【連載】『覇者で在れ』第5回 高橋優喜、広瀬夏希

特集中面

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 最終学年として日本学生対校選手権(日本インカレ)という大舞台に挑む高橋優喜(スポ4=静岡・浜松北)と広瀬夏希(社4=東京・富士)。5月の関東学生対校選手権(関東インカレ)では、高橋が自己記録を更新して4位入賞、広瀬が3位入賞と、そろって表彰台争いを繰り広げた。4年間の競技生活では、ケガや悔しさを乗り越えながら、それぞれの歩みで成長を重ねてきた両選手。最後の日本インカレに挑む2人が、競歩の魅力や仲間と過ごした4年間を振り返り、決意を語る。

※この対談は8月26日に行われたものです。

――他己紹介をお願いします

高橋 広瀬夏希さんです。競歩は歩くのが速いからという理由で始めたそうです。広瀬の性格はすごくマイペースで、穏やかな感じです。いつもニコニコしながら話してくれる人です。趣味はお笑いを見ることで、よくライブに行っているそうです。

広瀬 高橋優喜くんです。競歩は高校から始めたそうです。高橋の特徴は走りと歩きのいずれも速いことです。大学で競歩をする場合、競歩だけに取り組む人がほとんどだと思います。ただ、高橋は走る種目を練習する時間が多いのにも関わらず、関東インカレや日本インカレで(競歩種目において)入賞していることがすごいと思います。性格は私よりもマイペースで、歌を歌うことがが上手です。よくヒゲダン(Official髭男dism)の歌を歌っています(笑)。

――競歩の魅力は何だと思いますか

高橋 きつい競技ではありますが、自己記録を更新できる実感が湧きやすく、やりがいがあることだと思います。自分の場合は、試合に出るたびに自己記録を更新することが多いので、楽しい競技でもあります。また、フォームで失格があるというルールの中で、フォームを維持しながら歩き切らなければなりません。走る競技のようにラスト1周でタイムを上げるのではなく、ラスト2、3周から仕かけ始め、フォームを崩さないような戦い方をするのが競歩の面白さだと思います。

広瀬 私も努力した分だけ数字として結果が出るところ(が魅力)だと思います。陸上の中でもタイムが伸びやすい競技だと思っています。陸上競技の中で唯一フォームが見られる種目なので、失格になる可能性もあります。速さだけではなく、きれいなフォームも追求していくことが競歩の面白さだと思っています。

――普段の競歩ブロックの練習の雰囲気はいかがですか

高橋 自分たちの競歩チームは監督が直接指導できない状況なので、練習メニューだけもらっている人もいれば、自分で練習メニューを作り、それに従って個人でポイント練習などに取り組んでいる人もいます。長距離走におけるジョギングを、競歩ではストロールと呼んでいて、それに取り組む日は時間が合えば(競歩ブロックで)一緒に歩いて仲を深めています。

広瀬 女子は2年生、3年生、4年生に1人ずつ(選手が)いるので、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)していますが、普段はとても仲が良いです。一緒にポイント練習をやる日もあれば、違う練習をやる日もあります。それでもお互いのポイント練習のタイムなどをグループLINEで共有し、お互い高め合いながら練習できています。

――5月の関東インカレを振り返ってみていかがですか

高橋 自分は自己記録を出すことはできたのですが、最後の数十メートルで抜かされて表彰台を逃してしまったことが本当に悔しかったです。その悔しい思いがずっと残っているので、それを晴らしたいと思っています。最後の部分だけが本当に悔しかったので、日本インカレでは絶対に勝ちたいと思います。

広瀬 表彰台に立つという4年間目標にしてきたことを達成できて、満足のいく結果でした。ただ、表彰台の1位が1年生、2位が3年生で自分より年下だったので悔しい思いも残った試合でした。試合の2週間前くらいに足を痛めてしまい、練習から1週間離脱するかたちになってしまいました。日本インカレでは絶対にそのようなことがないように、自分のコンディションを整えて、もう一度表彰台を目指し、最上級生としての意地を見せたいと思います。

――関東インカレでは1万メートル競歩でしたが、日本インカレでは5000メートル競歩に出場されることになります。アプローチや調整の変化はありますか

高橋 距離が短くなる分スピード勝負であると同時に、速いスピードでいかにフォームを維持できるかということを意識して練習しています。関東インカレが終わってからは走るメニューを中心に取り組んできましたが、競歩も週に1、2回メニューに入れるようにしていて、練習が終わった後には早めに流しの走りをしています。そこで自分の最高スピードを上げることと、スピードにフォームを慣らしていくということを特に意識しています。

広瀬 5000メートル競歩では、1万メートル競歩に比べて駆け引きはなく、いかに先頭集団から落ちずに最後まで生き残れるかというサバイバルレースだと思っています。その中でフォームを崩さずに速くきれいに歩き切れるかということだけを考えて練習しています。ピッチを落とさないことや体幹を崩さないということを、最後まで意識できた人が生き残れると思うので、本番でも(練習の成果を)出し切りたいと思っています。

――早大競走部での4年間を率直に振り返っていかがですか

高橋 この4年間は陸上競技が生活の中心にあったと思います。ただ、自分が最初に掲げた目標と今の自分を照らし合わせると、うまくいかなかったことの方が多かったです。自分はケガに悩まされて、昨年の日本インカレは出場することができず、走ることと(競歩)の両立の難しさを痛感した4年間でした。ただ、ケガで挫折した分、失敗しても立ち直れるという心の強さやメンタルを鍛えることができたと思います。

広瀬 高校3年生の総体(全国高校総体)で入賞できず、その悔しさがあって大学でもう一度競歩を頑張ることを決めました。2年時の日本インカレで当初の目標は達成したのですが、もっと上を目指していきたいと思い続けて、4年間最後まで競技を続けられて幸せです。今年最後のインカレでは、入賞して終わりたいです。私自身もケガが多く、大学に入ってから練習できない日々もありました。中島(橙子、スポ3=群馬・前橋女子)さんや1個上の先輩の藤田(真美加、令8スポ卒=千葉・成田)さんといった、高校の時からずっと活躍していた人たちが周りにいて、その人たちと一緒に練習できる環境で、成長させてもらいました。1人ではできなかった練習もみんなで乗り越えてこられたので、最後まで気持ちを切らさずに自己記録を更新し続けることができて、濃い4年間でした。

――この4年間で特に印象に残っているレースは何ですか

高橋 自分は2年時の日本インカレです。はじめて標準を切って出場できる状態になり、入賞できたらうれしいと思っていましたが、結果として、自分でも驚くようなタイムで4位という順位を取ることができました。当時は他大学の(競歩の)練習に参加させていただいており、その出稽古(でげいこ)が実を結んだのだと思いました。また、レース後にチームのみんなから声をかけてもらえて、頑張ってきて良かったと思えたレースでした。

広瀬 先日の関東インカレです。1年時の関東インカレでは表彰台は、手の届かない場所だと思っていました。しかし、2年生、3年生と少しずつ成長して、4年生でやっと表彰台に立てたのが本当にうれしくて、信じられませんでした。早大の女子3人全員で入賞し、普段一緒に頑張ってきた3人で入賞できたこともとてもうれしくて、感慨深い1日でした。

――同級生やブロックでの特に思い出に残っているエピソードはありますか

広瀬 競歩ブロックだけで遊びに行ったことが思い出です。普段部活で一緒に歩くことはあっても遊びに行くことはなかったので、それが一番の思い出です。カラオケやスポッチャに行ったり、プリクラを撮ったりしてすごく楽しかったです(笑)。学年では、長距離ブロックの中で小平(敦之、政経4=東京・早実)駅伝主将が学年会を開いてくれたので、みんなでご飯に行ったのが思い出です。

高橋 1個上の藤田真美加さんの引退レースをみんなで応援した時の一体感です。はじめは競歩(の選手)は真美加さんだけでしたが、6人のメンバーがそろって、仲間が増えた感じがありました。真美加さんも引退レースで早稲田記録を出されましたし、そこで一体感を感じられたのが印象深いです。競歩はずっと1人でやるものだと思っていたので、そのようなつながりができて良かったと思います。

――日本インカレでの目標順位や目標記録を教えてください

高橋 一番の目標は優勝で、タイムとしては早稲田記録を更新して優勝を狙うことです。少なくとも表彰台には上がりたいです。ラストスパートまで全て出し切ってゴールしたいと思っています。

広瀬 私も早稲田記録を更新して表彰台に上がることが目標です。今の自己記録から30秒以上速く歩かなければなりませんが、しっかりと更新して21分台で歩きたいです。5000メートルの競歩のレースに出るのは人生で最後だと思うので、自己記録を出して納得のいくかたちで終わりたいです。関東インカレでは反則の注意を出されて、失格ギリギリのところでゴールしたので、今回はきれいなフォームで最後まで歩き切ってゴールしたいです。

――最後に、改めて日本インカレへの意気込みをお願いします

高橋 自分の今までの全てを出し切って、応援してくださる方たちの期待に応えられるように頑張ります。

広瀬 最後のインカレで集大成になると思うので、今まで練習してきた実力を全て発揮して、チームにも貢献できるようにしっかり点数を持って帰ることが一番の目標です。今までたくさん支えてくださった方や応援してくださった方に、結果というかたちで恩返しができるように全力で頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材 石本遥希、永尾早渡、編集 横山和葉)

◆高橋優喜(たかはし・ゆうき)

2004(平16)年5月7日生まれ。静岡・浜松北高出身。スポーツ科学部4年。

◆広瀬夏希(ひろせ・なつき)

2004(平16)年7月30日生まれ。東京・富士高出身。社会科学部4年。