのかなと思っています。

 あとホッケーやその人間関係で悩んだ時に、周りの人、家族や友人、そして先輩後輩や同期が支えてくれたのも、私がホッケーを頑張ろうと思い続けられる理由になったので、本当に夢中になれるものが見つかり、それは周りの支えがあったからこそ、夢中になることができたという3年間だったなと思います。

集大成となる早慶戦に向けて

――最後に早慶戦についてお伺いします。皆さんにとって早慶戦はどんな舞台ですか

山下 大学を背負うことができる大きな舞台だなと思っています。まさか私がこんな大学に入れると思っていなかった部分もあったし、大学を代表して出ることができるこの舞台で、勝たないといけないとか、自分の大学の価値を上げられる部分があると思うので、そういった面ではすごく大きな大会で出ることに憧れていたし、今年は最後なので、その分気持ちも大きくなるかなと思ってます。

鈴木 やっぱり他の試合とはちょっと違う緊張感があるなと感じていて、1年生の時初めて勝てた時に、私たちの4個上の先輩で今のコーチが、「早慶戦で勝つってこういうことなんだよな」ってぼそって言った一言が忘れられなくて。外からの関心度、OB・OGの方からの関心度っていうのがすごく高い試合で、私のことを知ってくれている今までの先輩方だったりとか、これから(早大を)受けようとしてくれている子だったりとか、関係者からの注目が一番高い試合だなっていう風に感じるので、そういう身近な人たちに成長した姿を見せられる試合でもあるかなと思います。優勝しなきゃな、頑張らなきゃ、という使命感がある試合です。

坂本 私は他の試合とあまり変わらない気持ちで毎年挑んでいて、早慶戦はもちろん勝たなきゃいけないんですけど、早慶戦だからみたいなのはあまりなくて、とりあえず絶対に勝つという気持ちでいつも取り組んでいます。

――集大成となる早慶戦で、自分が見せたいプレーや自分の強みはどのような部分ですか

山下 私は口下手なところも多少あると思うので、一番はプレーで見せたいなと思います。私の得意分野である突破力のあるドリブルとスルーパスっていう、味方を生かすためのパスがあるんですけど、その2つを使ってあわよくば私が一番の先制点を取りたいなと考えていて、みんなが取ってくれるならそれで、あわよくば自分が取って一番に(笑)。主将としても経験者としても、ここで背中で見せられたらなと思います。

鈴木 私はチームとして粘り強いディフェンスができたらいいなと思うので、そこをちゃんと引っ張るという部分で声かけであったり、みんな緊張すると思うのでそこに対してのケアができたらなというのが1つあります。あとはディフェンスからのヒット1本で得点につながる効果的な1本が出せれば良いかなと思うので頑張りたいです。

坂本 私は多分見せる場がない方がチームとしてはいいと思うんですけど(笑)。もしボールが来た時には、慶応は結構イレギュラーなボール、少し浮いていたり緩やかなボールが多いので、そういったイレギュラーなボールをしっかり止めて、味方につなげられるようにできればいいなと思います。

――主将にお伺いしたいんですけども、早慶戦の目標得点はずばり何点でしょうか

山下 去年4点だよね?なので5で。強気の5でお願いします!

――勝利に向けて最後に早慶戦への意気込みを一言ずつお願いします

山下 さっき言ったように、とりあえず絶対勝ちます!

鈴木 私も同じく勝利、楽しくです!

坂本 私も同じなんですけど、このチームでできる最後の試合ですし、それぞれホッケー歴は違うんですけど、4年生7人の最後の試合、このメンバーでやれる最後の試合なので、楽しみながら、早稲田らしさを出せればなと思います!

――ありがとうございました!5点取っての早慶戦勝利、期待しています!

(取材・編集 濵嶋彩加、石澤直幸、片山和香、林朋亜)

◆山下天海副将(やました・あまみ)※写真中央
京都・須知高出身。スポーツ科学部4年。今年度女子ホッケー部の主将を務め、見事創部史上初のリーグ準優勝に導いた山下選手。ホッケー歴185カ月という多くの経験を積んできた山下選手は、格上のチームを相手にしても、あっという間にドリブルで抜き去る姿が印象的です。早慶戦での活躍にも期待です!

◆鈴木悠副将(すずき・はるか)※写真左
愛知・向陽高出身。スポーツ科学部4年。粘り強く、泥臭い」という早大のプレースタイルを支えるディフェンスのリーダーとしてチームをまとめる鈴木副将。「周りを巻き込む力がすごくて私自身が助かっている」と山下主将が話していらっしゃいました!

◆坂本智美副将(さかもと・ともみ)
福岡・小倉高出身。文化構想学部4年。女子ホッケー部に入部したのは大学2年生の時。それまでホッケー経験もなかった坂本選手ですが、未経験だったことを感じさせないくらい、ゴールキーパーというポジションでチームの勝利に貢献しています!