東京六大学野球秋季リーグ戦 9月29日 明治神宮野球場
早大と立大、両者が勝ち点を懸けて臨んだ3回戦。度重なる好機を生かせず敗戦した1回戦と、打線が良く繋がり8対4で勝利した2回戦を経て、この日がやってきた。立大との3回戦というと、やはり延長12回まで持ち込んだ末サヨナラ負けを喫した昨季の試合が思い出される。接戦となったこの試合は接戦の末、早大が春のリベンジを果たした。

試合前に野球部へエールを送る応援部
今季はここまで先制した状況が一度もない早大は初回から立大先発・竹中勇登(4年)を攻める。早大応援席は出だしから『紺碧の空』、『Fanfare稲穂』、『F4〜大進撃』で勢いをつける。2死から連打で一、二塁という状況を作り、先制を狙う。しかし、ここは前田健伸副将(商4=大阪桐蔭)が中飛に倒れ、得点はならなかった。投げては中一日で先発の伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)が初回からテンポの良い投球を披露。この伊藤樹と竹中の両先発が3回までを無失点に抑え、序盤を終えた。

『コンバットマーチ』でアクションを披露する吹奏楽団
応援席では2回に『早稲田と立教といえば長嶋と王ではないか』といったユニークな学生注目(学注)などによって、月曜神宮ながらも盛り上がりを見せていた。
試合は4回の表。打率5割超えと好調の前田健副将が先頭打者として二塁打を放つ。そして、同じく好調の田村康介(商4=東京・早大学院)が内野安打で続く。石郷岡大成(社4=東京・早実)が犠打を決めると、『F1〜コンバットマーチ』が球場に響いた。今季初の先制に向けて応援部は決死の応援を披露。四球で満塁となるとさらに応援は加速。すると打席の伊藤樹が放った打球は三塁ランナーが生還する犠牲フライに。この日最初の決定機を見事に掴み先制に成功した。

先制時に『紺碧の空』を歌う応援部
5回表。3番・小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)の二塁打、4番・寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)の四球でチャンスを作る。そこで、相手投手の交代と共に『Viva Waseda』が披露された。ハリセンをVの字に動かしながら歌うこの曲の後には『F1〜コンバットマーチ』で相手に圧をかける。しかし、ここはライナーゲッツーに終わり、少し不運な流れでこのイニングを終える。この悪い流れを断ち切るように5回裏には、バンド演奏曲『希望の轍』が披露された。サザンオールスターズのこの曲を吹奏楽団が演奏すると共に、野球部のユニフォームをかたどった『ユニフォームセット』を身にまとったチアリーダーズのパフォーマンスに応援席が盛り上がる中で、伊藤樹が相手打線を三者凡退で抑えた。早大の1点リードで前半を終えた。
追加点が欲しい早大は6回表。連打と犠打で1死二、三塁という状況を作ると、応援席からは『スパークリングマーチ』、『F1〜コンバットマーチ』が演奏される。インパクトのある応援曲と共に観客から大きな声が聞こえてきたが、伊藤樹と尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)が連続で三振に倒れ、得点には至らなかった。
また、6回までに無失点被安打4という投球内容の伊藤樹には毎回のように『シェイクコール』や文字切り『頑張れ樹』でエールが送られた。
7回表に『早稲田大学校歌』が斉唱されると同時に、ここまで18打数で1安打のみと不調の渋谷泰生(スポ4=静岡)からフェンス直撃の二塁打が飛び出る。後続が倒れ2死二塁となるも、前田健副将が決死のヘッドスライディングを見せる内野安打を打つと、渋谷が好走塁を見せ1点を追加した。8回には伊藤樹に適時打が飛び出し、さらに1点を追加。2回戦と同様、見事にチャンスを掴んだ展開となった。

追加点を喜ぶ応援部
好投を見せてきた伊藤樹だが、8回裏には立大打線の猛威に襲われることになる。ランナーを一塁におくと、落合智哉(3年)に片手一本で本塁打を打たれる。いきなり1点差に詰め寄られたこの展開には、昨季のサヨナラ負けが脳裏によぎる。さらに山形球道(4年)に二塁打を浴びると、暴投と死球で2死一、三塁のピンチに。逆転の走者も背負うこの状況に応援席では『ファイトコール』や『シェイクコール』だけでなく『ダイナマイトマーチ』で伊藤樹の背中を押す。この守備回での『ダイナマイトマーチ』は令和5年度の早大応援部でピンチを救う曲として良く使用されていたものである。これらのエールに応えるかのように伊藤樹は丸山一喜(4年)をアウトに取り、失点を2点に留めた。

8回の守備時に学生注目を行う豊島

守備回に『ダイナマイトマーチ』を披露する様子
そして最終回の守備では田和廉(教4=東京・早実)が圧巻の投球を披露し、勝ち点獲得を決めた。東京六大学野球リーグにおいては、この試合のようにいかにして接戦をものにするかが重要である。今後も厳しい戦いが続くリーグ戦の中で必要なのはまさに応援の力だ。応援席から相手を圧倒し、4連覇へ突き進みたい。
(記事・写真 土橋俊介)
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朝日里咲応援企画責任者(教4=東京・吉祥女子)
ーーこの3日間を振り返っていかがですか
春の雪辱を果たすという意味では、1回は黒星になってしまった中でもしっかりと取り返して、春よりも成長した野球部の姿や応援部の姿を見せることができたのではないかなと思っています。この3戦目を勝ち切れたということが、さらに春よりも意味のある優勝に繋がるというふうに思っているので、これからの法政、明治、慶應との試合もいい流れに持っていけるように応援部も準備していこうと思います。
ーー接戦の中で意識していることはありますか
今日とかの場合は、ダイナマイトマーチを最後の方の守備回に入れたり、ここぞという時に押し出すというところを意識していました。春は最後打たれて負けたというのがあったので、最後まで気持ちを切らさないという点で、こっち側から選手を後押しするという部分を伝えた感じでした。
ーーコールやそのボードの工夫などが印象的な今年の応援企画補佐の働きぶりはどのように見ていますか
今年は戦況に応じて、文言を変更するコールを新たに取り入れたので、そういう面では去年より柔軟に戦況に合わせた応援をしようとしてくれている補佐の働きは好印象に捉えています。その中でもやはり新しいものをいくつも出していくということは、観客の方もついて来れない可能性があるという点で、しっかり伝わりやすいものだったり聞こえやすい言葉にするように注意させているので、そこをもっと工夫して早慶戦までに臨むことができたらいいかなと思います。