全国大学ラグビーフットボール選手権大会 1月2日 対帝京大 国立競技場

『One Shot』――。「限られた好機を確実にものにし勝ち切る。 選手、スタッフ、サポーターが一体となり、同じ方向を見据え続ける」。 ノックアウトステージである全国大学ラグビーフットボール選手権(大学選手権)準決勝は、その言葉が示す意味を体現した一戦だった。『One Shotコール』と『早稲田コール』が響きわたる国立競技場。緊迫した中、試合が幕を開けた。開始早々、早大は連続フェーズからSO服部亮太(スポ2=佐賀工)が一瞬の隙をつく鋭いランからディフェンスを切り裂き、先制点を奪った。しかし、試合巧者の帝京大が反撃の狼煙をあげる。早大は続けざまに2トライを許し、追う展開に。それでも早大は冷静なゲームメイクを見せる。服部のキックから試合を組み立て、追加点。ペナルティーゴールと服部のドロップゴールで着実に得点を重ね、23ー14で試合を折り返した。続く後半も早大はラインアウトモールとペナルティーキックから得点を重ねていき、帝京大を突き放す。試合終盤、帝京大の猛攻から失点を許す場面もあったが、ホーンが鳴るその瞬間まで全員が身体を張り、つながり続けた。激闘の末に早大が勝利を手繰り寄せ、決勝の舞台へと駒を進めた。

モールでのトライを喜ぶ選手たち
帝京大のキックオフでセミファイナルの幕が上がった。早大は服部の正確なキックでエリアを掌握し、落ち着いて試合を組み立てていく。5分、帝京大の反則から敵陣ラインアウトの好機を得ると、NO・8松沼寛治(スポ3=東海大大阪仰星)が力強いキャリーで前進し攻撃の起点を作る。連続フェーズで相手守備を揺さぶると、最後は服部がディフェンスの隙間を鋭く突き、ゴールラインを駆け抜けた。稀代のゲームメーカーは感情を爆発させ、渾身のガッツポーズを見せる。CTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)のコンバージョンゴールも決まり7ー0と幸先のよいスタートを切った。しかし、頂を知る昨年度の王者・帝京大は、このまま引き下がる相手ではない。10分、反撃の狼煙が上がる。ラインアウトを起点にフェーズを重ねられると、ディフェンスラインの間を突かれる。さらにはオフロードパスを繋がれ、インゴールを叩き割られた。前半の早大は硬さからか相手にフェーズを重ねられる展開に対応しきれず、ディフェンスにギャップを生じさせる場面が目立つ。12分にも帝京大のラインブレイクを許すが、FL田中勇成(教4=東京・早実)のバッキングからの決死のタックル、さらに服部のスティールで一度はピンチを切り抜けた。だが直後のキックカウンター、迫り来る早大ディフェンスをなぎ倒すように前進され、再び失点を許す。スコアは7ー14。しかし、早大が焦ることはなかった。19分、服部のキックに松沼が素早く反応し、猛然とプレッシャーをかけて赤いジャージーを仕留め切る。早大は勢いそのままにラックを乗り越えてターンオーバー。テンポよくボールを動かし、相手の反則を誘う。ショットを選択した早大は野中が冷静に沈め、点差は4点に縮まった。ここからモメンタムをつかんだ早大はディフェンスの激しさを一段と高め、試合の主導権を握っていく。服部が50:22を成功させ、一気に敵陣へ侵入。スタンドに『早稲田コール』が響き渡る中、CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)、LO小林光晴(文2=福岡)が立て続けに鋭く、そして激しいヒットを見せると、帝京大は耐えきれず反則。直後のラインアウトモールからはHO清水健伸(スポ3=東京・国学院久我山)が力強くゴールラインを叩き割り、15ー14。早大が逆転に成功する。さらに29分、帝京大ボールのラインアウトに強烈なプレッシャーをかけると、相手のミスを誘発。好機を逃さず、野中が絶妙なキックパスを通す。WTB池本晴人(社3=東京・早実)が裏へ転がし、ボールに追いついた矢崎がグラウンディング。スコアを20ー14とし、リードを広げた。36分、服部がドロップゴールを沈め、スコアは23ー14。1トライ1ゴールでは追いつかれない差をつける。前半終了間際のノータイムでは、野中がペナルティーゴールを狙うも成功には至らず。それでも早大は23ー14とリードを保ち、前半を折り返した。

ラインブレイクするSO服部
迎えた勝負のセカンドハーフ。服部のキックで試合が再開すると、次第に風が強まり、早大にとっては難しい条件となっていく。それでも池本がハイボール処理で勝負強さを発揮し、流れを渡さない。スクラムでも早大は圧倒的な強さを示し、優位を保った。15分、ラインアウトモールから再び清水が力強く押し切り、貴重な追加点を挙げる。 23分には服部がペナルティーゴールを冷静に沈め、スコアは31ー14。突き放しにかかる。26分には服部と池本がテンポよくパスをつなぎゴールラインへ迫るも、あと一歩及ばず得点には結びつかない。 30分過ぎ、帝京大にフェーズを重ねられると接点で仕留め切ることができず失点。31ー21と点差を詰められ、試合は再び緊迫した展開となる。ラストチャンスに懸ける帝京大は大外へとボールを動かすが、SH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)、LO栗田文介(スポ4=愛知・千種)を中心に早大ディフェンスが激しさを見せ、矢崎とWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)も鋭いタックルから連続攻撃をしのぎ切る。 国立に『One Shot』コールと『早稲田』コールが響き渡る中、糸瀬からのパスを受けた服部がタッチラインへ蹴り出す。ボールは静かな放物線を描いてスタンドへと消え、その余韻を切り裂くように試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。早大は31ー21で勝利し、決勝の舞台へと駒を進めた。

ディフェンスに仕掛けるNO・8松沼
『極限遂行』をテーマに掲げて臨んだ今試合。帝京大との一戦は、まさに激闘だった。それでも早大は80分間集中力を切らすことなく戦い抜き、『One Shot』を体現して勝利をつかみ取った。大学選手権に入ってから、試合を重ねるごとに確かな成長を遂げてきた早大。 次なる舞台は決勝戦。泣いても笑っても、チーム野中で挑む最後の一戦。仲間との笑顔の先に、赤黒の凱歌が待っている。
(記事:大林祐太 写真:村上結太、安藤香穂)
コメント
※記者会見より一部抜粋
◆大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)

ーー本日の試合についてコメントお願いします
今日の試合に関しては、今まで帝京さんに敗れてきたことを全て見つめ直し、毎週積み上げてきたことによる勝利だったと思います。選手はよくやってくれましたし、チーム一丸となった結果の勝利だと思います。
ーー服部が先制トライであったりキックであったりかなり活躍されてますが、監督自身どのように評価しますか
いいところはいいと思うんですけど、まだ安定感が足りないですし、後半の10分、30分くらいでどのようにボールを使うかというところがまだまだなので、課題として成長していってほしいと思います。
ーー後半帝京大学に追い上げられ、特にフォワードは本来のポジションじゃない選手も交代されてましたが、それぞれの決断振り返っていかかですか
僕の中の考えでは複数ポジションできる選手が非常に重要で、チャレンジを含めて新井の3と4や、粟飯原のフランカーとナンバーエイトを試している中で、その時々に合う選手を最後に選んでいます。最後追い上げられてきたのも想定内といいますか、あのままずるずると終わる相手ではないというのはわかっていたので、そういう時にフォワードをぐるぐる回せるのは強みかなと思います。
ーー真っ向勝負と捉えていた帝京大戦で勝利しました。今のお気持ちはいかがですか
素直にうれしいです。
ーー試合はどのように見ていましたか
最初の20分はコンタクトで押されていたのですが、それでも戦えていたので今日はいけるかなと思って見ていました。
ーー昨年度決勝から鍛えていたディフェンス、フォワード陣は今試合いかがでしたか
体を張って、上井草で取り組んできたことを存分に発揮してくれたので頼もしく見ていました。
ーー決勝では選手たちのどんな姿を期待していますか
上井草でやってきたことをすべて出して、いきいきとした顔でラグビーをやってほしいと思います。
◆CTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)

ーー接戦を制して、去年の決勝で敗れた相手に勝ちましたがどんなお気持ちですか
去年の決勝の悔しさを忘れずに1年間やってきましたし、去年の敗戦があったからこそここまで成長できましたし、今日の試合も成長できました。
ーー前半は点の奪い合い、後半も粘り合いだったと思います。キャプテンとしてどのような意識で臨みましたか
80分間チームで繋がり15人一丸となってそれを遂行するということを声を掛け合いました。
ーー試合前にはポイントに接点を挙げていましたが、今試合を振り返っていかがでしたか
80分間アタックもディフェンスもともに集中でき、特にフォワードが体を張ってくれたので勝てたと思います。
ーーアタックのスピードも意識されていたと思いますが、手ごたえはいかがですか
まだまだですが、いい部分もあるので、のばしていきたいです。
ーー決勝ではどんな思いで臨みますか
1年間荒ぶるのためだけに体を張って練習してきたので、チーム一丸となって荒ぶるを掴み取りたいと思います。
ーー本日の試合についてコメントお願いします
去年の決勝で帝京さんに負けてから帝京さんに勝つために1年間やってきたので、1年間の成長が出た試合かなと思います。本当に80分間全員で繋がり続けた結果だと思います。
ーー帝京大相手の準決勝で、緊張はしませんでしたか
最後まで何が起こるかわからないというプレッシャーはある中でも、勝つために練習はしてきたので自信はありました。
◆PR前田麟太朗(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

ーー今試合のゲームテーマを教えてください
今日はFW戦になると思っていたので、1年間準備していたことをしっかり出そうということをテーマに試合に臨みました。
ーー天理大戦後から時間がありましたが、今日までの準備はいかがでしたか
特に帝京大にフォーカスするというよりかは、自分たちが今までやってきたことの精度を上げることを意識していました。FWだったらモールやスクラムといったセットプレーで、もちろん相手の対策はするのですが、それよりも自分たちの精度を上げることにフォーカスした時間だと思います。
ーースクラムでは強みを発揮されていたと思いますが、ご自身のパフォーマンシはいかがですか
スクラム勝負になることは自分たちの中でも予想していたので、チームでまとまってペナルティーを何個か取れたことは今後の自信にも繋がるのかなと思います。
ーー勝っても負けても今年ラストゲームとなる決勝戦への意気込みをお願いします
今の4年生は可愛がってくれる先輩とかもたくさんいて、勝たせたいと思う先輩が多いので、僕自身も身体を張って、力を出し切りたいなと思います。
◆NO・8松沼寛治(スポ3=東海大大阪仰星)

ーー今日のゲームコンセプトを教えてください
アタックディフェンスともに『極限遂行』っていうのをテーマに掲げて、自分たちが決めたことは徹底的に遂行するっていうのをコンセプトにしました。
ーー対抗戦で負けた帝京戦でしたが、今日はどのような気持ちで試合に臨みましたか
『荒ぶる』を獲るためには絶対に超えなきゃいけない壁っていうのは全員が思ってて、自分は対抗戦はリザーブからでしたが今試合はスタートからだったので、試合の流れを作ることを意識して臨みました。
ーー強みである激しいアタックを見せていましたが、個人のパフォーマンスを振り返ってみていかがてすか
チームが勝ったことはよかったんですけど、自分自身80分間クオリティを保ってプレーをするという点についてはまだまだなので今日も途中で代わってしまったと思います。決勝では一貫したパフォーマンスを見せられるようにしたいです。
ーー決勝、そして荒ぶるへの意気込みをお願いします
相手がどっちになっても自分たちのやるべき事をやるだけだと思うので、なにがなんでも勝って4年生と大田尾さんを胴上げしたいです。
◆SH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)

ーー今日のゲームコンセプトを教えてください
『極限遂行』です。
ーー個人のコンセプトはなんですか
ゲームを作るというところです。最初は帝京大がプレッシャーをかけてくることはわかってたので亮太に捌いて土台を作ることを意識しました。後半は、いければ自分でもいこうかなと思っていたんですけど、それよりも全体的にディフェンスでも繋がれていてよかったと思います。
ーー対抗戦で負けた帝京戦でしたが、今日はどのような気持ちで試合に臨みましたか
僕たちは1年間ずっと帝京をターゲットにしていたので、自分たちが上井草でやって来たことを出し切るために気負わずにしっかり試合に繋げようと意識しました。
ーー決勝の意気込みをお願いします
既に一度負けているのでもう負けられないですし、自信を持って自分たちが持っているものを100%出し切りたいと思います。
◆SO服部亮太(スポ2=佐賀工)

ーー去年決勝で敗れた相手に対して、勝利を収めてどのような気持ちですか
この日の為に全員1年間準備してきて、その成果がでて勝つことができたので嬉しいです。
ーー先制トライを決めましたがどんな思いでプレーされていましたか
強気でいくっていうことを意識して臨んだのでスコアに繋がってよかったです。
ーーPGやDGなどキックで試合を組み立てましたが振り返っていかがですか
自分の最大の武器はキックなので、決勝までにさらに精度を上げてチームに貢献したいと思います。
ーー帝京大相手に31点取りましたが、思い描いていたゲームメイクはできましたか
はい、アタックでは自分たちが準備してきたことを発揮し、ディフェンスでは粘り強く戦えたことがこのスコアに繋がったのだと思います。
ーー決勝の大舞台、どんなプレーを魅せたいですか
気負わずに、決勝でプレーして荒ぶるを歌いたいと思います。
◆CTB福島秀法(スポ4=福岡・修猷館)

ーー今試合のゲームコンセプトを教えてください
コンタクトで前に出ることです。
ーー対抗戦で負けてしまった帝京大相手でしたが、どのような気持ちで試合に臨まれましたか
チャレンジャーという気持ちを持って戦うことができたので、無駄に考えることなくチームで戦うことができました。
ーー特にアタックで接点の部分で鋭いヒットを見せていましたが、ご自身のパフォーマンスを振り返ってみていかがですか
今までの試合ではだいぶ前に出られない場面も多くて、それは迷いが原因だったかな思います。そんな中で、今試合は無駄なことを考えるのではなく、シンプルにアタックできたことがよかったと思います。次戦でもコンタクトで前に出たいと思います。
ーー泣いても笑ってもラストゲームとなる決勝に向けての意気込みをお願いします
4年間の最後の試合になるので、気持ちで戦い、絶対に勝ちたいと思います。
◆WTB池本晴人(社3=東京・早実)

ーー今日のゲームコンセプトを教えてください
『極限遂行』です。
ーー対抗戦の帝京大戦には出場されていなかったですが、どんな気持ちで今試合に臨みましたか
まず去年の決勝に負けてから、ずっとこの1年は「荒ぶる」を獲るために帝京に勝つことを目指してやってきたので去年と変わらない気持ちで臨みました。
ーー接点でのプレッシャーやハイボールでご自身の強みを発揮されていましたが、ご自身のパフォーマンスを振り返ってみていかがですか
もっと細部までこだわれるところはたくさんあるので、細かいところはさらに極限遂行していきたいと思います。
ーー決勝への意気込みをお願いします
今日の勝利で終わっちゃいけないと思うので、『荒ぶる』を獲るために上井草での練習をさらに頑張っていきたいと思います。
◆FB矢崎由高(スポ3=神奈川・桐蔭学園)

ーー昨年決勝の舞台で敗れてしまった帝京大でしたが、今日勝った瞬間の率直な感想をお聞かせください
選手権の対抗戦で勝つためにこれまでの1年間準備してきたので、それが結果として残ったことは良かったのかなと思います。
ーーご自身のトライはいかがでしたか
晴人が僕の声をしっかり聞いて裏に蹴ってくれたので、僕は頑張って追いかけるだけだったので、内にいる健吾さんといいコミュニケーションをとりながらチェイスできたと思います。
ーー選手権での帝京大の強さはどういうところにあったと思いますか
帝京大は自分たちの力を出すことが上手なチームという印象がありました。それでも、1年間自分たちのやってきたことを出そうという話しをしていました。
ーー決勝での意気込みをお願いします
相手は関係なく、自分たちにやるべきことにフォーカスすることが大事だと思います。やることは変えずに、1年間積み上げてきたことを出したいです。
ーー今日のご自身のパフォーマンスは何点ですか
0点ですけどトライが取れたので5点ですかね。周りから見ればよかったと思われる部分はいくつかあったのかもしれませんが、自分の中でよくなかったプレーが多かったので5点です。キックのところやエリアのところ、ランもあまり上手くいかなかったのかなと思います。
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