対談第11回目は主将として今季のア式蹴球部を率いるMF鈴木大翔主将(スポ4=ガンバ大阪ユース)。早慶クラシコ、総理大臣杯、そしてリーグ後半戦の意気込みを語っていただいた

ーーまずは、前半戦を個人として振り返っていただいてもよろしいですか
鈴木 今年一部で初めてやった割にはできる部分も多かったけど、やっぱり上を目指している中ではもっともっとできないといけないなというのは思いました。あと、チームを勝たせることができなかったというのも自分の中で結構気になっているので、そういったところはやっぱり評価しづらいなと思います。
ーーキャプテンとして半年過ごしてきたわけですが、意識の変化というのはありましたか
鈴木 常に周りから見られているということと、自分がキャプテンとして常に示すことが大事だと思うので、そういったところの意識というのは去年よりさらに上がっているなと感じます。
ーーキャプテンとしてどんな意識を持って試合に臨んでいますか
鈴木 まずはチームを勝たせること。そのためにも常に声を出したり、チームがうまくいっていない時にどうしようかと発信したり、そういうのは意識してやっています。
ーー主将中心に、幹部陣も含めてどんなチーム作りを目指していますか
鈴木 よくみんなで話すのが、特に早稲田は突出した個のある選手がいないので、まずは「崩れないチーム」というのが非常に大事になると思います。そこを軸にしつつ、そこからプラスアルファでチームとしてどれだけ何ができるかというのは意識して取り組んでいます。
ーー主将として過ごす中で、102代目というかなり歴史があると思うのですが、重圧などはあったりしますか
鈴木 めちゃくちゃ感じているわけではないですけど、ふとした時や、主将として何かに出る時などは、やっぱりすごい背負っているものを感じます。
ーー今のチームの雰囲気を鈴木主将から見た時に、どういう風に見えていますか
鈴木 この間4年生でミーティングをやったんですけど、その時も含めてみんな危機感を持っているので。それぞれが危機感を持ってやっているのと、リーグ中断期間で早慶戦前だったり総理大臣杯前というのもあるので、そこはみんなすごい気合が入って、個人のアピールをしているというのは感じます。
ーーその危機感というのは、具体的にどんなものですか
鈴木 リーグ戦4位で終わったんですけど、自分たちが優勝を目指している中で、しかも勝ち点差も結構詰まっているので。そこは油断していたらすぐに上とも突き放されるし、下にも抜かされるという危機感が必要だというのを話していました。
ーーリーグ戦前の対談では、「チームとして危機感を察知できる能力が足りない」ということをチームの課題に挙げていましたが、そこは改善されてきたと感じますか
鈴木 そこはちょっと難しいんですけど、1回勝てばやっぱり危機感が緩んだりというのがあるので、継続してそういったものを常に持てるかというのがまだまだ課題だとは思います。ただ、4年生でミーティングをした中で、そういったところへの意識というのは1人ずつ少しずつ上がっているので、それを継続してチームでやれるかというのは、ここからの課題だなとは感じています。
ーーチームの方で前半戦を振り返ってほしいんですけど、まずチームとして良くなってきた部分、逆にまだ課題だなという部分は何かありますか
鈴木 ビルドアップの部分は間違いなく良くなったと思います。怪我人とかも帰ってきた中で、いろんなバリエーションでビルドアップができるというのは、試合を重ねるごとに強みになっていたと思います。課題の方はやっぱり守備の失点数の部分で、リーグの中で見ても得点数は2番ぐらいで、失点数も結構上位の方にいると思うので、そこは減らしていかないと優勝にはたどり着かないと思います。今1位の国士舘大は失点も10ですごい少ないので、そこは課題だなと感じています。
ーーそのビルドアップの部分だと、シーズン途中くらいから、両センターバックの真ん中に鈴木選手が落ちる形が出てきたなと思いますが、それにつてはどうですか
鈴木 それはチームとしてやっているわけではないんですけど、個人としてボールを循環させることが役割であるとも思っていて。それが早稲田の強みだからこそ、そこがなくなったら一気にゲームを持っていかれるというのが、前期の東海戦だったり明治戦だったりで見られたので、そういったところを改善することが必要だなと思っています。
ーー少々重なる部分もあるかもしれませんが、兵藤監督体制4年目、いわば兵藤チルドレンと言えると思いますが、兵藤監督の戦術なども浸透してきたという感覚はありますか
鈴木 はい、そうですね。やはり4年目ですので、選手たちは監督の目指すサッカーを理解していると思います。それを理解しているメンバーが揃っている点が、私がこれまで見てきた中で最も戦術が浸透していると感じる理由であり、全員が長期間取り組んできたベースになっていると思います。
ーー個人的に前半戦でここまで印象に残っている試合は何かありますか
リーグ戦の桐蔭横浜大戦です。あの試合で負けていたら、おそらく8位か9位になっていました。前半0-2からスタートし、あそこで逆転勝利を収めたことが、勝ち点自体は大きく変わらなくとも、リーグ前期を4位で終えられるかどうかに直結したと思うため、非常に大きなターニングポイントであったと感じています。
ーー今シーズン、センターバックで出場する試合もあったと思いますが、それについてはどうお考えですか
鈴木 デンソーカップなどで経験していたため、ある程度できる感覚はありました。しかし、これまで前線から下がってプレーしていたのが後方に変わり、後ろから見るからこそ理解できることもあったため、自身にとっては非常にポジティブに捉えています。ビルドアップの際、「特にどこに位置してほしいか」といった周囲の意図は、ボールを受けた時に感じることがありました。守備の際も、前線の選手がどこに位置すればプレーしやすいかなど、後方でプレーしたからこそ気づけたことだと思うため、戦術眼が広がり大きく成長できたと感じています。
ーー昨季と比べて、個人として成長した点、逆にまだ課題だと思っている点はどのようなところでしょうか。
鈴木 攻撃時のポジショニングや判断の部分です。昨年からポジションが変わり、あまり慣れていない部分が多かったのですが、毎日の練習で意識して取り組んでいるからこそ、少しずつ視野が広がってきていると感じています。
ーーボランチとして、1年半ほどになりますが、それについてはどうお考えですか
鈴木 経験期間を気にしてはいけないと思うため、プレーするからには長年そのポジションを務めている相手にも負けてはならないと考えています。そういった意味では、さらに成長していかなければならないと感じています。
ーー1部優勝、そして全国制覇という目標がチームとしてあったと思いますが、その目標と現在のチームとの距離感はどのように見えていますか
鈴木 近いとは思っていませんが、まだ自分たち次第で掴み取れると考えています。リーグ戦前期の最後に国士舘大学に敗れましたが、あそこが現在の1部トップであり、おそらく全国でもトップレベルだと思います。その差を縮めるためにも、さらにレベルを上げていく必要があります。しかし、だからといって勝てない相手ではないと思うため、そういった点も含めて、近くはありませんが、手の届く距離にはあると考えています。
ーーアミノバイタルカップについてお伺いしたいのですが、昨年は初戦敗退だったと思います。今年はチームとしてどのような意識で臨みましたか
鈴木 まずは優勝を目標に据えつつ、目の前の試合に集中し、総理大臣杯の出場権を獲得した上で優勝したいという思いがありました。
ーーそれでは、全国大会への切符を掴んだことについては、どのようにお考えですか
鈴木 最低限の目標ラインだと考えているため、その点は良かったと思います。
ーー全体的に見て結果としては5位だったと思いますが、その結果についてはどうお考えですか
鈴木 優勝したかったという思いは全員が持っていると思いますが、その中でもPK戦以外では負けなかったという点は、ある程度評価できると考えています。ただ、やはりそこで勝ち切れなかったのは自分たちの力不足ですし、PK戦になる前に決着をつけることができていれば、さらに上位で強いチームと対戦できたと思うため、その点は反省しなければならないと感じています。
ーー2年ぶりの全国大会となりますが、何か楽しみにしていることはありますか
鈴木 私は2年生の時に怪我で出場できなかったため、1年生以来の全国大会となります。個人的には全国大会自体が非常に楽しみであることと、日本一を獲得するチャンスがあるというのは昨年にはなかったことなので、大変楽しみにしています。
ーーそれでは、ここまでのご自身のプレーに10点満点で点数をつけるとしたら何点になりますか
鈴木 4点です。
ーーその理由をお聞かせください
鈴木 昨シーズンから成長している部分はありますが、残りの足りなかった部分として、相手の優秀なボランチのプレーを肌で感じたことが挙げられます。そうした実力差や、チームの勝利にさらに貢献したいという思いがあったため、それらを含めてこの点数にしました。
ーーそれでは次に、チームとして点数をつけるとしたら何点ほどでしょうか。
鈴木
50点です。1年目で勝ち点を積めなくなるよりははるかに良かったと思いますが、チームとしては優勝を目指しているため、そこからは少し離れた順位だと捉えています。最低でも、1位ではなくとも首位との勝ち点差はもっと縮めるべきだったと思うため、そういった点も含めて50点だと考えています。
ーー夏以降、こだわりたいことや重点的に練習したいことはありますか
鈴木 個人として、攻撃においても守備においても「違いを作る」という部分を意識したいと考えています。攻撃の面では、数字に残る結果を出すことはもちろんですが、ワールドカップにおけるスペイン代表のロドリ(マンチェスターシティ所属)選手のように、数字には表れなくとも、ピッチにいるだけで圧倒的な存在感を放ち、チームの柱となれるような選手になりたいです。守備の面では、自分がいるだけで相手に嫌がられる存在になりたいですし、自分のところで相手の攻撃を食い止められるようになれば失点は大幅に減ると思うため、その点を心がけて取り組んでいきたいです。
ーーロドリ選手のお話も出ましたが、ボランチとしてロールモデルにしている選手はいらっしゃいますか
鈴木 日本人選手では佐野海舟(FSVマインツ05所属)選手です。自分にとっては衝撃的でした。個人的にボール奪取力の面で大変勉強になるため、その点を意識して取り組みたいと考えています。早稲田大学は4-1-4-1のシステムを採用しており、アンカーの選手が非常に重要な役割を担うサッカーをしているため、ロドリ選手のような振る舞いができれば、チームはさらに良くなると思い努力しています。

ーー同期の幹部陣はそれぞれどのような存在に映っていますか。
鈴木 非常に支えてもらっていると感じています。それぞれが自身の役割を全うしようと懸命に努力している姿が伝わってきますし、それが私の支えにもなっているため、大変頼りがいのある幹部メンバーだと思っています。
ーー大学サッカー生活も残り半年となりましたが、その実感などはありますか。
鈴木 アミノバイタルカップも終わり、あと半年で引退かという実感はあります。「夏が来れば毎年一瞬だ」とチームメイトとも話しており、それは強く感じています。
ーー西(DF、凜誓副将、社4=名古屋グランパスU18)選手が、食事に行った際によくそのような話をするとおっしゃっていましたが、同期への思いなどはありますか
鈴木 実はそれは昨年から冗談交じりに話していたことでした(笑)。しかし、いざその時期になってみると実感することも多く、やはり1試合でも多く同期のメンバーや後輩たちと共に勝利できれば私自身も嬉しいですし、それが優勝などの結果に繋がると思うため、全員で努力していきたいと考えています。
ーー様々な選手からお話を伺う中で、「弱い代だ」といったことを言われたというお話がありましたが、それについてはどのように捉えていましたか
鈴木 非常に悔しいという思いを抱き続けてきました。それは1年生の頃から言われており、見返すためには結果で証明するしかありません。それを証明するためにはまだ結果が足りていないと考えているため、さらに努力しなければならないと思っています。
ーーまた、「仲が良い」というお話も4年生からよく挙がるのですが、キャプテンから見てその要因は何かありますか
鈴木 具体的な要因はわかりません(笑)。ただ、間違いなく皆仲は良いですね。
ーーそれでは、早慶戦に話を移したいのですが、まず国立競技場での開催という点についてはどうお考えですか
鈴木 私自身非常に嬉しい気持ちがありますが、何よりも国立競技場で開催するために尽力してくださった方々へ、深く感謝しています。
ーー1年生の頃に出場されていたと思いますが、当時の記憶や、どのような舞台だったかという感想はありますか
鈴木 その試合で感じたのは、「早慶戦は素晴らしい」ということでした。コロナ禍でなかなか観客が集まらない時期であり、1万人を超えてはいませんでしたが、大勢の早稲田の学生が応援に駆けつけてくれて、非常に大きな力となりました。
ーー昨年については敗戦という結果になりましたが、敗戦後の記憶や思いはどのようなものでしたか
鈴木 非常に悔しい思いしかありません。そもそも3年生の時に自身が出場できなかったことも悔しかったですし、チームとして結果が出なかったこと、そして早慶戦のために昨年の4年生を含め、多大な力を注いで尽力してくれた方々がいたにもかかわらず、勝利を届けられなかったことが大変悔しかったです。
ーーでは今年、早慶戦という舞台に対してどのような思いで挑みますか
鈴木 とにかく「勝つ」ということだけを考え、そのために最善を尽くすことだけを現在は考えています。
ーー改めて、早慶クラシコとはどのような舞台でしょうか
鈴木 多くの方々に感動や勇気を与える場だと考えています。私自身、2年生の時に怪我をして外から観戦していましたが、やはり試合から大きな感動を与えてもらいました。そうしたものを多くの方々に届けられる試合だと思います。
ーーキープレイヤーを挙げるとすれば誰でしょうか
鈴木 林(DF、奏太朗、スポ3=サガン鳥栖U18)です。林が復帰してからビルドアップが非常に良くなり、現在このチームのビルドアップを支えているのは間違いなく彼だからです。今年に入って守備力も大きく向上しており、間違いなく欠かせない存在です。彼が機能していることで、相手からすれば非常に厄介な存在になっていると思います。
ーーそれでは、個人として早慶戦でどのような結果を残したいですか
鈴木 まずはチームが勝つためにしっかりと走り抜いて戦うことを大前提とした上で、結果を残すことにフォーカスして取り組みたいと考えています。
ーーチームとしてはどのような結果を残したいですか
鈴木 今年継続して意識している「複数得点」と「無失点」をチームとしての目標に据えつつ、単なる1試合で終わらせないためにも、しっかりと内容も追求しながら結果を出せるよう努めたいと考えています。
ーー今後、総理大臣杯や後期リーグ戦が控えていると思いますが、観戦に来てくださる方々に、ご自身のどのようなプレーを見てほしいですか
鈴木 攻撃の面では、しっかりとリズムを作ることを意識しているため、その部分を見ていただきたいです。守備の面でも、個人として厳しくアプローチする部分や、ボールを奪い切るプレーを見ていただきたいと思います。
ーーでは、今年のチームはどのようなチームだと主将から見て感じますか
鈴木 そうですね。仲が良いからこそ、全員で勝利のために努力しようという姿勢を強く感じています。特に得点が入った後も全員で喜び合っていますし、試合に出ていなくても外から声をかける選手や、一生懸命に応援してくれる選手もたくさんいます。そうした部分で、チーム一丸となって戦えているということを今年は特に感じています。
ーーそれでは、総理大臣杯に向けて個人としてはまず、どのようなことを目標に取り組んでいきますか
鈴木 個人として、しっかりとチームの勝利に繋がるプレーをすることを意識します。そのためにも結果を残すことが一番チームの勝利に直結すると思うため、その点を意識して取り組んでいきたいと考えています。
ーーチームとしては何を目標に総理大臣杯に臨みますか
鈴木 「日本一」という目標はシーズン開幕前から掲げているため、その点をチーム全員で意識して取り組んでいくことと、総理大臣杯はこれまで自分たちが積み上げてきたものを発揮する場所だと考えています。それをしっかりと発揮できれば良い結果に繋がると思うため、緊張などもあるかと思いますが、自分たちがやってきたことを出し切るという点を特に意識して臨みたいと思います。
ーーでは、後期リーグ戦は何を目標にやっていきますか。
鈴木 優勝するためには、全勝するくらいの勢いがなければならないと思うため、そこを目指して取り組むこと。そして、前期に達成できた「複数得点」を継続しつつ、守備の面では失点数を減らしていくことが重要になると思うため、そこはチーム全員で意識して取り組んでいきたいです。
ーーリーグ戦やインカレなど、全てが終わった後に周囲から「どのような代だった」と言われたいですか
鈴木「4年生がこのチームを支えてくれた」と言われるようになりたいと考えています。
ーー最後に全体を通して、主将としての意気込みをお聞かせいただけますか。早慶戦も含め、これからの全ての試合に向けてお願いいたします
鈴木 結果は自分たち次第で引き寄せられるものだと思うため、しっかりと自分たちがやるべきことに取り組み、自分たちを信じてプレーできれば、自ずと結果はついてくると考えています。しっかりとチーム一丸となり、勝利を掴めるようにどの試合も全力を尽くしたいと思います。
(取材 安田直樹)

♦鈴木大翔(すずき・ひろと)
2004年(平16)年4月8日生まれ。180センチ。ガンバ大阪ユース出身。スポーツ科学部4年。ここまでア式の先頭に立ち続けてきた鈴木選手。クラシコでも先頭に立ち、永遠のライバルと激しく戦います!