【男子バスケ】関東王者として挑む早稲田旋風最終章 57年ぶり優勝&二冠へ/インカレ展望

男子バスケットボール

 11月末に開幕を迎えた全日本大学選手権(インカレ)。関東大学リーグ戦(リーグ戦)を制した早大は第1シードとして、12月4日に初戦を迎える。チーム目標はもちろん優勝。57年ぶりとなる頂点を手にし、リーグ戦との2冠達成といきたいところだ。 本記事では今週行われる準々決勝までの戦いを中心に、今大会の展望を記す。

 リーグ戦で20勝2敗を記録した早大。最大の武器はリーグトップのオフェンス力だ。サイズに不安のある早大は展開の速いバスケットスタイルを追求し、1試合あたりのオフェンス回数を示すPOSSはリーグトップの81.0を記録。また、攻撃の効率性を示すオフェンシブレーティングでも113.3と、リーグトップの値を叩きだした。

 「小さいチームが大きいチームに勝つ方法をずっと考えていた」と倉石平HC(昭54教卒=東京・早実)。リーグ戦では速攻、スリーポイント、1対1の3本柱で超攻撃的バスケットを繰り広げた。

ディフェンスの改善が王座へのカギ

 一方で、選手が口々に課題と語るのはディフェンス面だ。今季の早大は失点数が全チーム中最下位。リムプロテクターと呼べる選手がいない早大にとっての弱点と言えるだろう。

 しかし、この失点数の多さは展開の速いバスケットに起因するものであり、チームの守備力を示すディフェンシブレーティングではリーグ5番目と平均的な数値。スティール数はリーグトップと積極的な守備は機能しており、好守からのイージーバスケットは多く見られる。インカレではリバウンドを中心とした粘り強さをさらに引き上げたいところだ。

守備職人・城戸はインカレで復活なるか

 インカレは例年ロースコアの展開になることが多く、近年はディフェンシブなチームの優勝が多い。全国の舞台でも早稲田の強みである攻撃的なスタイルを貫けるか、そしてディフェンス面を向上できるかが優勝への注目ポイントとなるだろう。

最後の舞台に挑む4年生に期待

 チームのキーマンにはG岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)を挙げたい。リーグ戦では平均16.8得点を記録した岩屋主将。高い打開力とシュート精度はチームの窮地を幾度となく救い続けた。何が起こるか分からないインカレの舞台では、よりいっそう岩屋主将の活躍が重要となるだろう。

 また、G堀田尚秀副将(スポ4=京都・東山)とG高田和幸(商4=京都・洛南)のシューター陣にも注目だ。リーグ序盤は好調なタッチを見せたが、終盤にはやや状態を落とした4年生シューターコンビ。3Pシュートを連発する得意の展開に持っていくために、この2人の復調は大きな焦点だ。

名前通りの頼もしい存在である岩屋頼主将

準々決勝では前回王者との対戦か

 初戦の相手は神奈川大だ。リーグ戦での神奈川大は11位と低迷したが、入れ替え戦では江戸川大を2連勝で退けて1部残留を決めた。オフェンスの要は怪我から戻ってきた身長163センチの絶対的エース・山本愛哉(4年)。他にも今野海輝(4年)や玉井心(2年)は高い精度を誇るシューターだ。今季の早大との対戦成績は1勝1敗。2巡目で早大は多くのオフェンスリバウンドを許し、11連勝を止められた。その立役者となった伊藤ハリー大河(2年)や三村デールアンソニー(1年)ら強力な日本人ビッグマンにも要警戒だろう。本日の初戦は東海大札幌キャンパスと対戦し、97-49で圧勝。ロスターの全選手を出場させ、万全の状態で早大との一戦に挑む。

2巡目の神奈川大戦ではまさかの敗戦を喫した

 準々決勝の相手は昨年のインカレ王者・日大が有力だ。新井楽人(4年)や泉登翔(4年)、山田哲汰(3年)といった強力なタレントを揃える日大。一方で二枚看板の米須玲音(現・川崎)とデイビッド・コンゴロー(現・徳島)が抜けた穴は大きく、今リーグ戦は5位に沈んだ。今季の対戦成績は早大の2勝であり、いずれの試合も100点ゲームと大差がついた試合となった。しかし昨年の日大はリーグ4位からの優勝を成し遂げており、冬の完成度は目を見張るものがある。逆襲を誓う前回王者との一戦は注目だ。

 また、山学大にも準々決勝で相見える可能性があるだろう。昨年は入れ替え戦で早大に敗れ、2部降格を喫した山学大。エースは関東新人戦の得点王である菅野陸(2年)が務めるが、今季は福岡第一高出身の中村千颯(3年)がオフェンス面で大きくステップアップを果たしている。また、インサイドではリーグ戦で平均ダブル・ダブルを達成した身長203センチの留学生、スヴェトリシック・イゴール(3年)にも要警戒だ。

準々決勝の舞台は代々木第二体育館。リーグ戦の歓喜をもう一度もたらせるか

 早大最後の準決勝進出は2002年。当時3年生の朝山正悟(平15人卒=現・広島HC)が得点王に輝いた年までさかのぼる。大学史上2度目の栄冠のために、まずは23年間そびえ立ったベスト4の壁を打破しなければならない。倉石HCが「またとないチャンス」と語る冬の頂点へ。早稲田旋風の最終章が始まる。

(記事 石澤直幸)