第101回関東大学リーグ戦 11月2日 東京・日本体育大学世田谷キャンパス
秋の涼しさが広がる11月2日。全22試合に及んだ関東大学リーグ戦(リーグ戦)は最終日を迎えた。早大の最終戦はリーグ5位の日大と激突。1巡目では早大の3Pシュートがさえ渡り、33点差の快勝を収めた相手だ。試合はハイペースな点の取り合い。第1Qこそリードを許したが、中盤に逆転した後は一気に突き放した。最終的には得点を3桁に乗せ、101ー81で勝利。伝説的なシーズンの最終戦を白星で飾った。

第1Qは互いに外角のシュートを連発する空中戦。日大の3P攻勢に対し、早大もG堀田尚秀副将(スポ4=京都・東山)とF松本秦(スポ1=京都・洛南)が3Pシュートを沈めてくらいついた。しかしQ終盤に連続得点を許し、17ー25で第1Qを終了。内容は悪くなかったが、序盤の攻防で先手を取られた。
第2Qも序盤は日大がリード。この試合のXファクターとなったラインハート・キャメロン幸(2年)は連続で3Pシュートを沈める活躍を見せた。それでも早大はG岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)の3連続得点で点差を縮めると、スーパールーキーの松本が大物ぶりを見せつける。レイアップシュートを外した後に「避けるな」声を掛けられると、直後のプレーでドライブで相手を吹き飛ばし、バスケットカウントを獲得。3Pシュートも沈め、一気に日大の背中に迫った。その後はF三浦健一(スポ3=京都・洛南)にもバスケットカウントが飛び出し、早大が逆転に成功。47ー41の6点リードで前半を終えた。

第3Qは点差の変わらないこう着状態が続くが、残り3分から早大の猛攻が始まる。松本とG下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)の3Pシュートを皮切りに14ー2のラン。F堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)はドライブで力強いドライブで相手ディフェンスを切り裂いた。点差を18点に広げ、最終第4Qを迎える。
全22試合、890分の締めくくりとなる第4Q。日大はラインハートを中心に反撃するが、早大も岩屋主将や三浦の得点で差を縮めさせない。ハイペースに得点を重ね続け、下山のシュートで得点は100点の大台に乗った。そして残り1分、4年生のC初宮嘉一(スポ4=東京・頴明館)が大歓声と共に出場を果たす。ラストプレーで放った3Pシュートは惜しくもリングに弾かれたが、ベンチからチームを支え続けた初宮の貢献を象徴する一幕だった。試合は101ー81で終了、今季6度目の100点ゲームでリーグ20勝目を挙げた。

2年前は5勝しか挙げられなかった早大。今季の前評判も決して高くなく、関東1部の厳しさを知る上級生たちは開幕前に不安を抱えていた。しかしシーズンが始まると、早大の快進撃が続く。早稲田のバスケを見に来る観客、OB、メディアの数は日に日に増していき、「優勝」の二文字が現実的になった。選手たちの発言も、徐々に自信を帯びていった。そして積み上げた結果こそが、20勝2敗、57年ぶりの優勝。誰も予想しえなかった、大学バスケの歴史に残る史上最大の下克上を成し遂げた。
次なる目標は、全日本大学選手権(インカレ)の頂点。早大は第1シード・「王者早稲田」として日本一に挑む。秋の関東に吹き荒れた早稲田旋風は、冬の日本全国にも巻き起こるのか。
(記事 石澤直幸、写真 北郷美結、村山諒)
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 | |
| 早大 | 17 | 30 | 33 | 21 | 101 |
| 日大 | 25 | 16 | 21 | 19 | 81 |
早大 スターティングメンバー
| Pos. | # | 選手名 |
|---|---|---|
| G | 0 | 下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一) |
| F | 6 | 三浦健一(スポ3=京都・洛南) |
| G | 7 | 堀田尚秀(スポ4=京都・東山) |
| F | 12 | 松本秦(スポ1=京都・洛南) |
| G | 14 | 高田和幸(商4=京都・洛南) |
コメント
初宮嘉一(スポ4=東京・頴明館)

――今日の試合はいかがでしたか
昨日から最初の入りが悪くて今日も最初心配だったんですけど、みんなギアをどんどんあげてくれたのでなんとか勝利することができてよかったです。
――第4Qでコートに立つ時はどのような気持ちで挑みましたか
もうシュートを打ってやろうと思って、とりあえず点決めたかったんですけどちょっと悔しい思いがあります。
―― 毎試合、毎Q、常にチームメートへの声掛けをしていたと思うのですが4年生として何か意識していたことはありますか
他の4人が全員コートに立っているので、そこで貢献できない分他で貢献したいという思いがあって。出てないなりにサポートしっかりしようという意識はしていました。
ーー学年問わず仲の良い雰囲気がいつも伝わってきますが 初宮さんに取ってチーム早稲田はどのような存在ですか
確かに学年問わず仲良いですね、ふざける時はふざけて、真面目にやる時は真面目にやってという感じで切り替えてますね。
ーーどういうところで切り替えるポイントがを作られてるんですか
やっぱり練習中はもう全員しっかり集中してますね、終わった後のストレッチとかは仲良くやってます(笑)その点コミュニケーションはしっかりとれていますね。
――最後に応援している方へのメッセージをお願いします
また早稲田を応援してください!!ありがとうございます。
三浦健一(スポ3=京都・洛南)

――本日の日大戦を振り返って
良かったとは思うんですけど、相手もメンバーが不足していたので。でも昨日の出来か良くなかった割には良かったと思います。
――試合中は洛南高の同期、西村渉(日大・3年)選手とコミュニケーションを取るシーンもありました
自分の同期で、仲もいいので。楽しみながらプレーできました。
――リーグ戦全体を振り返ってはいかがですか
スタートが変わったりはあったんですけど、その中でも自分たちの調子を崩さずにやろうという話をしていました。その中で自分もだんだん調子を上げてきたんですけど、それは決して自分一人力ではないので。チームメイトに感謝しています。
――明大戦ではベンチで「4年生ありがとう」と叫ぶ場面もありました。感謝の気持ちというのはやはり大きいですか
ずっと見ているんですけど、4年生の存在って本当に大きいので。来年は自分がもっと責任を持ってやらなくちゃいけないので、それは今年から意識はしています。4年生に任せる部分もあるんですけど、自分も上級生なので意地とプライドを持ってプレーしています。
――ディフェンスでは相手のビッグマンと長い時間マッチアップしていました。スモールラインナップにおいて重要な役割でしたが手応えは
自分としては3年目でしたし、ファールが込むのは分かっていました。そこでいかに我慢出来るかが自分の課題でもあったので、そこはタフにやるしかないと思っていました。フィジカルを鍛えてきたので、当たりのところでしっかりと耐えられて、余力を残してオフェンスでも点を取ったり、スクリーンをかけたりすることができました。インカレでは地方の留学生がすごいですし、どうなるか分からないですけど、自分のやるべきことをタフにやっていきたいと思います。
――本日は観客席を埋め尽くす大観衆でした。プレーしていていかがでしたか
本当に楽しかったです。最初はびっくりしたんですけど、それだけお客さんが入るのは嬉しいことですし、今年の早稲田のバスケットを見に来たいと思ってくれているということだと思います。OBの方を含め、一般のお客さんも多くいたので、試合前からワクワクして、頑張ろうと思いました。
――応援している方々にメッセージをお願いします
OB含め、チームメイト含め、毎試合毎試合欠かさず来てくれて本当に感謝しかないです。インカレは残っているですけど、リーグ優勝、20勝を達成して終わりを迎えられたことは良かったと思います。インカレは4試合で4年生とプレーできる最後の機会なので、しっかり自分が積み上げてきたものを発揮できるように、インカレを見に来てくれた人に早稲田らしいバスケットを見せられるようにまた頑張りたいと思います。
下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか
なかなか前半早稲田のペースをつかめなくて苦しい展開が続いたんですが、3Qは自分たちが我慢しきれて、しっかり流れを作っていいテンポでバスケできたのが良かったなと思います。
――後半戦はほぼ全試合でフル出場でした。どのようなメニューでそのスタミナと自信をつくり上げましたか
大学入ってから特別に何かしたというわけではなく、高校の時からランメニューは行っていて、それを続けたらいつか自分のためになると思ってやっていた部分あったので自信を持ってリーグ戦に臨めました。
――ランメニューは個人で取り組まれているんですか
今年は倉石さん(倉石平ヘッドコーチ、昭54教卒=東京・早実)が練習にも入れてくれたのでランメニューがあったのですが、自分で足りないなという時は練習外でも高校でやっていたメニューをやったりしていました。
――リーグ戦は長期戦でしたが、メンタルの部分では何か工夫されていたことはありますか
あんまり保とう保とうということは思わず、その時の感情に任せるというか、自分の感情をコントロールするというよりも、いい時はそのまま、ダメな時はじゃあ何ができるかなと考えていたので、目の前のバスケットに集中していましたね。
――最後に応援している方へのメッセージをお願いします
ここまで2ヶ月半のリーグ戦をやってこれたのは支えてくださった方たちのおかげだと思っています ここからインカレがあと4試合残っているので、全力で頑張っていきます。
松本秦(スポ1=京都・洛南)

ーー今日の試合を振り返っていかがでしたか
まず昨日の試合で、入りをやられてしまったということで、チームとしてすごい入りをもっと大事にして、丁寧に入ろうっていうことを意識してみんなでやりました。
ーー第2Qに倉石HCからレイアップの時に避けるなと言われましたが、その直後に力強いバスケットカウントを決めました。あのプレーを振り返っていかがですか
ずっと練習中からも言われているんですけど、避けずに自分から当たっていけっていうふうに言われてて。でもやっぱり自分としてはまだよけちゃう部分っていうか、弱い部分があるので、でもそこを試合中に一つ克服できたっていうことは良かったことかなというふうに思います。
ーー今季リーグ戦は松本選手にとって飛躍のリーグになりました。振り返って感想をお願いします
まず自分として、その大きいこういう大会で優勝したことがなくて、タイトルとかも取ったことなかったんで、そこをまず結果出せたことは嬉しいですし、一年目でこういう経験をできる人は本当に少ないと思うので、貴重な経験をさせていただいたので、まず今年のインカレに向けて、ここからまた調整してやっていきたいなというふうに思います。
ーー最後にインカレへの意気込みをお願いします。
これまでリーグ戦は自分たちは挑戦する側の立場だったんですけど、インカレになったら第一シードっていうことで、関東1位っていうのもありますし、追われる側っていう立場で試合に臨まないといけないので、そこを気負うことなく、自分たちのプレイを出し続けていけたらなというふうに思います。