第101回関東大学リーグ戦 10月26日 栃木・白鴎大学大行寺キャンパス
東海大との首位攻防戦を制し、1968年以来のリーグ制覇へ王手をかけた早大。優勝の懸かった第19戦は明大と激突した。試合は40分間で決着がつかず、2度の延長戦へ。それでも早大がダブルオーバータイムの死闘を制し、57年ぶりのリーグ優勝を決めた。

この日の早大はシュートタッチに苦戦。第1Qの3Pシュート成功数は0に終わるなど、もどかしい時間が続いた。一方のディフェンスでは相手にオフェンスリバウンドを許さず、速攻から早大がリードを築く。F松本秦(スポ1=京都・洛南)は衝撃的なポスタライズダンクを決め、22-18とわずかにリードして第1Qを終えた。
第2Qは開始早々にF三浦健一(スポ3=京都・洛南)が2本の3Pシュートを沈め、10-0のランで開幕。リードを14点に広げた。しかしその後は相手のオフェンスリバウンドに苦しみ、点差を広げられない展開が続く。試合の決定打は放てないもののリードを保ち、48-33で試合を折り返した。

第3Qは試練の時間となった。針間大知(明大・4年)を中心した相手のリムアタックを止められず、失点がかさむ。ハイペースな点の取り合いが続き、明大の3Pシュートが連続で決まったところで逆転を許した。早大はG岩屋頼主将(スポ4=京都・洛南)の3Pシュートで再逆転したものの、65-64の1点リードで第3Qを終える。
第4Qは開始直後に岩屋主将が4つ目のファウルを犯す不穏な幕開け。それでも岩屋主将はプレーを続け、果敢なドライブでチームを引っ張る。明大が高確率で3Pシュートを沈める一方、F堀陽稀副将(スポ4=京都・東山)も2本のバスケットカウントを獲得し、両者のつばぜり合いは続いた。
試合が動いたのは試合残り2分、G下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一)が値千金の3Pをヒット。リードを5点に広げ、勝利に大きく近づいた。しかしその後は針間に連続得点を許し、1点リードで迎えた試合時間残り12.6秒。相手オフェンスを守り切れば勝利と言うところだったが、湧川裕斗(1年)のドライブに対して三浦のファウルと堀副将のテクニカルファウルが宣告された。しかし湧川はこの3本のフリースローを2本落とし、1得点止まり。同点でラストポゼッションを迎えた。決めれば勝利という場面で岩屋主将がミドルシュートを放つものの、これは惜しくもリングに弾かれる。87-87の同点で試合は今季初の延長戦に突入した。

OT1の開始直後、早大に危機が訪れる。ここまで27得点の活躍を見せていた三浦が5つ目のファウルを犯し、痛恨のファウルアウト。貴重な攻め手を一つ失った。しかしその中でチームを救ったのは本日30得点の堀副将。フリースローで得点を重ね、残り1分半で早大がまたも5点のリードを築いた。だが、ここでも明大の針間が立ちふさがる。ドライブレイアップで3点差に縮めると、残り12秒ではディフェンス2人を引きつけ、塚田大聖(3年)の同点3Pシュートをアシスト。対する早大は勝ち越しを懸けた岩屋主将のフェイダウェイシュートが外れ、試合は2度目の延長戦にもつれ込んだ。
2OTはオフェンスリバウンドからの失点を許し、3点のビハインドを負う苦しい展開。それでもG高田和幸(商4=京都・洛南)のスティールから松本が3Pシュートを沈めると、岩屋主将の3Pシュートも続いて逆転した。そして1点リードで迎えた残り51.8秒。中へ切れ込んだ下山のキックアウトは松本のもとへ。今年の早大を支えたスーパールーキーの放った放物線は、優勝を大きくたぐり寄せるこの日24得点目の3Pシュートとなった。残り35.6秒で4点のリードを奪った早大。最後は岩屋主将がファウルゲームのフリースローを沈め、ついに待望の瞬間が訪れた。試合終了のブザーが鳴ると同時に、早大の57年ぶり優勝が決定。悲願の快挙達成に選手たちは喜びを爆発させた。最終スコアは113-109。優勝を決める試合にふさわしい、今季一番の死闘だった。

早大の優勝は1968年以来6回目。2部優勝の翌年に1部優勝は2002年の筑波大以来史上2回目の快挙。試合を終えた選手の表情にはいつも以上の笑顔があふれていた。試合後は胴上げが行われ、倉石平HC(昭54教卒=東京・早実)が宙を舞った。胴上げの感想を「忘れてたものがよみがえった」と倉石HC。今年から現場に復帰した倉石HCは「観客を魅了するバスケット」を目標に掲げ、5アウト、ハイペース、3Pシュートを中心とした唯一無二の攻撃的なバスケットでオータムリーグを席巻した。
最終週である次週は専大と日大と対戦する。「20勝2敗で終われるように」と高田。次なる目標である全日本大学選手権(インカレ)制覇に向け、選手たちは前を向いている。「早稲田史上最強」と目される今年の早稲田大学BIGBEARS。ウイニングランとなるラスト2戦も勝利をつかみにいく。
(記事 石澤直幸、写真 権藤彩乃、村山諒)
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | OT1 | OT2 | 合計 | |
| 早大 | 22 | 26 | 20 | 19 | 11 | 15 | 113 |
| 明大 | 18 | 16 | 30 | 23 | 11 | 11 | 109 |
早大 スターティングメンバー
| Pos. | # | 選手名 |
|---|---|---|
| G | 0 | 下山瑛司(スポ3=愛知・中部第一) |
| F | 6 | 三浦健一(スポ3=京都・洛南) |
| G | 7 | 堀田尚秀(スポ4=京都・東山) |
| F | 12 | 松本秦(スポ1=京都・洛南) |
| G | 14 | 高田和幸(商4=京都・洛南) |
コメント
倉石平HC(昭54教卒=東京・早実)

ーー優勝した今のお気持ちをお聞かせください
嬉しいです、本当に。57年ぶりなんで。
ーー胴上げで宙に舞ってた時の感情などはどうでしたか
一回天皇杯で優勝した時に宙に浮いてるので、それ以来です。それがもう多分35、6年前になるので、忘れてたものが蘇った感があるよね。
ーー優勝への意識はいつ頃から生まれてきましたか
昨日勝ってもまだ残り3試合のうち1個勝てばいいみたいな感じで、すぐに決めないと来週に持ち込んじゃうと大変だなっていうので。はっきり言ったら昨日の勝利した瞬間に一番意識してた感じですね。
ーー優勝できた一番の要因は
今までにないバスケットをしようというので、みんなとトライしたのが上手くいったかなという感じです。
ーーどうやってあのような攻撃的なバスケットに行き着いたのでしょうか
世界との戦いだとか、NBAの戦いを見ていて、小さなチームが大きなチームをやっつけるシーンをずっとくり返して見ていました。どうやったら一番効果的かなっていうのを考えながら見ていて、ああいうのに行き着いた感じですかね。
ーー選手の起用法の面ですと、得点源の岩屋主将と堀副将を今季はベンチから起用しました。こちらの意図は
4年生なので、多分そつなく全部やってくれるんだけど、彼らが出ちゃうと大胆さに欠けることになっちゃうのね。何でも対応して、無難に全部こなすってことになるんで。だからずっと接戦をモノにしないと勝てないっていう戦いになっちゃうので。うちの今目指そうとしている大胆な攻撃っていうのになると、下の学年の子を、思いっきりのいいやんちゃな子たちを思いっきり最初に出して、できるとこまで行こうみたいな形の方が点数も取れるし、チームが活気づくというのをもしかしたらできるんじゃないかなと思ってやったら、それが上手くいったのが今シーズンです。
ーー難しいかもしれませんが、1人MVPを上げるならどなたですか。
まあ誰っていうことは言えないけど。それはキャプテンでもあり、副キャプテンでもあるけど、逆に一年生なのに求めたスタイプレーをやってた松本もそうだし。うちとしたら一人のプレーヤーがたくさん点数取るっていうスタイルじゃなくて、4人とか5人が複数点数を取るというスタイルなので、誰かっていうわけではないですし。ただ、ゲームコントロールしてたのは下山であったりとか岩屋であるんで、この二人がチーム全体のコントロールって言ったらMVPになるのは、そこが一番ですかね。普通の客観的な見方からしたらその二人ですよね。
ーーそれでは最後に読んでいる皆様にメッセージをお願いします。
早稲田大学のバスケット部はこれからどういう風になるかわかりませんが、皆さんが憧れるような、楽しくなるようなプレーを連続していきたいというふうに思っています。
高田和幸(スポ4=京都・洛南)

――今の率直な感想を教えてください
この何試合か、チームにいい影響を与えられてないというか、シュートが入っていなくて。(今日も)何かできたわけではないんですけど、下級生含め、頼(岩屋)、陽稀(堀)、なお(堀田)と、大事なところで頑張ってくれた4年生には感謝してます。もうちょっと自分がやんないといけないなっていう責任感はずっと抱えていて、今日も最後のシュートは決めれたなと思って少し後悔もしながら、でも本当にもうこんな結果になるとは夢にも思ってなかったので、一ついいタイトルが獲得できてうれしいです。
――リーグ戦全体を振り返っていかがですか
最初は、今までのリーグ戦、1部のリーグ戦に対していい思い出がなくて、勝ち切れずにチームの雰囲気も悪くなってしまうっていうのを1、2年生の頃経験していたので、4年生としては不安を抱えつつ始まりました。でも、勝っていくうちにだんだんとチームとしての完成形というか、自分たちが目指している姿をつかみ出して自分たちがやりたいバスケをして勝ち切れる試合がどんどん多くなったので、途中からもう自信になりました。その中でもあんまり優勝を意識せずというか、優勝が見えてしまったせいで、個人的には4年生としてのプレッシャーがあったので、優勝がつかめそうなのに負けてしまってリーグが終わる。みたいなかたちが一番嫌ではありました。この2巡目が始まって苦しい展開が続く中で、出ていたメンバーが最善を尽くして、こういう結果につながったと思うので、本当にみんなに感謝しかないです。
――「4年生として」という言葉がありましたが、最上級生として引っ張っていくという意識は
もともと岩屋とか堀に比べて、プレーでチームを引っ張ることは今までもなかったので、どっちかっていうと去年からチームにどう声をかけて引っ張っていくかってところに、試合に出ながらも注力していました。やっぱり去年から言ってきたので、自分の言うことに下級生がついてきてくれて、同級生も同意してくれて、チームをまとめる力っていうのはどんどんついてきたなって思っていました。そこは今年も、プレーでどうこうできない時こそ、チームを引っ張る声かけだったり、頑張っている姿を見せてチームを奮い立たせることだったりっていうところは体現できていたと思います。途中、少し迷いながらも、昨日、今日は最初ディフェンスからで、そういうところを体現できたので、そこはひとつ良かったかなと思います。
――最後のリーグ戦で優勝を果たしましたが、どんなお気持ちですか
本当に気持ちいいです。多分下級生、3年生も、今年このまま引退したいぐらい、気持ちよく終われるので、最後の年でこういう結果を残せたのは4年間やってきて良かったなって思います。でも4年生だけではこの結果をつかめなくて、下級生のおかげでこの結果をつかめました。気持ちよく引退できるなって感じです 。
――リーグ戦の残り2試合と、インカレへの意気込みをお願いします
インカレ優勝が一番の目標で、リーグもそのための積み重ねだと思ってちょっとずつやってきたので、来週2試合ももちろん勝ち切りたいです。20勝2敗っていう結果で終わることにすごい大きな意味があると思います。リーグが終わったインカレまでの1カ月で、リーグ優勝っていう結果に奢らずに、4年生としてチームをもう1度引き締めて、いい形でインカレに入りたいです。今までは予選があってトーナメントが始まっていたんですけど、経験したことがないシードの難しさがあると思うので、ちゃんと1試合目から素晴らしいバスケを体現できるように、ちゃんと1カ月で調整して、最後インカレで優勝して、気持ちよく、もっと気持ちよく引退したいなと思います。
松本秦(スポ1=京都・洛南)

ーーリーグ優勝おめでとうございます。今の気持ちをお聞かせください
めちゃくちゃ嬉しいです。
ーー優勝がかかった今日の試合、どのような思いで臨まれましたか
初タイトルがかかってるということで少し緊張もしてましたけど、一番は自分のいつも通りのプレーをするってことを心がけてプレーすることを意識しました。
ーー今日の試合では勝負どころでの3Pシュートがが光りましたが手応えはいかがですか
あの場面は普通のチームでは打たない場面ですけど、やっぱり自分たちのプレースタイルっていうのはどこからでもスリーポイントが打てるというスタイルでやっているので。そこは自分を信じて打った結果が勝利につながったのかなというふうに思います。
ーー松本選手はルーキーイヤーながら今季のリーグ戦で大活躍でした。リーグ戦を通しての感想を聞かせてください
初めてのリーグ戦ということで最初は不安もありましたけど、試合を通していく中で自分としても成長していくことができました。こうやって優勝という結果をチームで勝ち取れたことが一番うれしいと思います。
ーー松本選手のバスケ人生の中で、このリーグ優勝はどのような意味を持ちますか。
本当に初タイトルということでめちゃくちゃうれしいですし、これをバネにしてインカレとか、2、3、4年生っていうふうにつなげていきたいなというふうに思います。
ーー一部では松本選手が「ネクスト比江島慎(現・宇都宮)」だと言われていますが、松本選手自身としてはどのように感じていますか
そうなんですか!そうやって洛南の大先輩でもある方と比べていただけることは嬉しいことですし、そういったような日本代表でも活躍されてるような選手に一歩でも近づけるように、今後も頑張っていきたいなというふうに思います。
ーー最後に残りのリーグ戦2試合とインカレへの意気込みをお願いします。
とりあえず優勝することができたんですけど、まだ残り二試合残ってますし、インカレもあるので、この一週間最後を乗り切って、またインカレに向けてチームの状態を上げていきたいなというふうに思います。