【野球】「自分が打てなかったら誰が打つんだくらいの気持ち」壽田悠毅選手インタビュー 2026年春季早慶戦前特集

特集中面/

対談トップに戻る

 今季大きく出場機会を増やした壽田悠毅(社4=東京・早実)。規定打席未到達ながら、ここまで打率は4割1分2厘と好調。巧みなバッティング技術が光る苦労人は、大舞台を前に何を思うのか。

※この取材は5月21日にオンラインで行われたものです。

練習からもがいている

――ここまでのリーグ戦をチームとして振り返って
 守備からリズムを作って、できるだけ接戦をモノにするチームスタイルを目標にやってきました。ただ、投打共に思うようにいかなくて勝ち点もここまで1しか取れてないので、かなり厳しい戦いが続いていると思います。

――チームの雰囲気はいかがですか
 ここまできたらもう割り切れてはいるんですけど、練習メニューも色々工夫してやってはいる中で、それが結果には結びついてないので練習からもがいている感じです。

――ここまでのリーグ戦で印象に残っている試合は
 チームとして見ればどれも打たれ込んで印象に残っています。個人的には良かった方では法政の2回戦、悪かった方は明治の2回戦です。良かった方は自分が猛打賞した日で、自分がやってきたことが結果として出た日で手応えがあったので印象に残っています。明治の2回戦は、自分がリーグ戦になって初めて守備につかせてもらった日でした。チームとしてはあれだけ打たれて守備の緊張感も個人的に味わうことができたので、チームとしての苦しい状況を守備でも感じたとても印象に残っている試合です。

――バッティングで意識していることはありますか
 2つあって、1つがリラックスすること。普段と緊張感が違うので、どうしても力んでしまうんですけど、その中でもリラックスして打席に入ることを意識しています。もう1つが打席の中で無駄な動きを減らすというか、動かないことを技術的に意識しています。余計な動きを意識してしまうと、150キロ近いスピードボールに対応できなくなってしまいます。なので、振り遅れないようにという意味でできるだけ力を入れないで、フォーム的にも動かないで打つようにしています。

――その点は練習の部分から意識されているのですか
 練習の面から意識していますし、この冬は動かないことに関しては重点的にやってきて気持ちの面も自分の中で整え方がわかってきました。それがリラックスすることに繋がっているのかなと思います。

――ここまで4カードを終えて打率は4割を超えています。ここまでを振り返っていかがですか
 結果を気にしてしまうとあまり良くないと思うので、自分の中では割り切って1打席1打席に集中できています。ただ、打った打席以上に打てなかった打席の方で、もう少し出来たなと感じることが多いですね。

――開幕前の怪我の影響はいかがですか
 怪我をして、冬の間思うようにトレーニングが思うように積めなくて、もちろん影響は日々感じながらやっているところです。ただ、日に日に良くなって自分が理想としているところに状態として近づいているのかなと思います。

――今季に入って昨季から出場機会を大きく増やしました。試合にあたっての準備の面で、昨季から変わったことや意識していることはありますか
 ここまで違うことと言えばDH制が導入されたので、それまでは試合の途中から1打席に集中という形でやってきました。DHで自分が貢献するとしたらバッティングしかないっていう起用法も自分の中ではメインになっています。なので、試合前のアップからバッティングのための体幹などをしています。変わったことといえば、DHで出場する日はアップからバッティングに特化したものを意識としても体の動かし方としてもやっています。

――試合前日や当日のルーティンはありますか
 前日は外野手会というのがあって、皆でご飯を食べた後に必ず自主練習して、寝ます。当日はバスでの移動中に音楽を聴きながらアイマスクして、試合まで時間があるので一回リラックスするのがルーティンです。

与えられたところで仕事をする

――東大2回戦の今季初打席で安打を放ちました。その時の気持ちはいかがでしたか
 リーグ戦の直前から状態が上向きになって、かなり自信がある状態ではあったのでそこのスコアとか状況は気にせずに自分が打てなかったら誰が打つんだくらいの気持ちで入れました。なので、初球から積極的に行けて楽に入れる打席だったと思います。

――その打席が今季の好調に繋がっていると思いますか
 一打席一打席必死にプレーしてるんですけど、今思えばあそこで初打席で安打が打てたので、神宮で結果を出すための気持ちづくりができました。それが一番その後も結果が出続けた大きな要因になったかなと思います。

――法大2回戦では自身初の猛打賞の活躍をみせました。自身の役割などの思いはありましたか
 元々バッティングの方で期待されているからこそのDHだと思います。打順的には8番で自分がもう1回チャンスを作って上位打線にという感じで、打線を線として機能させることが1番だと思っています。特にその試合では役割を果たせたという意味では、自分が出塁することができてよかったかなと思います。

――今季センターからライト方向への安打が目立ちますが、何か意識していることはありますか
 基本的にはセンター中心に考えているのでそれが少し崩されたり、少し早くて左中間に飛んだりという感じです。基本的にはセンター方向を考えているので、タイミングが合ってる芯にあたってるからこそのセンター方向中心の打球だと思います。それがあるからこそ、今の打率や結果が出ているのかなと思います。

打席に立つ壽田

――明大2回戦では指名打者ではなくレフトでのスタメン出場でした。その点についてはいかがでしたか
 やはりバッティングだけでなく守備もやらなきゃいけないので気持ちの入り方もDHとは違いますし、プレッシャーもあります。DHは試合中もベンチ裏で打つための準備が自分のタイミングでできたのが思うようにできない、守備につきながら自分でリズムを作らなきゃいけないのでその点に関してはDHの時よりもきつかったです。守備については、誇南(宮城誇南、スポ4=埼玉・浦和学院)が投げていた時のレフト前への安打で前進守備していたのにアウトに出来ずに2点タイムリーにしてしまいました。練習では自分の中で結構スローイングにこだわってアウトにできるようにしてきたつもりだったんですけど、緊張とか色々なものがあってアウトに出来ませんでした。そこはもう一個自分の中で詰めていかなきゃいけない部分かなと思いました。

――リーグ戦で初めて守備に就く上で意識したことはなんですか
 寺尾(寺尾拳聖副将、人4=長野・佐久長聖)がセンターに動いていて、神宮でセンターを守るのは寺尾も初めてだったので、ポジショニングだったり声出しの部分を意識しました。

――その試合で打順がそれまでの7番、8番から1番へと変わりました。難しいと思った点はありますか
 先攻だったのもあって試合の中で自分が最初に打席に入りました。良くも悪くも自分の結果や雰囲気がチームの攻撃や試合の雰囲気に影響してしまうので、かなり気をつけていました。粘れはしたんですけど結果的には見逃し三振になってしまって、あの1打席はアウトになるにしてもアウトのなり方まで気をつけなきゃいけないところだったのでかなり反省しなきゃいけない1打席だったと思います。

――打撃が好調の中で、スタメンを外れる試合もありました。使われないもどかしさはありましたか
 そこに関しては僕が決める事ではないですし、僕は自分が行けと言われたところで仕事をすることしかできないです。それをやることがチームにとって1番いいことなので、もどかしさはないわけではないですけど、常に割り切って自分が与えられたところで仕事をしようという気持ちでいるからこそ、今の結果になっているのかなと思います。

――出番の回ってこない中で、好調を維持するために意識していたことはありますか
 試合の中では無意識です。ただ、練習だとここ数ヶ月調子がいい時は自分の中でここを押さえておけばいい感覚でプレーできるということを見つけたので、それをメモしたりして忘れないように普段からそこをチェックリストにして気にしながらやっています。元々自分は沢山練習しようって言う感じだったのですが、完璧に打てるようになるまでやると考えすぎて必要のないところまで意識がいってしまいます。なので、チェックリストだけ気にしてそこさえ確認できてればいいかなという感じで自分の中ではやっていました。

代打起用でも安打を重ねた

――チームメートの中で刺激を受けている選手はいますか
 自分は長打よりかは進塁打とかが多いので、德丸(德丸快晴、スポ2=大阪桐蔭)のスイングの強さ、試合であれだけ振りに行けるところは自分も見習いたいというか、あれぐらい自分も触れたらいいなと思います。

――德丸選手のスイングスピードはチームの中でもトップクラスなのですか
 練習を見ていても飛距離が1人だけ違うというか、どの球が来ても強く振りにいってるのが彼かなと思います。特にこの冬の間しっかり振りにいって、あれだけ飛ばせるようになったっていう点で彼が一番成長したと思います。自分もいいところを吸収して、率も飛距離も彼くらい自分なりのスタイルで求められるようになりたいと思います。

――リーグ戦の連戦の中でどのように息抜きしていますか
 自分はゲームが好きなので夜ゲームをして、あえて野球をしない時間を作っています。あとは試合前は親と必ず電話するようにしています。毎試合父親が見に来てくれているんですけど、父親も野球部のOBなのでバッティングの事とかを相談しています。これまで練習の中で何十万回もスイングしているのを1番見てくれているのは父親なので、自分のバッティングは父と作り上げたといっても過言ではないです。自分の気持ちの作り方のアドバイスをくれているのは父なので、前日の夜に電話してメンタルのリセットというか気持ちを整えることを意識しています。

――お父様の言葉の中で印象に残っているものはありますか
 自分が怪我で遅れたのもあって、結果を残したくて逆に不安になってしまう時期がありました。そういった時に父から、結果を出すには数字を気にしないことで結果が出る、数字を気にしている間は投手との勝負にすらならない、単純に勝負を楽しんでいけ、と言われました。それで逆に吹っ切れたというか、自分の中でこうなったらどうしようみたいに気にしていたものが投手との勝負に集中できるようになりました。打席の結果に一喜一憂しなくなったのは父からもらった言葉の影響だと思います。

早慶戦は特別な場所

――今季の慶大の印象は
 試合を見ていると投打ともにまとまりがあって打線も調子がいいですし、チームとして完成度が高い印象です。

――対戦が楽しみな選手はいますか
 田上遼平(4年)、村岡龍(4年)、横地広太(4年)は中学時代のチームメイトで、リーグ戦も自分より早くデビューしています。特に村岡、横地は1年生から出ていて、同じ右投げ左打ちの外野手というのもあって常に気になっています。自分はこの4年間中々出場出来ない中で彼らは結果も残していて、自分も早く出れるようになりたいなと思いながらやってきたので、彼ら3人は凄く対戦したいですし、楽しみです。

――警戒している選手はいますか
 今津慶介(4年)は、盛り上げることが得意っていう印象があります。キャプテンで盛り上げ役でもある彼を打たせてしまうとチームとして乗ってしまうので、彼にだけは打たれないように投手陣も野手陣も警戒しないといけないなと思います。

――早大で注目して欲しい選手はいますか
 寺尾を1番推したいです。彼もここまで4番で苦しんではいるんですけど、外野手でご飯を食べた後の練習や日々の練習を見る中でなんとかしようとしているのを自分が1番感じる選手です。ここまで思うようになっていないですけど、去年からの唯一の主軸なのでなんとかやってくれるんじゃないかなという気持ちでいます。

――早慶戦で果たしたい役割を教えてください
 自分のやることは変わらないので、バッティングはとにかく自分のスイングをして塁に出る事が1番の役割になると思うのでそこを果たせればいいと思います。当たり前のプレーを当たり前にしてミスのない守備ができれば負けることはない、と日々監督(小宮山悟監督=平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から言われています。守備で機会があれば、それを全員で作り上げるための一つのピースになる事が自分の役割かなと思います。

――早慶戦で注目してほしいところは
 バッティングがここまでいい状態で、いいスイングができているので芯に当てるのが上手いところを見てほしいです。

――早慶戦への意気込みをお願いします
 ここまで4カードやってきて苦しい状態が続いていますが、早慶戦は早慶だけで1試合できる特別な場所、試合だと思います。それまでがどんな状況であれ、絶対に負けられないし負けてはいけない相手なので、慶應から勝ち点を取れるように全員で目の前の一球に集中して勝ちを掴みたいです。

ーーありがとうございました!

(取材、編集 大竹瞭)

◆壽田悠毅(すだ・ゆうき)
2004(平16)年9月28日生まれ。177センチ、85キロ。東京・早実高出身。社会科学部4年。早慶戦では自分のカラフルな装着物にも注目してほしいと話す壽田選手。鮮やかなスタイルで大舞台で躍動する姿に期待しましょう!