【野球】折り返しの法大戦 連勝で勝ち点獲得へ/法大戦展望

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 立大戦では初戦を落とすもその後2連勝を果たし、早大は勝ち点を2とした。次の対戦相手は強力打線で慶大を下した法大。法大は点の取り合いのような試合展開が多く、ペースに乗せてしまうと怖い相手だ。優勝争いのために、このカードは確実に勝ち点を積み重ねていきたい。

ここまで14安打の法大・藤森康に要注意

 法大はここまでのリーグ戦で「打ち勝つ野球」を体現してきた。その強力打線の核となるのはプロ注目の4番・松下歩叶主将(4年)だ。2カードを終えてまだ本調子とまではいかないものの、チームトップタイの5打点を挙げており、その打棒は健在だ。

 また今季の法大を語るには、安打製造機・藤森康淳(3年)と、すでに秋リーグで2本のアーチを記録した怪童・井上和輝(1年)の活躍にも触れておかなければならないだろう。3番を打つ藤森康は既にリーグダントツの14安打をマークしており、これは六大学野球のシーズン最多安打記録の更新も視野に入る。1年目の井上は自慢の長打力をここでも遺憾なく発揮。下位打線に一人、圧倒的な存在感を放つ。

 このほかにも、今泉秀悟(2年)や打撃好調の中村騎士(2年)も控える法大打線は厄介な相手になりそうだ。要所をしっかりと抑え、ピンチを最少失点で切り抜けていけるかが重要だ。

安定感増す早大投手陣

 対する早大は大学球界を代表するエース・伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)が投手の軸だ。これまでに2段モーションを取り入れていたが、今季からは足を上げない新フォームで挑んだ。それが功を奏したか、ここまで安定感のあるピッチング。すでに28もの三振の山を築き、さらなる進化を見せつけた。通算20勝の大記録も達成し、マウンドで自身の価値を証明し続けている。

 また2枚目の先発投手は宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)と髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)の併用となりそうだ。髙橋煌は夏のオープン戦でノーヒットノーランを達成した勢いそのまま、東大2回戦で先発を任されると5回1失点の粘投で見事勝ち投手に。立大戦では2回2失点と宮城の状態がなかなか上がってこないだけに、彼の飛躍が期待される。仙台育英高で頂点の景色を知った右腕が、チームを再び優勝へと導けるか注目だ。

立大2回戦で今季2勝目を挙げた髙橋煌

 リリーフは経験豊富な投手陣の中でも、田和廉(教4=東京・早実)がストッパーとして君臨。150キロを越えるストレートと鋭く曲がるスライダーを武器に、昨年から9回を任されてきた。今季は未だ一人の走者すら許さぬピッチングで18.44メートルを支配する。

法大は投手陣に課題 打ち崩したいところだ

 法大は、打撃陣とは対照的に、昨季苦しい結果に終わった投手陣は今季も課題と言えよう。だがその中でも新戦力として加わった2人の右腕の存在が面白い。それが丸山陽太(4年)と助川太志(3年)だ。トミー・ジョン手術からの復帰のシーズンとなった丸山だが、9月21日の法立2回戦では得意の剛球で強打者たちをねじ伏せ、5回を零封し勝利投手となった。また助川は軟式野球出身で一般入試を潜り抜けた秀才という、異色の経歴を持つ右腕だが侮ることなかれ、ここまで5試合に登板し無失点と早くもブルペン陣の柱となっている。

 エースナンバーを背負う野崎慎裕(4年)は昨季第一先発を担い2勝を挙げたが、防御率は5点台と不調。ただ、今季は法立3回戦で6回無失点の好投を披露するなど、復調の兆しも見せた。ただし法大はここまで四死球が目立つ。再建を進める投手陣から、いかに得点機会を創出できるかが勝敗のカギとなるだろう。

尾瀬は今カードでの節目達成となるか

 打線は尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)に注目だ。3連覇を支えた不動のリードオフマンは今季も現在5割近い出塁率でチームをけん引。昨季は打率3割に届かず、悔しい結果となったが、今季はその鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように打ちまくる。通算100安打の金字塔に向け、視界良好だ。

現在通算96安打の尾瀬

 4番の寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)は東大戦では苦しんだものの、立大2回戦でダメ押しの2ランを放つなど、その打棒は上昇気配。その後ろを打つ前田健伸副将(商4=大阪桐蔭)は開幕カードで幸先よく本塁打を放つと、勢いそのまま打率5割の大暴れだ。残塁の目立つ早大打線にとって、長打力は得点力を左右する。頼れる両大砲の活躍に期待だ。

 下位打線にも目が離せない。石郷岡大成(社4=東京・早実)は現在首位打者をひた走り、立大との3試合で8打数6安打の固め打ちで走攻守すべてにおいて高いレベルを見せつける。正捕手の吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)は「恐怖の8番バッター」として、すでに1本塁打4打点をマーク。つながる打線でチャンスをつかみきれるかが得点力のカギを握りそうだ。

現在打率トップの石郷岡

 4連覇に向けて勝ち点は一つも落としたくない。そのためには誰かのミスをチーム全員でカバーしていく野球が必要だ。個々の実力はもちろん、そういうところにも早大の強さがあると思う。早大らしい野球を貫いて、法大戦を戦ってほしい。

(記事 竹田朋矢)