全日本学生選手権 11月2日 いしかわ総合スポーツセンター
今年も全日本学生選手権(インカレ)が開幕した。昨年涙を呑んだ鬼門の1回戦、早大の前に立ちはだかるのは同志社大だ。関西学生リーグの上位に食い込む難敵を相手にインカレ独特の緊張感が漂う中、早大は立ち上がりから積極的に攻め込んだ。序盤に奪ったリードを粘り強く守り切ると、15―12で前半を折り返す。後半は落ち着いた試合運びで、堅守速攻をはじめとした持ち味を発揮。徐々に点差を広げると、最後に追い上げられたものの見事に逃げ切り29―27で勝利。2年ぶりに2回戦に駒を進めた。
ハイタッチする鍋島
課題に挙げていた立ち上がり。先制点こそ許したものの、早大は守りからスピードをつけた攻撃を展開し、一気にリードを奪う。鍋島弘樹(スポ3=福井・北陸)、河原龍成(スポ2=福井・北陸)、外種子田崚汰(スポ4=鹿児島・国分)のバック陣を中心に、速攻やオフザボールの動き、ミドルなどで得点。チームに勢いをつけた。しかし同志社大も手強く、中盤には少しずつ詰め寄られる展開に。点差は1点差まで縮まり「耐えよう耐えよう」という言葉が早大ベンチからかけられる中、前半20分、春季リーグ(関東学生春季リーグ)以来のスタメンで起用された増井浩介(スポ2=愛知)が「僕らしい得点」(増井)を見せた。体を張ってルーズボールを拾うと、そのまま倒れ込みながらゴールへ。秋に苦しい思いをした彼の執念が伝わるようなプレーに、皆が歓声を上げる。前半終了間際には再び観客の視線が集まるシーンが。残り時間は3秒でフリースローの場面、ボールは相手の裏を突き鍋島に託された。振り切った鍋島のシュートはゴールに吸い込まれ、前半終了の笛が吹かれた。このゴールで後半に良い流れをつないだ早大は、15―12の3点リードで前半を折り返す。
得点後にガッツポーズを見せる増井
メンバーを半分ほど入れ替えて臨んだ後半。昨年はけがで立てずにいたインカレの舞台に今年初めて立つ河原が、積極的に前を攻め込み再開直後から得点を量産した。大武蓮(社4=神奈川・川和)のセービングや小柴創(スポ3=千葉・昭和学院)のパスカットから速攻のチャンスも生まれ、早大が徐々に同志社大を突き離す。しかしここから下級生を中心にしたメンバーに構成を変えると、なかなか得点を奪えない場面が続く。後半27分には、一時は7点あったリードも気付けば2点に。それでも早大は大武の好セーブや、河原からの華麗なパスを受け取った結城颯太(スポ3=千葉・昭和学院)のシュートなどでなんとか持ちこたえる。終了間際にはタイムアウトも駆使しながら、早大は見事勝ち切り。29―27で勝利をつかみ、負けたら終わりのトーナメント戦初戦を突破した。
オフェンスに立つ河原
負けられない戦いで、ゴールへの執念や持ち味の堅守速攻を体現したワセダセブン。試合終了時にはほっとした顔が見られたが、直後の集合を終えると次へ向けてまた一つ表情が切り替わっていた。2回戦の相手は大体大、昨年度のインカレ準優勝校だ。「ジャイアントキリングを起こして、早稲田旋風を巻き起こしたい」(鍋島)。全国屈指の強豪相手に、この1年磨き上げてきた早稲田らしさを存分に発揮してもらいたい。日本一を目指す早大の、大体大との一戦は3日14時スローオフだ。
(記事・写真 片山和香)
| 全日本学生選手権(インカレ) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 早大 | ○ | 29―27 | 同志社大 | |
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15―12 |
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| スタメン | ||||
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GK 大武蓮(社4=神奈川・川和) |
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鍋島弘樹(スポ3=福井・北陸)

――初戦を突破されましたが今の気持ちをお願いします
まずはこの初戦を勝とうと、秋季リーグ(関東学生秋季リーグ)が終わってからコーチ陣とも話しながらこの試合に懸けてきたので、勝つことができてほっとしているというのが今の率直な思いです。ですがまだスタートラインに立ったばかりなので、ここからまた頑張りたいと思います。
――ご自身のプレーを振り返っていかがですか
良いプレーももちろんあったのですが、良くないプレーもあって自分の中で悔しい気持ちもあります。明日当たる大阪体育大学は全国的に見てもトップレベルのチームなので、僕ら自身もトップレベルのチームだと証明できるような試合にしたいと思います。
――インカレ前の対談では協賛の方々をはじめとして自分たちがハンドボールできていることは当たり前ではないというお話がありましたが、今日の試合に懸けていた思いはありますか
協賛の方々の力や応援は形として目に見えているので、自分たちだけでハンドボールができているわけではないということがはっきりとわかりましたし、それはとても僕らの力になっていて、やらないといけないという責任感にもつながっています。また4年生はプレーヤーが8人いる中で今回ベンチに入れたのは3人というところもあって、僕たちの学年がたくさん出させてもらっているのは当たり前ではないということも強く感じました。それに応えるにはやはり勝つしかないと、そういった思いで臨みました。
――ご家族も応援に来られていたと思いますが何かお話しされましたか
さっき話してきて、とりあえずナイス、と。「また明日やな」と声をかけてくれました。
――次戦への意気込みをお願いします
大体大は日本トップレベルのチームで、どの大学も大体大が勝つだろうと予想していると思うのですが、僕たちがジャイアントキリングを起こして、早稲田旋風を巻き起こしたいと思います。
増井浩介(スポ2=愛知)

――スタメンで起用されると聞いた時の心境はいかがでしたか
正直びっくりしました。直近の練習試合でも今西(央登、スポ2=奈良・郡山)がスタートで、半分過ぎた頃に途中で投入されるという形だったので、実は不安な部分が大きかったです。
――そのような中での1本目のゴール、振り返っていかがですか
僕らしい得点だったと思います。ワンチャンスをものにしようと最近ずっと考えていたので「ここだ、きた」という気持ちがあって、何も考えずにとにかくゴールに向かって投げました。決まった時にベンチにいた鍋島さんがすごく喜んでくれていて。あんなに盛り上がっている鍋島さんを見たことがないというくらいで、それがすごくうれしかったです。
――勝ち切れた要因はなんですか
後半のスタートだと思います。相手が退場している間に得点を重ねられて、そこから徐々に点差を広げられたので、そのようなゲーム展開ができたことが良かったと思います。
――今西央登選手と何か話をされましたか
ハーフタイムの時、僕が4本シュートを打って3本入っていたので「お前4分の3やな。なら俺は!」というテンション感で話してくれて、とても良い状態で後半に臨むことができました。
――最後に次戦への意気込みをお願いします
今西も僕もまだまだ出し切れていない部分があって。明日どのようん起用になるかはわからないですが、出してもらった時に最高の結果を出せるように、自分らしい結果を出せるように、しっかり準備していきます。