第102回東京箱根間往復大学駅伝競走往路 1月2日 東京・読売本社前~神奈川・芦ノ湖
今季、「箱根総合優勝」を目標に掲げて駅伝シーズンに臨んだ早大。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)では優勝には届かなかったが、終盤まで先頭争いを展開して堂々の2位を獲得。続く全日本大学駅伝対校選手権(全日本)は主力が不在のなかでも、総合5位でレースを終え、「強い早稲田」の復活を印象づけるシーズンとなっている。3大駅伝最終戦となる東京箱根間往復大学駅伝(箱根)で悲願の総合優勝を成し遂げるべく、新春の箱根路での戦いが幕を開けた。
この日の当日エントリー変更で4区に鈴木琉胤(スポ1=千葉・八千代松陰)を起用した以外は、エントリー変更はなく往路に臨んだ早大。1区の吉倉ナヤブ直希(社2=東京・早実)、2区の山口智規駅伝主将(スポ4=福島・学法石川)が従来の早大記録を更新する好走を見せ、上位争いを展開する。すると4区の鈴木琉が区間記録に1秒差まで迫る脅威の走りを見せて日本人歴代最高記録での区間賞を獲得し2位に順位を押し上げた。往路優勝の運命を託されたのは工藤慎作(スポ3=千葉・八千代松陰)。山での経験を生かして10キロ手前で中大を捉えて首位に浮上する。しかし、青学大・黒田朝日が怒涛(どとう)の追い上げを見せて、19キロ付近で逆転を許す展開に。工藤も粘りを見せたが追いつくことはできず、青学大と19秒差で悔しい往路2位フィニッシュ。往路のフィニッシュタイムは5時間18分26秒で昨年樹立した早大記録を大きく上回った。
1区に起用されたのは、今季の出雲1区で3大駅伝デビューを果たした吉倉。序盤から早いペースで進む1区、3キロ過ぎで藤田大智(中大)ら7人がやや抜け出す展開となり、吉倉は第2集団の後方からレース状況をうかがう。その後先頭集団は再び大きな集団となり、吉倉は先頭集団に食らいつく。青木瑠郁(国学院大)がレースを引っ張り集団をふるい落としにかかる中で、16キロ過ぎに先頭集団から遅れをとった吉倉。徐々に先頭との差は開いたが最後まで粘りを見せて鶴見中継所に7位で飛び込んだ。目まぐるしく移り変わる展開の中で冷静にレース展開を見極めて最後まで自分の走りを貫いた吉倉は、渡辺康幸氏(平8人卒)の持つ早大記録を更新する好走を見せた。

1区を走る吉倉
吉倉の好走を受けて勢いに乗りたい花の2区。起用されたのは、臙脂(えんじ)の誇る令和最強エース・山口智。序盤からヴィクター・キムタイ(城西大)と並走して前を追いかける。5キロ地点で3位まで順位を押し上げると、13キロ付近で2位の国学院大を捉えて、城西大と3校で首位を快走している中大の溜池一太に照準を合わせる。16キロ過ぎに城西大のキムタイがペースを上げて前へ抜け出し、そのまま中大をかわして首位に浮上。山口智もラスト1キロで中大の背中を捉える。追い抜くことはできなかったものの、ほぼ同時に中継所へ飛び込む。7位から3位まで順位を押し上げた山口智は自身の持つ早大記録を大きく更新し、日本人区間トップを達成。昨年の2区での悔しさを見事に晴らし、エースがエースたるゆえんを見せつけた。

2区を走る山口智
続く3区に起用されたのは、山口竣平(スポ2=長野・佐久長聖)。ケガからの復帰戦となった山口竣は、上位勢と比べてややペースを抑えてスタート。戸塚中継所で22秒差があった駒大・帰山侑大に序盤でかわされて4位に後退する。その後は5位の国学院大にじりじり差を詰められたが、粘り強い走りで踏みとどまる。18キロの湘南大橋以降は後続との差をほとんど詰めさせず、最後まで安定した走りを維持。昨年を上回る走りとはならなかったものの、61分台でレースをまとめた。

3区を走る山口竣
当日のエントリー変更で4区に登場したのは1年生ながら今季の3大駅伝全てに出走し、他大学のエースと互角以上の戦いを展開してきたスーパールーキー・鈴木琉胤(スポ1=千葉・八千代松陰)。勢いそのままに箱根路でも快走を見せる。平塚中継所で50秒差をつけられていた城西大を7キロ付近で追い抜き3位に浮上すると、その前を走る駒大も10キロ手前でかわして2位に浮上。以降もハイペースを維持し、終盤は従来の区間記録を上回るラップタイムを刻んだ。区間記録更新にはわずか1秒届かなかったものの、日本人歴代最高記録1時間0分1秒で堂々の区間賞を獲得。1年生とは思えぬ圧巻の走りでチームに大きな勢いをもたらし、伝説の始まりを予感させる快走となった。

4区を走る鈴木琉
3年連続で5区起用となった、山の名探偵・工藤。今季は全日本8区で日本人区間最高タイムを30年ぶりに更新するなどシーズンを通して強さを発揮してきた。山での経験を生かし、スタート直後から自分のペースでレースを展開すると、小田原中継所時点で1分12秒差のあった中大を10キロ手前で抜いて首位に浮上する。このまま逃げ切り往路優勝といきたい早大だったが、青学大の黒田朝日が従来の区間記録を大きく上回る衝撃のペースで猛追。19キロ過ぎで逆転を許してしまう。2分以上の差を詰めてきた黒田の勢いの前に工藤はついていくことができず、悔しい2位フィニッシュとなった。

5区を走る工藤
18年ぶりの往路優勝まで、わずか18秒。早大は惜しくも往路の頂点を逃した。しかし、87回大会以来の総合優勝に向け、勝負はまだ終わっていない。舞台は復路に移る。復路のメンバーには、昨年も山下りを経験している山﨑一吹(スポ3=福島・学法石川)や宮岡凜太(商4=神奈川・鎌倉学園)といった実力者が名を連ねる。さらに補欠にも、伊藤幸太郎(スポ4=埼玉・春日部)、間瀬田純平(スポ4=佐賀・鳥栖工)という頼れる4年生、佐々木哲(スポ1=長野・佐久長聖)や堀野正太(スポ1=兵庫・須磨学園)のスーパールーキーコンビも控えており十分に戦える戦力がそろっている。悲願達成へ向けた正念場、勝負の復路。東京・大手町への旅路は、明朝8時に幕を開ける。
(記事 和田昇也、写真 髙杉菜々子、田中瑠花、佐藤結、荒川聡吾、植村皓大)