【米式蹴球】慶大に前半大苦戦 無傷の5連勝も課題が残るゲームに

米式蹴球

関東学生秋季リーグ戦 10月13日 FUJITSUスタジアム川崎

TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 21 28
慶大 UNICORNS 13


 時折強い風が吹くコンディションの中、今シーズン2度目となる早慶戦が行われた。試合は、慶大に先制を許すと、その後も早大はオフェンスがうまくかみ合わず、苦しい時間が続く。1ポゼッション差で迎えた後半、QB船橋怜(政経4=東京・早大学院)のTDでついに流れを引き寄せ、RB安藤慶太郎副将(社4=東京・早大学院)が安定の2TD。辛勝とはなったが、無傷の開幕5連勝となった。

TDを決めたQB船橋

 早大のキックオフで試合開始。DL伊藤寛太郎副将(商4=東京・成蹊)を中心にブロックを試みるも、慶大はエースQB山岡葵竜(4年)を軸としたランプレーで攻め込み、自陣25ヤードまで迫られる。慶大がタイムアウトを要求した直後、トリックプレーからQB山岡がスクランブルTDを決め先制。続く早大はパスでリズムをつくり、4thダウンギャンブルを仕掛けるが、相手のプレッシャーにより失敗に終わる。しかし直後のディフェンスではDL鈴木衆和(政経4=東京・早実)がQBサックを決め、相手をパントに追い込み無失点に抑えた。早大オフェンス陣は相手フロント陣の集まりの速さに苦しみ、RB安藤慶のランプレーも封じられてしまう。さらに第2クオーター(Q)には、慶大K北村朔也(2年)が49ヤードのフィールドゴール(FG)を決め、0-10と点差を広げられる。DB宮下拓(創理3=神奈川・鎌倉学園)やDB妹尾泰成(人3=東京・佼成学園)らが果敢なタックルに挑むなど奮闘すると、前半終了間際には、ここまで苦戦していたQB船橋のパスが徐々に通り始める。WR松野雄太朗(社4=東京・早大学院)がサイドライン際でロングパスをキャッチし、残り58秒で敵陣5ヤードに迫ると、WR中原秀城(スポ4=愛知・南山)がパスTD。K小林賢多(国教4=千葉・八千代松蔭)がポイントアフタータッチダウン(PAT)を確実に決め、7点を返した。このまま前半終了かと思われたが、慶大のRB山岡がランで猛攻。終了間際に自陣44ヤードまで攻め込まれ、再びFGを成功。7-13の1ポゼッション差で前半を終えた。

QBサックを決め、喜ぶ選手たち

タックルするDB宮下

 早大にとって今シーズン初めてビハインドで迎えた後半だったが、両チームとも初回ドライブはパントに終わる。その後、早大はこの日3度目の4thダウンギャンブルに失敗するなど、なかなかチャンスをつかめない。さらにQB船橋のパスをWR松野がキャッチした直後にタックルを受け、インターセプトを喫する。それでも、相手のパスインターフェアランスに救われ失点を免れると、続くシリーズではRB藤野克海(国教1=京都・立命館宇治)がパントをブロックし、早大へモメンタムを手繰り寄せる。勝負の第4Q、WR松野へのロングパスが成功し、エンドゾーンまで残り7ヤードに迫る。ここでQB船橋が自ら走り込みTDラン。逆転に成功すると、以降は完全に早大ペースとなり、守備でもDL伊藤らが気迫のこもったプレーで慶大に得点を許さなかった。その後、中央突破を阻まれていたRB安藤慶がついに覚醒。OL柳嶋将歩副将(政経4=東京・早大学院)らの好ブロックで道を切り開き、連続で2つのTDを奪う。慶大は最後まで攻めの姿勢を貫いたものの、最後は早大が力を見せつけ、試合は21-13で終了した。

TD直後、雄叫びを上げるRB安藤慶

 後半になんとか実力を見せつけ勝利をつかんだものの、選手たちの表情に笑顔はない。DL伊藤はこれまでを振り返り「5連勝というところで、どこか緊張感を欠いた練習になっていた」と反省の色を見せる。次戦の相手は、現在3勝2敗中の立大。関東全勝に向けて、早大BIG BEARSは落とすことのできない一戦に挑む。

(記事 大村谷芳 写真 富澤奈央、河野紗矢、土橋俊介、小畑萌、堤健翔)

得点経過

TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
慶大 RUN #8山岡 #39北村 0-7
慶大 FG #39北村       0-10
早大 PASS #15船橋→#1中原 #11小林 7-10
慶大 FG #39北村       7-13
早大 RUN #15船橋 #11小林 14-13
早大 RUN #7安藤 #11小林 21-13
早大 RUN #7安藤 #11小林 28-13

コメント

DL伊藤寛太郎副将(商4=東京・成蹊)

ーー試合を振り返って

 慶大さん相手に、これだけ辛い試合をしてしまったということは、自分たちの甘い部分が出たのだろうなと思います。もっと緊張感を持って試合のような練習ができていたら、こんな試合にはならなかったのかなと思います。

ーーディフェンスの連携はどのように振り返りますか

 今年のディフェンスは前半で点を取られて、後半アジャストするというかたちになり、後手後手に回っています。前半の最初のプレーから相手を圧倒できるような連携をこれから作っていきたいと思います。

ーーディフェンスの主軸として活躍されていますが、今季のご自身のプレーに納得されていますか

 全然納得できていなくて、やはり昨季にケガもあって、1年のブランクがある中で、試合勘などスキルの一つ一つがもっと成長しないと、日本一という目標には到達できないかなと思います。

ーー開幕5連勝となりましたが、チームの雰囲気はいかがですか

 5連勝というところで、どこかで緊張感がないチームの練習になっているので、しっかり引き締め直して、リーグ戦の立大戦、法大戦に向かってチームを作っていきたいなと思います。

ーー次戦への意気込みをお願いします

  立大も良いQBや良いWRがいます。QBにアタックして、サックやボールロストを誘うことで、個人でチームに貢献できたらと思います。

QB船橋怜(政経4=東京・早大学院)

ーー試合を振り返って

 前半から全然自分たちのペースをつかめず、オフェンスが全然点を取れなくて、ディフェンスに迷惑をかけてしまいました。すごくそこは反省しないといけない試合だったかなと思います。

ーー普段よりスクランブルが多い印象でした。どのような意図がありましたか

 結構DLのプレッシャーもかかることは予想されていましたし、前半はあまり走っていないです。でも前半の点数を踏まえて「走ってもいいよ」とコーチから言われていたのこともあって、後半は結構自分で走るシーンが多くなったかなと思います。

ーーオフェンスチームの連携はいかがでしたか

 今日はやはり少し悪かったなというところです。ランもあまり出ていないですし、パスも決められるところを決められなかったりとか。大事なシチュエーションでパスを通せなかったところがあるので、今日に関してはすごく悪かったという感じですね。シーズンが深まるにつれて少しずつ良くはなっていると思うので、もう1回1からやり直して、次の試合にはその良くなったところを出せればいいなと思います。

ーー次戦へ向けて意気込みをお願いします

 次の試合もオフェンスが点を取れないと、やはり今日みたいなすごく苦しい展開になってしまうと思います。本当に前半の最初のシリーズから得点できるように、オフェンス11人でしっかり連携を高めて得点力、決定力の高いオフェンスをできればいいなという風に思います。

DL鈴木衆和(政経4=東京・早実)

ーー試合を振り返って

 チーム全体的には良くなかったと思います。自分自身はあまり前半は出る機会がありませんでしたが、やはり慶大の山岡くん()走られてしまっていました。前々からプレーを見て分かってはいたものの、守れなくて自分たちのレスポンスの上でどうアジャストするかというところで苦戦しました。

ーー中盤点が入りにくい場面で、ディフェンスが粘りました。意識したことはありますか

  自分の役割はとにかくQBにプレッシャーを与えることだったので、山岡くんのランをよく見て、前に進ませないことを意識していました。

ーーQBサックも決まりました。秋シーズン好調の理由はありますか

 結構チームの負担は大きくなっているかもしれませんが、僕は自由にやらせてもらっています。自分の良さを生かして、とにかくがむしゃらにというところで、結果的に良くなっているのかなと思います。

ーー次戦へ向けて意気込みをお願いします

 立大はタレントもいますし、若くて技術がある選手が多いです。立大戦に向けてもう一度自分たちのファンダメンタルを見直して、しっかり止められるディフェンスにしていきたいと思います。