【連載】『覇者で在れ』第6回 内藤香乃、矢野夏希、山本真菜

特集中面

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 今回登場するのは、1年時から互いを高め合ってきた女子同期の3人。今季1メートル80台をマークし悲願の学生日本一奪還へ挑む矢野夏希(スポ4=愛知・時習館)、種目を絞り込みチームのために跳躍を磨き続ける内藤香乃(スポ4=兵庫・北摂三田)、長期のブランクから復活を遂げた山本真菜(スポ4=三重・伊勢)だ。ブロックの垣根を越えて支え合い、最上級生となった彼女たちが今抱く思いと、集大成となる日本学生対校選手権(日本インカレ)への意気込みを伺った。

※この対談は8月23日に行われたものです。

――他己紹介をお願いします

矢野 入学した時に3人で早スポさんに対談する機会をいただいて、その時も私が山本の他己紹介をしていました(笑)。4年間過ごしてきましたが、本当に見た目も中身もかわいいままの山本さんです。競技面だと、その体からは考えられないくらいパワフルな走りをしていて、いつも存在感のある素敵な同期です。

山本 内藤さんはとにかく真面目で、競技に人一倍真摯(しんし)に向き合っていると4年間通してずっと思っています。400メートルハードルと走幅跳の二刀流は両立することが難しいと思うのですが、本人が今自分がするべきことをしっかりと考えて、周りの人ともコミュニケーションを取りながら努力している姿に、私もすごく刺激を受けてきました。また後輩や同期のこともすごく気にかけて声をかけている姿が印象的で、チームのコミュニケーションの面でもすごく要になっている選手であると思います。プライベートでもとても明るくて、地元を離れてから4年経っても関西弁が健在であり、みんなを明るくしてくれる存在です。 

内藤 矢野さんは、なっちゃんと呼ばれているのですが、一言で表すとクールビューティーという感じです。プライベートではふわふわしている感じなのですが、競技になるとかっこよくて、182センチを越える高さを軽々と跳びます。練習も人一倍ストイックにやっていて、ウエイトトレーニングもじっくり考えながらこなしている姿が印象的です。なっちゃんとはゼミも一緒で、頭が良くゼミでもすごく真面目です。尊敬しています。 

――お三方とも在籍なさっているブロックはバラバラですが、競走部の中でブロックを越えてお互いが関わる機会はどれくらいありますか

内藤 競走部自体もブロックごとに分かれてはいますが、練習は短距離ブロックというかたちで練習することが多いので、全体メニューが出ている際にはブロックの垣根を越えて走りについて話すことが多いです。そのため、関わりがないというわけではなく、それぞれのブロックとコミュニケーションを取りながら練習しているという感じです。

矢野 私は最近試合が続いていてなかなか参加できていませんが、日曜日にみんなでフィジカル(トレーニング)をする時間があり、女子の中でグループやブロックを越えてチームを作って、みんなでやる時があります。その時に普段なかなか話せないようなことを話したり、いろいろな動きなどを見たりすることがあります。

――お三方の共通の思い出などがありましたら教えてください

内藤 競走部の中でも女子はブロックが違っても分かり合えるところがあって、よく食事に一緒に行ったなという思い出がよみがえります。

矢野 1年生の時から毎年お互い3人で誕生日プレゼントを渡すということをやっていて、欠かさずプレゼントを渡し合っています。私は昨年、よく眠れる枕をもらって、今も愛用しています。

山本 私も同様に、いつも誕生日プレゼントをもらっていて、毎年センスのいいプレゼントをいただいています。昨年ノンフライヤーをもらって、それが良すぎてかなり頻繁に使っています。私にとって欠かせないものです。

――今シーズンはどのような目標を持ってシーズンインされましたか

内藤 私は専門種目が400メートルハードルと走幅跳なのですが、昨年まではどちらの種目も両立していくというかたちでした。しかし、冬季練習の前にそれぞれのコーチと相談して、いずれかの種目に絞った方が良いのではないかというアドバイスをいただき、自分がどちらの種目でいきたいのかと考えた時に、走幅跳になりました。今シーズン中には早稲田記録を跳べるように練習に励んでいます。

矢野 私は今年がラストイヤーになりますが、昨年は、憧れの仲野春花(平31卒=福岡・中村学園女子)さんが持つ1メートル83という早稲田記録を絶対に更新するという気持ちで臨みました。実際にあと1センチというところまで迫ってきているので、今は並ぶのではなく絶対に跳ぶと思ってやっています。

山本 私は昨年体調を崩してしまって、半年間ほど走れない期間がありました。今年のシーズンインの時は関東インカレ(関東学生対校選手権)や日本インカレには間に合わないのではないかと思っていました。そのため、10月の日本選手権リレーで使っていただけたらいいなと思い、シーズンインしました。周りの支えもあって順調にタイムを伸ばすことができ、関東インカレでは自己記録を更新できたことに加え、マイルリレーで6年ぶりの優勝を達成することができたので、日本インカレに向けて手応えをつかむことができました。

――今シーズンを振り返っていかがでしょうか

山本 先ほどと重複してしまうのですが、昨シーズン練習が積めていないというところを考えると、4年ぶりの自己記録更新や、関東インカレでのマイルリレー優勝を達成することができたので、かなり上出来な結果であると思っています。一方で、日本インカレとなると、関西のトップ層に比べるとまだまだ走力が劣ってしまうとも感じています。そのため、さらに課題を見つけて、あと2週間しっかり練習していきたいと思っています。

内藤 シーズン初戦は自分の思い描いていた記録ではないままシーズンインをして、不安な気持ちは多かったのですが、徐々に自分のやりたい動きができるようになってきて、それに伴って記録も少しずつ伸びてきました。記録が伸びる中でもまた課題が見つかっていくという感じで、難しい課題も多い中ではあるのですが、順調に調整できていると思います。日本インカレには、好記録を出している選手が多いので、今の記録のままではあまり戦える位置ではないと思います。残りの2週間でしっかり戦えるように準備したいと思っています。

矢野 今年のシーズン初戦は天候が悪かったため、なかなか記録が出せなかったのですが、2戦目の六大学(東京六大学対校)で1メートル80を跳ぶことができました。今までずっと目標にしてきた記録でもありますし、走高跳をやっていて1メートル80を跳ぶと、1つ選手としてステップアップできる基準の記録ではあったので、跳ぶことができてすごくうれしかったです。それ以降の試合でも自己記録を3回更新することができていて順風満帆に見えるのですが、記録が安定しているだけでは勝負ができないと思います。特に、(1メートル)85、86あたりを跳ばなければ勝負にならないと感じています。日本インカレでは、2年前に優勝しましたが、昨年は勝つことができなかったため、もう一度勝ちたいという気持ちがあります。しっかりと早稲田記録を跳んで勝ちたいと思います。

――5月に行われた関東インカレについて、それぞれが出場なさった種目を振り返っていかがでしょうか

矢野 関東インカレで走高跳は初日に行われたのですが、とても寒く、雨が降っていて、自分との戦いでした。コンディションが悪いとどうしても記録が狙えないことが多い一方、自分の中で良い動きを絶対にしたいと思っていました。ただ、あまり(良い動きが)できなかったので、すごく苦い思い出です。

山本 私は400メートルと4×400メートルリレーに出場しました。400メートルでは一緒に出場した木下(妟里、商2=徳島文理)と決勝に残ってダブル入賞したいと話していました。そのように言ったものの、あまり自信はありませんでした。ブランクがあったことや、それ以前の大会で関東インカレ決勝に残れるようなタイムを出していなかったので、少し厳しいかなと思う面もありました。ただ、最後の関東インカレなので、なんとかして結果を出したいと思い挑みました。とても天気は悪かったのですが、私はチャレンジャーだったので、一発逆転があるかなというポジティブな気持ちで走りました。(結果的に)大学に入ってから初めて自己記録を更新することができて、自分にとってすごく自信につながるレースだったと思います。その勢いのままマイルリレーでも悲願の優勝をすることができました。今まで何回かマイルリレーを走らせていただくことはあったのですが、なかなか勝ち切ることができなかったので、自分が4年生の代で勝つことができ、周りにもチームメートにも感謝しています。全体を通して関東インカレは自分にとってとても良い試合だったと思います。

内藤 私は走幅跳に出場させていただきました。1年生、2年生と入賞してきた中、昨年は入賞することができなかったため、今年は意地でも入賞してチームに1点でも多く持って帰りたいという気持ちで臨みました。寒い中での試合は苦手だったのでそれに対する不安がすごく大きかったのですが、1日目に矢野が寒い中頑張っている姿を見て、山本も4年ぶりに自己記録を更新していて、私も頑張らないといけないなという気持ちが芽生えてきました。そのような周りの人からの刺激と、今までやってきた動きが噛み合って、入賞することができたのは良かったと思っています。

――4年間で一番印象に残っている大会について教えてください

内藤 大学2年生の時の関東インカレです。2年生のシーズンインの際にすごく減量したにも関わらず、初めて走幅跳で3位の表彰台に立つことができて、すごくうれしかったのが印象に残っています。また、日本インカレでは、400メートルハードルで2、3年ぶりに自己記録に近い記録を出すことができて、素直にうれしかったのが印象に残っています。

矢野 私も2つあって、1つ目が2年生の時の日本インカレです。初めて全国のタイトルを獲った大会です。私自身、高校生までは結果を残してきた選手ではなかったので、初めて勝ち切った試合でした。記録は望んでいたものとは違いましたが、自分の中でのターニングポイントで、そこで勝てたことがすごく自信になり、今につながっていると思います。2つ目は今年の六大学で、人生で初めて1メートル80を跳んだ試合でした。ずっと跳びたいと思っていながらなかなか跳べなくて、悔しい気持ちもありましたが、(六大学で)しっかり跳ぶことができてすごくうれしかったです。

山本 私は、今年の5月に行われた関東インカレのマイルリレーにおける決勝のレースが一番印象に残っています。メンバーは、私が400メートル4位入賞で、木下も6位入賞、400メートルハードルの2人はワンツーということで、全員の調子が良くて、自分たちも優勝できるかもしれないと思っていました。監督からも「絶対勝てるよ」という言葉をいただいていたので、全員何としてでも優勝したいという強い気持ちで挑んだレースでした。私は3走だったのですが、2走のレイチェル(ガードナ・レイチェル麻由、スポ1=神奈川・法政二)が1番でバトンを持ってきてくれて、その時の表情がすごく印象的でした。本当に一人一人が0.01秒を削り出してきたんだなと感じて、バトンの重みを今まで以上に感じたレースでした。自分自身も役割をしっかり全うして、少しでも前で渡したいという強い気持ちで走れたレースでした。実際に結果も優勝というかたちで表彰台の一番高いところに上ることができました。その時の仲間の表情や、スタンドで応援してくれている仲間が泣いてくれていたり、すごく喜んだりしている姿を見て、本当に頑張ってきてよかったと思いました。

――日本インカレでの目標順位や記録についてお聞かせください

山本 個人種目では自己ベストの54秒台を出して、しっかり決勝に残ることを目標にしていきたいと思います。リレーに関しては、悲願の日本一を達成していきたいと思っています。その日本一を達成するためにも、自分がしっかり全国のエース級の選手と渡り合えるような走力で走ることが大事だと思うので、個人の400とリレー、いずれも勝てるように準備していきたいと思っています。

内藤 走幅跳に出場させていただくのですが、日本インカレではまだ一度も入賞したことがないので、まずはトップエイトに残って6本を跳び切ることが目標です。そして早稲田記録を跳びたいという気持ちも強いので、(その記録も狙って)しっかり跳んで入賞したいと思っています。

矢野 走高跳に出場させていただくのですが、昨年優勝を逃したこともあり、今年は早稲田記録を跳んで優勝するというところを目標にしたいです。また(走高跳は)初日に競技が行われるので、まずは自分がしっかり勝ち切って、残りの日程に出場する選手たちを勢いづけられるように頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材 石本遥希、平川陸、編集 平川陸)

◆矢野夏希(やの・なつき)

2004(平16)年8月2日生まれ。愛知・時習館高出身。スポーツ科学部4年。

◆山本真菜(やまもと・まな)

2004(平16)年12月17日生まれ。三重・伊勢高出身。スポーツ科学部4年。

◆内藤香乃(ないとう・かの)

2004(平16)年6月7日生まれ。兵庫・北摂三田高出身。スポーツ科学部4年。