全日本学生選手権(インカレ) 11月3日 いしかわ総合スポーツセンター
全日本学生選手権(インカレ)2回戦。前日、落ち着いた試合運びで同志社大に勝利した早大は、昨年準優勝の大体大と対戦した。前半は、立ち上がりから大体大が強さを見せつけ、18―23の5点ビハインドで終える。しかし後半開始直後、早大は堅守速攻を体現すると、5連続得点で驚異の巻き返し。逆転に成功し一時はリードも奪った。その後は拮抗した展開が続いたが、ラスト10分からは徐々に点差を離される。最後は一歩が及ばず、37―41で試合終了。早大日本一の夢は2回戦で絶たれた。
先制点は大体大に譲ったが、チャージを誘った守屋雄司副主将(スポ4=神奈川・法政二)の雄叫びや、チーム初得点となった外種子田崚汰副将(スポ4=鹿児島・国分)のロングなど、気持ちの入った立ち上がり。しかし相手のスピードあるオフェンスを前に早大の退場が増えると、流れは大体大に傾いた。カットインや強烈なロングで得点を量産され、前半7分半には5点のリードを奪われる。負けられない早大もなんとか食い下がり、鍋島弘樹(スポ3=福井・北陸)のミドルや黒沼大幹(教3=東京・明星)のポストプレーで反撃。点差を縮めようと奮闘したが、大体大の攻撃がこれを上回ると、18―23で前半を折り返した。

速攻に持ち込む豊田
5点を追いかける苦しい展開も、ハーフタイムの間は「誰も下を向いていなくて、みんな気持ちが入っていた」(外種子田)という。その気持ちは後半開始直後、さっそくプレーに表れた。所真大(社3=岡山・総社)のカットインを皮切りに、新井一史(商2=東京・早実)、黒沼、豊田創志(スポ3=千葉・市川)の2ゴールと早大は5連続得点。一気に試合を振り出しに戻した。ディフェンスでは今試合初スタメン・新井の長身を生かしたワントップがはまると、大体大のスピードあるオフェンスを封印。勢いそのまま豊田の速攻で逆転し、この試合初めて早大がリードを奪う展開に。これには早大ベンチや観客席も大盛り上がり。プレーにも応援にもより一層力が入った。しかし大体大も簡単には流れを渡してくれず、その後は一進一退の攻防が続く。流れが傾いたのはラスト10分から。早大が攻めあぐねる間に大体大が圧倒的な得点力を見せつけると、少しずつ大体大のリードが広がる。「守屋、最後まで」とコーチ陣からの声が届く中、懸命に戦い抜いた早大だったが、37―41で試合終了の笛。昨年の準優勝校相手にあと一歩が及ばず、3回戦・ベスト8への進出は叶わなかった。

ワントップを張る新井
1年の集大成、4年生にとっては最後の公式戦となるインカレの幕が下りた。保護者・OBに加え協賛企業からの支援も受けた今季は、応援されるチームとしてのあり方が問われる1年だったのかもしれない。結果が求められる中で、インカレでは4年生5人がベンチ漏れという厳しさ。「良い景色を見せてあげたかったし一緒に見たかった」と同期への思いを語る守屋主将からは涙が溢れた。コートに立つ選手から、万全のサポートを尽くすスタッフ、観客席から声援を送る部員まで。石川の地でそれぞれが思いを背負いながら、それぞれの役割を全うしていた。日本一という結果では応えられなかったものの、応援されるチームとして堂々たる戦いを見せてくれたのではないだろうか。試合後には「悔しさをバネに来年は日本一を」(豊田)と3年生以下から心強い声も。「強い早稲田をもう一度」(守屋)。その思いは今、後輩へしっかりと託された。
(記事 片山和香、写真 大村谷芳)
| 全日本学生選手権(インカレ) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 早大 | ● | 37―41 | 大体大 | |
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18―23 |
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| スタメン | ||||
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GK 大武蓮(社4=神奈川・川和) |
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試合後の集合写真
コメント
守屋雄司主将(スポ4=神奈川・法政二)

――試合を終えて今のお気持ちを教えてください
悔しいです。やはりトップをとりに試合に入っていますし、そのための準備もしてきたのですごく悔しいです。そして4年生に申し訳ない気持ちが大きいです。
――リードを奪う場面もありました。振り返っていかがですか
60分通して負けるイメージは湧きませんでしたし、それを全員で共有できていたからこそひっくり返すところまでいけたのだと思います。1年を通してやっとチームとして成長できた部分なのかなと、そこはすごく良かったところです。
――試合後にはチームメイトにどんな言葉をかけられましたか
本当に申し訳なかったと。それでも春と秋なかなか勝てない中でよく1年間ついてきてくれたなと思います。
――同期への思いを聞かせてください
申し訳ないに尽きます。1年生の頃から一緒にやってきて感謝しかないですし、4年生になってメンバーから外れるという本当に苦しい悔しい思いをさせてしまったというところがあるので、やはり良い景色を見せてあげたかったですし、良い景色を一緒に見たかったです。
――毎試合応援に駆けつけてくれていたご家族に向けて
まずハンドボールに出会わせてくれたことに感謝です。ハンドボールに出会ってから18年間、ずっと応援し続けてくれたのが親だと思いますし。大学に入学して親元を離れてから、親のサポートが当たり前ではないのだと強く実感しているので本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
――後輩へ向けてメッセージを
僕は入学した時から早稲田は強くなきゃいけないと、強い早稲田に憧れて入学をしていますし、強い早稲田を目指し続けてきた4年間でしたが、結果としてそこの部分に到達できませんでした。来年からOBという立場になりますが、強い早稲田を見ることができると期待していますし、強い早稲田をもう一度目指してほしいと思います。
外種子田崚汰副将(スポ4=鹿児島・国分)

――試合を終えて今のお気持ちをお願いします
直前まで誰がベンチに入るかわからなかった中で、4年生がプレーヤー8人中5人が外れて、それでも一生懸命応援してくれて。石川まで応援にきてくれた保護者やOBの方々に本当に申し訳ないです。
――5点を追いかける後半には、逆転する場面も見られました。振り返っていかがですか
試合前から出だしを大事にしようと言っていたのですが前半に点差をつけられて苦しい展開でした。でもハーフタイム誰も下を向いていなくて、みんな気持ちが入っていました。実際後半の出だしで追い付けたし、昨年準優勝校相手にそういう展開を作れたのは、この1年やってきたことが間違っていなかったということでもあると思います。
――大会前には「雄司に優勝を」というお話もされていましたが、副将として大会を終えていかがですか
自分は心や言葉で引っ張れるタイプではなかったので、結果やプレーで見せないといけないと思っていました。その中で思うようにシュートが入らなかったり手応えのあるシュートでもバーに嫌われたり、今日本当に情けないです。雄司にも申し訳ないです。
――ご家族への思いを聞かせてください
大学入ることにも高い学費を払うことにも何一つ言わずにいきたいところに行かせてくれて、僕の親だけではなく色々な保護者の方が、遠いところまで時間作って応援に来てくれて、当たり前ではないですししっかり感謝したいと思います。
――同期や後輩へ向けて
同期のメンバーが試合に出られない中でも、不満とか悔しさとか表に出さずにしっかり応援に回ってくれて、サポートしてくれて、このメンバーと一緒に戦うことができて良かったです。後輩たちには、常勝校相手にこういう戦いができたことは自信になると思いますし、初めてスタメンに立った新井(一史、商2=東京・早実)なんかはこれまで全国を経験していないメンバーでもしっかり準備をすれば戦えることを証明してくれたと思います。あとは結果を残すだけなので、メンバーも揃っているし一日一日を大切に頑張ってほしいと思います。
豊田創志(スポ3=千葉・市川)

――インカレを終えて今のお気持ちを教えてください
とても悔しいです。もちろん勝とうと思って入った試合でしたし、最初に点差を離されてしまったのですが自分たちのハンドボールをして逆転するところまでいったので。自分たちのやりたいことはやれたけど最後及ばずで、悔しいです。
――リードを奪う場面もありました。ご自身のプレーを振り返っていかがですか
前半は不甲斐ないプレーが多くて得点にあまり絡めていなかったのですが、後半はシュートに持って行けたり、早稲田の強みであるディフェンスからの速攻を体現できたりしたのは良かったと思います。
――5点ビハインドとなった前半を終えて、ハーフタイムにはどんな話をしましたか
点差ほどの差はないというふうに感じていて、まだまだ全然いけるぞ、後半盛り返そうという声掛けが多かったです。
――試合後には涙を流す姿も印象的でした。4年生への思いを聞かせてください
集合で雄司さん(守屋雄司主将)は自分についてきてくれてありがとうということと、4年生や後輩へ感謝を伝えてくれました。個人的にもすごくお世話になった先輩でしたし、今の4年生と1試合でも多く戦いたいと思ってプレーしていました。今となっては4年生に感謝でいっぱいですし、早慶戦に向けてもう一度頑張っていきたいと思います。
――最上級生となる来シーズンに向けて意気込みをお願いします
この悔しさを絶対に忘れては行けないと思いますし、悔しさをバネに来年は日本一をとって、今の4年生に恩返しができるように頑張ります。
新井一史(商2=東京・早実)

――スタメンでの出場、どんな気持ちで試合に臨みましたか
昨日は終盤に出してもらって不甲斐ない出来だったのですが、それを引きずってはいけないと気持ちを切り替えて臨みました。前日に「明日スタメンでいくぞ」と伝えられてとても緊張しましたし、左肩を脱臼してリーグ戦は出番がなかった分ずっと悔しい思いをしていたのですが、それでもコーチや雄司さんが使ってくれると言ってくれたので、しっかり結果を出して仕事をしないとという気持ちでした。
――プレーで意識していたことやご自身の出来はいかがですか
パスを出させづらくして相手の攻撃を遅らせるという部分が僕の役割で、パスをさえぎって相手にミスをさせるのが狙いでした。相手もワントップの対策はしてこなかったと思いますし、全体通して割と良く守れたのかなと思います。ただ要所でやられてしまいましたし、もっと集中していれば守れたとも思うので悔しいです。
――インカレでの戦いを振り返っていかがですか
インカレという大舞台に出させていただいてうれしかったですし、こんなにたくさんの観客がいる中でプレーができたことは楽しかったし良い経験になりました。ですが4年生のためにもっと勝って、1つでも多く試合をしたかったです。途中は早稲田が勝ち越す場面もあって勝てる展開もつくった分悔しいです。
――来シーズンに向けた意気込みをお願いします
まずは試合に出られるようにしっかり準備していきます。あとこれからは上級生という立場になるので、これから入ってくる下級生をまとめつつも、彼らに負けないように頑張ります。