【ラグビー】ジュニア早慶戦は早大Bに軍配 立ち上がりの課題を見事に修正した

ラグビー男子

関東大学ジュニア選手権 10月19日 対慶大B 慶大・日吉グラウンド

 関東大学ジュニア選手権(ジュニア選手権)は早くも折り返しを迎えた。ここまで明大B、東海大Bを下して2連勝している早大Bはまたも敵地での戦いとなった。雲に覆われる慶大・日吉グラウンドで行われた一戦は早大Bが開始早々にモールで先制トライを挙げる。接点で圧倒すると前半で5トライをマークし、33ー5で前半を終える。続く後半も攻撃の手を緩めなかった早大B。後半は堅守に磨きをかけ、慶大Bを無得点に抑えながらさらに6トライを追加し、73ー5でジュニア選手権3連勝を飾った。

果敢に攻めるHO杉村

 早大Bのキックオフで始まった今試合は、いきなり自陣でのプレーを強いられる展開となった。そんな中4分、慶大Bの反則から敵陣ゴール前でのラインアウトを獲得した早大B。そのままモールを押し込み、HO杉村利朗(社2=東福岡)がグラウンディングした。今試合、最初のチャンスを得点に繋げることに成功した早大Bは、ここから怒涛のアタックを見せる。続く8分、自陣からBKで展開した早大Bは左サイドでCTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)とWTB西浦岳優(社2=東福岡)がブレイクし、陣地を大きく進める。続くラインアウトでは、モールを組んですぐに持ち出した杉村が激しく衝突。CTB金子礼人(法4=福岡・西南学院)がゴールライン目前まで進み、FB田中大斗(教2=東京・早実)が右隅へトライした。また、11分には慶大Bのキックボールの処理ミスから敵陣でラインアウトを獲得した早大B。テンポ良く、ミスのないアタックを展開すると、SH川端隆馬(スポ1=大阪桐蔭)が自ら仕掛け、スペースに走り込んできたWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)がインゴールに滑り込んだ。田中大がキックを沈め、スコアを19ー0に伸ばすと27分にはBKが強さを見せた。フェーズを重ねた早大BはSO島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)が相手を引きつけたところに鈴木が顔を出し、グラウンディングに成功。また31分には、杉村とLO小林光晴(文2=福岡)のビッグタックルで慶大Bのブレイクダウンでの反則を誘発した。敵陣深い位置でラインアウトモールを形成し、最後は川端が自らインゴールに飛び込んだ。しかし35分、ターンオーバーを繰り返し、早大Bのディフェンスが乱れて数的有利を作られるとそのままトライを献上。その後は敵陣深くまで攻め込む場面もあったが、得点にはつながらず、33ー5で試合を折り返す。

スペースを探すCTB黒川

 後半も先に試合を動かしたのは早大Bだった。4分、中盤のラインアウトでフェーズを重ねながらボールを左右に振ると、島田からのパスを深い位置で受けた黒川がディフェンスのギャップをついてブレイク。フォローに走っていたFL野島信太郎(教3=東海大大阪仰星)インゴールを駆け抜けた。続く11分、敵陣でキックゲームを展開した早大Bは島田が自分で蹴ったボールの再獲得に成功する。田中大からディフェンスライン目掛けて飛び込んできたNO・8米倉翔(スポ3=福岡・修猷館)に正確にパスが繋がると、そのままトライエリアまで走り切った。ゴールも成功し、スコアは47ー5。さらに13分、途中出場のFL平野仁(スポ2=神奈川・法政二)がファーストタッチでライン際を駆け上がると、西浦が快速を生かしてインゴール左隅へ。さらにリードを広げていく。19分にはゴール前でモールを組まれるという危機に陥るが、ここを何とかしのいだ早大B。24分、慶大Bのアタックミスから反撃に転じるとLO駒井良(スポ1=東海大大阪仰星)がロングゲインを見せる。FL久我真之介(文構2=東京・早実)がゴール前まで力強く前進し、最後はSH大賀雅仁(スポ3=神奈川・桐蔭学園)から早いテンポでパスを受け取ったHO田中健心(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がインゴールを叩き割った。27分には田中大がこの日2本目のトライ、そして33分には鈴木が今試合3本目のトライを挙げると、差は大きく開き、73ー5。このスコアのまま試合は終了を迎えた。

ディフェンダーを華麗に抜き去るNO・米倉

 今試合のテーマについてゲームキャプテンを務めたLO萩原武大(スポ4=茨城・茗渓学園)は「前回の東海大戦や練習の入りに課題があったことから『先手』をコンセプトにあげていた」と語った。反省を生かし、今試合では的確に修正してみせた早大B。次戦はいよいよ帝京大との最終節だ。厳しい戦いになることは間違いないが、立ち上がりから高い集中力を維持し、早大らしい泥臭いラグビーを展開できればチャンスは訪れるはずだ。成長を続ける早大Bの勝利に期待せずにはいられない。

(記事:安藤香穂 写真:伊藤文音、髙野凌世)

コメント

◆LO萩原武大(スポ4=茨城・茗渓学園)

ーー今試合のチームとしてのゲームコンセプトを教えてください
 『先手』というところです。前回のジュニア東海大戦や練習から試合の入りに課題があったのでコンセプトにあげました。

ーーチームとしてのアタックの完成度はいかがですか
 しっかり全員でコミュニケーション取りながらいいアタックができたと思います。まだまだ修正できる部分が沢山あるので改善したいです。

ーー次戦は帝京大戦ですが、どこをもっと伸ばしていきたいですか
 一対一のところで帝京さんはレベルが高いと思うので、しっかりコリジョンバトルや個人のスキルを一人一人もう一段階成長しなきゃなと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします
 今試合僕はたくさん課題があったので、Aチームに上がるために残り少ない試合頑張っていきたいと思います。

◆HO杉村利朗(社2=東福岡)

ーー今試合はどのようなプレーを意識しましたか
 慶應大学さんは前に出るディフェンスをするので、自分たちから先手を打って前に出るプレーを意識しました。

ーーセットプレーの、特にスクラムでの手応えはいかがでしたか
 スクラムは最初、自分たちの気持ちが前に出て反則してしまったのですが、すぐに修正して早稲田全体でまとまってヒットできたので、手応えはありました。

ーー前節の東海大戦では立ち上がりで苦戦した課題があったと思いますが、今試合の立ち上がりはどうでしたか
 最初から慶應大学さんにプレッシャーをかけることができてラインアウトも安定していたので、自分たちから先手を打てたのかなと思います。

ーーチームのディフェンスの完成度はいかがですか
 基本的なシステムエラーはなかったですが、要所要所で慶應大学さんにゲインされて後手に回ってしまって(前半)最後もトライをされてしまったので、全体としてコミュニケーションが少なかったことが今回の課題なので、もう一度修正して次戦に向けて頑張っていければいいなと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします
 まだまだ対抗戦、選手権と続いていくので、まず自分は赤黒を着て出続けること、またチームとしても昨年と同様に対抗戦全勝で優勝、そして選手権で『荒ぶる』を獲得できるように、上井草に帰って一から頑張りたいと思います。

◆NO・8米倉翔(スポ3=福岡・修猷館)

ーー今試合はどのようなプレーを意識しましたか
 前回の筑波大戦では、目の前のことに集中しすぎてしまって視野を広げられず、あまり良いプレーができなかったので、今回は落ち着きをテーマにしていました。また、コンタクトで前に出ようとコリジョンバトルの部分を意識していました。

一一試合の流れを寄せるスティールがいくつか見られましたが、振り返っていかがですか
 周りはスティールできる選手が多く、自分もできないとそこで差が生まれてしまうので、仲間がスティールしたら一緒に喜んで、その分自分もしっかりスティールを狙ってチームの流れ変えようという思いでやっていました。

ーーアタックではどのような手応えを感じましたか
 今日は落ち着くことができていたのでスペースもよく見えていたと思います。トライした場面も自分の前のスペースが空いていてそこに呼ぶことができたので、しっかり落ち着いてプレーするということをこれからも心がけようと思います。

ーー今後の意気込みをお願いします
 ライバルが多いポジションなので一試合一試合しっかりアピールして、泥臭く試合に出られ続けたらなと思います。

◆WTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)

ーー今試合はどのようなプレーを意識しましたか
 自分のプレーでチームを前に出させるマインドで挑みました。

ーーBKのアタックはどのような意識でおこなっていましたか
 チーム全体を通して『先手』という部分で1週間取り組んできたので、FWもBKも『先手』を意識しました。

ーー今日の自身のプレーを振り返って手応え、課題を教えてください
 手応えは自分のアタックが通用することが分かったので自信になったということで、課題としてはディフェンスでスクラムからのファーストフェーズでいいタックルができなかったという点です。

ーー今後の意気込みをお願いします
 シーズン深まっていく中で相手もどんどん強くなりますが、チーム一同頑張りますので応援よろしくお願いします。

写真ギャラリー

力強いランを見せるCTB金子

豪快なランを見せるLO駒井

ディフェンダーをぶちかますFL久我

アタックでテンポを生み出すSH川端

ボールを蹴り上げるSO島田

メンバー表

星取表