リーグ戦全勝、ブロック1位通過と最高の状態でFINAL4に臨む野澤組。早稲田大学の他にも慶應義塾大学、日本体育大学、明治学院大学が激戦を勝ち抜き、FINAL4に駒を進めた。計4チームのうち全国へ行くことができるのは2チームのみ。出場枠を手にするには、FINAL4での戦いを制することが絶対条件となる。
昨年のリベンジに挑む野澤組
日本一に向け、確実な歩みを見せる野澤組。だが、FINAL4の壁はそう簡単ではない。昨年はこの舞台で日本一への道が閉ざされ、田中組の戦いは終わった。たった数秒が勝敗を左右すること。わずかな判断ミスが流れを大きく変えてしまうこと。勝負の残酷さを身をもって感じ、強くなることを決意した彼らは野澤組として再スタートを切った。
新体制となって迎えた東京六大学交流戦。早稲田大学は4勝1分で優勝と、春先から好調な滑り出しを見せる。だがその後のプレーオフ戦では日体大に、早慶戦では慶大に惜しくも敗れ、課題を残す前半シーズンに。だが、早大はそこから迅速な立て直しを見せ、リーグ戦全勝、ブロック1位通過を決めた。次なるステージはFINAL4。野澤組にとっては絶対に勝たなければならない一戦だ。チームを勝利に導き、2019年以来の日本一にまた一歩前進するために。今シーズン最大の山場、FINAL4を戦い抜く注目選手を紹介する。

FO多田が攻撃の切り口を作り出す
まずは攻撃の流れを作り出すフェイスオファーに注目だ。フェイスオフリーダーとして圧倒的な強さを持つFO多田倫太郎(創理4=埼玉・早大本庄)は得点も決められる万能型。実力十分のFO多田がどこまで攻撃の起点となれるのか。仲間から厚い信頼を寄せられるフェイスオファーが、この大一番でも躍動する。
攻撃陣もまた、早稲田ラクロスを体現するには欠かせない。オフェンスリーダーのAT小川隼人(政経4=東京・早実)は全試合で得点に絡む活躍ぶり。ここぞという場面で決め切る、そんな勝負強さと高い決定率を持ち合わせるAT小川が、FINAL4でも観客を熱狂させるだろう。AT小川と同じく、昨年の悔しさをコート上で経験したAT花井コルトンヘイズ(国教4=アメリカ・マッキントッシュ)にも注目だ。パワープレーから器用なプレーまで大得意。多方面からの活躍を見せるAT花井には、ぜひ豪快なショットで観客を沸かせてほしい。

ディフェンス陣の層は厚い
チーム一丸となって取り組んでいるハイプレッシャーディフェンスも見どころだ。実力十分のディフェンス陣が揃う中、ディフェンスサブリーダーのMF寺田颯一郎(商4=東京・攻玉社)、クリアライドサブリーダーのMF辻村征也(政経4=東京・早実)はその最前線を走る。相手ボールを巧みに奪うMF寺田、オフェンスプレーにも磨きがかかるMF辻村。彼らを始めとして繰り広げられる鉄壁のディフェンスは、まさにこの勝負の鍵を握るだろう。
そして守備の最大の要G長田謙伸(政経3=埼玉・大宮開成)は、誰よりもリベンジに燃えている。延長戦の末許してしまった相手の一打。ゴーリーとしての重圧を身をもって感じたあの日から約一年。強くなったG長田が再びこの舞台に帰ってきた。経験値はさることながら、磨きのかかったブレイクパスまで。ゴーリー界屈指の腕前を持つG長田が、ディフェンス最後の砦として立ちはだかる。

マネージャーもトレーナーも勝利に関わる存在だ
ここまで4年間、選手らを献身的にサポートしてきたスタッフ陣の存在も忘れてはいけない。コート内外問わず、選手らを支え続けてきたMG鶴田萌々子(社学4=東京・拓殖大第一)、MG桂田音舞(国教4=京都・立命館宇治)、MG増村佳希(法4=京都女子)。選手らのパフォーマンス向上のため、常に彼らと向き合ってきたTR松崎良祐(商4=東京・早大学院)、TR嘉村麻生(文構4=東京・早実)、TR永沼愛子(人4=宮城・仙台第二)。彼らにとってできることは、仲間の声を聞き、それをチームに還元すること。誰かのために頑張ることのできるスタッフ陣がいるからこそ、強い早稲田が実現できるのだ。
最後は野澤組の主柱を担うこの三人を紹介する。一人目は、主務としてチームを支えてきたDF新井創太(創理4=東京・早実)。彼は激しい攻防の中でも、安定感のあるプレーを見せる。強靭なメンタルで試合を勝ち抜いてきたDF新井が、この日もチームの救世主となる。2年生からコート上で戦ってきたDF中原健太副将(商4=東京・早大学院)にも注目だ。彼は、長年の経験から培った視野の広さを武器とする。そこから生まれる素早い連携プレーは、間違いなくチームの強みとなるだろう。そして最後は、チームの大黒柱である野澤想大主将(政経4=東京・桐朋)だ。混戦が予想されたリーグ戦。主将としての責任を背負いながらも、遂にここまでやってきた。プレーで示すこと。声をかけること。彼だからこそできたことが数えきれないほどあった。勝ちにこだわり、がむしゃらに駆け抜けてきた今シーズン。チームの期待を力に変えて。誰もが認める絶対的エースが、FINAL4の舞台でもチームを勝利へと導く。

最後は野澤主将がやってくれる
さあ、戦う準備は整った。いよいよ自分たちが積み上げてきた4年間を証明する時だ。全国をかけた意地とプライドの本気のぶつかり合い。試合がどう動くかなんて、誰にもわからない。だからこそ、後悔のないように。最後に笑って終われるように。来たる10月19日。ついに決着をつける日がやってくる。
(記事 高津文音)