【連載】『令和7年度卒業記念特集』 髙見真史/ア式蹴球部 

卒業記念特集2026/特集中面

サッカーに関わる全ての人のために

 

プロのマネージャーになりたいという志を持ち、現場の全てが詰まったア式蹴球部(ア式)で夢を叶えるために120%の力で走り続けた髙見真史マネージャー(人4=埼玉・栄東)。4年間どんな思いで仕事を全うしてきたのか、振り返ってもらった。

サッカーができる環境が周りに多く、幼稚園生の頃からサッカースクールに通い始めた髙見。サッカーを楽しむ傍ら、大宮アルディージャの応援にスタジアムへ毎週足を運んでいた。ある試合で、マネージャーがピッチを駆け回り手際よくボトルを片付ける姿に心を奪われ、選手ではなくてもスタッフとしてプロの世界で活躍できるのだと知った。そこからマネージャーについて調べていくうちに「Jリーグのホペイロになりたい!」という大きな夢を抱くようになった。

 

中学生の頃、サッカーから距離を置いていた髙見は高校ではサッカー部でマネージャーとして活動すると心に決めていた。当時のサッカー部にはマネージャーがいなかったが、募集していることを知り、迷わず志願した。女子マネージャーがいない中、男子マネージャーという存在を快く受け入れてくれた栄東高校では自分のやりたいように仕事をさせてもらう日々を過ごし、マネージャーの経験がない自分をチームの一員として扱ってくれた。そんな有意義な時間は幼い頃にサッカーをやっている純粋で幸せな時間を思い出させてくれた。3年間マネージャーとしての経験を積んだこの場所は「もう一度自分にサッカーをインストールしてくれた」大切な場所となった。そして進路を考える中で、当時ア式の部員ブログを読んでいた。ア式が学生スタッフの活動や文化を大事にして、それがチームの強みになっていることを知った。ア式で学生スタッフとして活動していけば自分のやりたいことをやらせてもらえるのではないか、プロの世界でマネージャーとして活動するために行くべき場所なのではないかと考えた髙見は絶対にア式に入りたいと思うようになった。そして幼いころからの夢を叶えるため、プレーヤーでなくても1人の部員としてサッカーに全力を注ぐために文武両道でレベルの高い早稲田大学へ進学することを決めた。

笑顔を見せる一面

 自分の夢を叶えるためにア式に入部して1年目。関東リーグに帯同することはできず、どこか他人事で試合を見てしまう自分がいた。この年は関東リーグ2部に降格し大学の厳しさを感じたと同時に勝利に貢献できなかった自分の無力感を痛感する年となった。勝利のために全力で戦い、どんなに結果が振るわなくても走り続ける選手をこの1年間、目に焼き付けてきた。「お前のために戦ってくると言ってもらえるような存在になりたい」。そう思った髙見は、どんな時も全力で戦う選手を間近に見てきたからこそ、この志にたどり着いた。自分の思ったことをやり遂げ、120%の力でチームのために働く。どんな逆風が吹いても全力を出し切ると心に誓った。

 

 2年生となり、無力感を感じた前シーズンよりも積極的に選手や監督、コーチとコミュニケーションを取ることを意識した。ホペイロとしては前任がおらず自分のやっていることが周りから理解を得られないのも事実としてあったのではないかという。それでも自分の考えを貫くことを意識した2年目だった。そしてア式は100周年を迎え、様々な企画に関わっていく中で、感謝と責任感を大きく感じ、より一層1部に昇格したいと思うようになった。

 

大学生活も折り返し地点となり、3年目に突入。前年は惜しくも昇格は叶わず、1部の舞台を見ることが出来なかった。この年、チームとしてはリーグ前期の慶大戦で大敗を喫した。それでも諦めなかったア式は、早慶戦で4ー0で大勝。負けてはいけない大一番で勝利することができた。「ア式にとって、自分の為以上に誰かのために戦うという姿勢が生まれ、勝ったこと以上に意味を持った1試合だった」と髙見は早慶戦について語った。この経験を経て高見は「犠牲心」という言葉にたどり着く。自分の為ではなくて目の前の試合に全力を注ぐ選手のために仕事をし続ける。身を削る思いで働く自分の姿を見た選手が、刺激を受けて向上心を持って練習や試合に取り組む。そんなチームを作るという目標を持って最終学年を迎えた。

試合中の様子

 

 新体制が発足して始まったプレシーズン。スタートから黒星続きで不安が募り、チームには暗雲が立ち込め、髙見は周りの人に対して申し訳ないという気持ちが芽生えていた。そんななか選手たちは諦めることは一切せず、手を取り合って目の前の課題を乗り越えようとしていた。結果が出なくても必死に挑み続ける姿が、高見に「力を振り絞って状況を好転させるために働く」原動力を再び与えてくれた。最後まで共に諦めずに戦い続けたア式は見事関東リーグ1部へ返り咲きを果たした。選手が心から涙を流す姿を見て、1年間全身全霊で仕事をし続けたことが報われたと感じると同時に、選手への感謝と安堵があふれ出した。

 

 ア式で過ごした4年間は、髙見にとって人生で一番幸せな時間となった。自分の全力な姿に感謝してくれた選手や最高の景色を見せてくれた選手がいたからこそ、辛いことも楽しいことに変わったという。これからはプロのマネージャーとして新たな道を切り開く髙見。「サッカーに関わる全ての人を幸せにする」。この言葉を体現できるようなマネージャーになれるよう、大好きなこのクラブのすべての人の為になれるよう、これからも120%の力で走り続ける。

                (記事 林朋亜)