全日本学生選手権 11月4日 いしかわ総合スポーツセンター
全日本学生選手権(インカレ)3日目。早大は、勝てば3位以上が決まる中、毎年定期戦でも対戦している関学大との一戦に臨んだ。試合は、両チーム共に鉄壁の守備でシュートチャンスを与えない時間が続く。4点ビハインドで迎えた後半、早大は、相手ディフェンスをなんとか切り崩し、一時逆転に成功。最後まで一進一退の展開となったが、軍配が上がったのは、関学大。メダルへの挑戦は、来年へ持ち越しとなった。
試合前の選手たち
早大オフェンスで試合開始。直後には、倉持愛泉(スポ1=千葉・昭和学院)が自ら相手ディフェンスを割りミドルシュートを打ち込むが、先制とはならなかった。攻めあぐねる時間が続き、なんとかシュートに持ち込むものの、何度も相手GKに阻止されてしまう。開始から8分、ついに倉持のシュートが決まると、その後はスピード感のあるパスで相手ディフェンスの隙をつき、杉浦亜優主将(スポ4=愛知・名経大市邨)がポストシュートを決める。ディフェンスでも動きを止めず、相手のミスを誘うとそのまま速攻に持ち込み、井橋萌奈(スポ3=東京・白梅学園)と杉浦がそれぞれ得点。ロースコアな展開ながらも、早大が徐々に流れをつかみ始めた。また、GK作本夕莉(スポ3=福岡・明光学園)がこの日も股下のシュートなどを次々と止め、チームを救った。さらに積極的なオフェンスで7メートルスローなどでチャンスを手繰り寄せたが、関学大も黙ってはいない。前半終了間際にはサイドシュートを中心に相手に5連続得点を許し、8ー12で前半を終えた。

3枚目を守る杉浦(右)と山野
4点ビハインドと苦しい状況で迎えた後半、これまでの2試合で好調だったエース・山野紗由(スポ4=北海道・釧路江南)は厚いカバーに苦しむ場面が続く。ただそのような場面でも、ディフェンスでなんとか粘り、田島玲奈(人1=愛知・千種)や倉持ら1年生プレーヤーが奮闘。そして大野蒔絵(スポ3=埼玉・市立浦和)のロングシュートで同点に追いつくと、杉浦が獲得した7メートルスローを山野が決め、ついに逆転に成功。しかし直後には相手に4連続得点を決められ、再びリードを許してしまう。緊迫した試合展開が続き、体力の限界が近づく中でも山田梨央(スポ4=千葉・昭和学院)や山野が果敢にシュートに挑んだが、相手のマークをなかなか乗り越えられなかった。それでもGK堀内雪羽(スポ2=千葉・昭和学院)が相手のシュートを体を張って止めると、試合終了2前には、山田がカットしたボールを大野がシュートに持ち込み再び同点に。ただ、直後に相手がサイドシュートで20得点目を決めると、両チームともにタイムアウトを取りながら慎重にゲームを進めた。しかし関学大の固い守備を崩せず、試合はそのまま終了。19ー20の悔しい敗北となった。
好セーブを見せたGK堀内
涙のベスト8敗退となった早大。対戦歴が多かっただけにエースらへの厚いマークに苦労する場面が多く見られた。試合を終えた杉浦はチームメートへ向けて「のびのびとプレーさせてあげることができなかった」と後悔をにじませる。掲げ続けてきた「インカレメダル獲得」の夢。チーム全員が今年こそ叶うと信じていた。それでも、あと一歩のところで手は届かなかった。この悔しさを力に変えて、早大ハンドボール部は再び歩みを進める。
(記事 大村谷芳 写真 片山和香)
| 全日本学生選手権(インカレ) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 早大 | ● | 19―20 | 関学大 | |
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8―12 |
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| スタメン | ||||
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GK 作本夕莉(スポ3=福岡・明光学園) |
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コメント
杉浦亜優主将(スポ4=愛知・名経大市邨)

ーー試合を終えて、今の気持ちを教えてください
シンプルに悔しいです。試合を通して、自分たちがやりたいことをできないまま、時間が終わってしまったっという感じがしています。みんなでやり切ることができなかったということがすごく悔しいです。
ーー試合前はチームでどのようなことを話していましたか
毎試合やることは同じなので、それを忠実にやっていこうということと、あとはここまで来たら気持ちだという風に話していたので、強気でいこうというのは話していました。
ーーシュートを打ち込めない時間が続きました。やり辛さはどこにありましたか
ノーマークでシュートを打てず、みんな気持ちよくシュート打つことができなかったということはあります。ただ、大きなシュートチャンスが生まれたところで確実に決め切ることができなかったことが、流れをつかめなかった要因だったと思うので、シュートが入らない時間帯でもしっかり体を張って、割りにいくということをもっと徹底したかったです。
ーーディフェンスではよく守りました。チーム全体をどのように振り返りますか
隣の連携をしっかりとって守りたいという話をしていました。1人抜かれた後のフォローだったり、利き腕に強くいったりということを約束にしていましたが、なかなかそれをできなくて、失点することも多かったので悔しいです。
ーー今一緒に戦った仲間、スタッフ陣にはどのようなことを伝えたいですか
まずは感謝の気持ちが大きいです。スタッフさんは特に1年生で入部した時から見てくださっていたので、その熱いご指導をしっかりと結果で返したかったですが、なかなかできなかったので申し訳ないなという気持ちでいっぱいです。一緒に戦ってくれた仲間には、あまり良いキャプテンではなかったと思いますが、しっかりついてきてくれて、最後まで力を貸してくれたので、そういった意味でも感謝の気持ちでいっぱいです。
ーー今年はどのようなチームでしたか
本当にみんなかわいい子たちばかりでした。すごく素直でしたし、言ったことは真面目にやってくれました。ただこれまでは、その個性豊かなところを引き出して一体感が生まれてたと思いますが、最後はのびのびとプレーさせてあげることができなかったので後悔しています。
ーーこれまで応援してくれた方々に向けて一言お願いします
私たちを応援してくださって本当にありがとうございます。結果としては一歩届かず、悔しいですが最後まで強気で戦う姿勢は見せられたのかなと思うので、これからは下級生を応援をしてくださると私たちもうれしいです。
倉持愛泉(スポ1=千葉・昭和学院)

ーー試合を終えて、今の気持ちは
自分たちの実力をもっと出すことができた試合でした。全部出し切れたかというと全然出せていないので、悔しい気持ちがいちばん大きいです。
ーーシュートを打ち込めない時間が続く中、自らシュートを打ちに行きました。プレーを振り返って
4年生たちは、メダルを取るという気持ちが大きい中で、ディフェンスでも体を張って戦ってくれました。マークも厚くなっている中で、自分が少しでもチームに貢献できるようなプレーができたらなと思っていた時のあの2点でした。自分が得点にいけたのはすごく良かったと思いますが、その他はあまり良くなかったのかなと思います。
ーー監督、コーチなどからは戦略面でプレー中どのような言葉をかけられていましたか
自分とポストの亜優さん(杉浦主将、スポ4=愛知・名経大市邨)とのコンビは結構分析されていて、全然そこは攻められないから、今日はまずは自分が狙っていくようにと言われていました。
ーー引退する4年生にはどのようなことを伝えたいですか
4年生は自分が1年で入ってきてから「とにかく自由に思いっきりやってっていいよ」ということをずっと言ってくれていました。その4年生がいたからこそ、このチームで思いっきりプレーができたので、本当に感謝しかありません。本当にかっこよくて頼れる4年生だったので、目標であるメダルは取れませんでしたが、自分たちが今度は4年生を見習って、インカレでメダルを取れるように頑張りたいです。
ーーインカレを終えて、今後どのような選手になりたいですか
自分はポストパスなど結構特徴がはっきりしてしまって、分析されたらそれを潰されて、なかなか自分が突破できないことがあると思います。ただ、分析されてもその分析を超えられるように、いちからまた切り替えて、技術も高めて、どれだけ厚く守られてもチームに貢献できるような選手になりたいと思います。