【男子ラクロス】関東代表の意地を見せた早大。岡山大撃破で6年ぶりの優勝に王手

男子ラクロス

全日本大学選手権  準決勝

11月30日 京都・たけびしスタジアム

Team 1Q 2Q 3Q 4Q 合計
早稲田大学 2 2 5 2 11
岡山大学 0 1 1 3 5

得点者

1Q

山﨑柚貴、山口遼真

2Q

吉田宗一郎、花井コルトンヘイズ

3Q

小林三四郎、小川隼人、中原健太、花井コルトンヘイズ2

4Q

花井コルトンヘイズ、山田伊織

 全日本大学選手権もいよいよ大詰めを迎える。準々決勝では福岡大相手に6点差をつけ、早大が圧巻的な強さで勝負を決めた。多彩なオフェンスに、突き詰められた強度の高いディフェンス。個の武器を遺憾なく発揮した結果が、スコアにはっきりと表れた一戦だった。ありったけの力を振り絞り、全てをかけて戦い抜く選手たちに、確実に結果はついてきている。そして次に挑むのは、決勝進出をかけた大一番。対するは、関西王者・京都大を撃破し、初の準決勝進出を果たした岡山大だ。勢いのある相手だが、堂々たるプレーで圧倒したい。強い覚悟を胸に刻んで、選手らは準決勝の舞台に足を踏み入れた。

気合十分で準決勝に臨む野澤主将

 第1Q(クオーター)は岡山大のオフェンスから始まった。スピードと勢いそのままにゴール前まで攻め込まれるが、G長田謙伸(政経4=埼玉・大宮開成)の華麗なセーブ、DF中原健太副将(商4=東京・早大学院)のプレッシャーディフェンスでボールを奪い返す。今度は相手にマンダウンが取られると、その隙を見逃さずにAT山﨑柚貴(人4=東京教育大学附属中教)が先制点を決める。残り1分ではMF山口遼真(政経4=東京・成蹊)が空中で受け取ったボールをすぐさまゴールに打ち込み、テクニカルなプレーで会場を沸かせた。

 2点リードで迎えた第2Q。流れになりたいところだったが、開始早々相手に一点を返される。相手ゴーリーも手堅く早大オフェンス陣の前に立ちはだかるが、その均衡を破ったのがAT吉田宗一郎(教4=東京・早実)だ。全国の舞台で着実な成長を見せるMF小林三四郎(教4=神奈川・浅野)との巧みな連携プレーからゴールネットを揺らし、貴重な3点目を生み出した。それに続くかのようにFO富田隼平(商3=神奈川・大和)もフェイスオフに勝ち切り、流れが早大に傾き始める。残り1分でもゴール裏を上手く使ったパス回しが目立つ。そこからAT花井コルトンヘイズ(国教4=アメリカ・マッキントッシュ)が空いたスペースにボールを押し込み追加点。4-1と3点差をつけて前半を終える。

強いオフェンスユニットを作り上げるOFリーダーの小川

 第2Qで掴んだ勢いは、その後も止まらない。ウィングの石津郁弥(政経4=岡山・倉敷天壤)が素早くこぼれ球に反応し、AT小林の得点につながる起点を作る。続けてAT小川隼人(政経4=東京・早実)も的確なポジショニングから得点を奪い、一気にスコアは5点差に広がった。さらに、DFの中原健太副将(商4=東京・早大学院)が自らネットを揺らす一撃で、会場はこの日いちばんの盛り上がりを見せた。わずか5分足らずで3点を決めた早大は、その後もAT花井が連続得点をマーク。終盤に一点を許したものの、9-2と確固たるリードを築いて最終第4Qに向かった。

 第4Q序盤。あとがない岡山大は攻めの姿勢を強め、意地の一点を奪う。だが今度はAT花井が厳しい体勢からシュートを沈め、さらに相手を引き離す。リードがあるとはいえ、気を抜くことはできない。野澤想大主将(政経4=東京・桐朋)が高いレベルのディフェンスと絶え間ない声かけで仲間を最後まで鼓舞し続ける。その後再び失点を喫するが、AT山田伊織(国教3=早稲田佐賀)がゴール前で堂々とクロスを振り抜き、11点目をもぎ取る。相手も執念の追い上げを見せ11-5まで詰め寄るが、残りの2分は全員が体を張って守り切る。最後は早大が危うげなく逃げ切り、大差をつけて6年ぶりの決勝進出を決めた。

仲間とともに喜びを分かち合う選手たち

 関東代表の誇りを胸に、ここまで勝ちをつかみ取ってきた選手たち。関東を離れ、福岡、京都とアウェイの地でも、自分たちのラクロスを思う存分体現してきた。一つのボールに泥臭く食らいつき、60分間全てをかけて戦い抜く。そんな早稲田ラクロスが全国でも通用することは、この二試合を通して十分に証明されたはずだ。幾度となく苦しい場面を乗り越え、ようやく辿り着いた決勝の舞台。学生日本一まで、残された試合はあとひとつとなった。決勝では関東王者・明学大を撃破した名古屋大学を相手に、きっと苦しい時間帯もやってくるだろう。でも、そんな時こそ顔をあげてほしい。自分と共に戦う仲間の姿を、スタッフの支えを、スタンドから届く声援をーー。その全てを力に変えて前に進み続けよう。全員が一体となったその先に、必ず「学生日本一」という輝かしい称号が待っている。

(記事 高津文音 写真 林朋亜)

試合後インタビュー

中原健太副将(商4=東京・早大学院)

――岡山大学は序盤、攻撃で本数を多く繰り広げてきたと思いますが、戦いにくさなどはありましたか

 思っていたよりもシュートを打ってきたのでそこは想定外の部分だったのですが、打たれ方は大丈夫という認識を守備側では持っていたので、いい対応ができたかなという風に思っています。

――第3Qで一気に流れを引き寄せたと思いますが、ハーフタイムではどのようなことを話し合われましたか

 ディフェンスからもっと攻めていこうとみんなで話し合って、今年の攻撃の強みはディフェンスからの攻撃、フルフィールドオフェンスなのでそこをもっと出していこうという話し合いをしました。

――ディフェンスの選手で得点を決めていましたが、全国の舞台に向けてシュート練習などはやってきましたか

 イメージを持ってシュート練習をするというのは心がけていて、自分が打つようなシチュエーションを考えながら練習して、それがうまく結果として出たのかなという風に思ってます。

――ディフェンスで結構下級生を起用していたと思いますが、そこに関する意図などはありますか

 点差がついたら下級生を出していこうというところで、来年以降も下級生はシーズンが続くのでそこに向けて何か良い収穫があればという意図で下級生を出すようにしていました。

――学生日本一まであと1試合となりました。決勝戦に向けた意気込みを教えてください

 全学で1回戦、2回戦と10点以上取るという目標を達成してきています。決勝でもしっかり10点取って10対4で勝つということを目標にチーム一丸となって戦えればと思っています。

花井コルトンヘイズ(国教4=アメリカ・マッキントッシュ)

――今日は自分たちの思い描くオフェンススタイルを作り上げることができましたか

 結構できたなと思っています。オフェンスとして流動性というところを大事にしていますし、チームとしてフルフィールドの10対10の攻め方は意識しています。今日たくさん点を決めることができたので、うまくいったかなと思います。

――前半は相手に押されながらも得点を決め切っていました。相手ディフェンスに対する戦いにくさなどはありましたか

 岡山大も結構フルフィールドの部分が強くて、他のチームと比べたらかなり珍しいスタイルでした。1Qはかなりびっくりしていて、あまりはまらなかったなと感じています。でも他のチームメイトがディフェンスを空けてくれて、そこで自分は点を取ることができたなと思っています。

――今日のご自身のプレーに点数をつけるとしたら何点ですか

 正直にいうと75点くらいかなと思います。失敗がかなり多くて、2回ファールしたり、決め切る部分で決められなかったりとあまりうまくできなかったとは思っています。ですが、絶対に決めないといけない場面でちゃんと得点を取れてたのでその部分は良かったです。

――その25点を埋めていくために、決勝に向けてどんな部分を改善していきたいですか

 最後の25点の部分はメンタルかなと思っています。ファールは正直しょうがない部分もあるんですけど、もっとちゃんと考えてプレーできたらと思います。あとはキャッチミスとか、決め切りの部分を強化して、目の前のことに集中できたらと思います。

――今日の勝利によって学生日本一まであと一試合となりました。決勝戦に向けた意気込みをお願いします。

 早稲田が6年ぶりの全国大会と、行ったことがないのでかなりワクワクしていています。早稲田のオフェンスのエースとして、点を取れるように頑張っていきたいと思います。

小林三四郎(教4=神奈川・浅野)

――地方勢が今大会は勢いをつけてきていますが、試合開始前は岡山大学相手にどんな印象を持っていましたか

 自分はオフェンスなので相手のディフェンスはあまりわからないのですが、その中でも強度が高くて1on1といった個人技術が高いチームだなと思っていました。あとは早稲田と同じようにフルフィールドで攻めてくるチームだったので、そこに関しては怖いなと感じていました。

――前半の立ち上がりを振り返ってみていかがでしたか

 前半は早稲田のクリアミスで流れが岡山大学にいってしまいましたが、焦ることなく、野澤くんが最後に言った通り「今、ここ、自分」という気持ちで、そこまで動揺せずプレーできたかなと思います。

――第3Qを大きく左右する一点を決めましたが、ハーフタイムではどんな話し合いをしましたか

 相手のディフェンスの特徴や各々が思っていたことを発信して、そこまで焦らず一点ずっと取っていこうとオフェンスユニットの中では話し合いました。攻める意識を高めていけたので、得点を取れたのかなと思います。

――福岡大との試合でもそうですが、全国のプレーでのびのびとプレーしている印象です。そこに関してはご自身でも手応えを感じていますか

 練習でやる時と同じようなマインドで臨んではいるので、そこまで急激な気持ちの浮き沈みはないかなと思いますし、練習のようにいい感じでプレーできているのかなと思います。マインドセットという部分では結構良くなったかなと感じています。

――あまり緊張しないタイプですか

 そうですね。プレーが始まったら緊張とかはあまりしなくて、目の前のことに集中できる方だとは思います。

――今日の勝利によって学生日本一まであと一試合となりました。決勝戦に向けた意気込みをお願いします。

 勝ちを目指すことは変わらないんですけど、名古屋大学もかなりゴーリーが上手かったり、明学に勝ってきていたりと気の抜けない相手かなとは思います。油断することなく、オフェンスとしてまずは一点一点積み重ねることに集中してプレーしたいと思います。

越前谷和樹(人4=東京・小山台)

――序盤、相手が積極的なオフェンスを見せた中で自分たちはどのような攻撃を展開しようと心がけていましたか

やはり岡山大学は強度が強いので、スカウティングをしていて思ったので、とりあえず自分たちは適切な距離感持って広いオフェンスで攻めていこうかなと思っていました。

――与えられたプレータイムで心掛けていたことはありますか

今日自分は久しぶりに公式戦に出たので、とりあえず自信を持って思いっきり打てるところは打ってという強気の姿勢でプレーをしていこうというのは常に試合前から思ってました。

――沢山の人の思いを背負ってコートに立っていると思いますが、残された時間で後輩にどのような姿を見せていきたいですか

自分はずっと怪我をしてなかなか試合に出れない中でやっとチャンスをもらえて出られたので、後輩たちには、努力し続けて試合に出てチャンスを掴む、そういった諦めない姿を見せるのがいいかなと思っています。

――今日の勝利によって学生日本一まであと1試合となりました。決勝に向けた意気込みをお願いします

あと1つで日本一になれるので、今まで勝ってきたチームの思いも背負って、最後まで全力でプレーして日本一になります。