創部100周年、伝統の一戦を大差で勝利した!

アイスホッケー

第68回春季早慶定期戦 6月17日 神奈川・KOSÉ新横浜スケートセンター

 慶大のホームKOSÉ新横浜スケートセンターで第68回春季早慶定期戦(春季早慶戦)が行われた。両大学創部100周年という記念すべき年に多くの観客と応援部の応援の中、良きライバルと伝統の一戦を交えた。正午から大OB戦、OB戦、高校戦が行われ、待ちに待った現役戦。第1ピリオド(P)、安定したプレーで2−0とリードする。その後、第2Pでは慶大ペースのまま試合が進み1点を許してしまう。しかし第2P終了間際、立て続けに得点を決め4−1で第3Pへ。早大が得点を重ね、リードをさらに広げる。終盤、両者の早慶戦への熱い思いが感じられる白熱した試合展開となり、6−1で春季早慶戦を勝利で飾った。

 第1P、早大はパックをコントロールしながら慶大の様子をうかがう形で始まる。今試合のファーストシュートはFW上山響平(スポ3=北海道・駒大苫小牧)。左から切り込んでシュートを打ち、リバウンドから得点を決めようとしたが相手GKに阻止されてしまう。その後もFW林幹汰(文3=東京・早実)とFW清水朝陽(社2=北海道・武修館)の息の合った連携やGK千葉琉矢(スポ4=北海道・武修館)の固い守りなど良いプレーが見られる。開始8分22秒、パワープレーが訪れ慎重にパックを回す早大。FW笹沼葵(教1=東京・早実)が相手ディフェンスの隙を見てシュートを打ち、そのリバウンドをFW上山が押し込み先制点を決めた。その後もFW清水の縦のロングパスからFW金井真副将(スポ4=北海道・苫小牧東)が相手選手とパックを取り合う。こぼれたパックをFW林が上手く奪いシュートを放ちゴールを決めて、GK千葉の足に滑りこみ喜びをあらわにする。第1P終了まで残り3分、相手が早大のディフェンスをすり抜けゴールに近づきシュートを打ったが、GK千葉がヘディングのような形でゴールを守り、冷静に対応する。慶大に得点を許さず、2−0で第2Pへ。

シュートを放つFW上山

  第2Pは早大のキルプレーで始まり、果敢に得点を狙う慶大。相手の動きにしっかりと対応し、この不利な状況を逃げきる。その後慶大攻めの展開が続くが、GK千葉の活躍によりなんとかゴールを守る。中盤、FW仲見颯太(スポ3=北海道・苫小牧東)が相手ディフェンスをかわし、中央から切り込む。しかしゴール手前で相手に止められてしまい、惜しくも得点とはならなかった。7分40秒、相手ペースの試合展開の中、2度目の早大キルプレーとなり苦しい場面が訪れる。GK千葉が相手の右からのシュートを跳ね返し、リバウンドもスティックを手放しながらもパックを抑えこむ。しかし、その直後FW田原輝志主将(慶大)に得点を決められてしまい、点差が1点に縮まる。第2P終了まで残り45秒、FW鎌田悠希主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が左サイドからゴール前にパックをパス。FW笹沼がスピード感のあるプレーでパックの角度を変えて、ゴールを揺らした。第2P終了間際、FW林が相手ディフェンスの隙を見て、後ろにパックをパス。そのパックをFW金井副将がシュートし、ブザービーターを決めて4−1で第2Pを終えた。

ブザービーターを決めたFW金井副将

 このまま点差を広げたい第3P。慶大のペナルティが続き1分50秒、早大が2人多い状況となり、追加点を獲得する絶好のチャンスが訪れる。しかしゴール前まで迫る惜しいプレーが続いたが、相手の必死のディフェンスにより得点となることはなかった。12分7秒、DF有賀峻(社3=北海道・白樺)がゴール前にパス。そのパックをFW金井副将がシュートを打ったが、相手GKに止められる。しかし、そのリバウンドをFW清水が押し込み、5−1とリードを広げ勝利へと近づく。その直後、FW林が左からシュートを放ち、相手GKがこぼしたパックを押し込み得点を重ねる。14分に早大のペナルティが続き、相手より2人少ないキルプレーとなってしまう。そして、この有利な状況で何とか得点をとりたい慶大はタイムアウトを要求。戦略を立て得点を狙う慶大だが、DF松下剛(商4=東京・早実)のディフェンスやGK千葉のナイスセーブによりこの窮地を乗り越える。終盤にかけて白熱した展開となり、応援部の声援がさらに活気づく。その後無失点に抑え、伝統の一戦を6−1と大差をつけて勝利した。 

2得点1アシストと活躍したFW林

 早大応援歌「紺碧の空」が鳴り響く中、6−1と大差をつけて勝利した早大スケート部ホッケー部門。FW笹沼のスピード感のあるシュートやFW金井副将のブザービーター、GK千葉の好セーブなど印象深いプレーが多く見られた早慶戦だった。第2P、慶大にペースを掴まれ我慢の時間となったが、「もう一度自分たちのプレーをやり直すように」と堤広利監督(平10人卒=東京・早実)が語るように第3Pは持ち直し白熱した試合展開に会場が沸き、盛り上がりを見せた。この春季早慶戦でシーズンは一段落となる。陸トレ期間を経て、次の大会は関東大学リーグ戦だ。それまでに力強くなった彼らのプレーを見ることが待ち遠しい。

☆開会式・閉会式
 今年度の開会式はプロジェクションマッピング用い、早慶アイスホッケー部創部100周年にふさわしいきらびやかな演出となった。両校の選手たちがスポットライトを浴びながらリンクのセンターでお辞儀をし、観客席からは拍手が送られた。今回、旗手を務めたのは、FW笹沼葵(教1=東京・早実)。上級生に見守られながら立派に旗手を務めあげ、素晴らしい現役戦の幕上げとなった。

旗手を務めたFW笹沼

 閉会式では優勝杯MVP受賞者が発表され、去年怪我で出場機会が少なかったGK千葉が選ばれた。「今年から結果を残せるのかすごい不安だった」と語っていたが、前大会の春リーグでもGK千葉の固い守りで早大スケート部ホッケー部門を勝利に導き、今試合でもで5点差で勝利することができた立役者の一人だ。去年苦難を乗り越えた早大の守護神の更なる活躍に期待したい。

両校の選手たち

(記事 荒井理沙、写真 荒井理沙、五十嵐花音、吉本朱里)

※掲載が遅くなり大変申し訳ありません

結果
早大 ピリオド 慶大
1st
2nd
3rd
※( )内はシュート数

得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 09:10 上山 笹沼 鎌田 PP1
早大 12:55 金井 清水
慶大 32:54 田原 PK
早大 39:16 笹沼 鎌田 上山
早大 40:00 金井 有賀
早大 52:07 清水 金井 有賀
早大 53:02 棚橋  -
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする


早大メンバー
セット DF DF FW FW FW
有賀 沼田 清水
棚橋 共田 上山 笹沼 大塚
松下 江島 平林 仲見
鎌田 金井
GK 千葉、飯見
コメント

堤広利監督(平10人卒=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 創部100周という年で負けられない伝統の早慶戦でしっかり勝ち切れたというところが一番良かったと思っています。

――第2Pは慶大ペースで試合が進みましたが、どのような声掛けをされましたか

 第1Pはしっかり足も動いていましたが、その後慶應に攻められるシーンが多くなってしまいました。慶應のペースに合わせてしまうというところがありましたので、もう一度自分たちのプレーをやり直すようにと伝えました。

――どのような準備をして早慶戦に挑みましたか

 春リーグで中大に負けて順位決定戦にはなりましたが、その分しっかり勝てる試合ができたと思っています。慶應も含めて負けられない試合にしっかり勝つというところを目指してやってきました。

――次の秋リーグに向けどのような練習をされますか

 ここで1回オフにはしますが、しっかり陸トレ期間から体を作り込んで、夏合宿、苫小牧で行われるであろうサマーカップを経て、ステップアップの礎にして秋のリーグを臨んでいきたいと思います。

GK千葉琉矢(スポ4=北海道・武修館)

――創部100周年の記念すべき早慶戦でMVPを取った今のお気持ちは

 シンプルに嬉しかったです。僕は去年ずっと怪我をしていて試合に出る機会がなくて、今年から結果を残せるのかすごい不安だったんですけど、春リーグなどを通じて安定的なパフォーマンスが出せるようになってそれがMVPという形で結びついたのはとても嬉しいです。今日昼ご飯食べ過ぎて。チキン南蛮食べ過ぎておなかがきつかったんですけど、消化できてすごいよかったなと思います。

――試合を振り返ってみていかがですか

 中々点が取れなくて、我慢しなければいけない時間が多かった中で、1失点に抑えられたのはよかったかなと思います。

――中盤以降、慶應に攻められる場面が増えましたが、好セーブが多かったと思います。ご自身のプレーを振り返って

 周りを見ながら、すごく落ち着けていたのかなと思います。センスしか勝たんです。

――意識していることとかありますか

 センスです。林幹汰(文3=東京・早実)といつも話しているんですけど、「センスだよな」「俺らセンスしかないよな」って言っていて、試合終わった後も、「これ、センス」って言い合っていました。でも、ディフェンスはコミュニケーションを取ることは意識しています。自分が止めた時に、ディフェンスはどうして欲しいのかということをしっかり聞いたり、流れを渡さないように一歩前に出てシュートを止めて、失点しないようにプレーしています。

――途中エキサイトしてプレーが長時間止まる場面もありましたが、ゴールキーパー的に嫌だったりしないですか

 僕は全然嫌ではなくて。なんなら加わりたいなと思うのですが、僕はあまり加わらないで放って置くタイプですね。今日はさすがにラフプレーされたのでいっちゃいましたけど。

――協議の時間が長くなっても気持ちが途切れたりは

 いえ。どんどんやってくれって思います。

――次は陸トレ期間になりますが、そこに向けての意気込み

 僕は高校の時に陸トレすごく速かったのですが、その貯金がなくなってしまったので、しっかり絞って海に行けるような体を作ります!体力が足りなくて当たり負けしている部分もあって、上位校と戦う時はこうもいかないと思うので、上位校にも勝てるように、頑張ります。

FW上山響平(スポ3=北海道・駒大苫小牧)

――どのような気持ちで早慶戦に臨みましたか

 100周年もちょうど重なっていたので、絶対に負けられないなと思い、試合に臨みました。

――今日の試合を振り返っていかがですか

 決められる場面は何回もあったのですが、1点しか決められなかったので、もっと決められるようにしなければならないなと思いました。

――チームとしてのプレーはいかがですか

 チームとしては、声もいつもよりも出ていて、パスなどもすごく悪いものはなかったので、結構良かったのかなと思います。

――前回の日大戦と同様に今回も先制点を決めましたが、得点を決めることができた要因は何でしょうか

 積極的にシュートを打っていくようにしようと試合前に意識していたので、それが良かったのかなと思います。

――次は陸トレ期間になりますが、意気込みをお願いします

 陸トレ期間はきついので、とりあえず頑張るしかないなと思います。

FW金井真副将(スポ4=北海道・苫小牧東)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 途中1点差になりましたが、琉矢(千葉、スポ4=北海道・武修館)も調子良かったですしみんなも調子良かったので横綱相撲みたいな試合を取れたと思います。

――個人のプレーを振り返ってはいかがですか

 2週間教育実習行っていて、今日チームに合流しました。そのような状態でプレータイムが少ない中、点を取ってアシストできたので、結果残せたのではないかと思います。

――前回春リーグの日大戦でFW鎌田主将とFW金井副将は教育実習で試合に出られませんでしたが、その試合は観ていましたか

 リアルタイムで観てました。俺たちがいない方がみんな生き生きとしていて、俺と鎌田は必要ないんじゃないかなと思ってます(笑)。みんな頑張ってくれて本当に感謝です。

――第2Pでブザービーターを決めましたが、そのシーンを振り返っていかがですか

 幹汰(林、文3=東京・早実)がいい形で持ってきてくれて、あとはもう流し込むだけだったので。ほとんど林のゴールです。

――ベンチの雰囲気はいかがでしたか

 今日はみんなリラックスしていて、フィギュアの時もすごく盛り上がって雰囲気が良かったです。俺たちが教育実習行く前はベンチの雰囲気が課題でした。(自分たちが)いない間に多分みんな自覚が生まれ、いい雰囲気を作ってくれていたので、やりやすかったです。

――陸トレ期間に向けての意気込みをお願いします

 うちのチームは他のチームに比べるとみんな(体の)線が細いので、一から体を作っていきたいと思います。

FW林幹汰(文3=東京・早実)

――今日の試合振り返っていかがですか

 試合前に大差で勝とうとみんなで話していました。そして6-1と5点差で勝てたので、嬉しかったです。

――自身のプレーを振り返っていかがでしょうか

 MVPを狙ってハットトリックを決めようと思っていましたが、2点しか取れませんでした。プレー自体これからコンディションを整えてもっとレベルアップしていきたいと思います。

――今試合で2得点決めましたが、得点シーンを振り返っていかがですか

 2得点とも完璧でしたね。結構がめつく絶対決めるぞという気持ちでいました。セットを組んでる金井とは去年から一緒にやっていて。お互いのやりたいことをわかった上でルーティンみたいなものがあるので。いつもやっている感じであとは決めるだけだったので、本当に完璧でした。

――第2PでFW金井副将がブザービーターを決めましたが、その時のアシストを振り返っていかがですか

 あれは型ではなくとっさに思いつきました。たまたまです。

――MVPにGK千葉さんが選ばれましたが、心境はいかがですか

 自分じゃなかったら千葉(琉矢、スポ4=北海道・武修館)だなと思っていたので、嬉しいです。

――陸トレ期間に向けての意気込みと成長していきたい部分を教えてください

 最近ウエイトトレーニングに力入れていて、、体重が増え筋力はついましたが、その分体重が重くなり早く疲れてしまうということが問題点として見えてきました。そのため、体重を維持したまま動けるような体になれるように頑張りたいと思います。