第3回には4年生マネジャーが登場。早大野球部を陰で支える3人がラストシーズンにかける思いとは。
※この取材は9月11日にオンラインで行われたものです。
お互いの紹介
――まずは他己紹介をお願いします
北嶋 金沢泉丘高校出身、スポーツ科学部4年井上です。印象としては、心が優しい方だなと思います。井上を嫌っている人は学年問わず野球部にはいないかなと思えるぐらい、みんなから好かれる性格だと思ってます。マネジャーの同期の中でもそれぞれ性格が違う中で、井上彩希さんがいるからバランスがいいというか、気軽に気軽に話せる明るい存在です。
井上 スポーツ科学部4年、千種高校出身の、成瀬かおりです。特に日本ハムファイターズが大好きで、毎日スポナビをチェックしています。休みの日も鎌ケ谷とか2軍球場に足を運んでいて、すごく野球が大好きなんだなっていうのが伝わってきます。彼女もすごく優しくて、テキパキ仕事をやってくれます。何事も率先してやってくれるので、私は本当に頼りないんですけど、彼女には本当に頼りがいがあって、いつもどんな場面でも助かっています。
成瀬 早稲田佐賀高校出身、スポーツ科学部4年の北嶋晴輝です。北嶋は2年生になるタイミングでマネジャーになって、選手からの転向っていうところで、最初は色々思うところとか大変なこともあったと思うんですけど、一緒にやっていく中で、チームのため、選手のためっていうのをすごく考えてる人で、本当に熱い「漢(おとこ)」だと思っています。今は主務っていう引っ張るポジションにいて気も遣える人だなって思いますし、行動もですけど、言葉でみんなに言って引っ張ってく、心を動かす系かなと思っています。
北嶋 情熱系ね。最近で言うと、大谷翔平が打つと走るんだよね。
成瀬 彩希と、大野(郁徳、政経3=東京・早実)がね。
井上 46号を打ったら4.6キロ走るみたいな。(成瀬は)それを自転車で伴走してくれます。
北嶋 運動が好きな人たちだと思います。
――オフの日はどのように過ごされますか
成瀬 1人行動が好きなので、よく2軍の球場、試合行ったりっていうのがメインですね。遠くに行くのが好きなので、野球場だけじゃなくて旅行に行ったりすることが多いです。
井上 私は日によって違って、1日家にいる日もあれば、友達とどこかに行く日もあれば、ご飯に行ったり、1人で足伸ばしに行く日もあります。最近ちょっと頻度が増えてることで言うと、私はパンを作るのが好きで、作って2人に渡しています。それで感想もらってモチベを高めるというか、自分の食欲と人の食欲を満たしています。
北嶋 美味しいよね。僕は、オフを1分1秒でも長く過ごしたいっていう気持ちがあるので、めちゃくちゃ早く起きます。5時半とかですね。活動時間を伸ばしたいので、早起きして、日頃あんまり時間が取れないこと、本を読むのが好きなので、そういったことに費やしています。あとは、これは井上の発案なんですけど、毎年山手線を高田馬場から1周、特に目的はなく歩くって言うのを毎年6月に2人でやっています。
――チーム内で特に中の良い選手はいますか
北嶋 特に同じスタッフの学生とは仲が良いです。部屋が隣っていうのもあるんですけど、投手コーチの冨田(大地、スポ4=茨城・日立一)とはよくご飯に行ったりします。あとはルーティーンがあって、トレーナーの飯島(周良、教4=早大本庄)と、森田(丈士、人4=高知・土佐塾)に会ったら必ず、ハイタッチしてグータッチするって言うのを必ずやります。これはもう2年生とか3年生の時からずっとやってますね。
井上 みんなと満遍なく仲は良いかなって私は思ってるんですけど、私は浪人してるんですけど、学生コーチの中島(稜太、人4=東京・桐朋)も浪人で。この学年で浪人は2人だけなので、そこで結構話したりしてます。あとは1年生の時、マネジャーになる前に選手と一緒にデータ班の仕事をしていたんですが、その時からも結構いっぱい話してて、深い話をすることが多いかなって思います。
成瀬 2人が言う通りで、私たちは基本的にスタッフと関わることがどうしても多くなっていて。選手とも話すけど、もしご飯に行くとかだったら、最近は井上と大野、みたいな感じですね。井上とは元々一緒によく行くんですけど、最近大野も一緒に食べ放題行ったりとかいう感じです。
「北嶋から仕事を奪い取る」(成瀬)
――それぞれの仕事について教えてください
北嶋 基本的に僕は、東京六大学野球の連盟の仕事が中心となるかなと思います。一番最初に連盟からいただく情報が多いので、それをみんなに共有したり、あとは連盟の行事にも行きます。例えばこの前だと審判練習会っていうのが、慶応のグラウンドであったり、日米(大学選手権)とかに帯同したりっていうのはありますね。
成瀬 3人の役割でいくと、北嶋が主務で、井上が会計のリーダー、私が広報のリーダーみたい感じです。北嶋は主務なので連盟の仕事もありますし、監督、首脳陣とのやり取りも彼がやってるっていう感じですね。私たちは北嶋がチームのことをたくさんできるように、北嶋から仕事を奪い取るというか(笑)、やらせないようにしています。
北嶋 2人が結構やってくれるので、めちゃくちゃありがたいなって思いますね。
井上 私は会計っていうところで、寮費であったりキャンプのお金のこと、あとは大学からの申請、寄付金のことであったりとか、そういったことを担当している形になります。あとは今までは野球教室だとか、そういうことにも携わることが多かったかなと思います。
成瀬 私が広報のリーダーっていう形でやらせてもらっていて、SNSとかガイドブックとか、野球部として発信するものを担当していて。ちょうど今日、野球部のホームページが新しくなったんですけど、あれはすごく頑張りました。
北嶋 1月からずっと動いていて、今年の野球部の変化の中で一番といって良いほど大きなものかなと思います。
井上 コツコツ頑張ってくれました。
成瀬 みんなで考えたことだったので、このタイミングで形にできて良かったです。
――皆さんがマネジャーになった経緯を教えてください
北嶋 年末年始くらいにマネジャーを選出するんですが、僕らの学年では1人選ぶっていう中で、最終的にみんなからの推薦で自分が選ばれた形です。最初は本当になりたくなかった、正直選手を続けたかったっていうのがあります。でも、みんなのやってほしいという思いもあり。
成瀬 もう北嶋じゃなきゃやばいみたいな。
井上 みんなで説得しました。
北嶋 マネージャー決めの時に一番話したのが伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)で。伊藤樹が主となって話を進めてくれてたんですけど、よく連絡をくれて、電話もしてくれて、なってほしいっていう気持ちを一番伝えてくれました。つい最近、何かのメッセージを検索したら、伊藤樹との1年生の12月ぐらいのメッセージがヒットしたんです。それを見たら、めちゃくちゃマネージャーのことを話してる文章で、お前の気持ちを一番尊重するとか、色々気にかけてくれたのを思い出しました。
井上 私は高校生の時も野球部のマネジャーをやっていたんですが、コロナの代で甲子園が無くなって、不完全燃焼というところがあって。大学野球自体もテレビで唯一早慶戦だけやっていて、そこに憧れを抱いて、大学でもやりたいなっていう風に思ったのが大きな決め手かなと思います。
成瀬 私も高校の時からマネジャーをやっていて、大学進学が決まってから野球部っていう選択肢を考えました。あまり早稲田がどれぐらいすごいところなのかっていうのを知らずに来て、一度お話を伺った際に厳しいところだって言われて、そこで負けたくないなというか、そういうとこで頑張りたいと思って入部しました。私たちは最初からマネージャーっていうわけではなくて、マネージャーを志望しつつ、半年間ぐらいは見習いというか、認めてもらえるかどうかという立場だったんですけど。2人で一緒に頑張って認めてもらえて、1年生の段階でマネージャーになって、2年生から北嶋と一緒にやっている感じです。
――仕事をする上でのやりがいを教えてください
北嶋 自分のやりがいは、同期のスタッフたちと、あと2か月でチームにどれどうやって貢献していくか模索しているっていうところです。業務もそうなんですが、業務以外でもっとチームがこうした方がいいんじゃないかとか、課題だったり、改善点などを日頃からコミュニケーションを取りながら、できるだけチームがいい方向になるように改善していきたいなっていう取り組みをしています。
井上 やりがいとはちょっと離れるかもしれないですが、その一番嬉しいなって感じるのはやっぱり勝った時なので、勝つためにどうすればいいか考えた時に、私たちはグラウンドに立って戦うことはできないので、その分彼らが野球だけに集中できる状態がベストなのかなと思うので、野球以外の面をバックアップできるようにやっています。お金のことを扱っているので、やりがいで言うと保護者の方とかも関わる機会であったりとか、寄付してくださる方と関わる機会多くて、そういった人とのつながりで、直接ありがとうとか、勝ってよかったねとか、別に私が打ったわけでも投げたわけでもないんですけど、そういう風に言ってもらえる時が嬉しいし、やっててよかったなっていう風に思います。
成瀬 広報の仕事の面で言うと、直接何かプレーにつながるわけではないんですけど、ファンの方に注目していたいただいたり、そういうきっかけを少しでも作りたいと思っているので。たくさん反応をもらえる時とか、このブログのこれが良かったよとか言ってもらえると、すごくやりがいを感じます。あとはイベントで、今年は全早慶戦とかがあったんですが、そういうところはいろんな方と協力して実現できるように動いてるので、それが無事うまくいった時はやりがいを感じます。
――昨季は早稲田としては初めての女性マネジャーのベンチ入りがありました
北嶋 ベンチに入ろうってなったのは春の開幕の直前だったんですけど、今まで男しか入ってない中で、女子マネジャーとしてお二人も頑張ってくれているし、自分からすると女子マネジャーの地位がもっと上げっていけばいいなっていう思いもあって。女子だからベンチには入れないっていうのは違うなって思っていて。みんな同じ思いでマネージャーをやっているので、2人も入ったら良いんじゃないかなっていう思いで、3人で話して決めました。
成瀬 私たちとしてはやりたかったけど、いいのかなみたいな感じで 。今まで男性のマネージャーがやってきて、同じ早稲田大学野球マネジャーっていう肩書きで見られる中で、私たちは野球のプレー経験がないので、もしかしたらそこで差が出たりすることを考えると、これまでの歴史っていうのもあって怖いなっていうのはずっと思っていて。なかなか自分たちからも話し出せなかったんですけど、北嶋が言ってくれて、私たちもどうしようかって相談しました。
北嶋 誰がベンチに入ってもチームには貢献できると思います。
――秋は皆さんにとってもラストシーズンとなります
井上 あっという間に4年秋が来てしまって。1年秋とかには、まだまだ先のことだっていう風に思ってたんですけど、いざ経ってみるとあっという間だったなっていうのが最初の感想です。4年春は優勝できて、4年生で優勝することの喜びっていうのは、去年以上にやっぱり大きかったなっていう風に感じていて、去年春秋連覇して、今年も春勝って、もうこの勢いで、4連覇したいなっていうのが私の思いです。
成瀬 井上も言っていましたが、本当に早かったなっていうところで、まだ実感も湧いてないんですけど、時間はどんどん経ってしまうので、この最後のリーグ戦っていうのをちゃんと噛みしめて、毎日大切に過ごしていきたいなって思うのが一番です。あとは、引退っていうのがあるので、今までマネジャーとしてやってきたことを後輩にもつないでいかなきゃいけないので、ちゃんとそこの引き継ぎとかを間に合うようにやらなければなというところを感じてます。やっぱり4年生で優勝、自分の代で優勝っていうのが何よりも嬉しいっていうのを肌で感じたので、それをもう1回ちゃんと達成して、優勝パレードができるように、強い思いであと2か月やり切りたいなって思っています。
北嶋 このラストシーズン、同期のマネージャーみんなで全力でやりきって、最後に勝って、同期の3人で良かったと思える、十分やりきって思えるシーズンにしたいなと思います。
「この4年間の集大成を」(井上)
――注目している選手はいますか
井上 1年生の時に朝準備っていうのをやったんですけど、その持ち場が一緒だったのが伊藤樹と田和(廉、教4=東京・早実)で、2人とも今リーグ戦に出ていて、入りたての時はそんなにすごい人たちだっていうのも分からず接しいてたんですけど、どんどん大きくなるにつれて頼もしくなったと思っていて。その2人には特に頑張ってほしいなって思いますし、2人とも今後のことも色々あると思うので、悔いのないようにやってほしいなって思います。
北嶋 1人選ぶとしたら、高校からの同期の山口(力樹、スポ4=早稲田佐賀)ですね。早稲田佐賀高校は(この代では)自分と山口力樹が入ってきて。自分はもうマネージャーになって、選手やってるのが山口力樹だけなので。早稲田佐賀でリーグ戦に出場するぐらいメンバーに食い込める人ってあんまりいなかったんですけど、それを今体現してくれていて、代走ーという形の出場が多いんですけど、1点に絡む重要な局面で出場することが多いので、足でチームを勝たせてほしいなと思っています。(早稲田生活)7年目になるので、人一倍思い入れがある選手かなと思います。
成瀬 私は外野手の椎名(丈、教4=東京・早大学院)を推したいです。2年生の時に代走とか代打が多くて、4年春はあんまりベンチに入っていないっていう状況もあって。本人も色々思うところはあると思うので、秋に向けてオープン戦にもでてますし、チームに絶対必要だと思います。本人もすごく優しくて素直でいい人なので、本当に椎名に活躍してほしいなっていう気持ちが強いです。
――逆にご自身の見てもらいたいポイントがあれば教えてください
成瀬 春にベンチ入りさせてもらった時に、顔が怖いって言われたんですけど、どうしても考えすぎてしまって、バトルフェイスになっちゃうと思うんですけど、それを見てほしいです。
井上 ベンチもそうですが、アナウンスも今シーズンがやっぱり人前でしゃべるっていうのが最後なので。高校生の時に神宮大会を1度見に行ったことがあって、田舎の石川県の高校生からしたら神宮球場ってめっちゃくちゃ大きな球場でキラキラしてるように見えて、そこでしゃべってる人の声がすごい印象に残っているので。私もそうなりたいって思ってから、今こうやっていろんな人に聞いてもらえるまでになって、アナウンスがあと数えられるほどになってきたので、頑張りたいなって思います。褒めていただけることも増えてきているので、聞きやすいように頑張りたいなって思います。
北嶋 優勝したときに3人で喜んでる姿です。
――秋の意気込みをお願いします
井上 この4年間の集大成として、4年生としてもマネジャーとしても悔いのないような結果になるように、私自身も残り残された時間、仕事っていうのを一生懸命頑張っていきたいと思います。
成瀬 リーグ戦1試合1試合もそうですし、今やってる仕事もどんどん最後になってくので、もっと大切に、最後だって思いながら噛み締めて日々向き合っていきたいと思います。
北嶋 リーグ戦4連覇と50回目の優勝に向けて、マネジャーの仕事が結果に直結するわけではないんですけど、試合までに向かう準備だったりはめちゃくちゃ大切だと思うので、自分たちが試合を勝たせるっていう気持ちを持って、3人で協力して、チームの勝利に向けて支えていきたいと思います。
ーーありがとうございました!
(取材・編集 西本和宏)
◆北嶋晴輝(きたじま・はるき)
2003(平15)年11月22日生まれ。170センチ、67キロ。早稲田佐賀高出身。スポーツ科学部4年。
◆井上彩希(いのうえ・さき)
2002(平14)年5月1日生まれ。石川県・金沢泉丘高出身。スポーツ科学部4年。
◆成瀬かおり(なるせ・かおり)
2004(平16)年1月6日生まれ。愛知県・千種高出身。スポーツ科学部4年。
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